初心者同志 -118ページ目

タマゴハンター。

私は自分のこれまでの経験上、

料理がうまくなるコツは、とにかく作り続けることだと思っている。


だから、もっと言うなら、失敗はつきものだとも思う。


ただ、これがカラオケや、何かのスポーツとかだったら問題ないんだけど、

料理の場合は失敗した場合、それを誰が、どう食べるのか、ということがあるから、

簡単じゃないんだけどさ。


あるとき、どうしても自分で半熟のオムレツを作ってみたくて練習したときは、

最初は半熟どころかオムレツの形にさえならなかった。


でも、それから四ヶ月、ほぼ毎日朝食にオムレツを作り続けた結果、

文字どおり目を閉じていても作れるくらいまでになったんだよ。

もちろん、中はトロトロのフワフワで半熟。


いやー、やってみるもんだっ。

卵さえあればいつでも作れるうえに、

こんな満足感の得られる料理てなかなかないよ!

自分の腕に、自信もっちゃうなあ、うん!


それからは、


「何か得意料理はあるの?」


と聞かれると、私は即座に「半熟オムレツ」と答えるようにしているのだけど、

今までに、誰も、「食べたい」と言ってくれた人もいなくて、

食べさせてあげる人もいない今日このごろ、


完璧に作れるようになったオムレツは、相変わらず

私の朝食の食卓だけにのぼりつづけている。


うーん、うまくいかないものだなぁ・・・・・・。

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さて、オンラインゲームの「MHF」

ここでは、卵一つ、家に持って帰るのも命がけ。

巣を守る巨大な母親モンスターの目を盗んで、卵を運ぶ私の気分は、

さながらアラビアンナイトのシンドバット。

ああ、今日はモンスターに見つかりませんように・・・・・・。

本を置く場所。

実家にある私の部屋は、一方の壁が一面全て本棚になっている。

かなり前、実家が家を新築をすることになった際、

どうしても!と、お願いして、特注で作ってもらったんだ。


本が好きだ。

でも、好きだからといって、どんどんこれからも買いつづけていたら、

いつかは整理しきれなくなって部屋からあふれるのでは、という思いがあって、

それがずっと不安だった。


テレビなどで、物があふれて整理しきれなくなっている部屋が紹介されていたりすると

あんなふうにだけは絶対なりたくないっ!と思う。


のだけど、そんな部屋に住んでいる本人の言い分を聞いてみると、

実は、別に、好きで片付けずにいるわけじゃなくて、

気づいたらこんな状態になってしまっただけなんです、

と言っている人がほとんどだ。


ということは、私だっていつあんなことになるか分からないって、ことだよなあ。


とはいえ、増える本に合わせて本棚を買い足していったら、

とてもじゃないけど、きりがないぞ。


それで、ふと、

学校の図書館のように、壁一面を大きな本棚にできないだろうか、と思ったんだ。


そこに本を敷き詰めて、好きなように取り出せて読めたら、ああ、きっと素敵だぞ。

それで、両親が新築する家の設計を検討しているときに、

そのドサクサに紛れて、私の部屋には本棚の設計を加えてもらったんだ。


The Standoff


家が完成して、木の香りがまだ残る部屋の中で、真新しい本棚に

自分の本を一冊、一冊入れていったときの快感といったらなかったなあ。


さあ、これで、もう本を置く場所に一生困らないぞ!わっはっは。


と思ったんだけど、入れてみると、少し困ったことが起きてしまった。


というのも、どうやら、さすがにちょっと本棚が大きすぎたみたいで、

持っている本を全部入れても、本よりも空いている部分の方が目立ってしまって、

とても図書館のようにはならなかったんだ。


うーん、これはどちらかというと、図書館というより、つぶれる直前の古書屋さんみたいだなぁ。


で、そのときは、これじゃ、学校の図書館のようになるには、

私がお爺ちゃんになるくらいまでは無理そうだなぁ、なんて思っていたのだけれど、

