元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか -2ページ目

元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

ライブ、芝居、ビーチバレー、学生野球、ラグビー、卓球

(写真は、クロマニヨン赤星役・鶴忠博さん)

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

薄暗い照明の中、下手前方

 

 

看護師の本田(上村剛史)から「薬、飲んでないんでしょう?」

 

という言葉をキッカケに、真理子(みはと)が見た、幻覚

 

もう、デキマセン

 

あん?オレだって、体使って、楽しい思い、させてあげたでしょ?

 

 

真理子がホストの後藤(新晟聡)に対して「女を泣かしてきたんでしょ!」と喧嘩を売ったのは、どうも、真理子自身、ホストとクスリにハマり、借金を抱えて風俗で働くことになったらしい。

 

困るんだよ。あ、そうだ、お前、カワイイ妹がふたりいるって言ってたよな。代わりに、そいつらに働いてもらうか。

 

それだけは、それだけは、やめてください!

 

いい、おねぇちゃんでいたいんだろ?

 

クスリ、買っといたから、その分も、つけとくから。

 

クスリやって、気持ちよくなって、一石二鳥

 

・・・アリガトウゴザイマス・・

 

真理子が自傷行為を繰り返し(左腕は傷だらけ)、

「怒ってます?怒ってますよね。ごめんなさい」と怯えていたのは、

ツケをため込んだホストに脅されて、クスリも辞められず、風俗で働いても働いても、借金がいっこうに減らないことが原因だと分かりました。

 

下手側の照明が落ち、上手側手前に照明がつくと、

そこには後藤と、看護師の大島(町屋友康

 

いつも、強気な後藤が、こちらも怯えています

 

(新晟さん、今、サイン、考えてるとこなんだ、と、手本?をスマホでみながらサインしてくださったのですが、かなり、ガタガタしてます)

 

お前、給料、いくらだ?

 

18万です

 

基本、歩合?

 

基本です

 

お前、ここ来て、どんだけだ?

 

8か月です

 

へぇ、驚いたねぇ、8か月も経って。

お前はペットか?

 

俺はな、お前みてぇにガッツ見せねぇ奴が、嫌いなんだよ

今月も指名入らなかったら、クビだ。寮からも叩き出す。

 

 

よーし、お水の基本。何売る?客に何、売る?

 

 

しゃべり売ります

 

 

はぁ?8か月も経って、ヘルプだけのお前に、しゃべりは無理だ

 

 

どうする?

 

 

・・体、売ります

 

チンポ見せてみろ。

 

ジャージとパンツをおろす、後藤

 

ちっちぇなぁ、オレの小指よりもちっちぇじゃねぇか。モノが良けりゃ、ゲスなばばぁにでも紹介しようと思ったが、これじゃあ無理だ。お前、女悦ばすの、あきらめろ

 

どうする?

 

 

ジャージとパンツをおろしたまま

 

・・・・・酒、売ります。。。。

 

 

だよなぁ?!それしかねぇよなぁ

一気しますんで、ドンペリ入れてください。

僕、いくら飲んでも酔わないんで。

負けたら裸になりますんで勝負してください。

 

店に恩返しする方法、いくらでも、あるよな?

飲んで、飲んで、飲みまくれ!

 

チャラくて、草薙を威圧したり、ミキを馬鹿にしたり、みんなの発言に突っ込みを入れてる後藤さん。ホストクラブで稼ぐには、酒を飲むしか手がなくて、アル中になってしまったのでした。その時の先輩からの恫喝が幻覚・幻聴として、後藤を襲い

 

 

この2シーン、亜紀子は舞台奥で観ている形にはなっていますが、実際には見ていないんだと思います。

 

 

看護師の大島、ジャージとパンツをおろして、下半身を出してる後藤を見て

 

何やってるんだ!履きなさい!

 

状況が理解できない、後藤

 

 

下手では、真理子が「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ!」と絶叫

 

再び、自傷行為に走る危険がある真理子と、

奇行におよんでる後藤を、

看護師ふたりが引きずるように、保護室へと連れて行きます

 

子「ぃやぁ、いやっ!亜紀子さん、助けて!!」

 

でも、このとき、亜紀子は全く動かなかったので、実際には、そこにいなかったんだと思ったわけです。

 

 

翌日、亜紀子(浅野温子)は、グループカウンセリングの時に約束したように、

部下の川本(谷川昭一朗)に指示して、りんごあめと綿あめをみんなにプレゼント。

 

わたし、ホストクラブ通うの、やめるわ

 

どうしたんです?今日はテンション低いですね。薬のせい?

 

飲んでないわよ。だって、わたし、病気じゃないんだから

 

でも、飲むとこ、見てるんじゃないんですか?

 

だから、飲んだフリして、ごまかしてんの

 

誤魔化すの、好きですね。。

 

あっ、1回だけ飲んだ。そしたら、頭がぼーっとしちゃって、マジ、テンション下がったわ

 

上手から、赤星(鶴忠博)がシャドーボクシングしながらやってきて、下手から歩いてきたミキ(花奈澪)と対面。互いに立ち止まり、赤星がミキに対してシャドーボクシングをすると

 

どけよ

 

ボディーブロー一閃

 

生音が客席に聞こえました。運動とは無縁のなみおちゃん、かなり練習したようで、いいのが入ってました

 

ダウンする赤星

 

すると、赤星に向かって手のひらを差し出す、亜紀子

 

ポーキー♪

 

その手のひらをミットにみたてて、軽くパンチをすると

 

ポーキー♪

 

立ち上がって、下手袖までシャドーボクシング

 

最初はただの変態だと思ってたけど、あいつ、けっこういいやつでさぁ(真理子が落ち込んでたりすると、のぞき込むようにして、言葉は何言ってるか分からないんだけど、パンチのそぶりをみせながら、「大丈夫?」って慰めてたりするのです)

 

北京原人じゃなかったけどね

 

あれでもね、元ボクサーで日本チャンピオンだったんだってよ、

クロマニヨン赤星って言ってさ

 

 

クロマニヨン赤星?!

 

なに?川本、あんた、知ってるの?

 

わたしね、ボクシングだけは詳しいんですよ

 

クロマニヨン赤星、ハードパンチで強かったんですよ

 

顔も草刈正雄みたいで・・えっ。えぇぇ~?!

 

 

ボクサーって、大変なんでしょ?

 

そりゃ、そうですよ

 

 

クロマニヨン赤星、言語障害があって、挙動不審なのは、

ボクサーの時に浴びたパンチによる、パンチドランカー

 

川本が持ってた綿あめをパッと獲って、嬉しそうに駆けていく、白田くん(大塩ゴウ)

 

縁日で売ってるお面をつけて、いつものように歩いてる小幡ちゃん(山田剛)と、

その後ろに、やはりアンパンマンのお面をつけて、一緒に歩いてる佐古っち(横山貴之

 

りんごあめを持って、立ってる清原くん(清田悠聖

 

自分にとっては、獲るに足らない、りんごあめや綿あめ、縁日のお面に喜んでる患者さんたちを見て、なんともやるせな気持ちになる、亜紀子さん

 

 

 

川本「(ファンだった赤星の今の姿を見てか)なんだかむなしくなってきます。帰ります」

 

ちょっと、このあたり、シーンの順番、記憶が曖昧です

 

 

診察

 

どうですか?イライラしてない?

 

えぇ

 

薬が効いてるのかな

 

 

そうじゃないんですか

(薬なんか、飲んでねぇっつうの!っていう、素っ気ない返事)

 

 

よし、大丈夫

 

 

確か、また、川本が来て、優秀な弁護士やコンサルタントを雇って、経営を立て直してるって報告します。

 

そこへ、派手なズボンとニットのベストではなくて、長靴に作業着姿の草薙さん(坪内守)がやってきて、

 

あのよ、おら、溜まりに溜まってるから、1発やらせてくんねぇがい?

 

 

はぁ、草薙さん、あなた、何言ってるの?

 

ほら、これこれこれこれ

(両手の人差し指を腰の前あたりでピコピコピコピコって前後に振りながら)

 

1発やらしてくんぇがい?

 

 

すると、川本が「この方は、1発もダメなんで、今日のところは、お引き取りください」

 

 

もう、川本のサラリーマンの上司への忠誠っぷりが、おもしろくて

 

 

ベンチに座ってるエリカさん(信川清順)をみつけると、そちらに歩み寄る草薙さん

 

警戒するように「・・なんですか?」

 

おら、溜まりに溜まってるからよ、2発やらせてくんえぇがい?

ほら、これこれこれこれ

 

少し間を置くと、人差し指で、(カモーン)と手招きして立ち上がるエリカさん

 

ふたりで、下手からはけていき

 

 

アグレッシブですねぇ

 

なんでわたしが1発で、あの子が2発あのよ!!

 

 

人生、プラスマイナス、ゼロ、という川本の話、このときだったか、ひとつ前のシーンだったか

 

人生、良い事もあれば、悪いこともあって、トータルでは、誰でも

プラスマイナス、ゼロ

 

わたしは信じないからね。

生まれた時からお金持ちで、死ぬまで金持ちだっているじゃないか

 

 

お金持ちが幸せだとは限りませんよ

 

わたしはどうなんのよ?

 

 

ずいぶん、わがまましてきましたからね。

あとは、マイナスだけじゃないですか。

 

わたしは信じないからね!

 

 

 

エリカさんが、そそくさと下手から出てきて、亜紀子さんと川本の前を通り過ぎ

 

「ごちそうさまでした」

 

上手袖へ

 

 

えっ?早っ!

 

 

 

看護師の本田が、キティちゃんのでかパン(下着)を持ちながら「〇〇子さん、ダメじゃない、こんなもの落として」

 

そこには、緒方先生(杉本凌士)と亜紀子さん

 

 

〇〇子さん?

 

エリカっていうのは、〇〇子さんのお子さんなんですよ。事故で亡くしてしまい、それ以来、エリカさんの人格が出てきてしまうんです

 

 

いつも陽気なエリカさんも、実はツラい過去を背負って、精神を病んでいたのです

 

 

真理子さんと後藤さんが、保護室から出てきました

 

 

ふたりとも、生気がなく、ぼーっとした目で、座ってます

 

 

大丈夫なんですか?

 

あそこ(保護室)に入ると、みんな、こうなります。強い薬を使いますからね。

 

 

ひょっとして、草薙さんも?(おかしかったのは、保護室と薬のせい?)

 

 

その可能性はあります。あそこから出てくると、人が変わったようになってしまうこともありますから。

 

 

酷い・・

 

 

 

生気のない、真理子さんと後藤さんを見つめる、亜紀子

 

 

ボンバイエ

 

 

猪木!

