続き。
「踵を前に」という注意があります。
ロシアに留学したら「踵を前に、踵を前に」と毎日のように言われた、という話を聞いたこともあると思います。
この注意の前提として、海外の人には足裏に螺旋があります。
足裏の8の字の螺旋です。
これは単なる8の字ではなく、DNAのような螺旋構造です。
板のような平面の足裏の日本人は小指に体重が乗ってる方も多いので「踵前!」と注意されて、ただ単に踵を前にするとカマ足になってしまうことも多いのです。
そもそも、足裏に螺旋があるから、足裏の内旋に引き込まれて踏む支点は前に落ちます。
↓赤矢印のように、踏む支点が落ちる。
そして、踏む支点(膝と足首の中間あたり)にテンションがかかり内ももラインが内旋方向に引っ張られる時、踵は勝手に前に出ます。
前に出た後は、脚が自然に外旋方向に遠くに引っ張られるように開かれていきます。
これが正しいプリエです。
このプリエが出来ると脚がターンアウトしやすくなっていきます。
このプリエのやり方に変えると殆どの方が「力を入れてないのに勝手にターンアウトしていく!」と言います。
プリエを正しく出来るようになることで、股関節が回転しやすくなり脚がターンアウトしていきます。
このプリエが出来てる人の着地の音は衝撃音が柔らかいのです。
床に螺旋で着地出来るのと、直線で着地するのでは体の負担も全く違います。
正しくターンアウトが発生する身体を作ることが出来るからプリエが1番大事なのです。
インからアウトでつま先が伸びる過程を、手で再現してみました。(足だとわかりにくいため)
↓アテール。
↓連続写真だと、こんな感じです。内旋から外旋へのローリングで踵が前に来てターンアウトです。
これが転がりで踏む。球で踏む。ということです。
「踵前!」がスタートではなく、その前の段階があるのです。
ただ形だけ見て、踵前がスタートだと思うとバレエはわかりません。
「踵前!」になる理由がちゃんとあるのです。
足裏の内旋が「転がり」の始まりです。
海外の舞台は傾斜があるので「転がり」が生まれやすいのです。
転がると距骨は良い位置にハマりやすいです。
土踏まずで床を掴むと、この転がり、足裏のローリングが生まれません。
日本人バレエダンサーは、ふくらはぎの外側の力で距骨をハメてる人が多いです。
ですから、ロシアの先生が「踵前!」と言ったら、それは「足裏の螺旋のローリングを始めなさい」という意味だと思います。
足裏の螺旋を引き出すための「踵前!」です。
ただ「踵骨を前に出せ」という意味ではありません。
ただし、足裏を内旋に落とすこと自体が螺旋のない日本人にとって難しい場合もあります。
正しく落とせない人が多いです。
その場合、他の場所から修整を行います。
続く。