#2のコントですが、独立しているので、

#1を読んでいなくても楽しめます。

 

ちなみに、#1はこちら


 

美穂
(男と向かい合って座っている)


「・・・では、話を聞こうか。」

美穂
「(男に写真を渡す)彼女なんですけど。」


「・・・。(写真を見る)」

美穂
「雨宮葵。
 OLです。
 この近くのオフィスで働いています。」


「・・・。」

美穂
「葵とは高校時代の同級生で卒業してからもよく会って一緒に遊ぶ仲でした。」


「・・・何故、俺に暗殺の依頼を?」

美穂
「葵は・・・大輝を・・・あたしの彼氏を奪ったんです!」

スナイパー
「なるほど。」

美穂
「大輝とは大学時代出会いました。
 そのまま付き合い始めて、結婚の話も出かけたのに・・・。
 それを葵が・・・。」

スナイパー
「話はわかった。
 だが、俺の依頼料は高い。
 それでも俺を雇うのか?」

美穂
「腕のいいスナイパーと聞いているので。」

スナイパー
「・・・では、金の話をしよう。
 まずは前金としてスイス銀行に・・・」

店員
「(やってくる)失礼しまーす。
 オムライスのお客さま。」

美穂
「あたしです。」

店員
「(オムライスを置く)残りのご注文、もう少々お待ちください。(戻っていく)」

スナイパー
「・・・一つ聞いていいか?」

美穂
「(オムライスを食べながら)何ですか?」

スナイパー
「何故、ここを商談の場にした?(周りを見回す)」

店員
「いらっしゃいませー。3名様ですか?
 奥のテーブル席へどうぞー。」

美穂
「よく使うファミレスなんです。
 いけませんでしたか?」

スナイパー
「商談の場所として、俺の行きつけのバーを指定したが・・・。」

美穂
「アルコールの匂いダメなんです。
 ここの方が落ち着くので。」

スナイパー
「あまり、こういう人の多い場所で依頼の話をしたことがないから、若干戸惑っている・・・。」

美穂
「すぐに慣れますよ。」

スナイパー
「慣れるかな。
 ・・・では、金の話だ。
 まずは前金としてスイス銀行に・・・」

店員
「(やってくる)失礼しまーす。
 ビッグストロベリーパフェをご注文のお客様ー。」

スナイパー
「・・・(ゆっくり手を挙げる)。」

店員
「こちらになりまーす(ビッグストロベリーパフェを置く)。
 ご注文以上でよろしかったですかー?」

美穂
「はい。」

店員
「ごゆっくりどうぞー。(戻っていく)」

スナイパー
「(スプーン片手に)・・・どうやって食べたらいいんだ、これ?」

美穂
「すごい量ですね。」

スナイパー
「これ食べ終わったら、金の話をしよう。」

美穂
「よろしくお願いします。」

スナイパー
「(スプーン片手に)これ、一旦、ポッキーはポッキーで食べた方がいいのかな。」

美穂
「食べやすいようにどうぞ。」

店員
「お客さま。」

美穂
「はい。」

店員
「申し訳ございません。
 店内混み合ってきましたので、相席でもよろしいでしょうか?」

美穂
「いいですよ。」

スナイパー
「ん?」

店員
「ありがとうございます。」

スナイパー
「いいのか?」

美穂
「え?」

スナイパー
「暗殺の商談を相席の場でするのか?」

美穂
「あ、そうか。つい、いつものクセで・・・。」

スナイパー
「はやく、断るんだ。」

美穂
「あぁ、店員さん行っちゃった・・・。」

スナイパー
「別の場所にするか?俺の行きつけのバーに。」

美穂
「アルコールの匂いがダメなんです。」

スナイパー
「かたくなだな。」

店員
「1名様、こちらのテーブル席へどうぞー。」

美穂
「(店員に)あ、あの相席の件なんですけど・・・。」

店員
「はい。」


「(店員に連れられてやってくる)美穂?」

美穂
「あ、葵・・・。」

スナイパー
「っ(写真の女性を見る)!!」


「えー、何どうしたの!?すごい偶然!」

美穂
「いや・・・、あの・・・、ここよく来るの。」


「へぇ、そうなんだ。
 一緒にいる人は?彼氏?」

美穂
「いや・・・あの・・・。」

スナイパー
(交互に写真と葵の顔を見ている)

美穂
「(小声で)見ない見ない見ない・・・!
 交互に見ない・・・!
 見比べない・・・!」


「・・・美穂?」

美穂
「あ、あぁ。彼は・・・。」

スナイパー
「スナイパーです。」

美穂
「(小声で)・・・こらっ!!」


「ス、スナイパー?」

美穂
「なんでもないの・・・!」


「とりあえず、ここに通されたから座るわね。」

美穂
「そ、そうね。」

スナイパー
(ジーっと葵をニラんでいる)