 

 

ボンバイエ・・ご存じなんですか?

 

 

もちろん。でも、なんで?

 

 

ほら、うつの人に「頑張れ」って言っちゃいけないっていうじゃないですか。

でも、なにか、言いたくて。

 

 

ボンバイエは、もともと「アリ・ボンバイエ」

 

モハメッド・アリ、(相手を)やっちまえ!

 

アントニオ猪木との対戦後、友情が芽生えたふたり。アリが猪木にプレゼントして

 

猪木・ボンバイエ、に

 

 

ここでは「ボンバイエ」を「やっちまえ!」ではなくて、「顔晴れ」のニュアンスで、

でも、ガンバレっていう言葉は使わずに、

 

 

ボンバイエ

 

 

 

緒方先生をいい先生だなぁって、感じてる亜紀子なのでした

 

 

続く

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

舞台は精神病棟

今日は、グループカウンセリング

 

えーっと、だいぶ日にちが空いてしまいましたが、

白田くん(大塩ゴウ)の夢は、スピルバーグと一緒に『ローマの休日』を撮ること

佐古さん(横山貴之)の夢は、B'zのアローンで100点を出す

 

ミキ(花奈澪)の夢は、怒らないでいたい。。本当は・・怒りたくないんだよ。。

 

 

 

すかさず、後藤(新晟聡)が「無理に決まってんだろ(笑)」

 

うっせーな!!もう、何言ってるのか分からない絶叫しながら、後藤に殴りかかるミキ

 

後藤は、白田くん、佐古っち、この後、不破(仲田育史)さん、四条(剛州)さんにも、チャチャを入れて、漫才のツッコミ的役割をして、コミカルさを倍増させてます。

 

亜紀子(浅野温子)は、なんかね、ミキが恐くて、苦手っぽい。

ほいで、体を引きながら、顔もこわばりながらも、拍手

 

緒方先生(杉本凌士)が「はい、拍手もらいました!」

 

拍手もらって、恥ずかしいのか、椅子の上に体育座りして、ちょっとカワイイぞ、ミキ

 

 

この後だったかなぁ

 

 

キッカケ、忘れた

 

佐古さんが、亜紀子さんと、なんか、あったんだよね

 

 

したら、真理子が「佐古さん、おばさん、好きなの?」

 

ミキも「よかったじゃん、おばさん」

 

 

ちょっと、ふたりとも言葉のチョイス、間違ってるよ!

 

 

真理子「熟女好きなんだね」

 

 

 

 

どう観ても、クイーンのフレディー・マーキュリーな不破さん、突然立ち上がると、拳を突き上げて

 

バーイセコ!

 

バーイセコ!

 

ラーンデブ!

 

ここにも後藤がいつの間にか近くに来てて、「っ、バイシクルじゃないのかよ!」

 

 

すると、不破の隣に座ってた四条が、立ち上がり

 

ネーグリジェ・・

 

座り、また立ち上がり、

 

 

のぞき込む、後藤

 

・・・ 四条、着席

 

「っ、言わないのかよ。こいつらにしゃべらせる意味あんのかよ?!」

 

緒方先生「はい、批判はしない」

 

エリカ(信川清順)ね、エリカね、拒食症だから、頑張って食べてるの

 

プッチンプリンをひと飲み(笑)

 

小幡さん(山田諭)は、相変わらず、無言・無表情でボソボソ歩いてて、緒方先生に「たまには参加しませんか?」と促されるも、聞く耳持たず

 

「亜紀子さんは?」

 

 

わたしはぁ、別に・・

 

「そんなこと言わないで」

 

 

んん、そうですね、ビヤガーデンでぱーっとビールでも飲みたいですね

 

 

・・・・・沈黙

 

わたし、なにか悪いこと、言いました?

 

「みんな、お酒飲めないから、ピンと来ないんでしょう」

 

子供なのは、白田くんと清原くんだけなので、

たぶん、向精神薬を服用してるから、お酒、飲んじゃいけないんだと思います。

 

あぁ、じゃぁ、ワッショイ、ワッショイ、お祭りでおみこし担ぎたいですね

 

 

ここでも後藤「オレ、地元の祭りで、みこし担ぎながら、ガンガン酒飲んでたぜ」

 

 

と、白田くんが「ねぇ、お祭り、行ったことあるの?りんごあめ食べたことある?」

 

亜紀子「あるよ。お祭り行ったことないの?」

 

「無いよ」

 

「あっ、じゃあ、初詣に・・」

 

ミキがスッとんできて「オレたち、人混みになんて、行けねぇんだよ!」

 

強迫神経症

幻聴

自分の怒りをコントロール出来ない

 

ここでは、和やかに過ごしているけれど、

実社会からは隔離され、実社会の中で過ごせない・・

 

 

あっ、ごめんなさい。

 

 

じゃあさ、りんごあめ、買ってくるよ

 

ほんと?!いつ?

 

 

部下に言って、すぐに

 

わたあめも?

 

 

うん♪

 

 

「よかったねぇ」  拍手

 

 

 

 

 

 

 

 

後藤、(よっしゃ、次はオレだ)

 

クロマニヨン赤星(鶴忠博)が、*%&#$@シャドーボクシングを始め、

 

 

白田くん、スパニタクル、アッ、ターーーック!

 

エリカさんも、キャッキャと笑いながら、走り出して

一周回って、ベンチ椅子にダイブ。このとき、客席側を向いて変顔するのが、

たまらなく面白かった。×2回。

 

後藤、しゃべりだすタイミングが取れず

 

 

白田くん、スパニタクル、バ、リーーーア

 

 

「後藤さん」

 

 

もう、いいよ!しゃべらねーよ!

 

「そんなこと言わないで」

 

 

部屋の真ん中に立ち、左右、背後を何度も警戒し

 

 

(おぅ、やっと静かになった)

 

オレさ、母ちゃん死んでから、アル中の親父に毎日殴られて育ってよ。

アル中にだけはなりたくないって思ってたのに、ホストなんかになっちまったから・・・

 

ガキのころ、いっつも、姉ちゃんがかばってくれて。

今も、姉ちゃん、子供が3人もいて忙しいのに、

こんなダメな弟、見捨てないで・・

 

「お姉さん、よく面会に来てくれますよね」

 

(泣きながら)だから、   姉ちゃんを安心させたい

 

 

おぉ、みたいな温かい空気になり、

 

天敵のミキからも「お前、いいとこあるじゃん」

 

 

めでたし、めでたし、で終わるかと思いきや

 

 

突然、真理子(みはと)が

 

 

なに、悲劇のヒロインみたいなこと言ってんのよ!

あんたのせいで泣いてる女がいるんだよ!

 

大声で泣き出す、真理子

 

 

エリカ「女の子を泣かすじゃないわよ!」

 

 

白田くん「スパニタクル、ファイヤー!」

 

なっ、オレじゃねぇし!

 

 

泣き崩れてる真理子の背中をさすってあげてるのは、亜紀子さん

 

 

談話室には、このふたりだけが残され、解散

 

 

亜紀子が困ってると、看護師の本田(上村剛史)がやってきて、

 

 

「どうしたんですか?」

 

あっ、いや、ちょっと、いろいろあって

 

 

「もういいですよ。僕が観ますから」

 

あっ、はい

 

亜紀子は、部屋の奥へと出ていきました

 

 

「どうしたの?薬、飲んでないんでしょう?」

 

 

ここから、真理子と後藤を、ツラい過去を思い出させる幻聴、幻覚が襲います

 

 

続く

 

 

もはや、感想ではないな、これ。

 

 

 

 

チタキヨ 第4回公演「わたしはミシン」

 

舞台観劇される方は、人によって好みがあると思います。

コメディー、ミュージカル、ヒューマンドラマ・・・

 

この作品が、僕の好みだった、ということはあるかもしれません。

ただ、どんなジャンルの舞台でも、共通して必要だと思ってることがあって。

非常にシンプル。脚本と演技力です。

 

「わたしはミシン」は、この両方ともが、とにかく素晴らしいものでした。

この作品が上演された期間は、ちょうどガソリーナ(じんのひろあきさん)「櫻の園2」と完全にバッティングしてて、2回しか観られませんでした。もっと観たい、再演して欲しいし、チタキヨの次の公演も絶対に観る!

 

出演者は5人。3人の女性陣(全員、チタキヨのメンバー)は映画「嘘をついて」

男性陣のうち、おひとりはTBSドラマ「闇金ウシジマくんseason3」

映像でだけ、観たことがあるけれど、生のお芝居を観るのは全員初めてでした。

 

 

舞台は、地方にある縫製工場のオートクチュール部門

 

セットに「ミシン」はなくて、休憩室のワンシチュエーション。

 

テーブル、椅子、冷蔵庫、故障中の電子レンジ、ロッカー、ソファー

 

所長は、かつてはオーダーメイドの紳士服店で職人をしていた、斉藤直(名倉右喬

 

腰が低くて、にこーっと笑いながら、女性の部下たちに「ごめんねぇ」というのが口癖

 

 

 

採用面接にやってきたのが、服飾の専門学校卒業後、かつてはバリバリにミシンを使いこなして仕事をしていた、持田春海(中村貴子・1枚目の写真、右)

 

明らかに、訳あり。片目に眼帯、手には包帯。

 

そこに、短い休憩たのめにやってきたのが、このオートクチュール部門のエースで、仕事の段取りを決めるチーフのような存在の相楽鈴枝(高橋恭子・1枚目の写真・左)と、オートクチュール部門のベテラン、農家の嫁であり、農繁期には休むことも多いけれど、仕事が速いうえに腕も確かな岡村歌子(田中千佳子)。

 

 

 

 

冷蔵庫から、自分の飲み物と、鈴枝は大好物のきゅうりを取り出し、飲みながら、鈴枝が「歌子さん、〇〇、15分で出来ます?」「うん、出来る」みたいに鈴枝が早口で指示を出し、歌子も、それに応えるように、文句も言わずに、受け入れていきます。

 

この導入シーンだけで、各自の性格、仕事内容、関係性がスッと頭に入り、それが全然、説明してます、的な感じがしないし、性格に関してはしゃべり方や表情で分かりました。

 

始まって数分で、これは、面白いぞって、確信持てました。

 

その後、主に独白の形で、実は皆、それぞれが抱えている悩みを吐き出していくんだけど、観てて、感情移入が半端なかったです。

 