今は、どうもその半分の時間も、もちそうにない気がしている。


うーん、なぜだろう。


「どうして、こんなにも早く本棚が埋まっていくのかなあ」


と周りの人に聞いたら、呆れられてしまった。


「どんなに大きかろうと、本を入れていけば埋まるのっ!本を買いすぎなのっ!!」


望んでいた図書館のような景観になるのを早く見てみたい反面、

また本をしまう場所に悩む日々がやってきそうで、私はとても複雑な気持になっている。


うう、まずいなあ・・・・・・。

睡眠ハンター。

オンラインゲームの「MHF」 では、時間は常に刻々と過ぎていき、

季節までもが変化していく。


たとえば、温暖期には活発に活動しているモンスターたちも、

寒冷期にはどこにいっても姿を見かけなくなってしまったりするのだ。


よく出来てるよなあ。


それは昼と夜についても同然で、

明るいうちにだけ活動するモンスターと日が沈んでから動き出すモンスターがいて、

さらに、採れる野草や釣れる魚までもが変化する。


でも、熟練のハンターともなれば、これらの情報を全て頭に入れた上で、

本当に必要とするものをだけを収集するために出かけ、帰ってくるんだって。


へーえ、すごいな。

私もいつか、そんなことができるようになるのかなあ。


ただ、あまり全部わかってしまうと、


うわっ、こんな所でこんなモノが!


というような、新鮮な驚きもなくなってしまいそうで、

それってちょっと、勿体ないような気もするんだ。


私がこの世界で気に入っているのは、

未開の大自然の中で狂瀾怒涛なモンスターたちと対峙しながら、

いつ何が起きるかわからない、不完全で不確かな日々を送れる所なのだから。


というわけで、まあ、知らなくてもいいかな、なんて思ったりもして、

行き当たりばったりな私のハンター生活は、今現在ものんびりと続いている。


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 うーん・・・・、明かりつけてると眠れないタイプなんだ。悪いんだけど、消してくれないかなぁ・・・・・・。



大失敗。

以前、ここで 皿洗いのお手伝いをしたことがある、と書いたけれど、

実はこのとき行っていたお店というのが、

その地元では有名な、超がつく高級日本食料理店だったんだ。


当然、お客様の料理に使われて、私が洗うことになる器も、

誤ってキズの一つでもつけようものなら、

一瞬にして私のバイト代なんて吹き飛ぶに違いない、高級なものばかり。


だから、毎日細心の注意をも払って洗うことを心がけていた。

そう。

心がけてはいたんだよっ!


でもさ、人間ていうのは、延々と集中し続けることのできない生き物なんだ・・・・・・。


しかも、調理場というところは、お店が忙しいときなどは、

決して広いとはいえない場所に、大勢の人間が怒号を上げながら入り乱れていて、

気分はほとんど銃弾の飛び交う戦場。


近くで黙々と皿ばかり洗う私も、

「ちょっとドイテ」

とか、

「ちょっと頭下げて」

とか、

「ちょっと邪魔」

とか、言われて、後ろを人が通るたびに移動させられるんだ。


でも、何か言ってくれるのはまだいい方。

本当に忙しくなると、

「ふっ」

とか、

「むっ」

とか、

「んっ」

と息する音だけ聞こえて、気づくと邪険に肩で押されてそのまま強制的に動かされている。


ううっ、こっちは手の中に何か月分かのバイト代が全部入ってるんだぞ。

もし、どうしようもない過ちが起きたらどうしてくれるんだっ!

せめて声くらいかけてくれよ。

野菜の入ったダンボールとかじゃないんだからさぁ!


なんて思っていると、起きてしまったんだ。

その、どうしようもない過ちがっ!

ああ、あんなに細心の注意を払っていたのにっ。


でも、でもさ!

だからといって、それで完全に失敗がなるくらいなら、

みんな努力なんてしないんだよお。

ね、そうだよね?

ねえってばっ!


あるときのこと。

慌しく人が行きかっていた調理場で、ふいに響いた高く悲しい陶器の音。


ガッシャーン!!


