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bargoopapaのブログ

すすきの好きで須賀、カミさんには頭の上がらない親父の日常の出来事をメインに、時々詩を載せる気まぐれなブログです。
もともとはお店をやっていましたが、体調などもあり辞めて、いまは元の不動産の仕事をしています。。

「絵里ちゃん…。何かあったの?」

圭介は少し時間をおいた後、下を向いたままの絵里に話しかけた。

「ううん…。何か織田さんに会ったらホッとしちゃって…。ごめんなさい。」
「だけど…。本当に大丈夫なの?」
「…。あ!結局ね結婚する予定だったんだけど別れちゃったんだ…。」
「そう…。だけど… 子供は…。」
「あぁ…。流産しちゃって…。」
「そうなんだ。辛かったね。」
「でも私織田さんに謝らなきゃね。」
「…。何を…。」
「急に連絡取れなくなっちゃったから…。」
「あぁ…。まぁ結婚するって聞いたからね。それで過去を全部消すつもりかなと思ってた。」
「やっぱり織田さんはわかってくれてたんだ…。だけど結局バレちゃったんだ…。前の仕事…。それで…。」
「知らなかったんだ…。」
「友達の紹介で会ってね。私の過去を全く知らない人と付き合いたかった…。子供が出来て結婚することになったんだけど、携帯にあの頃の友達とか登録してて、そこから見つかって携帯壊されて…。それで誰とも連絡取れなくなっちゃった。」
「そうだったんだ。だけどゆふぁで言ってたけど、なんで俺の子供って話しをしたのかな…。」
「私本当は…。」

その時店員が来た為話しが途切れた。
圭介は酔いの勢いを借りて全てをし知りたいと考えていた。
突然自分の名前を呼ばれた圭介は驚いた。振り返ると街灯の灯りでその姿が確認出来た。

「絵里ちゃん…。」
「びっくりした…。どうしてここに…。」
「絵里ちゃんこそ…。引っ越したんじゃなかったの?」
「うん…。引っ越しはしたんだけと、部屋は借りたままなんだ…。」
「そうなんだ…。だけど…、結婚して子供出来たんじゃ…。」
「あぁ…、ちょっと…ね…。立ち話も何だしどっか行かない?」
「あぁ良いよ。すすきのに戻ろうか。」
「うん…。」

タクシーに乗り込んだ2人は互いに何も話さなかった。
ほどなくしてタクシーはすすきの中心部にある全国チェーンの居酒屋の前に着いた。

「ここで良いかな。」
「うん…。」

2人は店の少し奥にある個室に通された。飲み物を頼んだ後も2人はしばらく話しのきっかけを計りかねていた。
話しを切り出したのは圭介だった。

「そういえば、絵里ちゃんロポッサに俺を尋ねたんだって?」
「…。うん…。」
「さっきまでいたんだけど、ママに聞いたんだ…。でも何かあったのかい…。」
「…。ごめんなさい…。」

突然涙声になった絵里に、圭介は戸惑った。
店内の酔客の喧騒のなかで2人の席には絵里の小さな嗚咽だけが響いていた。


圭介は絵里が住んでいた2階の部屋を眺めていた。

圭介が絵里と知り合ったのはあまり人に言えるような状況ではなかった。

4年ほど前、仕事が上手くいってなかった圭介は仕事をさぼってファッションヘルス店に行った時の相手だった。

その容姿とサービスに圭介はすっかり虜になって、以来何度も通っていた。半年位過ぎた頃からは外で会うようになったが、絵里のことを真剣に考えていた圭介は、何度か仕事を辞める事を話したが、絵里は別に一人で暮らしている母親の生活費もあるからと、なかなか辞めなかった。

しかし、1年半程前に客のストーカー被害を受けた事がきっかけで店を辞めた。

その後圭介は時々生活用品や食料品を買ったり、お金も援助していた。もちろん、絵里には自分の気持ちを伝えてはいたし、それが少しでも絵里の心を自分に向けてもらえるならと考えていた。