歌子さんは、おおらかで、おしゃべりで、すぐに初対面の新人を「春ちゃん!」って呼ぶようになり、

鈴枝さんは、春ちゃんに、この人、仕事出来んのか?って不安

 

契約書にサインすることになった春ちゃん、所長から直接ボールペンを受け取ることも出来ないほどの男性恐怖症。だけど、そこを重たくせずに、笑いに持って行ってました。ふたりは距離を保ちつつ、

 

「あの、ボールペン、投げてください。大丈夫ですから。いつもそうされてたから」

 

春ちゃんは、結婚の条件として、「仕事を辞める」ってことで結婚。大好きだった仕事を辞めたのに、「あぁ、これで、お金の心配しないですむ」って思っちゃっていた自分もいたりして。

 

最初は、ほんと、些細なことだったんです。揚げ物にはソースなんだけど、アジフライだけはお醤油って言われてたのに、間違ってソースを出しちゃったんですよ。

 

そうししたら、味噌汁が飛んできて。

なんか、わかめが口に入っちゃって、美味しいって思っちゃったりして。

なんか、笑っちゃったんですよ。

そこからは、坂道を転がるように・・

 

そして、殴った後は必ずセックス。殴ってはセックス、殴ってはセックス。

あれ?これってよく聞くやつだ。

 

そうして、子供が出来ました。夫だった人も、喜んでくれて、「もう二度と殴らない」って言ったんですけど、

 

やっぱり、ダメでした。

 

区役所に母子手帳もらいに行ったら「おめでとうございます」って言われたんです。えっ?だって、こんな(あざだらけ、包帯だらけ)なのに「おめでとうございます」って。

 

それで、もうダメだって。離婚届を書いて、出てきちゃいました。東京にいるのは怖くて、昔のつてを頼りに、ここへやってきたんです。

 

DV夫の子供を身籠っている。

夫だった人の子が、きのう、初めて動いたんですよ。でも、ちっとも嬉しくなくて。

所長、お子さん、可愛いですか?

その子がお腹にいた時から、可愛いかったですか?

 

可愛いよ、春ちゃんの子供だって可愛い。保障する!

 

鈴ちゃんの場合。

 

鈴ちゃんは、最初、春ちゃんが何度もトイレに行くので、仕事が進まないといら立ってました。

歌ちゃんは、春ちゃんが妊娠してることに気付いてたんだけど、鈴ちゃんは気付いてなかったんです。

 

とにかく、今度来た仕事は、毎年、この時期にオーダーが入る、ベテランデザイナーの作品に取り掛かるのに、懸命です。

 

そんな鈴ちゃん、物心ついた時から、お洋服が大好きでした。でも、小学校6年生になっても、リカちゃんハウスで遊んでいる自分を心配した母親に、リカちゃんハウスを捨てられました。親に理解されない絶望感と孤独。そんな中、出会ったのが「セーラームーン」自分と同年代の子たちが、あんなにキラキラしてる。

 

セーラームーンの衣装を創るようになり、最初は下手くそだったけど、何度も何度も創るうちに腕を上げて、今では、オートクチュール部門のチーフ的存在。

 

今でも、ストレスが溜まって、どうしようもない時は、スマホでセーラームーンの動画を観て、気持ちを落ち着かせているのでした。仕事に対して厳しい表情とは別人。自分が好きなことを母親に否定されたことがトラウマになっているんだろうなぁ。

 

 

お昼ご飯はいつも、きゅうり。お金を節約するためなんじゃないかな、。

 

春ちゃんに「なんで、いつも、お昼、きゅうりなんですか?」と聞かれても、

「美味しいから」としか答えなかったけど。

 

鈴枝は後に春ちゃんのこと、認めるようになり、お昼ご飯の時「きゅうり食べる?あげる」ぶっきら棒に。あと、ある特殊な作業は、以前やってた春ちゃんが一番得意で、「今度、教えて」って、これまたぶっきら棒に頼んでたな。

 

とにかく、最初のうちは、「歌子さん、スミマセン、糸が絡まって、なんか、地獄みたいに凄いことになってて」「なんで言ってくれなかったの!」と、温厚な歌ちゃんにも軽く怒られ、鈴ちゃんには「春ちゃん、無理だと思います」と所長に進言される有り様だったんだけれど、徐々に春ちゃんも仕事に慣れてきて、昔取った杵柄ってやつで、忙しいながらも楽しく仕事してました。

 

ところが、今回のクライアントの担当者が、まぁ、細かいことまでいちいちと指示してくる、面倒な男で。それが、小谷伊織(小笠原佳秀

 

あなたたちは、こちらの指示通りにやればいいんだ。しかも、時間的に無理なことも、どんどんと命令していきます。

 

実は、伊織くんは、10年前に、主人がなくなった、オーダーメイド紳士服店の息子さんで、そこで働いていた、腕の良い職人さんの斉藤さんのことを尊敬してました。

伊織くんが社長では、ここは、もう無理だ。自分には妻も生まれて間もない子供もいる。生活のためだ。と、伊織くんの「ここにいてください」という懇願を振り切って、逃げたんです。

 

所長に対してもタメ口だし、いつも笑顔でハードな仕事をこなす歌ちゃん。

農家の嫁です。子供が生まれて、まだ間もないのに、農作業に出なくてはなりませんでした。キラリって名前の由来知らないんですよ。わたしがまだ病院にいる間に姑が勝手に出生届けを出しちゃったんです。

 

キラリの世話は、姑とばあちゃんがして、もうすっかり哺乳瓶に慣れちゃって、わたしのおっぱい飲んでくれないんです。

 農業だけで、家族6人生活するのは厳しくて、わたしは、農作業だけじゃなく、ここで働くようになりました。

世間では「いいお姑さんよねぇ、仕事をさせてくれて」って言われます。

冗談じゃないってぇの。あのババァの姿、見せたいよ!

 

ささやかな抵抗に、ばあちゃんが趣味で作ってるきゅうりをぱくってきて、鈴ちゃんにあげました。

 

 

独白は続きます。お昼ご飯の、五穀米おにぎりを食べながらの独白。

 

学校では10歳の時、2分の1成人式っていうのをやるんですよ。これまで、どんなことがあって、誰に感謝しているかを言うっていう。

そこには、私の写真は全然ありません。姑とばあちゃんの写真ばっかり。「わたしは、おばあちゃんとひいばあちゃんのおかげで、ここまで大きくなれました」

 

冗談じゃない、子供を返せ!子供を取り返したい。

 

みな、それぞれが、いろいろと抱えながら、生きていました。

 

春ちゃんのお腹がだいぶ大きくなり、最初は計画よりも時間が押してた作業も順調に進み、8割がた完成にこぎつけました。

 

3人の表情が明るい。対照的に、高圧的だった、伊織くんがおかしい。

 

会社からの命令で「引き上げることになりました」

「引き上げるって?」

「もう、この仕事は辞めるということです」

 

「そんな、大変だったけど、ここの服、好きだし、思い入れもあって、一生懸命やってきたのに。訳を聞かせてください」

 

「すいません、かん口令が敷かれているので」

「あやまってください」

 

スーツのまま土下座しようとする伊織。すると温厚な所長が「伊織、その(所長が、まだ伊織くんのお父さんの元で働いていた時に作った背広だったんです)スーツで土下座なんかするんじゃない!」

 

なぜ、直前になって中止になったのか。

デザイナーは70代のおばあちゃん。もはや、新しいアイデアが浮かばずに、

専門学校の生徒の作品を盗作していたんです。

 

感情論だけでなく、お金も問題が発生しました。

材料費は出します。人件費は、たぶん、出ないと思います」

 

えーっ、困る、毎年、この時期は臨時手当が出るから、それあてにして、セーラームーンの全公演、チケット買っちゃった

 

子供と一緒にディズニーランド行って、そのまま、そこのホテルに泊まって、思いっきり甘えさせて、子供を取り戻そうとしたのに!

 

えっ、わたし、子供、産めません!

 

すると、春ちゃんが突然、ぶち切れました。会社に掛け合って、人件費、獲ってこい!

伝書バトじゃないんだろう?!

 

 

最初、農家のおばさんがバイトでやってるなんて、ナンボのもんじゃい、って思ってました。ですが、皆さん、素晴らしい。優秀なミシンでした。

 

 

伊織くん、そそくさと出ていきました

 

それを観て、春ちゃん、「たぶん、人件費、出ないですよ。鈴枝さん、原画ありますか?」

「あるけど」

 

今の作品をリメイクして、こちらから持ち込むってどうでしょうか?!

 

セーラームーン・・制服?

 

制服って、束縛の象徴じゃないですか。その抑圧から解放され、変身する途中のような

 

変身する途中は・・裸だよ・・

 

序盤は、キツい鈴ちゃん、可愛いとこ、あるじゃん

 

 

なぁんて、一瞬は盛り上がったものの

 

無理だよ

 

歌子さんも、あきらめ気味で、テンションが低い

 

 

もうダメだ。

 

 

歌子さんと鈴ちゃんは春ちゃんに背中を向けると、ロッカーから荷物を取り出して、帰ろうとします

 

あの!これから、凄く恥ずかしいこと言いますけど、

 

 

 

わたし、見てました。

 

 

 

 

 

歌子さん、あそこの糸のサイズ、細い糸に、変えてましたよね?

 

 

その方が仕上がりが綺麗だから

 

 

鈴枝さん、工程表に書いてないことまでやっていましたよね

 

 

その方が、効率的だから

 

 

わたし、おふたりのこと、尊敬してます!

