(怪獣緊急対策室)

室長
「では、現在我が国で暴れている怪獣・ヨジラの対策ですが・・・。」

新人
「・・・。」

室長
「対策室での協議の結果、
 『みんなでヨジラを無視をする』という方針にしたいと思います。」

新人
「・・・。」

室長
「それでは私は国民への発表の準備をします。
 以上、解散!」


(対策室メンバー全員、席を立つ)


新人
「(勢いよく立ち上がり)ちょっと待ってください!!」

室長
「どうした、新人?
 何か言いたいことでもあるのか?」

新人
「・・・はい、あの・・・。」

室長
「・・・なんだ?」

新人
「・・・マジですか?」

室長
「・・・ん?」

新人
「いや、マジで無視ですか?
 我が国の叡智が集った怪獣緊急対策室が
 総力を上げて考え出した結論が『無視』ですか?」

室長
「新人。
 無視の力をあなどっちゃいかんぞ。」

新人
「別にあなどってないですけど・・・。」

室長
「いいか、ああいう輩は自己顕示欲が強いんだ。」

新人
「自己顕示欲・・・?」

室長
「そうだ。」

新人
「あります?
 怪獣に自己顕示欲。」

室長
「そういう輩は目立つためなら何でもやる。
 言ってみれば炎上商法だな。」

新人
「炎上目的・・・(窓の方を見る)。
 (外を指さし)それであれば、もう目的は果たせていると思います。」

室長
「そんな奴の対応は無視に限る。
 誰からも相手にされなければ大人しくなる。」

新人
「なります?」

室長
「放っておけば、
 土曜日くらいには街の隅で体育座りして泣いてるだろう。」

新人
「週末に怪獣が街の隅で体育座りされてても
 邪魔で仕方ないんですけど。」

部下
「(部屋に入ってくる)室長。
 14時から記者会見を開くという一報を各マスコミに連絡しました。」

室長
「ご苦労。」

新人
「待ってください!
 本気で『無視』で発表するんですか?」

部下
「(ノートパソコンを持ち出し)こちら、発表のスライドです。」

新人
「既に発表のスライドまで・・・。」

室長
「よし、見せてくれ。」

部下
「まず最初のスライド。
 人間の場合における周囲から無視されたときの心への影響力を図にしたものです。」

新人
「人間の場合ですよね。
 怪獣には適用されないですよね。」

部下
「そしてこれが『怪獣 無視』というワードから
 AIが作成した四コママンガです。」

新人
「これを見せてどうするんですか?
 記者全員がポカンとする画しか浮かばないんですけど。」

部下
「最後に『怪獣を無視する時の正しい表情』の画像です。」

新人
「一貫して『だから何?』って資料ばかりですけど。」

室長
「よし、最後に『ご清聴ありがとうございました』のページを追加してくれ。」

部下
「わかりました。」

新人
「静かに聞いてくれますか?
 むしろ挑発とも取れる締めですよ。」

爆発音
「(外から)ドカーン!!」

室長
「なんだ?!」

新人
「(窓から外を見て)あ!
 正義のヒーローみたいなのがヨジラと戦ってる!!」

室長
「何だって?!
 (窓から外を見て)余計なことを!」

新人
「余計でしょうか?」

室長
「おい!
 ヨジラの背後からヒーローに向かって『無視して』のカンペを出せ!」

新人
「余計なことしてるのどっちですか?」

部下
「室長、記者会見は?」

室長
「予定通り14時から始める。」

新人
「やるんですね。」



しかし、マスコミは全てヨジラとヒーローの中継に行ってしまい、記者会見場には1人もやってきませんでした。

翌朝のニュースでは、
・ヨジラと戦ったヒーローは一体何者か?
・終始ヨジラの背後で『無視して』という巨大なカンペを出していた男たちの目的は?
という話題で持ちきりでした。

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

随分前に残していた「怪獣を無視」というメモ書きから広げたコント。

みんなで無視したら、さすがに大暴れしている怪獣でも小首を傾げながら帰っていく・・・のでしょうか・・・。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】カメラ
【お題コント】サザエさん#2
【コント】ドラキュラ
【お題コント】国民的キャラのコラボ
【コント】ざぶとん

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

アメブロのメッセージ機能やtwitterのDMで一言いただけると、励みになります。