ON×SOUL「イノチボンバイエ」感想①浅野温子?! | 元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

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花奈澪 ちゃんのツイッターで、初めて「イノチボンバイエ」の告知を観た時、意味が分からなかったです。出演者に「浅野温子」と書いてあるわけですよ。

 

えーっと、どういうこと?

小劇場に浅野温子が出るの?

いやいやいやいや、んなことは・・・

 

劇団男魂(メンソウル)も、知りません。

 

まぁ、このタイトルだから、なんらかの形でプロレスが関係するのかな?

「あの頃、僕のヒーローは、タイガーでも猪木でもなく姉ちゃんだった」

 

 

フライヤーの裏面、出演者の顔写真があって、確かに真ん中、浅野温子さんだ。

間違いない。間違いないけど、正直、実際に舞台を観るまで、想像がつかなかったです。

 

 

そして、中野ザ・ポケット、自由席で前から3列目に座りました。8月28日、昼公演。

 

開演30分前に開場されて入った劇場内では、ザ・ファンクスの「スピニング・トーホールド」、ミル・マスカラスの「スカイ・ハイ」、長州力「パワーホール」、スタン・ハンセン、アブドーラ・ザ・ブッチャー、藤波辰巳・・・あー、もう誰のか忘れちゃったけど、知ってるプロレスラー入場曲が流れてました。猪木の「炎のファイター」は、流れてませんでした。

 

いよいよ、開演

 

「猪木、ボンバイエ!、猪木、ボンバイエ!猪木、ボンバイエ!」

 

舞台の白い幕には、田舎の山間風景が映し出され

 

そこには白髪まじりだったり、鼻の下にひげをはやしたおっさんたちが、子供っぽい服で入ってきました。

 

ビデオで録画しといた新日の試合を観たぜって男の子。「よぉし、やろうぜ!」

「オレ、猪木ぃ!」「お前は小林邦昭だ!」「じゃあ、おれ、長州♪」「長州は維新軍だ、あっちじゃ!」「オレ、スタン・ハンセン」「ダメたい、正規軍対維新軍なんだから」「まぁ、いい、オールスターじゃ」

 

後から気付いたんだけど、この「子供」の時のしゃべり方や声は、実際の役として出てくる、第2シーン以降とは、皆、全く違ってました。顔はおっさんでも、表情やしゃべり方は小学生、中学年ってところかな。

 

わんぱく坊主が、ヘッドロックしながら連れて来たのが、「タダシ(脚本・杉本凌士)」

わんぱく坊主は、「オレ、鶴田ぁ!」「鶴田は全日じゃ」

で、オールスター猪木・ハンセン・鶴田 対 長州・小林・タダシでプロレスごっこが始まりました。ヘッドロックで引きずられるように連れてこられたタダシは、ずっと泣きながら戦ってて、正規軍にやられてます。タッチしようとしても、長州・小林はタッチしようとしません。

 

ステージ上やや下手には、分厚いマット(走り高跳びのマットみたいなやつ)が置いてあり、そこへボディー・プレスしたり、ストンピングしたり。

 

母ちゃんのことをからかわれたタダシは、ますます大声で泣き、プロレスごっこは、バトルロイヤルになって、5人掛かりでタダシを攻撃。

 

すると、上手から走ってきたのが・・・

 

白い体操着にちょうちんブルマ、ホッペタが赤い、細身で長身の女の子

 

タダシの「姉ちゃん」

 

うわぁ、本当に、浅野温子だ!!