 

 

 

ふと振り返る、歌子さんと鈴枝さん。

 

このシーンが、特に好きです。涙腺、崩壊です。

 

この提案に、煮え切らない、伊織くん

 

すると、またも温厚な斉藤さんが

 

「しっかりしろ、伊織!」 

 

斉藤さん(所長)も、伊織くんも一緒にミシン踏んで、なんとか完成させました

 

 

「斉藤さん、腕、落ちましたね」

 

「ん、あぁ、そうだね」

 

「視力が落ちてるじゃないですか?」

 

「・・うん」

 

「糖尿病でしょう?!ちゃんと病院行ってください」

 

「だいじょうぶだよ」

 

「父も、同じこと言ってて、でも、死にました。血栓が心臓をふさいで、一発です。斉藤さん、2度も僕の前からいなくならないでください」

 

 

序盤はひたすらやな奴だった、伊織くん、言い方にはひねくれたところがあるけど、10年前に、自分の元から逃げた斉藤さんのこと、今でも尊敬してるんだなぁ。

 

 

結局、会社を説得させるための手段として、パートのおばさんたちではなくて、伊織くんがデザインとリメイクを考えたことにしました。会社としても、ファッションショーに穴をあけるわけにもいかないという事情もあり、採用されたようです。まぁ、抑圧と解放というコンセプトは、ファッション業界ではずっと昔から使われていたものらしいですが。

 

斉藤所長が糖尿病だってことは、おしゃべりなおばさん(歌子さん)から会社中に広がり、それが斉藤さんの娘さんの耳に入り娘さんが泣かれた斉藤さんは、即、入院。

 

あっ、この娘さんは、中学生で、普段は斉藤さんとは、口をきいてくれない。たまに口きいたら、金の無心だよ。もうね、僕、ATM。

 

春ちゃん「それでも、可愛いんですか?」

「可愛いよぉ」

 

 

夫だった人の子を可愛いと思えず、でも、産むしかないと覚悟を決めた、春ちゃんのお腹は相当大きくなりました。

 

斉藤所長から、3人に、臨時手当が入った封筒が手渡されました。

 

すると、春ちゃんに対しては、冷たく接していた鈴枝さんが、リボンのついたピンク色の袋を春ちゃんに「ハイ!これあげる」って、ちょこちゃこって走り、パッと渡しました。で、すぐに春ちゃんから離れる、鈴ちゃん。

 

いまだに、春ちゃんに冷たくしていたのが恥ずかしいのか、照れですか?

 

開けてみると・・

 

真っ白なベビー服が。

 

 

「すごーい、可愛い。既製品みたい♪」

 

「そりゃ、そうだよ、プロが創ったんだから」

 

「その襟の細かいとこ、歌子さんが創ったの」

 

「けっこういい生地使ってるんだよ」

 

春ちゃん、そのベビー服をお腹に着せるように、両手で持って、フリフリ

 

可愛い?

 

 

それを見ていた、斉藤所長「かわいいよぉ!」

 

 

夫だった人の子、かわいいって思えるようになった春ちゃん

 

そんな春ちゃんを見て、自分のことのように喜ぶ斉藤所長

 

 

芽生えた、友情

 

 

観終わって、心が温かくて、軽くなった

 

とっても素敵な時間をありがとう

 

 

当日パンフレットには、名前が書いてあるという、

こうした心遣いも、嬉しかったです。

 

 

 

チタキヨ、ほーんと、観て欲しい。

本作観た人と、語り合いたい

 

 

最後に

 

 

名倉右喬さん、「闇金ウシジマくんseason3」最終話で殺されちゃたんだけど

同じ部屋で、その直後に殺された、チンピラの柏木役・劇団男魂(メンソウル)の大塩ゴウさんと、死体のツーショット

ここにも、奇跡的な繋がりが。

去年、舞台「ハローウィン」で右喬さんと共演した、元アイドリング!!!の古橋舞悠ちゃんが「わたしはミシン」観に来られてたのですが、

 

舞悠ちゃん、今年「みちこのみたせかい」で、花奈澪ちゃんと 共演。

 

花奈澪ちゃんは、「イノチボンバイエ」で大塩ゴウさんと共演。

 

そして、大塩ゴウさんと名倉右喬さんが「闇金ウシジマくんseason3」で共演、という。

 

 

 

チタキヨ

 

田中千佳子さん中村貴子さん高橋恭子さん

 

この3人の女優さんと、作・演出の米内山陽子さん

 

からなる、劇団です。

 

先週末、シアターミラクルで「わたしはミシン」を観劇。

金曜の夜公演を観て、とにかく、素晴らしい作品で、

どうしても、もう1回観たくて、東京六大学野球が雨天中断になったこともあり、

立教-東大1回戦観るのやめて、もう1度観ました。

 

「わたしはミシン」の感想の前に、チタキヨを知ったキッカケについて。

 

 

今年7月のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の短編映画コンペティション部門に、上田慎一郎監督「テイク8」がノミネートされていたので、行きました。その時、「テイク8」を含む3作品上映後、休憩をはさんで次の3作品も観た中に、三ツ橋勇二監督の「嘘をついて」が”偶然”あったんです。

 

この作品の脚本が、チタキヨの米内山さん、3名の女性キャストが、チタキヨの3人でした。

 

このコンペティション部門は15~30分、という規定でした。この長さだと、メインのキャストは1名または1組、という映画が多いと思います。ところが「嘘をついて」では、オープニング、女性3人の飲み会シーンの後は、この3人が別々のストーリーを紡いでいくんです。

 

英語講師、彼氏、転勤

主婦、子供、夫

小説家、編集者

 

最初、観終わったあと、これ、長くない?って思ったんです。でも、パンフレット読んだら、25分の作品でした。25分の中で、3つの異なる話が展開して、それぞれの女性がどういう人たちで、抱えてる悩み、性格、決断、そういうことがすーっと入ってくる。脚本が巧みで、演技がとてもいいんです。この脚本×演技=感情移入して観られる映画なんだと思います。

 

コンペティションでグランプリを獲得したので、発表後に再上映があり、

9月のTOKYO月イチ映画祭にも出品されてて、そこでも観て(これも、グランプリ)。これまでに、3回観ました。

 

化粧品とのタイアップになってて、けっこう本編の数か所がyoutube にアップされてます。

 

一番頭に貼ってあるのが、映画の冒頭。

 

以下、こちら。

 

英語講師

 

主婦

 

再び、3人で

 

小説家のお話はアップされていない代わりに、

美容クリームのCMに高橋恭子さんが出演してました。

 

 

中村貴子さん出演の四谷大塚のCM

 

 

「嘘をついて」予告編

 

 

そして、「わたしはミシン」には、もともと、チタキヨを観て、大好きで、いつか出たいと思っていた、とおっしゃっていた、名倉右喬さんが出演しています。

 

右喬さんが、また、素敵な役者さんで。良きものは、惹かれ合って、集まっていくのだなぁ。

 

右喬さん、TBSドラマ「闇金ウシジマくんseason3」で、上原まゆみ(光宗薫さん)のお父さん役でした。最終話で殺されてしまうのですが、同じ部屋で直後に殺されるのが、チンピラの柏木で、柏木役は、劇団男魂の大塩ゴウさん、という、これも、縁を感じます。

 

これを踏まえて、「わたしはミシン」について、次回、書きます。

 

 

櫻の園2

ガソリーナ(じんのひろあきさん作・演出)

ザムザ阿佐ヶ谷

 

休憩後、緞帳が上がると、夏の「ゴーストバスターズ」から月日が流れて、清水部長の代が3年になった春、「櫻の園」上演当日の朝

 

 

2年の倉田さん(石黒丞子)が、去年は部長の澪先輩(國領浩子)が演じた、ラネフスカヤを演じることになったんだけど、当日、遅刻。

 

 

 

倉田さん、ホントはラネフスカヤをやりたくなかったんじゃないのか?と心配する志水部長(加藤るみ)。でも、「出ようとしてら、携帯の充電が切れてて」と、別にワザと志水部長からのメールや電話、LINEに返事しなかったわけじゃなかった。

 

美里先生(石川ひとみ)が部室で、部員に向かって「杉山さん(未浜杏梨)、きのう、警察に捕まっちゃって」

 

ひとまず、部員はホームルームへ。

美里先生は臨時の職員会議へ。

 

倉田さんはホームルームへは行かずに、台本持って、台詞の練習をしてるんだけど、もう、あと数時間で本番だってのに、おぼつかない。ただ、ここでは、あんま悲壮感はないように見えました。

 

杉山さんがハンカチで左ほほを押さえながらやってくると、

「櫻の園、やりたくないなぁ。藤原講堂、燃えちゃわないかな(パンフレットの上演台本では、「地震で藤原講堂だけ潰れないかな」って書いてある。ん?僕の記憶違い?)」

このあとの杉山さんの「こらこら」含めて、このやり取りも、けっこうライトな感じでした。

 

ただ、続けて「櫻の園、中止になるかもしれないよ。わたしのせいで」

 

職員会議では「櫻の園」の中止が決定し、理事会に掛けられることに。

その時、理事会にやってきたのが、杉山紀子の祖母(土田真理)。

「いまここで、土下座をして差し上げればいいんですか?!」

 

孫可愛さで、朝一番で美容室で髪をセットしてから、学校へ乗り込み、

おばあ様の一言で「櫻の園、やるからね・・」

 

そのことをまだ知らない、放送で進路指導室に呼び出された、志水部長と杉山さんの、テンションが低いやり取り。このシーン、好きです。

 

 

「櫻の園」が中止になったら、暴動を起こしたいと、静かに告げる、志水部長。「わたしも混ぜてくださいよ」「もちろん」「やった」

 

この「やった」が、静かな中にも、わくわく感が出ていて。志水部長も、「櫻の園」が中止になりそうだっていう、その原因である杉山さんに怒ってるそぶりは全くないのも印象的。むしろ、暴動、演劇部みんなでやろう、みたいな。

 

その後、志水部長が小学校の時、男(男子じゃなくて、男って言ってたと思います)に、生理の時、ハンカチで包んでいたナプキンを引っ張り出されて「今日、こいつ、これなんだぜ」って言われたことを、絶対に許さない、と強い口調で。このあたりのやり取りは、「櫻の園」の中止騒動とは離れて続きました。で、杉山さんが「志水さん、倉田のこと、好きなんでしょう?」って言い当てる。否定しない志水部長。志水部長は倉田さんが好き。桃(植野佑美)は志水部長が好き(志水部長は気付いてない)。杉山さんは桃が好き。「せつないな」

 

なんやろ、女子高って、こんななんかな。

 

そこに憔悴しきった美里先生がやってきて、「櫻の園、やるから。準備して」

 

みんなで暴動やるか、櫻をやるか

櫻になりましたね

行こうか、「櫻の園」へ

はい

 

志水部長とは対照的に、杉山さんに怒りをぶちまけたのが、桃。

「杉山、てめぇ!」

怒りで椅子を何度も何度も蹴とばし。

 

そんな桃に向かって、紀子は、なんで、タバコのこと、素直に謝らなかったのか(そもそも、紀子は、その場でも、自分はタバコ吸ってなかったようです。映画「櫻の園」では、つみきみほさん、吸ってましたけどね)、自分には、この学校に友達がいないから、他校の奴らと一緒にいて。ほんとはタバコ嫌いだし、やめなよって言いたかったけど、そしたら仲間はずれにされるのが怖くて、言えなかったんだ。でも、それってほんとに友達なのかな。友達なら、やめなよって言うんじゃないかって。結局、ただ一緒にいるだけ・・そして注意しなかったってことは、自分も同罪・・