美穂
「(小声で)ジーっと見ないで・・・!ジーっと見ないで・・・!」


「何・・・?」

美穂
「何でもない。」


「それで?美穂、彼氏できたの?」

美穂
「え?」


「一緒にいる人、彼氏でしょ?」

美穂
「そ、そうなの!(スナイパーに)ね?」

スナイパー
「・・・何の話?」

美穂
「(小声で)合わせろ・・・!!(足を踏む)」

スナイパー
「だぁっ!!そ、そう。彼氏。俗に言う彼氏。」


「出会いは?どんな感じで?」

スナイパー
「ついさっきこの店で・・・」

美穂
「(小声で)考えろ・・・!!(足を踏む)」

スナイパー
「だぁっ!!先日合コンで出会って。俗に言う合コン。」


「そうなんだ。

 あたしも彼氏いるんだけどさぁ・・・。」

美穂
「知ってる。存じ上げてる。
 だから今、あたしとこの人はここにいるんだけど。」

スナイパー
(自分のカバンをゴソゴソいじっている)


「最近、全然構ってくれなくて・・・。」

美穂
「あ、そう・・・。」


「この前も仕事が忙しいって言われてデートの約束ドタキャンされたし・・・。」

美穂
「そうなんだ。
 (小声で)・・・その話する?あたしの前で。」

スナイパー
(自分のカバンをゴソゴソいじっている)


「その前もデート中に仕事の電話がかかってきて、あたしそっちのけで電話を続けるし・・・」

美穂
「へぇー・・・。」

スナイパー
(ライフルを取り出し、葵に銃口を向ける)

美穂
「(小声で)しまえ・・・!しまえ・・・!しまえ・・・!」

スナイパー
(ライフルをしまう)


「(ライフルに気づかず)ん?」

美穂
「いや、なんでもない。」


「で、美穂は彼氏さんのこと、なんて呼んでるの?」

美穂
「え・・・?」


「彼氏。なんて呼んでるの?」

美穂
「と、智彦。」


「そうなんだ。
 彼氏さんは美穂のこと、何て呼んでるんですか?」

スナイパー
「依頼人。」

美穂
「(小声で)ウソ下手くそか・・・!(足を踏む)」

スナイパー
「だぁっ!!み、美穂。美穂。俗に言う美穂。」


「何でも俗に言うのねー。」

スナイパー
「(泣き出す)うっ・・・。うっ・・・!」

美穂
「どうしたの?突然泣き出して・・・。」

スナイパー
「いや、俺、ターゲットを間近で見たことないから、何か感極まっちゃって・・・。」

美穂
「ごめん。その感覚よくわからない。」

スナイパー
「ダメだ・・・。俺、ダメだ・・・。」


「・・・大丈夫?」

美穂
「大丈夫。いつもこうなの。」


「いつもこうなんだ・・・。」

バイブ音
「ウィーン!ウィーン!ウィーン!」


「あ、ごめん、電話。ちょっと席外すね。」

美穂
「うん。」


(スマホを持って外に出て行く)

美穂
「・・・まさかここで葵に会うなんて。」

スナイパー
「では、金の話をしようか。」

美穂
「できるか!!」

スナイパー
「前金はスイス銀行に・・・」

美穂
「誰が払うか!
 依頼する相手を間違えたわ!
 契約は破棄で!
 あたし帰ります(帰って行く)!」

スナイパー
「あ、ちょっと・・・!
 ・・・何がいけなかったんだろう・・・。」


「(戻ってくる)あれ、美穂は?」

スナイパー
「なんか急用ができたとかで・・・。」


「そうなんですか。
 ごめんなさい。あたしも彼氏が近くに来たみたいなんで、ここ出ますね。」

スナイパー
「そうですか。」


「失礼しまーす(帰って行く)。」

スナイパー
「・・・会計して帰るか(レジに向かう)。」

店員
「ありがとうございます。
 1480円になります。」

スナイパー
「これで(カードを渡す)。」

店員
「申し訳ございません。
 スイス銀行のデビットカードでは精算できません(カードを返す)。」

スナイパー
「(後ろの客たちに)俺の背後に立つな!」

店員
「背後も何も、お客さまが支払いに手間取ってるから行列ができているだけです。」

スナイパー
「では、PayPayで。」

店員
「ありがとうございます。」

スナイパー
「(スマホを見て)あ、当たった。」

店員
「おめでとうございます。」

スナイパー
「スイス銀行に振り込んでもらえるかな。」

店員
「無理です。」

スナイパー
「(後ろの客たちに)俺の動画を撮るな!」

店員
「それも無理です。」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

随分前から頭の中にはあった設定のコント。

一度書いたのですが、最後まで書けずそのままにしていたのですが、

アイディアを考え直して、今回形になりました。

 

さて、今回のコントがこのブログの250本目のコントになります。

目標の1000本のまだ1/4。

まだまだこのブログは続きます。

 

【上演メモ】

人数:4人

美穂

スナイパー

店員

 

所要時間:5分~6分
上演難易度:★★★☆☆
備考:最初はファミレスの設定を伏せておき、途中で観客にそれを伝えたり、

大きなライフルを隠しておいて、ボケのタイミングで机の上に出したりと、

準備と稽古が大変なコントになりそうです。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ツルのおんがえし#3
【お題コント】宅配サービス
【コント】3本の矢
【コント】ブレーメンの音楽隊
【コント】落語

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

・公開までにアメブロを退会された場合、公開を見送る場合があります。

 

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