介護生活って大変だよ。これはとても長くは続けられない。オレもやれるだけの事はやっている。でも基本お袋が面倒をみてる。仕事も財産も将来も捨てて友人一人いない、この土地に来た。ウチのような生活を長く続けている人はホントに偉いと思う。心ん中はカラッぽだ。
もう時間がない。なぜならまもなく日が暮れるからだ。夕べから一睡もせずに私がこの屋敷で使っていた二階の部屋でこれを書き残している。今までのいきさつの一部始終を。誰かがこの手記を見つけた時には私はすでにこの世にいないだろう。人々は私がノイローゼかなにかで自殺したと考えるだろうが、ここに書いた事は全て事実であり曾祖父と同じ過ちをせずに私のような不幸な人間を作らないで欲しいと願うばかりである。今の私には全てわかってしまった。この屋敷に来て父の書き残した遺書を見つけたからだ。そこには父が今の私と同じ立場と心境であった事を示す内容がしるされていた。父は私以上に曾祖父の事を調べあげていた。曾祖父の契約した相手とその内容の事まで。そして知らなかったとはいえ、私を産ませてしまった母への詫びと産まれてきてしまった私への懺悔で締め括られていた。曾祖父は自分の利益と富を得る為、禁断の書物を手に入れ私たち子孫の命までをも奴に差し出す契約をしていたのだ。あの指輪‥。刻まれた文字。ナイアーラトテップ。それが奴の名前
。列車の座席には私のものではけっしてない、あの男の読んでいた新聞が残されていた。先程からこれを書いている今も、視線を感じている。あの私を見下した目で私が苦しんでいるのを楽しむかのように、私が私の遺書を書き上げるのを待っているかのようだ。とても恐ろしくて振り向けない。視線を窓の外から感じているからだ。そう二階の窓の外から。
か 鏡に
窓が
映って
見える
奴だ あの男の目だ
ナイアーラトテップ
の目だ
目だけが
暗闇の中に
終
。列車の座席には私のものではけっしてない、あの男の読んでいた新聞が残されていた。先程からこれを書いている今も、視線を感じている。あの私を見下した目で私が苦しんでいるのを楽しむかのように、私が私の遺書を書き上げるのを待っているかのようだ。とても恐ろしくて振り向けない。視線を窓の外から感じているからだ。そう二階の窓の外から。
か 鏡に
窓が
映って
見える
奴だ あの男の目だ
ナイアーラトテップ
の目だ
目だけが
暗闇の中に
終
男は私からの申し出を快く引き受け、私が座る4人掛けの椅子までくると向かいの通路側に腰を下ろした。その躊躇いのない様子はまるで私から声がかかるのを待っていたかのようだった。私は少しためらったが、どこまで行くのかと訊ねてみた。奇遇にも私と同じ終点までとの事だった。とても旅行にいくような荷物も持たない相手があんな何も無い田舎にいったい何の用があるのかと不思議に思ったが、男は私の疑問に感づいたのか自分から用向きの説明を始めた。聞けば男は投資家のような事をやっていて、昔ある人物に融資したのだが契約時に貸していたものが最近見つかったので残りの貸しとともに引き取りに行くとの事だった。男は私と話している間も紳士然とした態度に変わりがなかったが、瞬きもせず射抜くようなその視線に私は自分の席にこの男を招き入れた事に後悔し始めていた。気付けば外はすっかり日が暮れていた。夜の闇の中を列車は私達だけを乗せ、目的地に向けて単調なレールと車輪の音だけを響かせながら進んでいった。時折通り抜けるトンネルに入るとまるで男