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル) TEAM ON×SOUL 1st「イノチボンバイエ」

 

 

 

 

 

 

姉ちゃんは悪ガキたちを空手チョップ、キック、コブラツイストで蹴散らしました

「こんどタタシばいじめたら、承知せんぞ!このバガぎっちょんがぁ!」

 

ここで、ひとつ疑問が。

 

フライヤーに「ヒーローはタイガーでも・・」初代タイガーマスクが登場したのは1981年。

プロレスごっこに出てきた「維新軍」が結成されたのは、たしか、1982年。すると、今から34年前ってことになる。このシーン以降は、「現代」になり、それが、2016年とは言ってないけど、仮に2016年としましょう。

 

忠(タダシ)と姉ちゃん(亜紀子)は、父ちゃんが死に、そのせいでお母ちゃんが精神疾患で入院したため、忠が5才の時に別々の家庭に引き取られて、ずっと離れ離れになってました。ってことは、忠は、現在、39才。杉本さん演じる、現在の忠が39才は、そんくらいかな。

 

亜紀子は、病院の問診で、先生に年齢を聞かれたら「女性に歳を聞くの?!」と切れ、病院では、主に、アキ(花奈澪)、真理子(みはと)から「ババァに色目使ってんじゃねぇよ!」「よかったじゃん、おばさん」「佐古さん、おばさんが好きなの?熟女好きなんだね」と、何度も患者さん同士の会話やら、直接「おばさん」呼ばわりされ、それに抵抗するんですが、ラスト、自己紹介をきちんとやり直して、「55です。」と言ってました。2016年に55才とすると、34年前は21才ってことになっちゃいます。

 

白い体操着にちょうちんブルマの亜紀子は、小学校高学年か中学1年生くらいの印象でした。21才ってこたぁ、ない。12才とすると、55-12=43、あの「プロレスごっこ」の時からは43年経っていることになります。そうすると、忠は48才(ちょっと年上過ぎるような)、現在は2025年ってことになる。

 

なまじ、プロレス、特に新日本プロレスが好きだったので、余計なことが気になっちゃった。

全然、ストーリーには影響しないので、いいです。

 

「母ちゃんは、心の病気たい・・」

「姉ちゃん、オレ、医者ばなる。医者ばなって、母ちゃんの病気を治す!」

「忠はいい子じゃねぇ。わたしは、人んためになる、女社長に、なる!」

 

「忠、ひとつ約束。男だったら、泣いちゃいけんよ。泣いたら、あいつらの思うツボたい。また、いじめられるよ。それに、強くなかったら、お医者さんには、なれんとよ」

 

方言は、杉本さんの出身地である、熊本弁。

 

「わかった、姉ちゃん、オレ、泣かん」

約束の指切りげんまんしてたら、雨がザーッと降ってきて。

 

「忠、帰ろう♪」座ってる忠に手をつかんで、プロレスのマットから立ち上がらせようとしたら、マットの角につまづいて、すっころんでしまい、頭を地面に打ちつけて、早速、泣きだしちゃった忠(笑)

 

ここからの転換が、見事。暗めの照明の中、マットの上に忠を乗せたまま、出演者(報道関係者で、背広を着た男たち)数人でマットを舞台奥へとはけさせて、すぐに戻ってくると、追っかけ取材のためにはや歩きで歩き回る背広の男たち。映像では、船場吉兆、野々村議員、ゲス不倫、産地偽装などを伝える新聞記事がデカデカと映し出され、舞台下手に背もたれのない、ベンチ状の長椅子が置かれ、その上には、洒落たパンツに白いノースリーブの、亜紀子が寝ころび、

 

ライトがつくと、下手から部下の川本(谷川昭一朗)がやってきて、寝ていた亜紀子を起こします。亜紀子は、本当に女社長になっていたのです。ただし、「人のためになる」のではなくて、産地偽装がバレて、これから謝罪会見を開こうとしてる、ダメな女社長。。

 

謝罪会見直前にも関わらず、昼寝してて、見ていた夢が、ファーストシーンの、プロレスごっこでいじめられてた弟を助けた、昔の出来事だったんです。

 

説明っぽいセルフは一切ないのに、設定がスッと入ってきて、すぐに舞台に入り込めました。

 

感想書くつもりが、悪い癖で、また、頭に残ってるシーンをそのまま文章にしてしまったわ。

 

次からは、要所要所にしようと思います。ただですね、すべてのキャラクターに深いストーリーがあり、全体のお話も、とても充実しているので、全部がよみがえってきちゃうんです。

 

そんくらい、面白い舞台だったってことです。

 

続く!

 

 

忠役の杉本凌士さん。劇団男魂座長であり、本作の脚本。