KFエンジン系統の記事のヒット数が著しいので備忘録も兼ねてトラブルシューティングとして纏めます。

私のようなヘボメカニックやコレからダイハツの軽自動車を中古で探す方の参考になればと思い書きます。


①オイル消費が激しい

定番です。有名です。途中からシリンダーヘッド付近にオイルミスト噴出口の様な装置が付いて改善策らしき物はされていますが依然として過走行のKFエンジンに多い持病です。


特に初期型KFのESSE、175ムーヴ、275ミラ辺りは当たり前にオイル管理してても こうなっちゃう車両があるんで悩ましい物です。


原因も有名ですが、省燃費性能の為に敢えて下げたピストンリングの張力が仇になって膠着する事が原因です。

広い括りで言えばオイル上がりなんですが、一昔前の車に良くあったオイル上がりとはちょっと理屈が違います。

一般的なオイル上がりとは過走行車に多く、ピストンリングとシリンダー壁が長年の磨耗で隙間を生じさせてそこからオイルが吹き抜けると言う物です。

KFの場合はピストンリング自体が膠着して閉塞したままピストンが上下するので隙間云々の前にそもそもオイルリングが役割を果たして無いケースが殆どです。

裏を返せばピストンリングの張りさえ元に戻れば圧縮は正常に戻るケースです。


この場合、一般的な「オイルに混合して強制的に粘度を上げてオイル消費を抑えるタイプの添加剤」はほぼ効き目が無いのでご注意。

和光ケミカルさんのパワーシールド辺りも土俵違いなので要注意。

一般的なオイル上がりと違って相当なクリアランスが生じてしまってるので少々オイル粘度を上げようがどんどん燃えていきます。


で、自分も色々とオイル添加剤は試して来ましたが この添加剤こそKFの救世主だと思ったのはバーダルさんのリングイーズですね。

自家用車含めて今まで数台入れて来ましたが、かなり効きます。

所謂「遅効性フラッシング剤」の類なんですがリングイーズは特にピストンリング膠着の患部に特化したケミカルで1本当たり3000~5000円程と添加剤としてはやや高い部類になりますが

1000円クラスの微妙な添加剤をオイル交換の度に入れて誤魔化すより効き目が段違いなのでおすすめします。


リスローンさんから出ているコンプレッションリペアや和光ケミカルさんから出ているクイックリフレッシュあたりも「入れた限り」では効いてくれる事もあるんですが

これらは「オイル交換の度に投入する必要あり」なのでお財布にも優しくないのがデメリットです、其の場しのぎにはなっても根本解決にもなりませんし……


まだオイル消費は出てないけど予防整備したいよ!って方には呉工業さんから出ているディープクリアと言う遅効性洗浄添加剤もオススメです。お値段も1000円クラスとお求めやすくなってます。ただ、こちらは予防整備であったり オイル消費のド初期症状辺りで使うのをオススメします。


本来はピストンリングのOHが前提の不具合ですから顕著なオイル消費には手遅れのケースが殆どです。バーダルさんのリングイーズおすすめ!


②1番O2センサーが直ぐに焼け切る

コレはダイハツ車で昔から定番持病でもありますが触媒側のO2センサーが良く壊れます。KFエンジンでも恒例です。

最近のダイハツ車でエンジンチェックランプが点灯した場合は十中八九この「1番O2センサーの故障」か後述の「※EGR機能故障」が多いです。

※EGRバルブは電スロ世代くらいからのKFに付いている排気ガス再循環システムです。


外品で2,000円程から入手可能です。ラスペネと大きめのモンキーレンチがあれば交換できます。

たまにダイアグリセットしても、またエンジンチェックランプが再点灯する事がダイハツ車のセンサー交換後にはしばしば起きます。


この場合はエンジンルーム側のヒューズBOXの中から「EFI」と言うヒューズを抜いて30秒くらい待って、また取り付けると再点灯しなくなる事が多いです。


③運転席側E/Gマウントのゴム千切れによる振動


コレもKF型になってからの定番です。EF、JBエンジン世代の頃は過走行になるとミッションマウントが駄目になる事が多かったですが

KFの場合は運転席側エンジンマウントの破損が多いです。

他にもバッテリー付近とメンバー付近に2ヶ所、計3ヶ所マウントがありますが KFエンジンでエンジンがブルブルと揺れている個体は十中八九、運転席側のエンジンマウント交換で直ります。


