八月の鯨はひかり渦となり 掌
「昭和歌舞伎 女方小説」網野菊・三島由紀夫・円地文子
中村哲郎編 中公文庫 2025
凄艶にして華麗な女方♪
<歌舞伎において女性の役あるいはそれを勤める役者を指す「女方」。
世界中の演劇でも稀なこの女方を題材にとった小説を
「女方小説」と名づけて蒐めた初めての試み。>
中村哲郎編
<男の中にある女。女の中にある男。
一瞬、魔的な影がよぎる―> と中村哲郎氏。
網野菊「おもかげ」「楽屋」、
三島由紀夫「女方」、
円地文子「双面」「女形一代――七世瀬川菊之丞伝――」
<魔的な影がよぎる>
昭和の歌舞伎に、
網野・三島・円地の描いた女方のモデル・
六代中村屋歌右衛門(1917-2002)に
かろうじて間に合いました!?
三島と円地、ひさしぶりに読み返し、
ここにはなんと綺麗で豊潤な日本語があることか、と
あらためて感じいりました。
カバー写真:写楽「三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵妻おしづ」
カバーデザイン:間村俊一
文芸選評「戦後80年に詠む」
俳人・池田澄子さんが選者。
この番組に2句、自作を書き下ろされ、
選ばれた俳句を読み解く。
どうぞ、お聞きください。
らじる★らじる 聴き逃し
8月2日(土)午前11:50配信終了
2016年7月の高崎兜太句会。再掲いたします。
兜太先生をはじめ、ずらりと席に着いていて、
まさにはじまるところ。
ええっ、時計を見ても15分前。
三句選&問題句を一句。
兼題は「麦秋」
最高点六点の句から合評をはじめる。
饐えし飯洗いし母よ麦の秋
評:ある時代の、ある年代にことに感慨・共感がある句では。
作者の母親への想いもしみじみ感じられる。
兜太評:なんでもないことを書いたフツーの句。
なぜ点が入るか、わからない。
「饐えし飯」、体験があるかどうか、
やや情でとらえ過ぎ。と佳作に。
筒抜けのだんべだんべや麦の秋
兜太:前句よりよい。実感がある。
麦秋だから、「だんべだんべ」の声も聞こえてくる。
入選句となる。
緑夜ですどこぞに耳を落としたような
評:「どこぞに耳を落としたような」の表現、面白い。
緑夜のなかのしずけさを感じる。
逆によく聞えるのでは?という意見も。
兜太:いや、このままとる。で入選句。
これはわたしの句。
ちなみに佳作・入選・秀逸という評価。
今回、秀逸はなし。
他の入選句はこちら。
縁(よすが)なる鳥類図鑑麦の秋
麦秋や母という自縛を解かん
担当医初夏のおかわりできません
兜太先生の全句講評があり、
次の兼題「星月夜」を決めて、句会終了。