の肌は闇に溶けその目だけが不気味に光っているように感じられた。私は男の視線から目をそらす事が出来ずにいた。すると男は唐突にこんな話しをし始めた。不思議な発音でこれまで聞いた事もない、意味不明な言葉を言うとこれは何でも願いが叶うと伝えられているお呪いみたいなモノだと言う。しかしながらこの契約には対価が必要で必ず不幸な結果を招くものなのだ‥と。突然いったい何の話をしているんだ?契約とは?誰と?あからさまに不快な表情をした私に男は最後にこう言い残した。「先程の言葉を何かに刻みつけ身に着けるのが契約した人間の証しらしいですよ…そう。例えば宝石や指輪なんかにね‥。」‥そこで私は目が覚めた。どうやら日記を読んでいるうちに寝てしまったらしい。全て夢だったか。私は額の汗を拭きながら通路側の向かいの座席に目を向けた。
の肌は闇に溶けその目だけが不気味に光っているように感じられた。私は男の視線から目をそらす事が出来ずにいた。すると男は唐突にこんな話しをし始めた。不思議な発音でこれまで聞いた事もない、意味不明な言葉を言うとこれは何でも願いが叶うと伝えられているお呪いみたいなモノだと言う。しかしながらこの契約には対価が必要で必ず不幸な結果を招くものなのだ‥と。突然いったい何の話をしているんだ?契約とは?誰と?あからさまに不快な表情をした私に男は最後にこう言い残した。「先程の言葉を何かに刻みつけ身に着けるのが契約した人間の証しらしいですよ…そう。例えば宝石や指輪なんかにね‥。」‥そこで私は目が覚めた。どうやら日記を読んでいるうちに寝てしまったらしい。全て夢だったか。私は額の汗を拭きながら通路側の向かいの座席に目を向けた。
ここまで来れば後はこのローカル線をひたすら終点まで乗るだけだ。向こうに着く頃にはすっかり夜更けになっている事だろうが自分の実家である屋敷に帰省するのだ。誰に咎められる覚えは無いのだし、寧ろ道の途中で近隣の住民に見つかる事は正直避けたかった。弁護士の話しでは一応売りに出す下準備で掃除済みだという。その折に曾祖父の遺品を見つけたらしい。2~3日は滞在するつもりだった。しかしいざ列車が出発すると私の心に不安が込み上げてきたのだった。本当にこのまま帰省して良いものだろうか…。これまで読み進めた曾祖父の日記の内容が私を不安にさせているのだろうか?特に持病も無かった父はなぜ急に心臓発作を起こして死んだのか?あの棺の中でみた恐怖に引きつる顔は何を意味するのか?何故、父はまるで別人かと見紛うほどにやつれしまったのか?ふと上着の内ポケットに入れておいた、もう一つの曾祖父の遺品である指輪の存在を思い出した。それを出してまじまじと見つめてみる。結局これまで読み進めた日記の箇所には指輪に掘られた謎の文字に関す
る記述は見受けられなかった。ただ曾祖父が誰かと交わした契約の証しとして受け取ったらしいという事だけはわかったのだが‥。列車の窓から指す夕日に指輪をかざしていると、私はその向こうから歩いてくる人物に気がついた。先程、別の列車の中で見かけたあの黒いスーツの男だ。向こうも私の事に気付いたようで、その男の方から声をかけてきた。「こんばんは。先程もご一緒でしたね。」丁寧な言葉使いと優雅な物腰だったが、どこかしら人を見下したような雰囲気を私は感じた。その男はそのまま通り過ぎると私から少し離れた席へと座った。どうやら列車には私とその男しか乗客はいないらしかった。窓からの景色もすっかり殺風景なものになっていた。私は再び日記の続きを読んでみる事にした。しかしそれは益々私の不安を煽る結果となってしまった。曾祖父の恐れは極限まで高まり書かれている内容も支離滅裂となっていた。まるで自分の死期が近付いているのがわかっているかのような。夜が来るのを非常に恐れている反面なかば逃げ道が無い事を諦めているようだった。私
