「標準治療」にまつわる誤解 | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

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アトピー性皮膚炎の標準治療とは


「標準治療」にまつわる誤解


こんにちは。橋本です。


病院で広くおこなわれているアトピーの治療方法。


それを「標準治療」とよぶことがあります。


このブログの内容も「標準治療」をかみくだいてお話しているにすぎません。


ああ。だからこのブログはつまんないんだね、という話もありますが(苦笑)。


ただ、「標準治療」という言葉は、いろいろと誤解されている面もあります。


「うちの病院では、すべての患者さんに標準治療をおこなっています」


そう聞くと、「標準的な治療法ではなくて、もっといい治療法、最先端の治療法を教えてください」と思う人もいます。


「とっておきの治療法はないんですか」と。


なるべくいい治療を受けたいというのは、誰でも同じですからね。


しかし、アトピー治療でいう「標準治療」というのは、「並クラスの治療」を意味していません。


「上・中・下」でランクわけした、「中ランク」の治療、という意味ではないんですね。



独自の理論による治療


以前は、科学的根拠のない治療が病院でもおこなわれていました。


「有名な先生がいう治療だから間違いない」という理由のみでも。


しかし、科学的根拠のない治療を受けても、本当に効果があるかわからない。


つまり、経験や独自の理論だけによる治療では、効果が信頼できないわけです。


効くか効かないかわからない治療まで、まぎれ込んでいたのが昔の医療でした。


それでは治療がうまくいかない人が多く出るのも、当然予想できます。


病院ごとで、治療内容がまるで違う。


そのことで、アトピーの治療をめぐって、情報が混乱を深めていた時代があったんですね。



2つのガイドライン


本当に効果があるのか。危険な副作用は出ないか。


新しい薬は、必ず人間が実際に使ってテストします。臨床試験といわれるものです。


臨床試験の中でも、基準のより厳しいランダム化比較試験をくぐりぬけたもの。


それが薬として発売されます。


ランダム化比較試験がなければ、効果のない薬、危ない薬が、世の中に大量に出回ることになりますからね。


アトピー性皮膚炎に関するランダム化比較試験のデータを集め、厳しく評価して、検証されて導き出した治療法。


その内容は、厚生労働省と日本皮膚科学会。


それぞれから、医師向けに「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」として出ています。


2つのガイドラインには、大きな差はなく、日本皮膚科学会のものは、皮膚の診察による重症度の判定に重点が置かれています。


このガイドラインによって、お医者さんの意見が統一されているので、「お医者さんごとで、治療内容がまるで違う」ということが防げるわけです。



標準治療とは


標準治療とは、科学的根拠に基づいた、現在利用できる最良の治療。一般的な患者さんにおこなわれる治療のことです。


ガイドラインに沿って治療をおこなえば、誰でも、どこでも、同じような治療が受けられる。


そういう意味での「標準治療」なのです。


標準治療は、有効性、安全性がきちんとチェックされた、考えられる中での最善の治療です。


「多くの人が受ける治療」「ふつうの人が受ける治療」というだけで、標準治療とよばれるわけではないのです。


ただし、こまかい治療の内容は、患者の個人差などで変わることは十分あります。


人それぞれです。


診察してくれるお医者さんの能力によっても、こまかい治療の内容は変わります。


しかし、ガイドラインに沿った治療であれば、科学的検証をしていない独自の理論による治療ではなくなるんですね。


標準治療以外の治療は、「すべて効果がない」「間違っている」というわけではありません。


多くの特殊な治療法は、まだきちんと効果が検証されていない。


「効果がわからない」というのが、実際のところです。