私はフランスのリヨンという町にあるリュミエール・リヨン第二大学の大学院に在籍していましたが、クロード・ベルナール・リヨン第一大学に跨る大学院生活を送っていました。
これまでのフランス大学院留学記↓
日本人の大学院生が修行ゼロ日でフランスの寿司職人になりました
https://ameblo.jp/basejo/entry-12471726204.html
フランスの栄養指導は大変です
https://ameblo.jp/basejo/entry-12465432745.html
リヨンの大学院で学んだ課目 親友マリーのこと
https://ameblo.jp/basejo/entry-12464390351.html
留学先は「食の都」&「予防医学の都」リヨン
https://ameblo.jp/basejo/entry-12463140695.html
フランス大学院留学記 私の母校
https://ameblo.jp/basejo/entry-12463904306.html
そして、修行ゼロ日で寿司職人デビューを果たし、大学院生と寿司職人の二足の草鞋を履くことになり、しばらくたったある土曜日の午後。
いつもの様に夜の予約は満席の2回転以上。仕込み量を考えてその日は少し早めに店に向かいました。すると、キッチンに人影が見えました。
ランチ営業後のクローズが遅くなってキッチンスタッフが残っているのかな?と思い、「お疲れさま!ランチは忙しかった~?」と声をかけながらキッチンに入ると・・・
そこには、ある日突然消え、連絡が途絶えていた寿司職人の姿がありました。彼は一瞬、気まずそうな顔をして私を見ました。その後すぐに、手招きして彼の作業を手伝うように促しました。
私はその時、激しい怒りと複雑な感情を抱きました。「バカー!!みんなに謝れ!!マダムもみんなもどれだけ心配したと思ってるの??どれだけみんなに迷惑をかけたかわかっている????」
そう叫びたかったけど、ぐっとこらえることにしました。そして、感情を正反対に切り替え、とにかく、彼が手伝わせてくれる作業を心から興味を持って楽しみ、学ぶことに徹しました。
活ダコの茹で方、エビのくしの打ち方から始まり、何から何まで、「見て、やってみて」と言いながら、流れる様な手つきで作業をこなす彼を私は必死に追いかけました。
「なかなかいいね」「それはもう少しこうやって」等等・・・寿司職人の青年はつぶやくように教えてくれました。彼はいつもどこか寂しそうな青年でした。
つづく