にはこれ以上読み進める事は苦痛でしかなかった。そういえば私の家ではあまり曾祖父についての話しを聞いた事がなかった。そもそも曾祖父が使っていた離れの部屋というのも残ってはいたのだが、屋敷自体も広かったので自然と使われなくなったのか、時折お手伝いのものが掃除などの手入れをしていたくらいで普段は誰も寄りつかなかった。一度、女中から昼間でも不気味な感じのする部屋だったと聞いた事がある。だからこれまで日記の存在に誰も気付かなかったのだろう。私は不安から逃れたくて、もう一人の乗客である男に目を向けた。こちらに背を向けて座っている為、表情は伺いしれないが私は思い切ってこちらに来てお喋りでもしないかと男に声をかけたのだった。
る記述は見受けられなかった。ただ曾祖父が誰かと交わした契約の証しとして受け取ったらしいという事だけはわかったのだが‥。列車の窓から指す夕日に指輪をかざしていると、私はその向こうから歩いてくる人物に気がついた。先程、別の列車の中で見かけたあの黒いスーツの男だ。向こうも私の事に気付いたようで、その男の方から声をかけてきた。「こんばんは。先程もご一緒でしたね。」丁寧な言葉使いと優雅な物腰だったが、どこかしら人を見下したような雰囲気を私は感じた。その男はそのまま通り過ぎると私から少し離れた席へと座った。どうやら列車には私とその男しか乗客はいないらしかった。窓からの景色もすっかり殺風景なものになっていた。私は再び日記の続きを読んでみる事にした。しかしそれは益々私の不安を煽る結果となってしまった。曾祖父の恐れは極限まで高まり書かれている内容も支離滅裂となっていた。まるで自分の死期が近付いているのがわかっているかのような。夜が来るのを非常に恐れている反面なかば逃げ道が無い事を諦めているようだった。私
にはこれ以上読み進める事は苦痛でしかなかった。そういえば私の家ではあまり曾祖父についての話しを聞いた事がなかった。そもそも曾祖父が使っていた離れの部屋というのも残ってはいたのだが、屋敷自体も広かったので自然と使われなくなったのか、時折お手伝いのものが掃除などの手入れをしていたくらいで普段は誰も寄りつかなかった。一度、女中から昼間でも不気味な感じのする部屋だったと聞いた事がある。だからこれまで日記の存在に誰も気付かなかったのだろう。私は不安から逃れたくて、もう一人の乗客である男に目を向けた。こちらに背を向けて座っている為、表情は伺いしれないが私は思い切ってこちらに来てお喋りでもしないかと男に声をかけたのだった。
田舎への交通手段はかなり限られている。列車には予算の都合もあり普通列車の乗り継ぎでの長旅を選んだ。別段急ぐ旅でもないのだから構わないし、車中でも曾祖父の日記を読むつもりだったからだ。いくつかの路線を乗り継ぎ周りの乗客もまばらになってきた頃、私は一人の乗客に気がついた。その男は年の頃は私と同年代であろうか。黒いスーツ姿で背筋を伸ばして座る姿と新聞を読む目には、たしかな知性と品を感じる。しかしそれ以上に私の関心をひいた事はまるで異国の人間のような褐色の肌の持ち主という点であった。私はあまりジロジロと見入るのも悪いと思い、なるたけ日記を読む作業に集中する事にしたのだが、心なしか時折その男からの視線を感じるようになった。一度だけ日記から顔をあげた時にその男と目があったからだ。私は一瞬ギョッとしてしまったが、彼は紳士的に会釈をしてきたので私も慌てて会釈を返した。その後は普段家でもそうしているように私は日記の内容に没頭するようになった。どうやら曾祖父は何か勘違いをしていたらしい。商売の経営はうまく
