内緒の話。 -12ページ目

もう一度。

結局、彼とはしばらく距離を置いた。



数ヶ月は会うこともなければ

電話もメールもなかった。



新しく別の人を好きになりそうなときだった。




「久しぶり!元気にしてる?」



何故、彼はあたしの心を

こうまでかき乱すんだろう。



でも、あたしは数ヶ月もすれば

一生彼とは会わない事を知っていた。


縁が無い限り、これからずっと。





だから。。。









あたしのベッドの上で

彼はあたしの肩を揉みながら昔話を始めた。



もっと純粋に仲が良かったあの頃を。



寝転びながらあたしは

マッサージの気持ちよさにうっとりしながら

話を聞いていた。



そんなコト覚えてるんだってくらい

小さなコトまで覚えてた。



肩を揉んでいた、心地良い力の腕は

腰に降りて、足までのびた。

丁寧に足の指までマッサージしてくれた。


そして、上まであがってきて

あたしに覆いかぶさって寝転んできた。

翌朝。

結局、あたしは彼の部屋に泊まった。


彼の体温が、のっかかってきた体の重みが

以前の悦びを思い出させる。

実際にえっちはしなかったけど、一緒にいれるだけで

嬉しかったし、それで良かった。



隣りで寝てる彼の顔を見て

嬉しい反面、困った事になったと思ってた。


彼には、よりを戻した彼女がいる。


その彼女はどうしたんだろう?

これは、ただの気まぐれなんだろうか?


だけど、彼に聞く勇気もないまま

あたしはただ天井を眺めてた。




彼が起きてから、一緒に朝ごはんを食べた。

あたしは休みの日だったけど、彼は用事があるからと

一緒に部屋を出た。


交差点でバイバイを言った。


彼は一瞬、背中を向けた後

すぐにあたしの所に戻ってきて

軽くキスをして、去っていった。



嬉しかった。



だけど、誰かに見られてたら、と思い

慌てて辺りを見回して、誰もいないのを確認して

一つため息をついた。



それから。

なかなか定期的に更新できてませんね;



―――――――続き。



彼は、お友達をあたしにキスさせたまま

押し倒された。



そして、あたしの顔からお友達の影が遠ざかり

代わりに彼の影が落ちる。



そのまま、キスされた。



別れてから最初のキス。



新年迎えてからの初めてのキス。




前とちっとも変わってなかった。

ちょっと昔の二人が頭をよぎる。



彼は、一瞬顔を離してあたしの顔を窺った。

あたしは何も考えたくなくて、彼に顔を近づけた。


すぐに応えてくれた。


キスされて、彼の指があたしの髪に絡まる。

指は優しく、顔に触れて躰に触れる。



ズボンに手をかけられて、あたしは大事な事に気付く。

今日のあたしは彼を受け入れられない。


すぐさま彼の胸を押し上げて伝える。


「・・・今日は、無理。」


「あ、、、ごめん。」


慌てて身体を起こそうとする彼の目に

一瞬、寂しげな影が見えた。


「違うの、あたし・・・今日はえっちできなくて。」


それだけで察してくれた彼は、それでもいいと承知してくれた。



最初はただ、やりたかっただけかも知れない。

でも、繋がれなくても、ただ温もりを求めていたい。

その想いが二人の何処かにあったんだと思う。



あたしと彼は服を着たまま、ただひたすらに

互いの温もりだけを求めた。





翌朝、あたしの心は満足していた。

それと同時に、これからどうなるのか不安は募る一方だった。


このまま、友達のままではいられない。


だからと言って、彼女にも戻れない。




あたしは越えてはならない一線を越えてしまったのかもしれない。



カードゲーム。

お酒を飲みだして、すぐに彼は

「あっ」と何かを思い出し

机の中を探り出した。



「ね。

 只、お酒飲むってのも面白くないから

 ゲームで負けたら飲むってせぇへん?」


「いいよ。笑」



あたしは、彼がたまに見せる子どもみたいな

行動もつい可愛いなって思ってしまう。



ゲームはシンプルな物だった。

一枚ずつ引いて見せ合い、数が小さいほうが負け。



あたしも彼もここぞとばかりに真剣になる。



あたしが負けて一杯。

嬉しそうに笑う彼。



彼が負けて一杯。

「や~い」と、さっきの仕返しに笑うあたし。

「ちぇ。」って呟きながらも彼の目は笑ってて

グラスの中の液体を飲み干す。



どんどんカードを捲る度にどっちかが飲む。

少しして、あたしはすぐにふわりと酔いだした。



「じゃあ、次はポーカーしよっか。」



あたしは、賭け事はあまり好きじゃない。

別に嫌いとかじゃなくて、ただ、「此処」って時に

ハッタリをかましてドンと構える度胸が無い。



でも断る理由も無かったからする事にした。



彼が手持ちのカードを睨みながらうんうん考えてる間に

あたしは近くにあったぬいぐるみに手を伸ばした。


彼が小さい頃から大事にしてる可愛いお友達。


男の子がぬいぐるみって珍しいけど

あたしだって、ぬいぐるみ大好きだから

別に変だなんて思わない。


むしろ、それが愛おしいとすら思っていた。



あたしが、可愛いお友達とじゃれあってるのを

彼は目を細めて、嬉しそうに笑ってた。



あたしはお友達を彼のそばに持っていって

まるで、彼の手持ちのカードをあたしに教えてるふりをして遊んでた。



「あ!今、俺のカード見たっしょ。」


「見てないよ~。」


「こいつ、見たなぁ!!」


彼は笑いながら怒る。


「見てないよねぇ~。

 そんな疑いかけちゃ可哀想じゃん。」



あたしは、「そうだよねー」とお友達に話しかける。



彼はいきなり、お友達をあたしの手から奪って


「このやろ。俺の味方しろよな!!

 え?俺より、タキのんが好きなの?」


なんて喋りながら、お友達をあたしの顔の目の前に持ってきた。



「こいつ、お前の方が好きだって。」



彼は、そのまま腕を伸ばし、

お友達をあたしにキスさせた。

ついに。

元彼の部屋にお邪魔した。



1年ぶりの部屋。

懐かしさがこみ上げる。



ベッドの横にある机を、横目で盗み見る。

振られた日に見たのは、彼女との2ショット写真だった。


また同じのがあれば、あたしはきっと立ち直れない。



だけど、違った。

この夜には、その写真が無かった。



何か違和感を感じた。



彼が気をつかって写真を取ったとは

思えなかった。



だけど、気にしないフリをして部屋を見渡した。



「あ、座るトコ無いからそこ座って。」



促されて、あたしはベッドの上に座った。



机と椅子とタンスしか無い彼の部屋で

座れる所はベッドしかなかった。



「ほら、見てこれ♪」



彼が手に持ってたのは、ちょっと強めのお酒の瓶。

少し前に、「一緒に飲みたいお酒がある」って言ってた物だった。



「いい匂いするねんで。」



そう言いながら、蓋を開けて

あたしの目の前に差し出した。



強いツンとした匂いと同時に

ふわりと甘い匂いが漂う。



「あ、いい匂い。」



「だろ?

 これをコーラで割って飲むと美味いねん。」



そう言いながら、慣れた手つきでグラスを片手に

お酒を入れて、コーラを注ぎ足した。



お酒とコーラの甘い匂いが何故か心地良い。



「はい。乾杯☆」


「ありがと。」



二人でグラスをあわせて飲み始めた。



夜は始まった所だ。