ヒアルロン酸って、本当に保湿効果があるの? | 子肌育Blog アトピーに負けない生活。

子肌育Blog アトピーに負けない生活。

子どものアトピー性皮膚炎治療、スキンケアなどについての正しい知識を、わかりやすくまとめています。

ヒアルロン酸って、本当に保湿効果があるの?


こんにちは。橋本です。


「ヒアルロン酸」という文字がパッケージにデカデカと書かれた商品が、ドラッグストアにはたくさん並んでいます。


保湿剤、化粧品なんかでも多いですよね。


詳しくは知らないものの、ヒアルロン酸は「肌がうるおう」「肌が若返る」というイメージをもっている人もいるかもしれません。


ここで、「ヒアルロン酸とは何か」を、さらっとお話したいと思います。


ヒアルロン酸


皮膚の真皮にあるもの


皮膚のいちばん外側の「角層」


その角層を含む「表皮」


さらにその下に、「真皮」という層があります。


この真皮の中に、「ヒアルロン酸」があるんですね。


皮膚のほかにも、動きをよくしたり、クッションの役割として「関節」に。


そして、「目」の中の大部分を埋めるゼリー状の、ガラス体にも、ヒアルロン酸は含まれています。


角層:表皮:真皮


1gで1リットルの水分を


真皮にあるといっても、量はわずかしかないのですが、ヒアルロン酸1gには1リットルの水分をキープする能力があるといわれています。 *1


あくまでも理論上ですが。


それでも保水能力が高いことには間違いがないので、肌の「みずみすしさ」「はり」をサポートしていると考えられます。


さらに、40歳後半から皮膚のヒアルロン酸は減っていき、60歳で若いときの半分の量に落ち込むことが知られています。 *2


つまりこれが、


年齢を重ねたときの皮膚のハリがなくなってくることに関係しているのではないか?


という、ヒアルロン酸を使った化粧品のセールス。


ヒアルロン酸のもつ、「肌がうるおう」「肌が若返る」というイメージにつながるわけですね。


肌に浸透しない理由


こんなに保湿効果が見込めるものなら、「どんどん使えばいいじゃないか」と思ってしまいますが、そうカンタンにはいきません。


保水力の高いヒアルロン酸が、その実力を肌の保湿にパワーを発揮するには、肌の中に浸透する必要があります。


しかし実際には、なかなか肌の中には浸透してくれないのです。


化学構造上、横に長く連なる特徴をもつヒアルロン酸は、どうしても分子量が大きくなります。


ヒアルロン酸の分子量は「数百万」。


正常な皮膚を浸透していくには、分子量はおよそ「500以下」といわれています。


そのため、分子量の大きいヒアルロン酸は、肌の中に入っていけないわけです。


いろいろな工夫をして、分子量を低くしようとはしていますが、肌の中に浸透して保湿効果を発揮するというヒアルロン酸はまだない、というのが現状です。


「プチ整形」といわれているヒアルロン酸注射。


あれが、わざわざ「注射」を使って、ヒアルロン酸を真皮に注入するのは、塗っただけでは外から皮膚に浸透できないためでもあるんですね。


つまり、ヒアルロン酸を肌に塗ったからといって、肌のはり、肌の若返りにつながるとは、いまのところ考えられません。


使用感がいい


「じゃあ、なんで肌に浸透できないものを保湿剤の成分にするの?」


ここまで聞くと正直、そう思ってしまいます。


しかし、ヒアルロン酸は皮膚になじみがいいので、「肌表面に残りやすい」という特徴があります。


そのため、グリセリンなどと一緒に配合されていると、肌表面で保湿効果を出してくれると考えられます。


あきらかな乾燥肌の改善に期待できるかというと、疑問ですが。


それ以上に、ヒアルロン酸がよく使われるようになったのは、保湿剤に混ぜると「使用感がよくなる」ことが理由として大きいんですね。


うまく配合すると、ツルっとした感触がうまれます。


保湿剤に大事なのは、もちろん保湿効果ですが、それと同じくらいに「使用感」も大事です。


毎日使うものなら、なおさら。


また、バイオ技術によって、ヒアルロン酸を大量生産できるようになったのも、ヒアルロン酸が普及してきた理由のひとつです。


参考文献:

1) 宇谷 厚志, 新海 浤: 細胞外基質: グリコイサミノグリカンとプロテオグリカン. 西日皮 61: 350-355, 1999.

2) Longas M. O., et. al. : Evidence for structural changes in dermatan sulfate and hyaluronic acid with aging. Carbohydr. Res. 159: 127-136, 1987.