いったようだが、なにやら契約に関する過ちがあったようだ。このままではマズい。当初は気付かなかった事に慌てふためく様子が日記の文面からも読み取れるほどだった。相変わらず記述が曖昧な箇所もあり、何の事なのかさっぱりわからない部分もあったが読み進めると曾祖父は自分の死をひどく恐れ始めているらしい内容になっていったのに私は当惑せざるをえなかった。それは時折、狂気じみた文面で綴られており何かの期限がせまっているのか曾祖父の後悔の念と焦り、そして絶望が入り乱れながら乱暴な筆致で書かれるようになっていった。私はこの日記をこのまま読み進める事に段々と不安を感じるようになった。比較的に若くして亡くなった私の父の姿を思い出したからである。医者によると父の死因は心臓発作であった。その頃、大学生だった私は家を出て別の離れた土地に一人で暮らしていた為、父の死に際には立ち会えなかったのだが、棺の中に見た死に顔は生前の見る影もなくやせ細ったうえ、まるで恐怖におののくようなひどい苦痛の表情であった。
いったようだが、なにやら契約に関する過ちがあったようだ。このままではマズい。当初は気付かなかった事に慌てふためく様子が日記の文面からも読み取れるほどだった。相変わらず記述が曖昧な箇所もあり、何の事なのかさっぱりわからない部分もあったが読み進めると曾祖父は自分の死をひどく恐れ始めているらしい内容になっていったのに私は当惑せざるをえなかった。それは時折、狂気じみた文面で綴られており何かの期限がせまっているのか曾祖父の後悔の念と焦り、そして絶望が入り乱れながら乱暴な筆致で書かれるようになっていった。私はこの日記をこのまま読み進める事に段々と不安を感じるようになった。比較的に若くして亡くなった私の父の姿を思い出したからである。医者によると父の死因は心臓発作であった。その頃、大学生だった私は家を出て別の離れた土地に一人で暮らしていた為、父の死に際には立ち会えなかったのだが、棺の中に見た死に顔は生前の見る影もなくやせ細ったうえ、まるで恐怖におののくようなひどい苦痛の表情であった。
面白みのない仕事とはいえ、贅沢をしなければ暮らしていくのになんとかなっていた都会での生活に慣れた頃、弁護士から突然の連絡があった。実は田舎の屋敷は買い手が見つかったわけでなく、屋敷から離れた一部の土地だけが売れて屋敷そのものはまだ残っているというのだ。そのうえ曾祖父の遺品が見つかったので受け取りにきて欲しいという。もともと私自身、人付き合いは苦手なほうであり田舎を出た時に過去とは決別したかったので、つい最近まで弁護士からの連絡をほっといたのだった。しかしながら最初に言ったように失恋を経験し仕事だけが生きがいのような日々を過ごしていた私はある日、ふと思い立って弁護士に連絡をとる事にした。そこで受け取った曾祖父の遺品とは曾祖父の生前の日記とこれまで見たこともない何とも奇妙な装飾の施された指輪だった。その指輪は素人目の私がみても、とても価値があるようには見えなかったが私は妙にその指輪が気に入ってしまった。汚れを丁寧に拭き取ると表面には何やら外国の文字のようなモノが彫ってある。辞書で調べてみた
がどこの国の文字かわからず、一緒に受け取った日記に何か手掛かりが書いてあるかもと思い、私は曾祖父の日記を読んでみる事にした。分厚い日課の内容は曾祖父が20代の頃から書かれているらしかった。最初はたわいのない内容であったが、読み進めると何やら曾祖父にはひどく関心がある事が出来たらしく、様々な手を使い調べているものがあったらしい。いつしか仕事から真っ直ぐ家に帰ると曾祖父の日記のページをめくるのが趣味というか私の日課となっていった。そうしていく内に曾祖父が事業で成功を納めたのは誰かと仕事の事なのだろうか?契約によるものだったのがわかってきた。しかもそれは若い頃に知り、曾祖父が時間や手間をかけ調べていたモノとも関係しているらしい。古い言葉使いのうえページも傷みがあり文字も部分的に読みづらく、私には何の事なのかさっぱり判別がつかなかった。さらに気になったのは、どことなく曾祖父はその関心事のことについてワザと曖昧な書き方をしているように感じる事だった。この日記が万が一にも誰かの目に触れられるのを恐
