セラミドの保湿剤が広まらない理由とは
こんにちは。橋本です。
皮膚のいちばん外側。角層では、セラミドが、肌の水分保持、バリア機能に大きな役割を果たしている。
それが、だんだんと解明されつつあります。
手洗いが増えると、肌が荒れやすくなるのは、肌表面の皮脂膜が洗い流されるせい。
それも間違いではありません。
しかし、それ以上に、水、洗剤などで流されると困るのは、セラミド。
それが今の考えかたになってきました。
セラミドが流れてしまうと、肌の水分も失いやすく、アレルゲンにも感作しやすくなる、というわけです。
また、アトピー患者では、湿疹のない場所でも、セラミドが減っているケースがあることも確認されています 1) 。
そこで、不思議に思います。
なぜ、そんなに重要なセラミドが、保湿剤として、いまいち広まっていないんでしょうか?

コストがかかる
動物や植物にも、セラミドは存在します。
それを抽出して、セラミド原料にしているものもあります。「天然」といわれるものですね。
しかし、これがとても高価なんです。
なぜかというと、動物や植物に含まれるセラミドはほんのわずかで、ある程度の量を取り出すのに膨大な手間がかかるからです。
そのため、一般的な保湿剤には、なかなか使われにくい現状があります。
安価に合成できる尿素とは、ここが大きく違うところ。
天然のセラミドが使われたとしても、ごく微量というのもザラ。
それは、パッケージに表示されている全成分表示を見ても、セラミドがかなり後ろのほうに書かれていることでもチェックできます。
セラミドは溶けにくい
セラミドがごく微量しか配合されない、というのには、ほかにも理由があります。
それは、「セラミドは溶けにくい」ということ。
セラミドは、そのままでは、水分にも油分にも、溶けにくい性質があります。
ですから、何か工夫をしてやらないと、ほんのわずかしか溶け込まないわけで、今も各メーカーが独自の工夫に頭を悩ませています。
保湿クリームなら、強引に「セラミドを練りこむ」ということもできるのですが、その状態で肌に浸透して機能するかは未知数です。
プラスの感触を与えない
そして、もうひとつ。セラミドが、いまいち広まらない理由。
それは、せっかくセラミドを配合しても、保湿剤にプラスの感触を与えないことです。
保湿剤にとって、肌に与える「感触」は、ある意味、保湿効果よりも大事。
ユーザーが、その保湿剤を「リピートしたくなるか」に訴える大事な要素です。
「トロっとする」「モチっとする」「さらっとする」「つるっとする」
肌に塗ったときに、このような感触がプラスされると、「いい保湿剤」のように感じます。
セラミドに比べて、ヒアルロン酸のほうは配合することで、ツルっとした感触を与える。
それもヒアルロン酸がよく普及している理由のひとつではないのかな、と思います。
セラミドを加えることで、悪い感触を与えることはないですが、代わりにプラスの感触を生むこともありません。
セラミドが入ってればOKか?
ここまで見てわかるとおり、セラミドが使われたとしても、ごく微量にすぎない保湿剤も多々見受けられます。
もちろん、セラミドが微量だから、悪い保湿剤というわけではありません。
しかし、セラミドは、ある程度の配合量がなければ、水分保持、バリア機能への貢献を期待できないと考えられています。
その点では、全成分表示を見ることも、セラミド入り保湿剤を選ぶポイントになります。
また、保湿剤に使われる「セラミド」は、ひとくくりにできるものではなく、いろんな種類があるので、「どんなセラミドか」というのも重要です。
さらに、それが角層の中に吸収され、うまく機能してくれるように配合しているのか、というのも見分ける必要があります。
残念ながら、メーカーは、「いい面」しか、なかなか言えないのが、世の中ですからね。
参考文献:
1) 宮地良樹 編: ドライスキンと保湿のメカニズム. 乳液. クリーム. 保湿剤. 化粧品. 臨床医のためのスキンケア入門, 114-138, 先端医学社, 東京, 1997.




