時計の音
「ゴーン・・・ゴーン・・・」

女性
「もうこんな時間・・・。
 早く寝ましょう。」

雷鳴
「ゴロゴロゴロゴロ・・・ズドーン!!」

女性
「きゃっ!!カミナリ?!」


(部屋の明かりが消える)


女性
「やだ・・・。
 こんなときに停電・・・?」


「フフフフフ・・・ハハハハハ・・・!!」

女性
「誰?!」

ドラキュラ
「吾輩の名はドラキュラ伯爵。」

女性
「ドラキュラ・・・!?」

ドラキュラ
「さぁ、その血を吾輩に吸わせておくれ・・・。」

女性
「こ、来ないで!!」

ドラキュラ
(女性を羽交い締めにする)

女性
「や、やめて!!」

ドラキュラ
「フフフフフ・・・(ポケットから塩を取り出し、首にふりかける)」

女性
「やめて!!」

ドラキュラ
「ガブッ!!」

女性
「うっ・・・(力が抜け、うなだれる)」

ドラキュラ
「フフフフフ、なかなかの美味であった。」

女性
「(顔を上げる)え、ちょっと待って。」

ドラキュラ
「ん?」

女性
「噛む前、何した?」

ドラキュラ
「はい?」

女性
「噛む前、あたしの首に何した?」

ドラキュラ
「塩をかけたけど。」

女性
「・・・え、なんで?」

ドラキュラ
「吾輩はグルメだからな。
 味わう前に軽く味を整えて・・・。」

女性
「いや、グルメだったらまず最初は素材本来の味を楽しんで。」

ドラキュラ
「でもこの塩、本当においしくて・・・。」

女性
「あたしの血を味わいに来たんでしょ?」

ドラキュラ
「・・・はい。」

女性
「だったらまずは何の味付けもしないで噛むのがマナー。」

ドラキュラ
「すみません。」

女性
「はい、やり直し。」

ドラキュラ
「わかりました。
 お願いしまーす!!」

雷鳴
「ゴロゴロゴロゴロ・・・ズドーン!!」

ドラキュラ
「(女性を羽交い締めにして)さぁ、その血を吾輩に吸わせておくれ・・・。」

女性
「や、やめて・・・!」

ドラキュラ
「ガブッ!」

女性
「うっ・・・。」

ドラキュラ
「うーん・・・
 (首を傾げたのち、ポケットから塩を取り出し振りかけて)ガブッ!」

女性
「うっ・・・。(うなだれる)
 (すぐに頭を上げる)うん。だからさ。だからさ。」

ドラキュラ
「最初、本来の味を楽しみましたよ。
 で、『やっぱり塩味が足りないな』と思って塩を足したんです。」

女性
「いや、失礼じゃん。
 まだあたしの意識があるうちに塩をかけるって。
 『あ、あたし塩分足りないのかな』って落ち込んじゃうじゃん。」

ドラキュラ
「すみません。」

女性
「味をつけていいのはあたしの意識が完全に飛んでから。」

ドラキュラ
「わかりました。」

女性
「はい、やり直し。」

ドラキュラ
「お願いしまーす!」

雷鳴
「ゴロゴロゴロゴロ・・・ズドーン!!」

ドラキュラ
「(女性を羽交い締めにして)さぁ、その血を吾輩に吸わせておくれ・・・。」

女性
「や、やめて。」

ドラキュラ
(簡易七輪を取り出し、女の首を焼く)

女性
「熱い熱い熱い熱い!!
 なにしてんだ!!(振り払う)」

ドラキュラ
「いや・・・、生はもう堪能したんで、焼いてみたらどうかなって。」

女性
「『焼いてみたらどうかな』って言ったけど、
 焼いてみたら嫌がるに決まってるでしょ?」

ドラキュラ
「すみません。」

女性
「焼くのも意識が飛んでから。」

ドラキュラ
「噛むのは?」

女性
「噛むのは意識が飛ぶ前。」

ドラキュラ
「塩は?」

女性
「意識が飛んでから。」

ドラキュラ
「フランベは?」

女性
「あなた、噛むだけじゃ満足できないの?」

ドラキュラ
「グルメなんで・・・。」

女性
「あたしをフランベって・・・。
 酒かけて燃やすってことでしょ?」

ドラキュラ
「臭みを消したくて。」

女性
「うん。
 ただ失礼なこと言ったわね。」

ドラキュラ
「次はちゃんとやります。」

女性
「頼むわよ。」

ドラキュラ
「お願いしまーす!」

雷鳴
「ゴロゴロゴロゴロ・・・ズドーン!」

ドラキュラ
「(女性を羽交い締めにして)さぁ、その血を吾輩に吸わせておくれ・・・。」

女性
「や、やめて・・・!!」

バイブ音
「ウィーンウィーンウィーン・・・。」

ドラキュラ
「(スマホに出る)はい、ドラキュラ。
 ・・・え、そうなの?
 試してみる(スマホを切る)。
 ちょっと失礼します。」

女性
「?」

ドラキュラ
「(ポケットからハチミツを取り出し首にかけて)ガブッ!」

女性
「うっ・・・。」

ドラキュラ
「うーん・・・なるほど。」

女性
「なになになになに?
 いろいろツッコみたいことがあるけどなに?
 まず、誰から電話?」

ドラキュラ
「伯爵友達です。」

女性
「伯爵友達・・・?
 その伯爵友達がなんだって?」

ドラキュラ
「『A型の血にハチミツをかけて吸うとメロンの味がする』って・・・。」

女性
「それきゅうりにやるやつ!!
 あと、自称グルメを語る奴がやっちゃダメ!!」

ドラキュラ
「でも、メロンの味しなかったですね。」

女性
「そりゃそうよ。

 あたしB型だから。」

ドラキュラ
「あぁ、じゃあしょうゆをかけたらウニの味がするやつだ。」

女性
「それプリンにやるやつ!!」

ドラキュラ
「試してみたいなぁ。」

女性
「じゃあ、B型にA型の血を混ぜてみたら?
 AB型の味がするかもよ。」

ドラキュラ
「A型の血にB型の血を混ぜると固まっちゃうからやっちゃダメです!」

女性
「中途半端に医学知識あんのな!!」


「手間取っているようだな、息子よ!!」

ドラキュラ
「その声は!!」

雷鳴
「ゴロゴロゴロゴロ・・・ズドーン!!」


「フフフフフ・・・。」

ドラキュラ
「父上!!」

女性
「ドラキュラの父?!」

ドラキュラの父
「(女性を羽交い締めにして)さぁ、その血を吾輩に吸わせておくれ・・・。」

女性
「や、やめて・・・!!」

ドラキュラの父
「(ポケットから味噌を取り出し、首に塗って)ガブッ!!」

女性
「うっ・・・。いや、あんたもか!!」

ドラキュラ
「わかるわー、父さん。
 ここでその味噌を合わせてくるあたり、さすがだわー。」

ドラキュラの父
「だろ?」

女性
「血は争えないな!!」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

『きゅうりにはちみつをかけるとメロンの味がする』の話とミスマッチなものを組み合わせたいという発想から、ドラキュラと組み合わせてみました。

 

【上演メモ】

人数:3人

ドラキュラ

女性

ドラキュラの父

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:音声や照明スタッフとの連携が大事なコント。裏方とのタイミングも含めて要練習です。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】フック船長
【コント】送り火と迎え火
【コント】エンマの裁き
【コント】スナイパー#2
【コント】ピノキオの鼻#2

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

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アレンジや改変も自由です。

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