れているかのように。それはそうだろう。一代で財を成すほどの重大事なのだから曾祖父も日記とはいえ慎重に言葉を選んだに違いない。私は段々とその内容を知りたい衝動に駆られるようになっていった。しかもそれが何やらこの奇妙な指輪とも関係しているように思えてきたのであった。今まで仕事を休んだ事も無かった私だが、なんの将来への希望が持てない日々を気分転換させるのもたまには良いかと思い、長い休暇を取る事にした。そしてその時間を日記の解読や指輪の由来を調べる事にしたのである。思いきってあの田舎の屋敷を訪れてみる事にしたのだった。
がどこの国の文字かわからず、一緒に受け取った日記に何か手掛かりが書いてあるかもと思い、私は曾祖父の日記を読んでみる事にした。分厚い日課の内容は曾祖父が20代の頃から書かれているらしかった。最初はたわいのない内容であったが、読み進めると何やら曾祖父にはひどく関心がある事が出来たらしく、様々な手を使い調べているものがあったらしい。いつしか仕事から真っ直ぐ家に帰ると曾祖父の日記のページをめくるのが趣味というか私の日課となっていった。そうしていく内に曾祖父が事業で成功を納めたのは誰かと仕事の事なのだろうか?契約によるものだったのがわかってきた。しかもそれは若い頃に知り、曾祖父が時間や手間をかけ調べていたモノとも関係しているらしい。古い言葉使いのうえページも傷みがあり文字も部分的に読みづらく、私には何の事なのかさっぱり判別がつかなかった。さらに気になったのは、どことなく曾祖父はその関心事のことについてワザと曖昧な書き方をしているように感じる事だった。この日記が万が一にも誰かの目に触れられるのを恐
れているかのように。それはそうだろう。一代で財を成すほどの重大事なのだから曾祖父も日記とはいえ慎重に言葉を選んだに違いない。私は段々とその内容を知りたい衝動に駆られるようになっていった。しかもそれが何やらこの奇妙な指輪とも関係しているように思えてきたのであった。今まで仕事を休んだ事も無かった私だが、なんの将来への希望が持てない日々を気分転換させるのもたまには良いかと思い、長い休暇を取る事にした。そしてその時間を日記の解読や指輪の由来を調べる事にしたのである。思いきってあの田舎の屋敷を訪れてみる事にしたのだった。
私は心身ともに疲れていた。文字通り仕事づくめの日々だった私は酒もギャンブルもやらず、同僚からもなかば呆れられる有り様な人間だった。そんな私だがこれでも以前は付き合っていた彼女がいた時期もあった。しかしながら当然の結果であろうが私のような面白みのない男に彼女はいつしか愛想をつかし、さっさと他に男を作って結婚してしまった。私はそれ以来、悲しみを忘れるように益々仕事に没頭するようになっていった。そんな毎日をおくる私だったが最近ひとつの趣味を見つけていた。実は私の実家は田舎ではあるが、ちょっとした旧家であり曾祖父の代に商売でかなりの財をなしたらしい。実際、私の父の代までは贅沢な暮らしをしていたのだが、私が成人する頃50代という若さで父が亡くなると、まるで後を追うようにすぐに母も亡くなった。そうして天涯孤独の身となった私は弁護士をたて田舎の屋敷や土地を処分し、都会で新たな生活を始めたのだった。とは言え正直にいえば財産の処分には少々苦労した。時間がかかった上、思ったより金にならなかったのだ。実を言
うと一代で財をなした曾祖父という人は田舎では人々から忌み嫌われていたらしい。かなり人付き合いの悪い人物だったらしく、周りの人々はありもしない噂をたてそれを鵜呑みにし、私自身も子供の頃は同級生から避けられていた。そんな幼少期を過ごした家に私は何の未練もなく処分したのだったが、多少古い屋敷とはいえ贅を尽くした造りであり、また広大な土地と合わせてどう低く見積もっても期待した金額には程遠い価格でしか売れなかった。私は幾分憤りながら弁護士に訴えたのだが、何故か弁護士の説明は歯切れが悪いものだった。どうせ陰習深い田舎の人々の妬みの性でなかなか買い手が見つからなかったというのが真相だろう。元より一刻もはやく田舎を出たかった私は二束三文の財産だけを手に都会へと出てきたのだった。