うっ、やっちゃった・・・・・・。


とたんに、まるで時間が止まったのかと思うほどの、大静寂に包まれた調理場の中。

私はといえば、自分のしてしまったことで頭の中は大パニック。

ああ、本当にこのまま時間が止まっちゃわないかなぁ。

で、ただただ、立ち尽くすばかり。


そんなとき、「花板」と呼ばれる、この調理場では全員を取り仕切る役割のある板長さんが、

ツカツカと私ところまでやってくると、持っていた包丁を持ち替え、

空いた利き手で私の頭を思いきり殴りつけたのだった。


「なにやってるんだ!ボーとしてないで、まずみんなに頭を下げろ!」


その乱暴な言い方に最初はむっとなった私だったけど、

顔をよく見上げると、その毅然とした態度を保つ表情の奥に、

この現場を守ることへの誇りと、責任感が溢れていて、

私は何もいえなくなってしまった。


それで、全員に聞こえるように大声で深く頭を下げて謝ると、

その料理長は私の腕を軽く叩いて、


「じゃ、もう起きてしまったことは忘れて、仕事をつづけてくれ」


といい、元の場所に戻っていったのだった。

そして、次々とやってくるお客様のオーダーと、

私のところにも次々と下げられてくる器が、再び仕事に集中することを強いていき、

調理場の中はまたすぐに、元の慌ただしさを取り戻していったんだ。


当時学生だった私は、そのとき強烈に、自分が今、

プロの人間たちの中に混ざって仕事をしているんだな、

という事実を感じさせられた気がした。


そのあとも、私が皿を割ったことでなにか言う人はいなかった。

むしろ、気にしすぎて落ち込む私をみんなは心配さえしてくれたんだ。


「一枚割ったくらいじゃ、まだ一人前とはいえないぞ。

そんなに落ち込みたいなら、大皿割ってみろ、大皿。

社長の顔を青ざめさせることができたら、少しは認めてやるよ」


大皿てのは、特別注文で鯛やマグロなどの高価なお刺身の盛り合わせが来たときに

特別に棚の奥のほうから出される、かなり高そうな焼き物の絵皿のこと。

私も一度洗ったことがあったのだけど、

そのときは特別に洗い方を細かく指示されてすごく緊張したんだ。

あんなの割ったら、バイト代どころじゃないよ。

消費者金融通いだよぉ・・・・・・。


でも、そんなふうに言ってバシバシと私の背中を叩いてくれたその人をはじめ、

とにかく私のことを気遣ってくれた人たちからは、

その仕事を続けていることへの自信と逞しさが見え隠れしていて、

皿洗いとはいえ、私もその中の一員として認めてもらっているようで、

すごく嬉しかったのを覚えている。


ちなみに、恐怖の給料日・・・・・・。

ああっ!

へ、減ってないっ!


改めて、もう絶対にミスをしないと、そのとき私は心に誓ったのだった。

食事ハンター。

オンラインゲームの「MHF」 ではハンター1人に1軒ずつ、

自分の家が用意されている。


そしてそこには、雇った覚えはないのだけど、

なぜか人の言葉を話す一匹のネコが居ついていて、

いつも帰るとその家の主人を笑顔で迎えてくれるのだ。


うーん、健気。

雇った覚えはないけれど。


でも、そのネコの真骨頂は実は別のところにある。

というのも、そのネコはただのネコじゃない。


もっといえば、ネコではなくて、実はその世界に生息するモンスターの一種らしいのだけど・・・・・・。


ま、今はそれは別として、実はそのネコは、

ただ食材となる材料を渡すだけで、毎回すばらしい料理を作ってくれる、

名料理人なのだ。


ただし、当然ながらその食材はハンターである主人が

自分で捕ってくることになるのだけど、これが実は結構、大変。


というのも、その世界では、食材として使用できるものが、もう多種多彩。

キノコにサカナ、お肉にお酒、調味料に昆虫までが対象となっていたりする。


これらを、有象無象のモンスターたちが徘徊をする中、

その目を盗みつつ、広大な自然の中を歩き回ってそれぞれ採集し

持ち帰らなければいけないのだ。


しかも、どれが料理に使えてどれが使えないかは、自分ではわからない。

持ち帰ってネコに渡すときになって初めて、

あれが料理に使える材料だったのか、とわかったりする。


ああ、ハンターて、ただ食べることがすでに命がけ!


ただ、そんな家主を思いやってか、

ときには、渡した食材だけではとても作れそうにないような豪華な料理が、

思いもよらず食卓に並ぶことがあって、

そんなときは、なにも特別なことは言わないネコだけど、

現実の世界でもなかなか味わえないような優しさに触れられた気がして、

胸がジーンとなってしまう。


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 モグ、モグ、ング・・・・・・。

と、いいたいのだけど、あまりにも豪華すぎると、

その世界で使われている食材が食材なだけに、

中に入っているモノの正体ばかり気になってしまうのは、

私の心が狭いせいなんだろうか。


うーむ・・・・・・。