そんな中、絵里は友人の紹介でゆふぁで働くようになった。

絵里からたびたび来て欲しいと誘われたり、同伴したりしていた。

そして半年前絵里は突然辞めた。

1ヶ月程はメールのやりとりもあったが、突然メールが届かなくなった。

圭介はお金の事などはどうでも良かった。他人にはそんなところで働いていた女なんかダメだと言われる事はわかっていたから、誰にも話したことはなかった。

アパートを引っ越した後は、連絡を取りようも無く諦めていた。

結婚したことは絵里とメールが繋がらなくなった後一度だけゆふぁに行った際に聞いた。

その時、もともと絵里とは友人だった由衣から結婚したが相手は知らない事。自分も連絡が取れなくなったと聞いていた。

あれこれ思い出しながら、圭介は…
「俺は彼女にとって都合の良い人間だったんだろうな…。ヘルスで働いていた事を知っているのも都合悪いだろうし…。」

その時後ろから靴音がした。それこそ痴漢に間違えられたら大変だと、圭介は歩き出した。

「織田さん…?」

その靴音の方から聞こえた自分を呼ぶ声に、圭介の思考回路が一瞬止まった。
圭介はその夜は飲んでもなかなか酔えなかった。
絵里の事が頭から離れなかった…

「織田さん…。尋ねて来た女性のこと気になるんでしょ。いつも歌うのに今日は?」
「あぁ…。ごめんごめん。考え事してた。そうだね。じゃ歌いますか!」
「了解!」

゛考えても仕方ない。連絡取りようか無いし…。゛

圭介はいつも以上にハイペースで酒を飲み歌った。

閉店時間の1時を大幅に過ぎた3時過ぎまで騒いだ圭介は、ロポッサを出た後ぶらぶらと自宅方向に歩き出した。

気付くとあるアパートの前に来ていた。

それは絵里が居なくなるまで住んでいた部屋だった。

゛エリ…゛
圭介の脳裏にあのエリの顔が鮮明に蘇った。

「゛何故…゛それで何か言ってた?」
「いいえ。知り合いだと思ったから織田さんに用事があるなら直接連絡すると思ったし…。」
「誰だろうな…。」

圭介は惚けながらも、自分の記憶をたどりエリに間違いないと確信した。

澤田絵里、圭介はメールも届かなくなってから半年近く経って、結婚したはずの絵里がどうして自分を尋ねて来たのかわからなかった。

ましてや自分の名刺や自宅まで知っているはずの絵里が、何かあれば連絡することは可能なはず。

゛何かあったのかな…゛

一度は心の奥にしまいこんだ絵里への思いが、再び表に出て来ようとしていた。
こんにちは。

昨日(11月7日)からランチの価格を値下げしました。

全て790円から700円になります。
弁当は690円が600円です。

メニューも生姜焼きと豚丼を追加しました。

是非ご来店お待ちしております。
圭介は玲子の店を出た後、翌日休みな事もあり、行き着けにしているスナックに寄った。
すすきのの外れにあるロッポサと言う小さな店だが、家庭的な雰囲気が好きで時々訪れていた。

「いらっしゃいませ。あ~織田さん。」

カウンターとボックス席にそれぞれ数人のお客がいて、カラオケを歌っていた。

「ご無沙汰してました。芋の水割りで良い?」
「うん。2カ月位たつかな…。」
「ところで何時だったかな…。織田さんを尋ねて女の人が来たよ。」
「え~、誰だろう?」
「由衣ちゃん。あれ2週間前かな?」
「え~と確か金曜日だったから…。そう先々週ですね。」
「誰だろう?」
「来てないって言ったらすぐ帰ったけど、ずいぶん前に織田さんと来たことのある人だと思うんだけどな…。」
「知り合いなら俺の携帯知っているはずだし…。ここには色々取引先とかも連れてきたから…。ママの記憶だと何時頃来たかな?」
「多分去年の…。ちょうど今頃かな…。」
「えっ!!」

