02/21/12 Books: 刑務所図書館の人びと、おしゃれの教科書 | **コティの在庫部屋**

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信頼って、そんなに簡単に出来るもんじゃないけど、出来なさ過ぎる職場ってのも大変みたいよ、これによると。

それと、信頼すべきじゃない相手を信頼してしまった後の、どうしようもなさとかね。




刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記/アヴィ スタインバーグ
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先日有島の「或る女 」を読んで以来、この程度の本(500ページちょい)なら4日あれば読める事が解ったのでトライ。
(学生の頃は2日、高校の頃は5時間もあれば読めたんだけどなー。年々衰えるなー(´Д`;))

まず訳がいい。さすがは金原瑞人(野沢佳織との共訳)。

作者のインテリなところ(ハーバード大卒)を嫌味なくユーモアを交えて日本文で再現している様に読める。

それと装丁もいい。表紙もいいし、中の濃い緑色の紙も、章のタイトルの部分もリズミカルな感じがした。


ハーバードで文学と史学を専攻していた作者ならではの文章がそこかしこに散らばり、文学好きには堪らない。

前半、ある女性受刑者に被せて引き合いに出されるシルヴィア・プラスの詩と死(生き様?)が印象的だし、

(余談ですが彼女の事を描いた映画があります。その名も「シルヴィア 」。主人公はグウィネス・パルトロウ、

旦那のテッド・ヒューズをダニダニクレイグが演じてて、2人の絡みがまあその濃ゆいの濃ゆくないのwヽ(;´Д`)ノ)

勿論古典にも精通しているので、ダンテプラトン辺りの事がひょこっと顔を出すのも面白い。

特にホーソンの「緋文字」については、数回、最初から最後の方まで顔を出している。罪についての話だからねえ。

で、私が何より興奮したくだりは、作者が受け持っている受刑者のための講義クラスの、特に映画クラスの話。

シェイクスピア月間に際してブーブー文句を言う受講者達。あんな古臭いもの、誰が好きこのんで見るかよ。

案の定、作者と同僚の司書が選んだオーソン・ウェルズの「マクベス」を見せるとたちまちブーイングの嵐。

(ちなみに作者はその同僚に「それを選ぶのだけはやめろ」と言っていたらしいw)

なんだよ、あんなタイツ野郎を見るために俺達はこんなとこに出てきてるんじゃねえぞ。すると作者は言う。



シェイクスピアだぞ。殻から飛び出して、最高のものは最高と認めなよ。この国の自称ラッパーはみんな、シェイクスピアみたいに、かっこよく韻が踏めたらどんなにいいかって思ってる筈だ。(pp.304-305)



参るよね、この台詞のカッコよさ。いやあ全くその通り。

ヒース・レジャーの「恋のからさわぎ 」の中でも、英語の先生がシェイクスピアのソネットをラップ調にして読んでたし、

要するに、英語が母国語の人達にとっては、シェイクスピアってのは本来そのくらい、気持ちのいいものなんだろうと。

で、話を戻すと、受講者達はそんなカッコいい主人=作者の言葉にも耳を貸さずw、1回目は大失敗に終わる。

2回目、今度選んだ映画は2005年のドキュメンタリー映画「刑務所のシェイクスピア」

受刑者達がテンペストを上映するまでを描いたものだったらしいが、これにはまあ賛同者がチラホラ。

そして3度目の正直、出ました、名作(と私が勝手に思ってる)ローレンス・フィッシュバーン主演の「オセロー

本文に記載はないが、イアーゴはあのケネス・ブラナーでっせ。これが受けない筈がない。手応え大有り。

で、ダメ押しの最終回は、本家本元…ではなくて、ディカプリオ主演の「ロミオ+ジュリエット。これが大受け。

誰も席を立たないし、映画の後の討論会も大盛り上がり。

…ってな事で終わらないのが塀の中、な訳だけど、この辺はまあ、読んでお楽しみ下さい。


厳格なユダヤ教の家庭に育ち、エリートコースを歩んでいたかに見えた作者はハーバード大に入った途端に堕落www

というかまあ、要するに、普通の男子大学生になった訳よ。女の子のケツを追っかけるというねwww

その辺もまた人間臭くて実にいい。

そしてまた、そんな人間臭さを持った若い人だからこそ、受刑者と看守との板挟みに悩む事になる。

本文は2部構成で、第1部の、先程書いた女性受刑者との交流がメインと言ってもいい程、巧く表現されている。

だからぶっちゃけ、第2部の、受刑者と自分との距離の置き方がメインの題材になってくると疾走感が落ちる。

が、このなっがーい話を俯瞰して見れば、第2部があってこそ第1部があるのであり、どちらも欠かせない要素ではある。

第1部のタイトルは、「届かなかったもの」、第2部は「届いたもの」であることからもそれが解る。


最後はぷつんと切り落とされたみたいな感じで終わるのだが、それもまあ、残念であり程良くもありというバランス。

どうしてそういう結論に至ったかを書かない、というのが、この作者の、そして英語圏の読み物の美学にも思える。


下世話な話だけど、これを映画化するんだったら、主人公は是非ともジェシー君かマックス・ミンゲラにお願いしたい。

で、受刑者か、或いはいい刑務官の中に絶対、ミッキー・ロークを入れて欲しい。






読む本の話が続いたんで、今度は見る本、行きましょうか。


おしゃれの教科書―女の子のための映画スタイルブック/杉浦 さやか
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いいでしょう?これ。タイトルからして映画好きは必見。

絵が可愛いだけでなく、取り上げられている映画とおしゃれが偏ってなくていい。

しかも細かいところまでホント、よく見ていると感心した。「クルーレス 」のピタピタヘソ出し体育着とかwww

ブロークン・イングリッシュ 」の、出会いの時に主人公が来てたワンピースが素敵だったなあと思ったら載ってて興奮。

フランスや英語圏だけではなく、「ボルベール 」や「フリーダ」などスパニッシュ系の映画も多い。

イラン・香港・中国・スウェーデンと、おしゃれに国境はない事を証明してる。

個人的に懐かしくて嬉しかったのが「眺めのいい部屋」を取り上げてくれているところ。あれは優雅でしたわぁ。

これを読んで、見たくなった映画も多数。「乙女の祈り」と「ヴァージン・スーイサイズ」はコティ的には必見だな。

(後者、いつもヘビー貸し出し中なのよぉ、ツタヤディスカス!)



*****


シルヴィア [DVD]/グウィネス・パルトロウ,ダニエル・クレイグ,マイケル・ガンボン
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