#2のコントですが、独立しているので、

#1を読んでいなくても楽しめます。

 

ちなみに、#1はこちら


 

大江戸トラベルミステリー
五津川警部シリーズ
『江戸ー盛岡殺人ルート』

鶴井
「(電話で通話中)事件のあった6月12日の午後8時、
 雪之進は盛岡にいたというアリバイがありました。
 江戸で長江屋の店主を殺すことはできません。」

五津川
「(電話で通話中)しかし、状況証拠は揃っている。
 このアリバイさえ崩せれば
 ヤツをお縄にかけることができるのだが・・・。」

鶴井
「警部・・・。」

五津川
「鶴さん。
 その盛岡での雪之進のアリバイは確かなのか?」

鶴井
「複数人の人間が証言しています。
 間違いはないかと。
 そして、翌日13日の午前10時に
 盛岡の宿場のロビーで友人たちと合流しています。
 彼のアリバイは完璧です。」

五津川
「いや、ちょっと待てよ鶴さん。」

鶴井
「何か思いつきましたか、警部。」

五津川
「午後8時に雪之進は盛岡にいた。
 しかし、その直後に盛岡を出て江戸の長江屋まで行き、
 翌日の朝10時までに戻ってくることはできないだろうか。」

鶴井
「確かに14時間の空白の時間はありますが・・・。」

五津川
「(時刻表を取り出し)・・・あった。
 これだ。
 20時16分盛岡発の寝台特急サンライズ籠(かご)に乗る。」

鶴井
「その籠が江戸につくのは?」

五津川
「午前5時30分だ。」

鶴井
「それじゃあ・・・。」

五津川
「あぁ。
 おそらく雪之進はこれを使ったのだろう。」

鶴井
「でも帰りは・・・?」

五津川
「同じサンライズ籠に乗れば。」

鶴井
「ダメです。
 ヘトヘトです。」

五津川
「でも大金を握らせれば・・・。」

鶴井
「だとしてもです。」

五津川
「すると帰りは別の方法を使ったんだな(時刻表を見る)。」

鶴井
「行きだけで9時間半も使ってますけど、帰れますか?」

五津川
「これだ。
 江戸城6時5分発の大名行列の籠に乗る。」

鶴井
「警部!」

五津川
「で、『下にー!下に!』と言いながら・・・。」

鶴井
「警部!」

五津川
「なんだ。」

鶴井
「斬られます。」

五津川
「斬られるか?」

鶴井
「斬られます。
 大名行列の籠なんかに載ったら一発で斬られます。
 アリバイトリックうんぬんの話じゃなくなります。」

五津川
「でも、これなら三日後、15日の午前8時には盛岡に着ける。」

鶴井
「全然間に合ってないじゃないですか。
 13日の午前10時には盛岡にいなきゃいけないんです。」

五津川
「そんなことできるか?」

鶴井
「警部が言い出したんです!」

五津川
「(時刻表を見て)あ、これなら行ける。」

鶴井
「何か見つけました?」

五津川
「午前6時18分に鷹匠が放つ鷹の脚に捕まる。」

鶴井
「警部!」

五津川
「で、そのまま鷹に捕まって盛岡まで・・・。」

鶴井
「警部!」

五津川
「よし、鶴さん。
 目撃者がいるはずだ。」

鶴井
「警部!」

五津川
「13日の早朝、鷹の脚につかまって
 盛岡方向に飛んでいる男を見た者がいないか探してくれ。」

鶴井
「イヤです。」

五津川
「必ず目撃者がいるはずだ。」

鶴井
「いるでしょうね。
 ホントにそうしたのなら。」

五津川
「目撃者が見つかったらまた連絡してくれ。」

鶴井
「見つかる気がしないのですが・・・。」

五津川
「頼んだぞ。」

通話が切れる音
「プツッ。ツー。ツー。ツー。」


(20分後)


呼び出し音
「プルルルルルル・・・。
 プルルルルルル・・・。」

五津川
「もしもし。
 見つかったか?!」

鶴井
「恥ずかしくて3人に聞くのが限界でした。」

五津川
「結果は?」

鶴井
「聞くまでもないかと。」

五津川
「うーん・・・。
 もっと大勢に聞かないと目撃者は見つからないんじゃないか?」

鶴井
「じゃあ警部、代わってください。」

五津川
「断る。」

鶴井
「でしょ?!」

五津川
「あ!」

鶴井
「どうしました?」

五津川
「もしかしたら別の空路を使ったのかも。」

鶴井
「別の?
 鷹に捕まって飛ぶのも空路扱いですか?」

五津川
「飛脚に捕まって盛岡まで戻ったんじゃないか?」

鶴井
「警部!」

五津川
「(時刻表を見て)これだ。
 6時20分発の飛脚の脚につかまって・・・。」

鶴井
「警部!」

五津川
「そのまま盛岡まで空路で・・・。」

鶴井
「警部!」

五津川
「よし、鶴さん。
 13日の早朝、知らない男に両脚をつかまれた覚えのある飛脚を探してくれ。」

鶴井
「警部!」

五津川
「どうした?」

鶴井
「まず、飛脚は飛べません。」

五津川
「え、でも飛ぶ脚って書くよ?」

鶴井
「書くけど飛びません。」

五津川
「詐欺じゃん!」

鶴井
「飛脚を詐欺だって言う人初めて見ました。」

五津川
「飛脚・・・?
 そうか!」

鶴井
「何かわかりましたか、警部!」

五津川
「佐川のトラックに乗ったんじゃないか?」

通話が切れる音
「プツッ。ツー。ツー。ツー。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

時刻表トリックと江戸設定を強引にくっつけたコント。

最初っから設定は崩壊しているのですが、そのまま進行します。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】TSUYU
【コント】怪獣緊急対策室
【コント】面接
【コント】北斗の拳#3
【コント】ブーメラン先生

 

 

 

 

 

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