 そう告白、桃に絶叫して問い掛ける、紀子


紀子と桃

 

 

そんな叫びを受け止めた桃は「一生かけてつぐなわなくていい。その代り、全員にポンデリング、おごれ!それで今回のことはチャラだ!」

 

パンフレットの表紙にもなってる、

ポンデリング。 

 

この一部始終を見ていた、桃ちゃん先輩を慕っている、2年生の悠ちゃん(二宮咲)が、桃と2人きりになった時、

「どうして、私たちがいるじゃないか!って言わなかったですか?照れですか?」

 

「それ、言っちゃう?友達じゃないか!私たちがいるじゃないか!・・言えないよ、ダサいじゃん」


あぁ、桃先輩、悠ちゃんのこと、可愛がってて、信頼してるんだなぁって感じさせる「友達感覚」な言い方。

 

「言うべきでしたよ。わたし、この1年、見てきましたよ。大変なときは支え合って。笑ったり、笑ったり、ちょっと泣いたり」

 

 

1学年下だし、妹キャラの悠ちゃんが、この時は、桃ちゃん先輩を諭すように物静かに語りかけて。このシーンは、泣いた。チタキヨ「わたいはミシン」でも、後輩が、やる気をなくした先輩ふたりに「わたし、見てきました。いいものを創るために、お二人がしてきたこと。こんなこと言うの、凄く恥ずかしいけど、言っちゃいますけど・・私、お二人のこと、尊敬してます!」と、こちらは絶叫して、ふたりに再びやる気を出させるシーンみたいで、ここ、よかった。

 

卒業したばかりの、澪先輩とミッシェル(佐瀬ののみ)

終わっちゃったんだね

澪先輩は、パリへ留学。エスカレーターで大学に進学したミッシェル、「大学、つまんない。おじいちゃんが来いって言ってるから、アメリカ行っちゃおうかなぁ」

「パリかぁ」「アメリカかぁ」

 

1年前には、自分たちが「櫻の園」をやり、その後もほんとは引退なのに、部室に顔を出し続け。でも、離れていくふたり。「当分、会えなくなるね」

 

あっという間に時は過ぎ、毎日一緒にいた友達と別れる。高校生のほんの一瞬。

儚さ。

 

終盤、志水部長は、倉田さんは胸が大きいことがコンプレックスで、ラネフスカヤの衣装だと、胸が目立つことも、倉田さんがやりたくない一因なんじゃないかと考えて、胸元に白い、大きなリボンを付けてあげます。そうすれば、目はリボンに行くから、胸、目立たないでしょ?

 

ここは、映画「櫻の園」と同じシーン。

 

倉田さんは、落ち込んだまま、自分はコンプレックスの塊で、こんな自分には、彼なんて出来ないだtって、ひたすら落ち込んでて。第ニ幕序盤、杉山さんとの絡みの時とは明らかに違うテンション。

 

そんな倉田さんに「倉田さんのこと、好きな人、いるわよ」「いませんよ」

 

部室の前にいた紀子は、部室へと入ろうと歩いてきた、桃ちゃんの腕をつかんで行かせません。でも、声は聞こえちゃう。

 

志水部長は、倉田さんに好きだと伝え、それに嬉しいと答える倉田さん。

志水部長のことが好きな桃は崩れるように。それを支える紀子。

切ない。切ない。

 

部室の外から、あえて大きな明るい声で「志水さん、倉田さん、時間よぉ」

 

行こう、櫻の園へ。

 

志水部長、倉田さん、桃ちゃん、杉山さん、悠ちゃんが、スローモーションで、前へと歩き出す。バックには、サイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」(歌ってるのは、別の人で、誰のかは、分かりませんでした)

 

これって、あれかな、内容は違うけど、「卒業」と掛けてるのかな。

 

ラストは、「櫻の園」の上演。倉田さんのラネフスカヤの台詞は、今の倉田さん自身のようでもあり。「わたしの過去を、雪解けの冷たい水が押し流してくれたとしたら」

 

もうひとつの見どころは、悠ちゃんが、第一幕の最初のシーンの桃と同じ、黒い、フードのといたウインドブレーカーを着込むと、桃と同じ、腰をかがめて、舞台を袖からのぞき込むような、舞台監督に。

 

1年前は後輩で、澪先輩の叱咤激励にも、ほわわんと、よく理解できていないような返事をしていた桃が、今、「櫻の園」で、メインの長台詞を吐き出している。それを見守る、2年生の悠ちゃん。後輩は先輩の背中を見て。後輩は先輩の立場になり。成長し。

先輩は1年経てば、この「監獄」から卒業。

 

あがき続けた

早く自由になりたかった

信じられぬ大人との争いの中で

 

この支配からの卒業

 

そして、今は春。また1年生が入ってくる。

個人から観たら、どんどん立場が変わり、この場を去っていく。

遠くからみたら、人は違えど、同じことの繰り返し

 

儚さと切なさが詰まった第ニ幕でした。

 

歴史ある女子高。紀子のおばあ様も、ここの卒業生。

そんな歴史ある女子高のような雰囲気のザムザ阿佐ヶ谷。

 

終演後、出演者の皆さんと、この舞台の感想をお話ししている空間も、客席の座布団に座りながらだったり、舞台上だったり。

 

この、雰囲気、すべてで「櫻の園2」だった、そんな風に感じています。

 

 

「櫻の園2」 @ザムザ阿佐ヶ谷

 

1990年、日本アカデミー賞優秀作品賞・優秀監督賞・優秀脚本賞・最優秀編集賞・新人俳優賞/中島ひろ子、など

 

「櫻の園」

 

脚本のじんのひろあきさんが、作・演出ということで、とても楽しみにしていました。

もっとも、未浜杏梨ちゃんが出演していなかったら、本作が上演されること、知らなかったと思います。舞台「ルドビコ女学院」に出演してたのを、金子修介監督が2回観られて、「女子高生を演じられる女優」ということで、杏梨ちゃんをじんのさんに紹介したんだそうです。

 

みーにゃん(未浜杏梨)以外には、知ってる役者さんはいませんでした。

今年5月に、「櫻の園2」の初演があり、今回は、その再演だということも、最初は知りませんでした。一番最初のとこにリンク貼った;も一回貼りますね→「ガソリーナ公演 櫻の園2 公式」に、けっこうネタバレやら、先ほどの、なんでみーにゃんが出演することになったのかとか、インタビューがたくさん載っていて、映画「櫻の園」以外の情報も、けっこう知った状態にはなってました。そう、だから、いろんな意味で新鮮。インタビューの中で、じんのさんが「ネタバレありで構わないから」っておっしゃってますからね。

 

で、そのインタビューで、主演は元SKE48(14才から7年間在籍、2期生)の加藤るみさんだと書いてあったわけですが、スミマセン、アイドル詳しくないので、存じ上げませんでした。

 

公演は2時間なんだけど、途中休憩をはさむ、2幕構成。

 

第1幕は、1年前の「櫻の園」の上演終了後。

毎年恒例の、春の創立記念式典に合わせて上演される「櫻の園」、以外の演劇部の活動。

それは、夏の公演。

 

この公演で何をやるかを、部員たちがひとりずつプレゼンするのが、1幕の中心です。

実際に各役者さんが、自分の好きな舞台とか映画のプレゼンをじんのさんに向かって行い、それをじんのさんが文字に起こして、脚本にして、それを同じ人が今度は台詞として演じる、という、初めてです。こういう創り方のを観るの。

 

そういうこともあり、この1幕は、映画「櫻の園」の前半部分のような、芝居なのか、素なのかわからないような芝居。声も、そんなに張ることもなく。プレゼンを観てる部員たちは、客席に背中向けてるしね。

 

唯一、この場にいる大人は、顧問の美里先生(石川ひとみさん)。

 

 

美里先生の、部員たちのプレゼンを観てる時の表情や仕草が、生徒たちとの距離が近くて、演劇が好きなんだなぁというのが、とても感じられました。

 

杉山紀子(未浜杏梨)は「マホガニー市の興亡」で、「エロはどうか、と。」

木下瑠奈(河﨑莉奈)は「プラダを着た悪魔」で「皆さんお金持ちだから、普通にプラダとか、家にあるじゃないですかぁ」

 

唯一の1年生、悠ちゃん(二宮咲)は、キャラメルボックスの「嵐になるまで待って」で、自分はこの舞台の音響や照明が好きで、もしこれが採用されたら、役者じゃなくて音響や照明をやりたいです、って。

 

このプレゼン、好きで好きでたまらない感が凄くて、もう、完全に自分の世界に入っちゃって、「ぴゅーとごーで」「ばああああって」とか、なんか、擬音のオンパレード。

 

咲ちゃんは、ある映画祭に出品された作品に出演してて、じんのさんがその映画祭の審査員をされてたことで、出会ったんだそうです。現在は、じんのさんの劇団ガソリーナ所属。

 

そんな中、引退したんだけど、いまだに顔を出してる、澪先輩(國領浩子)が、

 

先輩風を吹かすような、「これはプレゼンではなくて、提案です」と言いながら、上から目線の「提案」をするんです。「愛と幻想のファシズム」。これは浩子ちゃんから終演後に聞いたのですが、この澪先輩の「提案」だけは、じんのさんの考えがかなり入っているんだそうです。

 

演劇では世界は変えられない

だったら、せめて「あはは」って思える台詞を口にしよう

 

これを聞いてる時の美里先生が、ほんと楽しそうで。でも、3年生。引退。来年の今頃は卒業して、学校にいない。そうした、2幕の儚さに繋がっていきます。

 

あっという間に1年が経ち、2年が経ち。後輩は先輩になり、先輩は卒業していく。

あっという間。

 

 

 

てな感じで各自がプレゼンして、決定したのは、演劇部が演劇をするなんて、当たり前過ぎると、もはや演劇ではなくてカーニバル、と提案した、清水部長のプレゼンが採用されて、演目は「ゴーストバスターズ」

 

レーザービームみたいのでゴーストをやっつけるシーンを表現したのは、これ!