圭介はその女性に思い当たったと、同時にまさかと驚いた。
「織田さんって彼女とか居るんですか?」
「いや…、いないよ。」
「じゃあ私立候補しようかな~。」
「ずいぶん積極的だね~。ありがたいけど、古館…じゃなくてエリナさんなら言い寄る男性がたくさん居るんじゃないですか?」
「私同じ年齢位とかましてや年下はダメなんですよね~。頼りがいが無いって言うか…。」
「私なんかで良ければお相手させて頂きますよ。」

圭介は多少酔ったこともあり、乗りに任せて玲子の話しを受け入れていた。

「やった~。じゃあ今日は記念日にしましょ。カンバ~イ。」

圭介は玲子のその積極さに戸惑いながら、自分でもまんざらでもなかった。

帰り際エレベーターまで見送りに来た玲子は、他のママや女の子達をおいて!下まで送ると言ってエレベーターに乗り込んで来た。

「今日は本当にありがとうございます。今度はお店じゃなくてちゃんとデートしましょね。」
「じゃ今度はデートにお嬢様をお誘い致しますよ。」
「嬉しい。お誘いお待ちしております。」

一階にエレベーターが着く直前玲子は圭介の頬に軽くキスをした。
食事を終えて二人は玲子の勤めるレジェンドに入った。
店はさほど広くなく、カウンターとボックスが八カ所程度だった。

「いらっしゃいませ。彩と申します。エリナさんが来られるまで宜しくお願いします。」

ボックス席に通された圭介は、直前に玲子から店での源氏名はエリナだと聞いていた。

「水割りで宜しいですか?」
「はい。」
「お食事は何を召し上がったんですか?」
「和食です。私も初めて行った店なんですが美味しかったですね。」
「羨ましいですね。私も誰か連れて行ってくれないかな~。」
「機会があれば喜んでお連れしますよ。」
「それはエリナさんに怒られちゃいますよ。」
「そうですよね。じゃ一緒にと言うことで。」

圭介はありきたりの会話を楽しんでいたが、ほどなく玲子がやってきた。

「お待たせしました。」

玲子はドレスを一段と華やかなものに着替えていた。

「織田さん。宜しかったらボトル入れます。」
「あぁかまいませんよ。」

他に6人ほどの客がいたが、店はカラオケもないらしく比較的静かな雰囲気だった。


「古館さんのお店はどんなとこなんですか?」
「クラブみたいな感じですけど、料金はそれほど高くないので、安心してください。」
「それはありがたい。でもなんで僕を誘おうと思ったんですか?」
「アハハ。実は私一度付いた時から気になっていたんです。」

いたずらっ子のような笑顔を見せながら玲子は圭介を見つめていた。

「からかわないでくださいよ…。親子程年が離れているんだから。」
「あら…。私の年ご存じなんですか?」
「先日の飲み会の幹事をしていた後輩から、チラッと聞きましたが、正確には…。」
「もしかしたら、私すごい若く見られてます? いくつだって聞いてます?」
「え? 私は25~6かなと…。」
「あら!嬉しい。そう言うことにしておきましょうか。でもそんなに若くないですよ。」
「そうなんですか? だけどこれ以上聞いたら失礼ですね。」
「そうですね~。とりあえず今は秘密と言うことにしておきましょうか!」
「ところで店の名前はなんて言うの?」
「レジェンドっていいます。南4のラファエルビルです。」
「そのビルでしたら、何度か行ってますが、お店は初めて聞きますね。」
「まだ出来て3ヶ月なんです。私も系列から今月移ったばかりなんです。」
「そうなんですか。」
「いまのお店同伴とかノルマがあって、私今までそんなこと考えて勤めてなかったものだから、ちょっと困ってたんです。そこに現れたのが織田さん。私にとってあの飲み会は運命の再会だったんですよ。」
「そうですか。まんまとネギを背負って来たかな。」
「あ!意地悪ですね…。でも飲み会でで再会して翌日会社で会うなんて本当にびっくりしました。」
「本当ですね。私もびっくりしましたよ。」
「これは運命の出会いですね。」

圭介は玲子のいたずらっ子のような笑顔に照れくさいと同時に、その積極的なところに圧倒されていた。