人生をアートで埋める -3ページ目

東京の夜


一昨日から東京に来ている。某百貨店の仕事で。2つの百貨店を掛け持ちする形になり、3週間ぐらいの長い出張だ。
今夜は、仕事の途中、夜7時に抜け出して、有楽町の国際フォーラムへ、アートフェア東京の内覧会に行ってきた。アートフェアというものを体験するのは久しぶりだった。所狭しとぎっしりギャラリーのブースがひしめき合い、にぎやかな会場だった。久しぶりにお会いするギャラリストの方やアーティストの方、美術雑誌の編集者の方々などと少しずつ立ち話しながらまわった。中には、「ブログもっと更新してくださいよ」なんて言ってくれる方もいて、赤面しつつもありがたかった。
仕事に追われて、ただ日々が過ぎていくだけの毎日なのだが、こういう場所は本当にワクワクする。
別会場に、若いギャラリストを中心としたコーナーがあったのだが、そちらの方に、個人的には面白い作品があったように思う。いい作品を見ると、心がざわつく。忘れてはいけない感覚だろうな。


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7/4〜7/10

7月4日(月)
夜、今週から始まった、CS放送のファミリー劇場で放送される番組「志村XYZ」を見る。30分番組を4回分一挙に。この番組の前身である「志村X」という番組も前月まで4回分ずつ毎週放送されていてそれもすべて見ていた。10年以上前にフジテレビで放送されていた番組のいわば再放送だ。志村けんが父親役で、妻に川上麻衣子、娘にそめやきこ、村田和美、息子が山崎邦正という5人による家族コントを前半に、志村けんと渡辺徹をホストにした、ゲストを呼んでのトークコーナーを後半に、という二部構成だ。ぼくは志村けんの大ファンであり、彼のコント番組は現在フジテレビ系で放送中の「志村軒」にいたるまでずっと見ている(ただし、名古屋なので放送は不定期ではあるのだが)。いわゆる深夜枠でずっと志村けんの番組は続いてるわけだが、「志村X」はその第一弾だったと思う。彼の様々なコントもいいが、1話完結式の家族コントがすごくいい。ぜひ今後もこの再放送を続けてほしいと思う。

7月7日(木)
仕事を休んだ。7月末から8月末までほとんど休みがとれそうにないので、今のうちに積極的に休みをとっている。
昼間、最近ずっと読んでいたレイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』(清水俊二訳/ハヤカワ文庫)を読了。チャンドラーの小説を読むのは初めて。中盤までどうにも退屈だったのだが、ラストの30ページぐらいでかなり引き込まれた。結果として、素晴らしい小説だと思った。
夜、妻と二人で近所のスーパー銭湯に行く。サウナで汗を流し、雑誌を読みながら寛いだあと、風呂に入る。露天風呂も楽しんだ。

7月8日(金)
仕事帰りに書店で、毎月買っている雑誌「月刊創」を購入。この雑誌も買い続けて長い。メディア批評誌である。

7月9日(土)
夜、BS-11で放送している音楽番組「MUSICA」を見る。司会は尾崎亜美と小原礼夫妻。ゲストはタケカワユキヒデ。タケカワユキヒデといえばゴダイゴ。ぼくは熱心なファンではないが、ぼくが人生で最初に好きになった曲は彼らの「銀河鉄道999」という曲だった、ということにしている。小学2、3年生の頃だと思う。勿論アニメ映画の『銀河鉄道999』を観て、その主題歌として触れたのだと思う。それは子供心にもものすごくかっこいい曲に思えた。その印象は今もずっと変わらない。
その後、佐野元春の「ザ・ソングライターズ」を見る。七尾旅人の2回目。その音楽性にはあまり興味を持てないが、異能というべき特殊なソングライターだと思う。この「ザ・ソングライターズ」という番組は今回が3度目のシリーズで、シリーズ通算で18人のゲストが出た。ぼくとしては、松本隆、矢野顕子、鈴木慶一(ムーンライダーズ)、岸田繁(くるり)、曽我部恵一、キリンジの登場がうれしかった。
中村一義、宮沢和史(THE BOOM)、椎名林檎、友部正人あたりも呼んでほしかったな、と思う。

7月10日(日)
休日。昼までゴロゴロする。綾辻行人の『十角館の殺人』(講談社文庫)を読了。非常に典型的な推理小説。こういうの、結構好きだ。しかし、すごいドンデン返しがあるということで楽しみに読んでいたのだが、たいしたことはなかった。普通だ。
急に妻と、ドライブでも行こうか、という話になり、クルマで岐阜県の「養老の滝」を見に行くことにする。高速は使わず、あえて下道を進む。岐阜県は仕事でたまに来ることがあり、クルマで走ったりするのだが、山に囲まれて、とにかく景色がいい。快適なドライブで養老公園に到着後、小さな川に足まで入ってみたりしながら滝を目指して歩く。思ったよりも遠い。途中リフトに乗る。景色がとてもよかった。滝の周辺はとても涼しく、また滝からは体を癒してくれるようなパワーを感じた。来てよかった、と思う。再びクルマで帰る。家の近所のショッピングモール内のハンバーグ屋で夕食を食べた。