 

 

 

数名がエアガンみたいので、空気をバーッて送って、大量のトイレットペーパーを次々に舞台上だけでなく、客席に向かってバンバン飛ばします。この光景は、確かにウキウキして、まさにカーニバル。

 

サックスを吹ける沢尻結希(川原夢貴)が、ゴーストバスターズのテーマ曲に乗せて、サックスを演奏しながらステップ踏むのも、カーニバル感が増してました。

 

 

 

 

 

 

カーニバルが終わり、照明が暗くなると・・

 

今のを観て、演劇部に入りたい!と、1年生がやってきました。明るくて元気な声で。

倉田知世子(石黒丞子)。

 

(璃帆ピースしてる( *´꒳`*)੭)

 

 

知世子を見た清水部長、客席の方をパッと向いたその表情が、ゴーストバスターズから一転、眉間にしわしわを寄せた、険しい表情のようでもあり、何か衝撃が走ったようでもあり。

 

清水部長が1年生の知世子に一目ぼれしたっぽい

 

そこで、緞帳がバーンと降りて、1幕は終了。10分の休憩に入ります。

大量のトイレットペーパーを、バケツリレー方式で客席の後ろから舞台へと送っていって、お片付けします。

 

車座に座ってプレゼンを観てるとき、紀子は制服のスカートであぐらかいてて、これって、共学ではあり得ないよなって思った。

 

ちょっとした言葉や仕草の端々に、女子高っぽさが出ていて、なんか、それをのぞき見ているような1幕でした。

 

そして、2年生の夏。終わることない楽しい時間のような1幕から、2幕は映画「櫻の園」で描かれていた、「櫻の園」上演当日の朝へ。

 

続く

浅野温子×劇団男魂(メンソウル) TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

舞台は精神病棟

夕食後、談話室には、パニック障害の清原飛鳥(清田悠聖)くん、緒方先生(杉本凌士)、看護師の山崎さん(中村尚輝)、そして、緒方先生に「見学してみませんか?」と誘われ、断れずにちょこんと座ってる、亜紀子(浅野温子)。

 

緒方先生に諭されるようにして、清原くんは、自分が怖かった人のことを、話し始めました。

お父さんはプロの音楽家で、子供のころからトランペットをやらされていた清原くんは、上手く吹けないとお父さんに殴られてたそうです。

 

吹奏楽の強豪校に進み、高校2年の時に出場した大会前日、風邪をひいてしまい、当日は40°の熱があるにも関わらず、休めませんでした。大事なトランペットのソロパートで、呼吸が苦しくて、息が入ってこず、音が途切れてシーンと・・

 

過去の苦しかったことを思い出し、「ワーーっ!」っと両耳を抑えるように、亜紀子の方へ走って行って椅子に座ると、

 

山崎さんが「今日はこのへんで」

でも、緒方先生が「いや、ダメだ。全部吐き出すだ!」

 

亜紀子も、なんかいたたまれず「大丈夫、大丈夫」と言いながら、清原くんの頭をなでてあげました。

 

 

清原くんのトランペットソロパートで音が途切れてしまってから、演奏全体がバラバラになってしまい、本当は優勝できたであろう大会で、最下位に。

 

緒方先生「そのあと、お父さんになんて言われた?」

「死ね!って。」

 

「そうかぁ、ツラかったね。でも、清原くん、ちゃんと高校卒業したんだよね」

「ねぇちゃんが、毎日、車で学校まで送ってくれたから」

 

たぶん、このとき、パニック障害を発症してて、電車のような、自分の意志でいつでも降りることが出来ない環境には、身を置けなかったので、お姉さんが車で送り迎えをしてくれたんでしょう。

 

「優しいお姉さんだね。お姉さんが優しいのはね、きっと、清原くんが優しからだよ。どう?全部話して、今、苦しい?」

 

首を横に振る、清原くん。

 

「よぉし、今日のカウンセリングはこれでおしまい。また、来週」

 

「亜紀子さん、ありがとうございます。亜紀子さんの優しさが清原くんのトラウマを引き出させてくれたんです」

「いえ、わたしは、何も・・」

 

亜紀子は、ハゲの院長と違って、緒方先生には好感を持つようになりました。

 

 

 

転換すると、舞台下手に診察室。走るようにやってきたのは、感想③で「一番危ない?」と予告した、草薙(坪内守)。

 

草薙は、亜紀子にマシンガントークで患者さんの紹介したり、自分については「僕は病気じゃないんです。なんて言うか、心の洗濯です。ゴシゴシゴシって」と、話してて、どんな症状なのか、不明でした。

 

高梨先生(及川いぞう)「草薙さん、どう?調子は?」

「はいっ、もう、心身ともに、なんて言いましょうか、絶好調です!もう、そろそろ退院してもいいんじゃないでしょうか?」

2,3度、いきなり立ち上がると、上の方に目をやり、何かを手で払うように、イラっとした表情を見せてたのが、気になります。

 

「いぃや、まだダメだよ」

「何でですか?わたくしね、承服しかねますですよ。ちゃんと理由を言っていただかないと」

 

「草薙さん、〇〇真理子さん、分かる?」(苗字は、忘れました。パンフレットの役名も「真理子」なので)

 

「あぁ、12月8日に自傷行為で入院してきた方ですね。あっ、12月8日と言えば、我、敬愛なるジョン・レノンが暗殺された日なんですよね。真珠湾攻撃も12月8日で、・・・」

 

「真理子さんの下着が盗まれたんだよ。草薙さん、あんた、知らない?」

「はぁ?なんのことですか?わたしが知るわけ・・・」

 

看護師の木田(上村剛史)が草薙のトレパンを一気にずり下すと、

草薙さんは、ピンクの女性もののパンツを履いてます(´・ε・`)

 

「えっ?し、知らない。これは、罠だ。。誰かにはめられたんだ!」

「そんな訳ないだろ。ちょっとー、保護室に入ってなさい」

 

木田と大島(町屋友康)、ふたりの看護師に両手を持たれ、引きずられるようにして、

保護室へ・・

 

「罠だ!」

 

前作の「口無し-バカデカ2」では、二枚目で独身貴族の刑事役だった坪内さんを、「イノチボンバイエ」千秋楽後にDVDで観ました。もちろん、どの役者さんも、いろんな役をやりますが、何、この差は!

 

てことで、草薙は保護室に入っているため、不参加で、それ以外の患者さんで、

グループカウンセリングを始めました。これも、仕切るのは、緒方先生、サポートは山崎さん。

 

乗り気じゃない亜紀子も参加しました。

 

患者さん同士で、自分の夢について、話します。

 

 

口火を切るのは、白田くん(大塩ゴウ

 

ちなみに、「闇金ウシジマくんseason3」の柏木役とは、まるで別人です。

 

 

「スピルバーグと一緒に『ローマの休日』を撮ることです!」

後藤(新晟聡)「てめ、わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」

緒方先生「はい、後藤さん、批判はしない。ここは安全な場所です。

 

 

佐古さん(横山貴之)かくかくとした手の動きとともに「B'zの”アローン”で100点を出す」

緒方先生「・・・」

「B'zの”アローン”で100点を出す」

 

後藤、緒方先生に向かって「分かってねぇんだろ?(笑)」

 

ミキ(花奈澪)が助け舟を「カラオケだろ?」

 

 

「練習すれば、いつか、出せるよ」「いい夢だと思うよ」

怒っている、というよりは、ぶっきら棒な感じで、佐古っちの夢をほめた、ミキ

 

すると、佐古さん、嬉しそうにミキの方へ小走りして、チューしようとして

 

「しねぇよ!」ミキのビンタ一閃(笑)

 

和やかな雰囲気で、グループカウンセリングは続いていきます

 

続く

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル) TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

舞台は精神病棟

 

食品偽装を追及するマスコミから逃れるために、適応障害と偽って逃げ込んだ病院で診察を受けたところ「あなた、適応障害だけじゃないね。ヒステリー神経症もあるね」と診断され、ウソの診断書を書かせるだけのつもりが、本当に入院することになってしまった、食品関係会社の女社長・深水亜紀子(浅野温子さん)。

 

最初に出会った患者は、無性ひげをはやし、無表情のまま、足をするようにトボトボと病院内を歩いていて、一言も話さない男・小幡(山田諭)。どんな病気なのか、何が原因で病気になったのかは、いろんなパターンで明かされていくのですが、ちょっと置いといて。

 

2番目に会ったのは、夜、亜紀子を部屋の外からじーっと覗いていた、北京原人・赤星(鶴忠博)。実は「意外といい奴なんだよ。あれでもさ、ボクシングの元日本チャンピオンだったんだってさ。クロマニヨン赤星っていうボクサーなんだって」と亜紀子が部下の川本に話してました。あだ名は「クロマニヨン」。いつもシャドーボクシングをしてて、言葉は何言ってるのか、聞き取れない。パンチを浴び続けた後遺症なのか?

 

朝が明けて、着替えを持ってきた川本が帰ってしまうと、談話室には小幡。あと、部屋の隅には、顔色が蒼白い、怯えたような若い男・清原(清田悠聖)。不気味。すると、穏やかな表情で入っていた男性・佐古(横山貴之)。ゆっくりとテーブルの前に座ると、亜紀子の方を向き、笑顔で会釈。亜紀子は、なんだかホッとします。鶴の折り紙を丁寧に3つテーブルに置くと、突然真剣な表情になり、大声で鶴を指差しながら「イチ、ニ、サン、ヨシ!」

 

亜紀子、ホッとしたのもつかの間、また不安に。

 

そこへやってきたのが、めがねを掛けて、一見スマートそうな男・草薙(坪内守)。トップに貼った写真の人です。この写真とは雰囲気がかなり違います。あっ、基本、全員、パンフレットの写真と役の顔つきは別人です(笑)。やたらと馴れ馴れしく、亜紀子に早口でまくし立てるように話しかけてきました。そこで、「佐古さんは強迫神経症です。」

 

「自己紹介して」「き、き、清原」「「下の名前は?」「あ、あっ、飛鳥」

「さぁ、ここで問題です。彼の病気はなんでしょうか?」

「・・やくぶつ、いぞん?」

「ハハハ、引っかかった。彼ね、みんなから”シャブ中”って呼ばれてるですよぉ。本当の病名はパニック障害です」

 

「小幡ちゃんは、治療の一環で、こうして歩き回ってるんですけど、なんの治療なのか、分かりません」

 

「草薙さんは・・・」

「僕は、どこも悪いところはないんです。心の洗濯です。ゴシゴシゴシ、ってね。」

 

今度は、若くてチャラそうな男・後藤(新晟聡)が談話室にやってきました。

「あれ、新人さん?可愛いね」「あっ、どうも」

「オレさ、ここで一番まともだから、なんかあったら、オレに聞いて。オレ、元ホストだから」

 

後藤は草薙に対して、立場が上っぽいです。後藤は、この後の「グループカウンセリング」で、アルコール依存症になり、自ら入院してきたことが分かります。

 

