＃３のコントですが、独立しているので、
＃１、＃２を読んでいなくても楽しめます。
ちなみに、＃１はこちら！
＃２はこちら！
荒くれ１
「・・・（静かにカウンターでお酒を飲んでいる）。」
荒くれ２
「（やってくる）あれ？どうした。
珍しく元気ないな。」
荒くれ１
「あ？あぁ・・・。」
荒くれ２
「なんだよ、お前らしくない。
いつもみたいに徹夜明けみたいなテンションで『ヒャッハー』とか言いなよ。」
荒くれ１
「ごめん。
そんなテンションじゃない。」
荒くれ２
「なに、どうしたの？
大事にとっておいたケーキでも食べられた？」
荒くれ１
「いや・・・。
あのさ・・・。」
荒くれ２
「なになに。改まって。」
荒くれ１
「三日前のことなんだけどさ・・・。」
荒くれ２
「うん。」
荒くれ１
「いつもみたいに徹夜明けみたいなテンションで
『ヒャッハー』ってやってたらさ・・・。」
荒くれ２
「三日前はそのテンションだったんだね。」
荒くれ１
「突然目の前に北斗神拳の使い手とかいうやつが現れてさ。」
荒くれ２
「うんうん。」
荒くれ１
「俺に『あたたたたたた・・・』ってやって、
『お前はもう死んでいる』って言われたんだけど。」
荒くれ２
「・・・え、なにそれ。」
荒くれ１
「いや、わかんないんだよ。」
荒くれ２
「『あたたたた』って？」
荒くれ１
「『あたたたた』って言われながら、身体中つつかれたの。」
荒くれ２
「つつかれたんだ。」
荒くれ１
「それで、その後『お前はもう死んでいる』って言われたの。」
荒くれ２
「三日前に？」
荒くれ１
「三日前に。」
荒くれ２
「ごめん。何それ？」
荒くれ１
「わかんないんだよ。
現にオレ、三日も経ってるのにまだ生きてるし。」
荒くれ２
「その北斗神拳の使い手はどうしたの？」
荒くれ１
「オレの方を振り向きもせず帰っていった。」
荒くれ２
「あー、確認せずか。」
荒くれ１
「どういうことなんだと思う？」
荒くれ２
「わかんない。」
荒くれ１
「オレ、死んだ方がいいのかな。」
荒くれ２
「いや、気にしなくていいんじゃない？」
荒くれ１
「そう？」
荒くれ２
「気にしすぎだよ。
いちいち全てのコメントを拾ってたら精神衛生上よくないし。
スルーでいいんじゃない？」
荒くれ１
「すごいな。
強メンタルだな。」
荒くれ２
「メンタル強くないと、荒くれやってられないよ。」
荒くれ１
「でもさ、『死ね』とかそういうタイプの悪口じゃなくて、
『もう死んでいる』だからね。
今までにないアプローチだから気になっちゃって。」
荒くれ２
「流していいと思うよ。」
荒くれ１
「知り合いとか、それで死んでるやついるらしくて。」
荒くれ２
「え、何それ。都市伝説的なやつ？」
荒くれ１
「都市伝説っていうか、世紀末救世主伝説。」
荒くれ２
「なんかよくわからないけど、
三日経っても無事なんだから問題ないでしょ。」
荒くれ１
「でも一応、気になって翌日に精密検査受けに行ったんだよね。」
荒くれ２
「行ったんだ。
で、どうだった？」
荒くれ１
「全部Ａ判定。」
荒くれ２
「めちゃくちゃ健康じゃん。」
荒くれ１
「俺、もう死んでんのかな。」
荒くれ２
「いや、その歳で全部Ａ判定って逆に長寿記録狙えるんじゃない？」
荒くれ１
「そうなの？」
荒くれ２
「（スマホをいじって）あ、うちの区の長寿記録、１１４歳みたいだよ。」
荒くれ１
「そうなんだ。
でも、気になるなぁ。
『お前はもう死んでいる』って。」
荒くれ２
「いや、大丈夫だって。」
荒くれ１
「・・・そう？」
荒くれ２
「うん。
精密検査の結果、お医者さんに『お前はもう死んでいる』って言われたら、
それはもう家族呼ばないといけないレベルだけど、
医者でも何でもない人に『もう死んでる』って言われても、
何の根拠もないんだから、気にする必要ないと思うよ。」
荒くれ１
「気にしすぎか。」
荒くれ２
「大丈夫だと思うよ。」
荒くれ１
「ありがと。
なんか元気出た。」
荒くれ２
「あんまり飲みすぎるなよ。」
荒くれ１
「うん。
これ飲んだら帰る。」
荒くれ２
「じゃあな。」
荒くれ１
「はいー。」
（３日後）
荒くれ１
「・・・（静かにカウンターでお酒を飲んでいる）。」
荒くれ２
「（やってくる）えー。またテンション低くなってんじゃん。
どうしたの？」
荒くれ１
「昨日、またその北斗神拳の使い手にばったり会ったんだけどさ。」
荒くれ２
「うん。」
荒くれ１
「目が合うなり『あれ？まだ生きてる？』って言われたんだけど。」
荒くれ２
「まぁ、そいつからしたら数日前に『もう死んでいる』って言った相手だからね。」
荒くれ１
「マジでヘコむんだけど。
『あれ？まだ生きてる？』って、クラスのいじめっ子がいうセリフじゃん。」
荒くれ２
「大丈夫だから！
精密検査全部Ａ判定なんだから！」
「いつまで経っても死なない」という発想から広げたコント。
僕のコントでよくある「主人公は舞台上に登場せず、後日談で進行するスタイル」のコントです。
お気に入りの構図なんですよね。
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