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6/27〜7/3

6月27日(月)
通勤時間中にコツコツと読んできた伊藤計劃の『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)を読了。ゼロ年代日本SFの傑作と話題になった作品だが、その評価に偽りなし。大傑作だった。近未来描写がリアル。明らかに新しい感覚をもった世代の小説。作者はぼくと同い年。しかし、残念なことに彼は数年前に癌で亡くなったという。無念だったろう。

6月28日(火)
夜、録画したままだった映画『スラムドッグ$ミリオネア』を観た。インドのスラム街で育った兄弟と一人の少女の人生が交錯し、衝突する。面白かった。

6月29日(水)
仕事は休む。午前中、CS放送の日本映画専門チャンネルで、映画『ロストクライム 閃光』を観る。主演は奥田瑛二。老刑事と新米刑事のコンビが3億円事件の真相に迫るという内容だが、テレビの2時間ドラマのようでイマイチ。ぼくは日本の映画はほとんど観ないし、日本人で好きな俳優もあまりいないのだが、奥田瑛二は大好きだった。十代の頃、奥田瑛二が主演の『ありふれた愛に関する調査』という映画を観て、一気に惚れ込んでしまった。この映画によってぼくは、かっこ悪さのかっこよさ、というものを知った。奥田瑛二は孤独な私立探偵を演じるのだが、本当に冴えないダメ男なのだ。でも、それが何とも言えずかっこよかった。そんな奥田瑛二もすっかり年をとり、この『ロストクライム』では「ジジイ」などと呼ばれたりして、時の流れを感じた。
昼から妻と買い物に出かけた。途中でBOOK OFFに寄り、ビートルズの『パスト・マスターズVOL.2』と、文庫本2冊、最近ハマっている漫画『ゴルゴ13』を3冊購入。夜、妻が買ってきた、東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』を一気に読む。謎解きだけの本。暇潰しにはいい作品なんだろう。
毎週見ているテレビ番組「ホンマでっか!?TV」を妻と見る。

7月1日(金)
またもやBOOK OFFでいろいろ購入。手塚治虫漫画全集の『W3』2巻と3巻、埴谷雄高の『死霊』2巻と3巻(講談社文芸文庫)、光文社文庫の江戸川乱歩全集『新宝島』、ロバート・A・ハインラインの『栄光の星のもとに』(創元SF文庫)など。『死霊』は単行本で持っているのだが。
夜、CS放送の洋画★シネフィル・イマジカで映画『愛のメモリー』を観る。ブライアン・デ・パルマ監督作品。誘拐事件で妻と娘を失った男が、十数年後に妻とそっくりな女性に出会うが、またもや誘拐事件に巻き込まれる、というストーリー。さすがにブライアン・デ・パルマ。面白かった。

7月2日(土)
仕事が終わって、夕食は妻と近所の味仙で久しぶりに台湾ラーメンを食べた。
NHK教育「佐野元春のザ・ソングライターズ』を見る。ゲストは七尾旅人。名前は知っているが、まったく聴いたことがなかった。が、インターネットでの音楽配信についてなど、かなり刺激的な発言をしていて好感が持てた。

7月3日(日)
休み。昼前に妻とクルマで出かける。外で昼食、買い物を済ませ、近所のレンタルショップでDVDやブルーレイを4枚レンタルする。そしてその4本を妻と観た。1本目、『パラノーマル・アクティビティ』はホラー映画。独特な映像(主人公がカメラで撮影しているという設定)で臨場感はあるが、全然怖くない。2本目、韓国映画『義兄弟』。ソン・ガンホ主演。北朝鮮工作員と韓国の元諜報員との友情。意外なラストがよかった。3本目、『やさしい嘘と贈り物』は孤独な老人が出会った恋の物語。これも結局ドンデン返しがあるわけだが、他愛のない映画。4本目、『ソーシャル・ネットワーク』。結構好きなデビット・フィンチャー監督作品。さすがにこれは傑作。面白かった。フェイスブック創始者の物語だが、単なるサクセスストーリーではなく、抑制されたクールな描写がいい。伊藤計劃や、昨日の七尾旅人もそうだが、インターネット以降の表現、インターネット以降の時代という感じがして何か新しい感覚を刺激される。

日々のこと

久しぶりの更新である。
日本は大変なことになった。言葉もない。震災と津波、その後の原発事故。毎日テレビを観ながら、様々なことを考えた。訳もなく涙ぐんだりした。でも結局、ぼくは日々の生活を生きるしかない。淡々と仕事をし、好きな本や音楽に触れ、妻と休日を過ごす。かけがえのない日常を生きるのだ。