写真の様にコーキング材を中に流し込んで応急処置している車両も稀に見ますが部品代は大体8,000円前後から有ります。

応急処置した物と新品部品では全く違うので新品交換を推奨したい部品です。


エンジン側3本に留まるボルトが全部上から下の物も有れば、1本だけ下から上に付いてるロットが有ります。

後者の場合はロングのエクステンションを2本継いで届く位の場所のボルト脱着作業になります。

ソケットレンチを700mmくらい延長出来る道具が揃っていればDIYでも可能です。

エンジンが少しズレるのでこの作業はリフトアップするより リジッドラックにかけてオイルパン下部辺りに当て木やパンタグラフを添えた方がし易いと思います。


④オイルパンのネジ山を舐める

自分でやらかした事は無いですが過去の入庫車両で舐めていた物は当たった事があります。

KFエンジンはブロック含めオイルパンもアルミ製の為、従来のスチール製より全体的にネジ山が舐めやすくなってます。

とは言え普通はオーバートルクしないとこんなにならないと思うんですけどね。


まあ運悪くオーバートルクしてしまったり、そう言う中古車に当たってしまった場合は正規の修理方法としてはオイルパンの交換になるんですが

皮肉な事にKFになってからクランクシールの品質が良くなっているのかEFやJB世代のエンジン程、オイルパン付近からのオイル滲み漏れがかなり減っており「ついで作業」する事が減りました。

そうなるとネジ山修正でも良いのですが手っ取り早いのは


サンツールさんって所からタップドレンボルトと言う救世主が売られてます。通販や大型工具量販店で手に入ります(意外と品薄状態です)。

一見普通のドレンボルトですがテーパー掛かっており、手間に来る程、雄ネジの山が若干高くなっていてネジ山修正しながらドレンボルトの締め込みが出来る画期的な物です。


デメリットとしては今後はこのドレンボルトで交換が必須になる事と、このドレンボルトでさえオーバートルクさせてしまうと もう2回目は無いという事です。


ダイハツ車のドレンボルトはM12のピッチ1.25です。スズキ系はM14のピッチ1.5です。

タップ立てやドリルの環境に富む方で腕に自信がある方はM14のピッチ1.5のネジ山を立ててドレンボルトをスズキ系の物を使うと言う荒業も有ります(ネジ山立ては一発勝負なのでタップ立てに自信のある方におすすめします)。


⑤EGR機能故障

コレも3世代以降のKFで最近かなり増えてきている持病です。

部品交換だけで直るケースと、大掛かりな清掃が必要なケースとが有ります。

詳細は↑の過去記事を参照して下さい。


⑥ラジエーターが弱いのも相変わらず

これはKFに限った話じゃないですがダイハツはラジエーターのアッパー付近の樹脂割れによる冷却水漏れや、アッパーから出ているジョイントの中折れで冷却水が漏れることが多いです。


何処のメーカーから出ているのかは不明ですが何台か過去にフルアルミ製のラジエーターに交換されている物を見た事が有ります。

こう言う商品の方が安心ですね。


KFになり多少、マシになったのは冷却水のエア抜きが楽になってます。アッパーホースを辿っていくと10mmのボックスで緩める事が出来る穴が空いた弁?があります。

予めここを緩めておいて冷却水の保水の際にオーバーフローさせて、締めこんでここからエア抜きが出来るようになってます。


1度、オーバーヒートさせたKFエンジンは要注意!所謂ヘッドガスケット抜けと言う物を起こしてしまった車両ですが、KFのヘッドガスケットはあまり頑丈では有りません。

高水温ランプを1度でも点灯させてしまった場合は安易にラジエーター交換や保水で安堵せずに、予後に細心の注意を払って下さい。


過去に1度、恐らくヘッドガスケットも抜けていると推測されるくらいオーバーヒートさせた車両の水周り整備修理を承りましたが

お客様の時間と予算の都合でヘッドガスケットは交換せずに様子見していた車両が有ります。


後日、またオーバーヒート&エンジンブロー

原因はヘッドガスケットが完全に飛んでウォータージャケットからエンジンオイルが混入してエンジンオイルが混入した冷却水が循環した事によるもの。

写真に収め忘れましたが、「水路」に「油」も回った為にかなりの高温になった模様で ラジエーターのジョイントが熱で溶けてました(^_^;)


自分は使った事無いですが、軽度のオーバーヒートで済んだ物であればリスローンさんから出ているヘッドガスケットFIXって商品で直る?と言うか誤魔化せる?事が有るらしいです。


もちろん、冷却水は車検毎かせめて4年1回は交換してラジエーターキャップも年に1回は新品に交換しましょうネ…高い単価ではありませんから。。


他にも何かあればコメントから質問や御要望下さいm(_ _)m