うと一代で財をなした曾祖父という人は田舎では人々から忌み嫌われていたらしい。かなり人付き合いの悪い人物だったらしく、周りの人々はありもしない噂をたてそれを鵜呑みにし、私自身も子供の頃は同級生から避けられていた。そんな幼少期を過ごした家に私は何の未練もなく処分したのだったが、多少古い屋敷とはいえ贅を尽くした造りであり、また広大な土地と合わせてどう低く見積もっても期待した金額には程遠い価格でしか売れなかった。私は幾分憤りながら弁護士に訴えたのだが、何故か弁護士の説明は歯切れが悪いものだった。どうせ陰習深い田舎の人々の妬みの性でなかなか買い手が見つからなかったというのが真相だろう。元より一刻もはやく田舎を出たかった私は二束三文の財産だけを手に都会へと出てきたのだった。
その瞬間は無意識になる。何度も血を吐くような訓練の賜物か。照準の中に敵機を捕らえる。意識が研ぎ澄まされる。その瞬間を逃さずトリガーを押す。と同時に旋回。自分はロールしながらもミサイルの行方を追う。かつ自分が優位な位置に向かう為各計器を意識しながら。いいぞ。いけ!奴は振り切れない。そこだ!「GOOD KILL!!」‥衝撃!まただ。なんだ。何が起こった?!撃墜?奴は…奴はオレだ。何が何だか理解出来ない。しかし機体のコントロールができず‥落ちる。脱出しなければ。脱出レバーを引く。死を意識したり考えたりした時初めて感じる事がある。彼女の寝顔。あの朝の光り。珈琲の味。日々の幸せ。。キャノピーが炸薬で弾け飛ぶ。次の瞬間空気の渦の中に放り出される。開けパラシュート。舌を噛むな。!!息が詰まる衝撃。無事パラシュートが開いた。奴がオレをやったのか?そもそもオ レはどこの空を飛んでいたんだ?いつ?ミシュスって誰だ?オレはどこに落ちるのか…。終
キミはすこやかに寝息をたてている。オレは優しく彼女の髪を撫でた。時計を見る。いつもより早い時間に目が覚めたようだ。もう一度眠りにつこうか?いや。思い直しベッドからそっと抜け出した。‥つもりだったが「おはよう」彼女が声をかけてきた。起こしてしまったようだ。「まだ少し早いんじゃない?」「そうだけど‥キミはまだ寝てていいよ」「いま珈琲をいれるわ」ありがとうと言いながらオレはシャワーを浴びにバスルームに入った。熱いシャワーが少しだけ残った眠気を覚ます。「パンで良かった?」ミシュスが声をかけてくる。「ああ。すぐいくよ」バスルームの扉を開けると彼女はトップに餌をあげているところだった。「オレたちより先に飯にありつけるなんて、たいそうなネコ様だな」笑いながら言ったつもりだったが彼女は慌ててもうすぐパンが焼けると言ってきた。キッチンの窓からさす朝日に彼女後ろ姿の栗色の髪が輝く。白い光りがまぶしい。オレは彼女の髪が好きなんだと再認識した。振り返る彼女の顔が…。?!くそっ!夢か?こんな時に!急な旋回に一瞬
気を失ったのか。耐Gスーツがあっても少しは足下に血がさがる。普段はこれくらいで、こんな事にけっしてならない。一瞬の隙が命取りになる。いつもと何かが違う。嫌な予感が頭をよぎる。いや‥ミサイルリリースの安全装置を外しながらオレは心の中で叫んだ。捕まえたぞ!
気を失ったのか。耐Gスーツがあっても少しは足下に血がさがる。普段はこれくらいで、こんな事にけっしてならない。一瞬の隙が命取りになる。いつもと何かが違う。嫌な予感が頭をよぎる。いや‥ミサイルリリースの安全装置を外しながらオレは心の中で叫んだ。捕まえたぞ!