日本バレエ界、最大の盲点は何でしょうか?


それは傾斜した床の重要性や本当の意味を考えずに、フラットな床でレッスンしている。ということです。


傾斜した床は奥行きを出すためだけに作られたのでしょうか?

私は違うと思います。
最大の目的は、無駄な力を使わず、機能的な身体を作るのに1番理にかなっていたからだと考えています。

私は以前から「しなり」「転がり」「反転」でしかバレエの身体は作られないとお伝えしています。

傾斜した床というのは、その上で動くだけで身体にこれらの機能を生み出します。

たとえワガノワメソッドの教授法を学んだり取り入れたとしても、フランスから有名な先生をお迎えし講習会をしたとしても傾斜した床で踊ることを前提に作られたメソッドを、フラットな床でしかレッスンしていない人達に伝授したところで全く別物のメソッドにしかなりません。


1番下の土台の部分が違うのですから。


傾斜床とフラットな床の体の使い方はまったく違います。


いくらメソッドに忠実に教えたり、形を似せることが出来てもフラットな床で踊り続けるならば、機能が伴わないのですから意味がありません。


結局そっくりの偽物が出来上がるだけで身体を痛めます。


それなのにメソッドに忠実に教えることに、いったいなんの意味があるでしょうか?


メソッドの形に忠実に教えるほど、メソッドとは違うものを教えていることになるのです。


日本にも傾斜床でレッスンしている教室はありますが、かなり少数でしょう。


日本にバレエが入ってきて約100年。


100年間、日本人はずっと本場とは違うバレエをやってきたのです。


皆さんもご存知のように、ヨーロッパやロシアの劇場の舞台やバレエ学校の床は傾斜しているところがあります。


日本のバレエ教室が、まずやらなければならないことは床を傾斜させることではないでしょうか?


それをやって初めてバレエを教える前提が整うと言っても良いくらいです。


だってフラットな床では「しなり」「転がり」「反転」は生まれませんから。


続く。


床を踏むバレエの原理、その1「しなり」 

床を踏むバレエの原理、その2「転がり」 

床を踏むバレエの原理、その3「反転」