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悪化を未然に防ぐ発想「プロアクティブ療法」とは


こんにちは。橋本です。


アトピーは、長く続く病気。いつおこるかわからない「悪化」との戦い。


そんな面もあるなー、とつくづく思います。


その「悪化」が未然に防げたら、どんなに楽なことか。


ここでは、そんな発想に挑戦する「プロアクティブ療法」についてお話します。


プロトピック軟膏を使ったプロアクティブ療法


プロアクティブ療法とは


プロアクティブといっても、ニキビを治すわけではありません(苦笑)。


プロアクティブ療法とは、症状が出ていなくても、プロトピック軟膏を一定の日数間隔をあけて塗っていく治療法です。


実際には、


1. 適切な治療で皮膚をいい状態にしてから

2. 湿疹のぶり返しが予想される部分に

3. 週2~3回の間隔で

4. プロトピック軟膏を塗り続ける


と、アトピーの症状が、ぶり返しにくくなるという報告があります 1, 2, 3)


プロアクティブ療法は、皮膚科の標準治療ガイドラインでも、


「治療法としてありえるかもしれないねー」


ぐらいの感覚で、軽くふれられています 4)


すべすべの肌をキープする


標準治療は、「症状が出たら、薬を塗って炎症をおさえること」を基本にしていますよね。


いわゆる、「待ち」の治療。


症状が出るのを待ち構える状態です(リアクティブ)。


対して、プロアクティブ療法は、症状が出る前に、事前に薬を塗っておいて、炎症をおさえる。


こっちは、「攻め」の治療ともいえるわけです。


アトピー治療のカギは、「皮膚がいい状態を、なるべく長くキープすること」。


なので、湿疹のぶり返しを未然に防ぐ発想である「プロアクティブ療法」は、ある意味、理想ともいえるんですね。


アトピーの症状が出なくなることを、よく「寛解(かんかい)する」というので、プロアクティブ療法は、「寛解維持療法」ともよばれます。


自己流では危ない


ただし、プロトピック軟膏は、使うのに注意がいる薬です。


どんなケースでも、プロアクティブ療法が有効とはかぎりません。


そしてもし実行するにしても、プロアクティブ療法にこだわるあまり、必要以上に薬を使いすぎてしまわないようにしなければいけません。


そのためには、決められた塗りかた。用法、用量を守ること。


そして、症状をみながら。ときには、検査値も参考にして、お医者さんとよく相談しながら治療するのがベストです。


参考記事:
プロトピックってなに?

参考記事:
プロトピック軟膏の「発がんリスク」について


関連記事:

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触らないお医者さん

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参考文献:

1) Wollenberg A, et al: Proactive treatment of atopic dermatitis in adults with 0.1% tacrolimus ointment. Allergy 63: 742-750, 2008.

2) Breneman D, et al: Intermittent therapy for flare prevention and longterm disease control in stabilized atopic dermatitis : a randomized comparison of 3-times-weekly applications of tacrolimus versus vehicle. J Am Acad Dermatol 58: 990-999, 2008.

3) Thaci D, et al: Proactive disease management with 0.03% tacrolimus ointment for children with atopic dermatitis: results of a randomized, multicentre, comparative study. Br J Dermatol 159: 1348-1356, 2008.

4) 古江増隆, ほか: アトピー性皮膚炎診療ガイドライン.  日皮会誌 119: 1515-1534, 2009.