真山 仁『玉三郎の「風を得て』文藝春秋 2025
あの玉三郎の生い立ちを小説にした「秘すれば花」の第一部、
30年余のおりおりに玉三郎が語ったことばを記した
「その風(ふう)を得て」。
含蓄のふかい玉三郎のことばが響いてくる。
「演じるとは他人になることですが、自分を消すという意味で、
その瞬間、制御されている魂から、特化した想念が飛び出して、
一つの役柄になる」
「演じるに必要不可欠な要素があります。それは『何か』の存在」
また、「魂を孤立させないために筋道を照らすのが<闇>」などなど
幼少期、10代の写真も掲載されて。
◆本の紹介
稀代の女形、五代目坂東玉三郎。
歌舞伎の家の生まれではなく、芸養子として梨園に入り、
どう修業を積んでいったのか――
その生い立ちは意外なほど知られていない。
玉三郎と30年の交遊を結ぶ、
小説家・真山仁が長年の対話を元に小説形式で描いた第一部「秘すれば花」。
そして、玉三郎が傾倒する世阿弥の『風姿花伝』にちなみながら、
玉三郎の哲学と美学の深淵に迫った第二部「その風を得て」。
現代人に大いなる知恵を示す玉三郎の言葉の数々と、
貴重な写真を収録した完全保存版。