今度は、お腹がぽっこりと出た、少年(?)・白田(大塩ゴウ)。ゴウさん、つい先日までTBSで放送していた、山田孝之さん主演「闇金ウシジマくんseason3」に、チンピラの柏木役で出演してました。そん時はスキンヘッドに眉毛も剃ったコワモテでした。これが同一人物か!って感じです。

 

しきりに耳を手で押さえながら「あっ、あー、うぉ!」「危ない!」手でなにかを払いのけると、亜紀子に向かって、あきれたように「ダメたよ、ここは危ないんだから」「えっ??」「スパニタクル星人。スパニタクル星人がレーザービームで攻撃してくるんだから。うわっ、あぶな!」

「ねぇ、レディー・ガガ知ってる?」「知ってるけど・・」「彼女、僕の友達で、今度、僕に来るから紹介するよ」

 

すると、後藤が「訳わかんない言ってんじゃねーよ」「こーいつ、おかしいから、関わらない方がいいよ」

「・・わたしはね、あんたみたいな男が一番嫌いなんだよ!」

「なんだよ、ババァ!」

「スパニタクル・ビーム!」

「うっせー、人を”スペルマ星人”とか言ってんじゃねーよ!」

後藤は出ていっちゃいなした。

 

白田は、たぶん、現在は十代後半。小学校から中学校にかけて、壮絶ないじめにあい、そのことを消し去るために、これはいじめではなくて、スパニタクル星人が、僕がEXILEになることを邪魔して攻撃してくるんだという幻聴にすり替えていたんだってことが、「僕の作文」を亜紀子の前で読むことで、分かりました。

 

いろんな個性豊かな患者と出会い、疲れ気味にベンチ椅子に腰かけると、ピタッと近くに草薙が腰かけてきて「いやぁ、すっきりしましたよぉ。私ね、あの人(後藤)、苦手なんですよ」

 

「あーいう人は保護室に入ってればいいですよ」「保護室?」

「あれっ?知りません?あっちにある(舞台中央の奥を指さします)。自殺しようとしたり、他人に危害を加える危険がある人が入れられるんですよ。あと、先生に逆らった人もね」

 

 

黒いジャージに黒いTシャツ。パンクロッカーっぽいカッコの女性が入ってきました。ミキ(花奈澪)。こんなお茶目な笑顔は一切見せません。

 

 

不機嫌そうに「そこ、わたしの席なんだけど」

「あっ、スミマセン」

亜紀子を睨む、ミキ。すると、間を取り持つように草薙が「ミキちゃんは・・」

「うっせー、黙ってろ!」

「あっ、いや、ミキちゃんは・・」

ミキ、実力行使(暴力)&ヤンキー座りで「黙ってろって言ってんのが、聞こえねぇのかよ」

「すみません・・」

今度はミキ、亜紀子に歩み寄ると「男は嫌いなんだよ」

「わたし、女なんですけど・・」

「・・ちっ、分かってるよ!」

 

お嬢さん系の女の子・真理子(みはと)が入ってきたので、亜紀子は「こんにちは」と様子をうかがうように。

 

「怒ってます?怒ってますよね?ごめんなさい!」泣き出す真理子。

「いや、わたし、あいさつしただけですけど」

後日、後藤の診察のときの先生との会話で、真理子は自傷行為により、入院したことが分かります。腕には無数のためらい傷が。

 

ポテトチップを食べながら入って生きた、女性・エリカ(信川清順)。無表情で亜紀子に向かって歩いてきました。ポテトチップを食べ終わると、ポケットからさきイカ?の束を取り出し、食べながら、亜紀子の前で、もう片方のポケットから、さきイカの束を取り出すと、亜紀子に「食べます」「いや、けっこうです💦」

 

ちゃーん、ちゃららら、ちゃーん、ちゃ、ちゃーん、ちゃ、ちゃーんちゃ、ちゃららららん

 

歌いながら、バレイを踊り出すエリカ。「エリカね、エリカね、拒食症だから、一生懸命食べているの」

いやいや、そんなことはないだろう。エリカの行動は、たびたび、笑いを巻き起こすのですが、実は小さい自分の娘を亡くしてしまい、それがショックで、自分の中に、娘であるエリカの人格を作っていしまったのだということを、亜紀子は緒方先生からあとで聞きます。

 

亜紀子に耳打ち「ここ、性欲が強い男がいるから、気を付けてくださいね」

 

あっ、一人とばしちゃった!鼻の下にひげを蓄え、ルックス的には、明らかにクイーンのフレディー・マーキュリー。不破さん(仲田育史)、言うことが、とにかく突飛というか、支離滅裂というか。このセリフ、たびたび出てくるんですが、ほとんど覚えてなくて、なみおちゃんのファン友がいくつか覚えててくれたので、教えてもらいました。

 

 

 

スマート、キューティーうどん、収入印紙だわ

 

???

 

草薙「これでもね、ハーバード大学出てるんですよ。よく言うでしょ、なんとかと天才は紙一重って」

 

もひとり、新人が入ってきたのは、四条(剛州)。両手をお腹の前で合わせて、小さく拍手するようにしながら「わからない・・ぼくのこともわからない」

 

なぜか、不破と息が合い、意味不明の単語の言い合いで、相通じます。

 

あとは、清田くんのカウンセリングや、グループカウンセリングを仕切る、緒方先生(杉本凌士)と、看護師の山崎(中村尚輝)。

 

これが、談話室に集う人たち。

 

高梨先生のもとで働く介護士の本田(上村剛史)と大島(町田友康)。

 

夕食後には、緒方先生が清原くんのカウンセリングをすることになり、

緒方先生の勧めて、というかほぼ強引に、その気はない亜紀子も見学することになりました。

 

コミカルに描かれているだんけど、その裏には、ツラい過去を背負っている患者さんたち。

ただし、全員が「過去」を明かされていくのではなくて、なんで病気になったのか、分からない人もいます。佐古さん、小幡さん、ミキ、不破さん、四条。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル) TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

ダメな女社長を支える、部下・川本を演じるのは、メンソウル座長・杉本凌士さんと同じ、熊本県人吉市出身の、谷川昭一朗さん(東京乾電池)

 

 

谷川さん、演技じゃなくて、ホントに社長思いのサラリーマンでした。で、出てきてすぐに「あっ」って。

 

つい先月、山本真由美さん主演の映画「Every Day」を新宿K's cinemajで観まして(上田慎一郎監督がアフタートークに登壇した日)。

 

この映画で、定年退職する際の送別会には幹事2名しか来ない、厄介者扱いなんだけど、心根が優しいサラリーマン役を演じてたのが谷川さんだったんです。浅野温子さん花奈澪ちゃん以外にも知ってる人がもうひとり出演してたのでした。

 

 

食品偽装がバレて、謝罪会見をするっていうのに、「のんきなもんですね、寝言」「寝言?!何言ってた?」「怒ったり、怒ったり・・主に怒ってましたね。あっ、タダシって誰ですか?社長にしては、ずいぶんと優しく話し掛けてましたけど。ホスト?会見前に、これ、重要ですよ」

 

「違うわよ。ほら、前に言ったじゃん、子供の時に別れた弟がいたって」「その人は大丈夫なんですか?」「何が?」「その、スキャンダル的な・・」「だぁいじょうぶなんじゃないの?お金持ちのうちにもらわれたんだから」

 

「会ってないんですか?」「あぁ」「一度も?」「会ってないよ、もう、顔も覚えてないよ」

 

亜紀子社長は、「だいたいね、どこだって産地偽装なんてやってるんだよ、うちなんて可愛いもんよ。バレたんだって運が悪かっただけだよ」

 

「社長が指示したんじゃないですか?」「してないわよ」

「じゃあ、どうしてアメリカ産の牛肉に米沢産のラベルが貼ってあったんです?」

「米国産、米沢産。どっちも『米』だから、間違えちゃったんだから、しょうがないじゃない」

 

「やっぱり、謝罪会見、しないとダメですかね?」「だって、こんなにマスコミ来ちゃってるんだから」

「ほら、でも、謝罪会見したおかげで、余計叩かれる、みたいなことあったじゃないですか」

 

「大丈夫だよ、私の言った通りにすればいいんだよ。社長は適応障害を患い、入院中。にも拘わらず、謝罪のために一時退院。あとは、川本、あんたがうまく説明してよ」

「社長は黙っててくださいよ、ボロが出るから」

 

なんてやり取りしながら、会見場へ。

 

ステージ上からふたりがはけると、舞台中央の奥にテレビが。そこでは、「謝罪会見」中継が放映されてます。

 

今まで、ここでふざけた会話をしてた亜紀子は、大きなマスクで顔を隠し、

泣きながら(ウソ泣き)「・・スビバゼン・・」

 

「えー、社長は適応障害で入院しておりましたが、一言、皆さまにお詫びをしたい、ということで、一時退院して、このような場を設けさせていただいた次第です」

 

「マスクで顔を隠してますが、それは適応障害と関係あるんですか?」

「えーー、へーー、ヘルペス・・ストレスでヘルペスが出来まして💦」

 

「どうして産地偽装したんですか?!」

 

「その件につきましては、第三者委員会を設置いたしまして、しかるべき調査をした後に、また改めてご説明させ、て、いただいます💦」

 

結局、何も説明せずに、逃げるように会見場を後にした亜紀子は、マスコミに追われて、精神科のある病院に逃げ込みました。

 

「ほんとに入院するんですか?」

「入院なんてしないわよ。しょうがないじゃない、あいつら、ついてきちゃったんだから。ウソの診断書を書かせて、それをあんたがマスコミに見せれば、あいつらだって、納得して帰るでしょ」

「ったく、ウソが好きですね」「ハぁ?」「いえ、なんでも」

 

問診票を書くと、診察室へ。ここからステージは、病院内の患者さんたちが集まる談話室のワンシチュエーションになるんですが、白い、透けたカーテンがかかった棒を回転させることで、上手に「診察室」を設置するシステム。これも、かんたんに転換出来るアイデア。

 

精神科医で院長の高梨先生(及川いぞう)、これがまた、実際にお医者さん。川本と高梨先生のリアルさが、この作品に現実感を与えてました。あっ、冒頭のプロレスごっこのシーンでは、いぞうさん、野球帽を被って、プロレスごっこを仕切る、リーダーでした。

 

 

診察のシーンでは、高梨先生が、上手から黒い丸椅子に座ったまま、足で漕いでタイヤを転がしながら入ってきます(診察が終わると、同じように足で漕いで、上手にはけます)。

 

亜紀子と川本、ふたりで診察室に入ると、亜紀子は先生の頭を見て、

ジェスチャーで(わたし、ハゲ頭ダメ!川本、あんたが先生の隣に座って!)