ロビー・ロバートソンの新作「how to become Clairvoyant」と細野晴臣の新作「Hosonova」、この2枚を何度も、繰り返し、聴いた。どちらも素晴らしい出来だった。二人とも60歳を過ぎているベテランだが、きちんと前を向いていることが嬉しい。

途中まで読んで挫折していた島田雅彦の「無限カノン」3部作を読んだ。「彗星の住人」「美しい魂」「エトロフの恋」。面白かった。島田雅彦の小説は長らく読んでいなかったが、たまたまテレビを観ていたら彼が出ていて、相変わらずのその皮肉屋ぶりに思わず笑い、久しぶりに読んでみようかな、と思ったのだ。
島田雅彦を読んだら、文学熱みたいなものが復活してきて、澁澤龍彦や三島由紀夫の本でも読み返してみようかな、と思ったのだが、急に谷崎潤一郎に興味が湧いてきて、10年以上前に読んだ「痴人の愛」を再読した。よく言われるような、単なるマゾヒズム小説ではない、ということだけはわかった。

佐野元春の30周年記念の特別コンサートが3月6日に大阪で開催され、多くのゲストが出演したのだが、ぼくはどうしても都合がつかなくて観に行くことができなかった。その後、5月中旬にCS放送のTBSチャンネルでそのコンサートが放送された。ぼくはそれを観た。グルーヴァーズの藤井一彦、ヒートウェイヴの山口洋、グレイト3の片寄明人といったぼくの大好きな人たちも出て、それはもちろん素晴らしかったが、なんといっても杉真理と伊藤銀次が出演したのには特別な感慨があった。杉真理、伊藤銀次、佐野元春の3人で佐野元春の「BYE BYE C-BOY」という曲を歌ったのだが、十代の頃からずっとこの3人を追いかけてきたぼくにとっては夢のような、スリーショットだった。

5月の後半は一週間、大阪に出張していた。あまり仕事はうまくいかず、楽しくはなかった。泊まっているホテルの近くにBOOK OFFがあり、何度か通い、沢山本を買ってしまった。

村野守美の死を悼む

漫画家、村野守美が亡くなった。死因は心不全で、享年69歳とのこと。夕食後に今日の朝刊を読んでいて、その小さな死亡記事を見つけて言葉を失った。ショックだった。
村野守美は、永島慎二、真崎守、宮谷一彦、坂口尚などと並んで、ぼくがとてつもなく尊敬する漫画家の一人だった。

村野守美は19歳で手塚治虫が主宰していたアニメ制作会社「虫プロ」に入社し、アニメ制作に携わった後、1960年代に漫画家としてデビュー。70年代以降は主に青年誌を舞台に数多くの短編作品を発表し、独自の地位を築いた。永島慎二や真崎守もやはり60年代から70年代にかけて大活躍した漫画家であるが、彼らが80年代以降漫画界の表舞台からほとんど姿を消したのとは対照的に、村野守美はその後もずっと現役で精力的に仕事を続けた。ジャンルも幅広く、SFからコメディ、時代劇、絵本、伝記漫画など何でも描ける漫画家だった。
中でもぼくは、やはり70年代の青春ものが大好きだった。男女の心の微妙なやりとりをこれほど味わい深く表現できる漫画家はいない。とにかく、上手いのだ。ペンタッチも華麗で、線の強弱を生かした温かみのある描線がたまらなく魅力的だった。流れるようなコマの展開があり、余白や余韻を感じさせる大胆な構図を取り入れて、叙情的な、とにかく「良質」としかいいようのない、レベルの高い漫画作品を数多く残した。
「職人」をテーマにいくつかの作品を描いているが、村野守美自身が職人的なこだわりを持ち続ける漫画家だったと思う。確か、あの大友克洋はかつて村野守美のアシスタントをしていたはずだ。大友の才能を最初に評価したのも村野守美だった、という逸話を読んだことがある。

ところで、村野守美の作品に出てくる女性キャラの多くが「妙子」という名前だった。これは村野守美の奥さんの名前だとすぐに知ったのだが、80年代に出た『時間チェイサー』(東京三世社)という短編集の巻末に付された彼のプロフィールの中で、「初恋は女房といっていいでしょう。激しい大恋愛でした。そして離婚されてしまいました。なにひとつ良い想い出を与えることができないまま彼女は僕から去りました。現在も彼女に恋しています。きっと一生恋していくでしょう」というコメントが載っていて、とてもせつない気持ちになったものだ。しかし、今回その死亡記事の中で、喪主が妻の妙子さんである、という一文を見て、少し感動した。再婚していた、ということなのだろうか。それだけでも、よかったな、とぼくは思った。

すぐ近くにある本棚に収められた彼の本を並べてみた。その大半が古本屋を探し回って集めたものだ。本当はもっと持っていると思う。久しぶりに手に取って読み返していると、あまりの素晴らしさに涙が出た。ゆっくりと読み返してみたいと思っている。

村野守美。すごい漫画家だと思う。合掌。


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