 

「名前は?」

「深水亜紀子」(小さい声で)

「?」

「深水亜紀子(ふかみあきこ)です」(川本が、大きな声で)

「職業は?」

川本に耳打ち

 

「食品関係の会社で社長をしております」

「深水さん、あなた、社長さんなら、自分で言えるでしょう!何があったんです?」

「いろいろと・・」

「いろいろ?」

「幼い頃・・」

「子供の時に何かあったの?体罰とか?」

船場吉兆のお母さん方式を川本が導入(笑)

<2,3か月前から>(ここ、ちょっとセリフ、自信がない)

「2,3か月前から・・」

「これは診察なんだから、自分で言わなきゃダメだよ。あなた、歳は?」

「(急に元気になり)はぁ?」

「歳は?何才?」

「なぁによ、女性に歳を聞くなんて失礼じゃないの!」

 

「深水さん、あなたね、適応障害だけじゃないね。ヒステリー神経症もあるね。入院の手続きして。」

 

「ちょっと待ってよ、入院なんてしないわよ」

という亜紀子をさえぎるように川本が「じゃ、よろしくお願いします」(ぺこり)

 

「ったく、なんて日だ・・」とぼやきながら、高梨先生ははけて行きました。

 

ウソの診断書だけ書いてもらうつもりが、入院する羽目に。

川本は入院に乗り気。

 

夜になると、あちこちからうめき声が聞こえたり、北京原人がこっちを見ていたり。無表情で両手をだらんとさせながら、トボトボとすり足気味に歩き回る男がいたり。

 

翌朝、亜紀子の着替えを持って、川本がやってきました。

 

「まだ、マスコミ、張ってますよ。2桁はいますね。夕べは眠れました?」

「眠れるわけないじゃない!ベットは固いし、なんか、変な声は聞こえてくるし。北京原人みたいのがいるし」

 

「まぁ、安いホテルに泊まってると思えば」

「ホテルに鉄格子はないわよ!」

 

「でも、大丈夫なんですか?その・・ヒステリーしんけいプププ」

「なに、マジ笑いしてんのよ!わたしは病気なんかじゃないわよ。あのハゲが勝手に言っただけなんだから!」

 

川本は仕事があるからと、着替えを受付に預けときますと言い残すと、帰っちゃいました。

 

さぁ、これから、入院患者たちと亜紀子との初対面です!

観劇前、精神病棟が舞台ということで、重たい感じなのかなと想像してたんですけど、かなりコミカルです。さまざまな精神疾患を患っている患者さんたちが、めっちゃ個性豊か。

 

続く!

 

 

 

 

 

 

花奈澪 ちゃんのツイッターで、初めて「イノチボンバイエ」の告知を観た時、意味が分からなかったです。出演者に「浅野温子」と書いてあるわけですよ。

 

えーっと、どういうこと?

小劇場に浅野温子が出るの?

いやいやいやいや、んなことは・・・

 

劇団男魂(メンソウル)も、知りません。

 

まぁ、このタイトルだから、なんらかの形でプロレスが関係するのかな?

「あの頃、僕のヒーローは、タイガーでも猪木でもなく姉ちゃんだった」

 

 

フライヤーの裏面、出演者の顔写真があって、確かに真ん中、浅野温子さんだ。

間違いない。間違いないけど、正直、実際に舞台を観るまで、想像がつかなかったです。

 

 

そして、中野ザ・ポケット、自由席で前から3列目に座りました。8月28日、昼公演。

 

開演30分前に開場されて入った劇場内では、ザ・ファンクスの「スピニング・トーホールド」、ミル・マスカラスの「スカイ・ハイ」、長州力「パワーホール」、スタン・ハンセン、アブドーラ・ザ・ブッチャー、藤波辰巳・・・あー、もう誰のか忘れちゃったけど、知ってるプロレスラー入場曲が流れてました。猪木の「炎のファイター」は、流れてませんでした。

 

いよいよ、開演

 

「猪木、ボンバイエ!、猪木、ボンバイエ!猪木、ボンバイエ!」

 

舞台の白い幕には、田舎の山間風景が映し出され

 

そこには白髪まじりだったり、鼻の下にひげをはやしたおっさんたちが、子供っぽい服で入ってきました。

 

ビデオで録画しといた新日の試合を観たぜって男の子。「よぉし、やろうぜ!」

「オレ、猪木ぃ!」「お前は小林邦昭だ!」「じゃあ、おれ、長州♪」「長州は維新軍だ、あっちじゃ!」「オレ、スタン・ハンセン」「ダメたい、正規軍対維新軍なんだから」「まぁ、いい、オールスターじゃ」

 

後から気付いたんだけど、この「子供」の時のしゃべり方や声は、実際の役として出てくる、第2シーン以降とは、皆、全く違ってました。顔はおっさんでも、表情やしゃべり方は小学生、中学年ってところかな。

 

わんぱく坊主が、ヘッドロックしながら連れて来たのが、「タダシ(脚本・杉本凌士)」

わんぱく坊主は、「オレ、鶴田ぁ!」「鶴田は全日じゃ」

で、オールスター猪木・ハンセン・鶴田 対 長州・小林・タダシでプロレスごっこが始まりました。ヘッドロックで引きずられるように連れてこられたタダシは、ずっと泣きながら戦ってて、正規軍にやられてます。タッチしようとしても、長州・小林はタッチしようとしません。

 

ステージ上やや下手には、分厚いマット(走り高跳びのマットみたいなやつ)が置いてあり、そこへボディー・プレスしたり、ストンピングしたり。

 

母ちゃんのことをからかわれたタダシは、ますます大声で泣き、プロレスごっこは、バトルロイヤルになって、5人掛かりでタダシを攻撃。

 

すると、上手から走ってきたのが・・・

 

白い体操着にちょうちんブルマ、ホッペタが赤い、細身で長身の女の子

 

タダシの「姉ちゃん」

 

うわぁ、本当に、浅野温子だ!!

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル) TEAM ON×SOUL 1st「イノチボンバイエ」

 

 

 

 

 

 

姉ちゃんは悪ガキたちを空手チョップ、キック、コブラツイストで蹴散らしました

「こんどタタシばいじめたら、承知せんぞ!このバガぎっちょんがぁ!」

 

ここで、ひとつ疑問が。

 

フライヤーに「ヒーローはタイガーでも・・」初代タイガーマスクが登場したのは1981年。

プロレスごっこに出てきた「維新軍」が結成されたのは、たしか、1982年。すると、今から34年前ってことになる。このシーン以降は、「現代」になり、それが、2016年とは言ってないけど、仮に2016年としましょう。

 

忠(タダシ)と姉ちゃん(亜紀子)は、父ちゃんが死に、そのせいでお母ちゃんが精神疾患で入院したため、忠が5才の時に別々の家庭に引き取られて、ずっと離れ離れになってました。ってことは、忠は、現在、39才。杉本さん演じる、現在の忠が39才は、そんくらいかな。

 

亜紀子は、病院の問診で、先生に年齢を聞かれたら「女性に歳を聞くの?!」と切れ、病院では、主に、アキ(花奈澪)、真理子(みはと)から「ババァに色目使ってんじゃねぇよ!」「よかったじゃん、おばさん」「佐古さん、おばさんが好きなの?熟女好きなんだね」と、何度も患者さん同士の会話やら、直接「おばさん」呼ばわりされ、それに抵抗するんですが、ラスト、自己紹介をきちんとやり直して、「55です。」と言ってました。2016年に55才とすると、34年前は21才ってことになっちゃいます。

 

白い体操着にちょうちんブルマの亜紀子は、小学校高学年か中学1年生くらいの印象でした。21才ってこたぁ、ない。12才とすると、55-12=43、あの「プロレスごっこ」の時からは43年経っていることになります。そうすると、忠は48才(ちょっと年上過ぎるような)、現在は2025年ってことになる。

 

なまじ、プロレス、特に新日本プロレスが好きだったので、余計なことが気になっちゃった。

全然、ストーリーには影響しないので、いいです。

 

「母ちゃんは、心の病気たい・・」

「姉ちゃん、オレ、医者ばなる。医者ばなって、母ちゃんの病気を治す!」

「忠はいい子じゃねぇ。わたしは、人んためになる、女社長に、なる!」

 

「忠、ひとつ約束。男だったら、泣いちゃいけんよ。泣いたら、あいつらの思うツボたい。また、いじめられるよ。それに、強くなかったら、お医者さんには、なれんとよ」

 

方言は、杉本さんの出身地である、熊本弁。

 

「わかった、姉ちゃん、オレ、泣かん」

約束の指切りげんまんしてたら、雨がザーッと降ってきて。

 

「忠、帰ろう♪」座ってる忠に手をつかんで、プロレスのマットから立ち上がらせようとしたら、マットの角につまづいて、すっころんでしまい、頭を地面に打ちつけて、早速、泣きだしちゃった忠(笑)

 

ここからの転換が、見事。暗めの照明の中、マットの上に忠を乗せたまま、出演者(報道関係者で、背広を着た男たち)数人でマットを舞台奥へとはけさせて、すぐに戻ってくると、追っかけ取材のためにはや歩きで歩き回る背広の男たち。映像では、船場吉兆、野々村議員、ゲス不倫、産地偽装などを伝える新聞記事がデカデカと映し出され、舞台下手に背もたれのない、ベンチ状の長椅子が置かれ、その上には、洒落たパンツに白いノースリーブの、亜紀子が寝ころび、

 

ライトがつくと、下手から部下の川本(谷川昭一朗)がやってきて、寝ていた亜紀子を起こします。亜紀子は、本当に女社長になっていたのです。ただし、「人のためになる」のではなくて、産地偽装がバレて、これから謝罪会見を開こうとしてる、ダメな女社長。。

 

謝罪会見直前にも関わらず、昼寝してて、見ていた夢が、ファーストシーンの、プロレスごっこでいじめられてた弟を助けた、昔の出来事だったんです。

 

説明っぽいセルフは一切ないのに、設定がスッと入ってきて、すぐに舞台に入り込めました。

 

感想書くつもりが、悪い癖で、また、頭に残ってるシーンをそのまま文章にしてしまったわ。

 

次からは、要所要所にしようと思います。ただですね、すべてのキャラクターに深いストーリーがあり、全体のお話も、とても充実しているので、全部がよみがえってきちゃうんです。

 

そんくらい、面白い舞台だったってことです。

 

続く!

 

 

忠役の杉本凌士さん。劇団男魂座長であり、本作の脚本。