以前の「リサイクルショップ」のコントでの感想より。
今度は、何か宅配サービスネタを見てみたいです。
というわけで、今回のお題は「宅配サービス」です。
今回のお題は小後 舞真さんからいただきました。
小後 舞真さん、ありがとうございます。
歩美
（部屋に入ってくる）
ユウキ
「トイレわかった？」
歩美
「わかった。
ちょっと迷ったけど。」
ユウキ
「ならよかった。」
歩美
「あ、そうそう。
２５日の夜なんだけどさ、ライブ行かない？」
ユウキ
「あ、２５日？今月の？」
歩美
「うん。」
ユウキ
「２５日。あ、明後日か。」
歩美
「あ、何か予定入ってる？」
ユウキ
「いや・・・。
多分だいじょうぶ。」
歩美
「やった！
じゃあ、一緒にいこうね！」
ユウキ
「あぁ。」
歩美
「・・・。」
ユウキ
「・・・。」
歩美
「ねぇ。」
ユウキ
「ん？（ペットボトルを取り出す）」
歩美
「・・・前から聞きたかったんだけどさ・・・。」
ユウキ
「何？（ペットボトルのフタを開ける）」
歩美
「・・・ユウキのおじいさん。」
ユウキ
「うん。（お茶を飲む）」
歩美
「・・・サンタじゃない？」
ユウキ
「ゲホッ！ゲホッ！
はぁ？何言ってんの？
っていうか、まだサンタクロース信じてるの？」
歩美
「信じてないわよ。
とっくの昔に信じるのやめたし。
２２でやめた。」
ユウキ
「それでも遅ぇよ。」
歩美
「ねぇ、ユウキのおじいさん、サンタクロースなんじゃない？」
ユウキ
「違ぇよ。
何だよ、その『俺のおじいさん、サンタクロース説』。
何を以ってサンタって言ってんだよ。」
歩美
「さっき、トイレに行く途中に見つけちゃったんだけど。」
ユウキ
「何を？」
歩美
「ダンボール。」
ユウキ
「ダンボール？」
歩美
「まだ組み立てられてない新品のダンボール。
『サンタ宅配サービス』って書いてあるヤツ。」
ユウキ
「拾ったんだよ。」
歩美
「部屋一杯にあったのよ？！
おじいさんの部屋一杯に！
『サンタ宅配サービス』のダンボールが！」
ユウキ
「何、勝手に部屋を覗いてんだよ。」
歩美
「ちょっと開いてたから中が見えちゃったのよ。」
ユウキ
「俺のおじいちゃん、そのダンボールが気に入ってんだよ。」
歩美
「おじいさん、今、どこにいるのよ。」
ユウキ
「ペットの散歩だよ。」
歩美
「ペット？」
ユウキ
「トナカイの。」
歩美
「サンタじゃん！」
ユウキ
「サンタじゃねぇよ。
今、ペットとして、トナカイ飼うのがブームなんだよ。」
歩美
「そんなブームないわよ。
だいたい、トナカイって、エサ、何あげればいいのよ。」
ユウキ
「プロテイン。」
歩美
「体力つけようとしてんじゃん！
明らかに、おじいさん乗せたソリを曳こうとしてんじゃん！」
鈴の音
「（外から）♪シャンシャンシャンシャン」
歩美
「鈴の音！
サンタが来るときに聞こえる鈴の音！
外から聞こえてる！」
ユウキ
「違うよ。あれはウチのおじいちゃんの自家用車のエンジン音だよ。
これから、父さんが洗車するんだよ。」
歩美
「おじいさんの自家用車？」
ユウキ
「うん。」
歩美
「車種は？」
ユウキ
「ソリ。」
歩美
「サンタじゃん！」
ユウキ
「サンタじゃねぇよ！
中古車センターで買ったんだよ！」
歩美
「ソリのエンジン音ってなによ！
ソリのエンジン音が『♪シャンシャンシャンシャン』ってなによ！」
ユウキ
「おじいちゃんがサンタって考えすぎだよ。」
歩美
「あ、じゃあ、おじいさんがサンタっていう決定的な証拠出そうか？」
ユウキ
「決定的な証拠？」
歩美
（カバンから写真を取り出し、渡す）
ユウキ
「何、これ。」
歩美
「前から気になってたって言ったじゃない。
だから、この前、探偵を雇って、おじいさんを尾行させたの。」
ユウキ
「お前、何、人のおじいちゃんを探偵に尾行させてんだよ！」
歩美
「まずこれ。
おじいさんがコインランドリーから出て来るところ。
手に持ってるの、赤いサンタの衣装じゃん！」
ユウキ
「違うよ。
これはデカいちゃんちゃんこだよ。」
歩美
「次にこれ。
トナカイにソリをひかせる練習の写真。
この写真なんて、ちょっと浮いてんじゃん！」
ユウキ
「違うよ。
これは人が乗れるタイプのドローンだよ。」
歩美
「あとこれ！
世界中からサンタの私書箱に届いた手紙をもらってる写真！」
ユウキ
「違うよ。
これはアイドル時代からの追っかけからの手紙だよ。」
歩美
「ウソが下手くそか！
何？『デカいちゃんちゃんこ』とか、
『人が乗れるドローン』とか、
『アイドル時代からの追っかけ』って！」
スマホのバイブ音
「ウィーンウィーンウィーン。」
ユウキ
「（電話に出る）もしもし。あ、おじいちゃん。」
歩美
「サンタから？！
サンタ疑惑から？！（スマホを奪おうとする）」
ユウキ
「（手ではねのけて）２５日の夜の。うん。いいよ。
おじいちゃんが南北アメリカ大陸で、父さんが欧州とアフリカ。
じゃあ僕がアジアとオセアニアでいいかな。」
歩美
「サンタじゃん！
配達地域の段取り組んでんじゃん！（スマホを奪おうとする）」
ユウキ
「（手ではねのけて）うん。一晩で回れると思う。
うん。もうおじいちゃんも歳だから、残りは僕たちに任せて。」
歩美
「ユウキもサンタじゃん！
親子三代でサンタじゃん！」
ユウキ
「（電話を切る）何だよ、うるさいなぁ。」
歩美
「（指を指し）サンタじゃん！」
ユウキ
「サンタじゃねぇよ！」
歩美
「いや、もうごまかせないから！現行犯だから！」
ユウキ
「・・・。」
歩美
「・・・。」
ユウキ
「・・・まぁ、そうだな。」
歩美
「認めるの？」
ユウキ
「認める。
さっきの赤い服はデカいちゃんちゃんこじゃありません。」
歩美
「人が乗れるタイプのドローンっていうのは？」
ユウキ
「ソリです。」
歩美
「アイドル時代からの追っかけっていうのは？」
ユウキ
「おじいちゃんはアイドルやってません。」
歩美
「・・・おじいさんはサンタクロースなの？」
ユウキ
「そう。サンタクロース。
おじいちゃんが十三代目。
父さんが十四代目。
俺が十五代目。」
歩美
「世襲制なんだ。」
ユウキ
「代々やってます。」
歩美
（両手を差し出し、何かを受け取ろうとするポーズ）
ユウキ
「なに？」
歩美
「プレゼント。」
ユウキ
「ねぇよ！
ねぇし、やらねぇし！」
歩美
「ちぇっ！
じゃあ・・・、タレ込んでいい？」
ユウキ
「タレ込む？」
歩美
「文春に。」
ユウキ
「絶対ダメだよ！
何、文春砲打とうとしてんだよ！
『恋人はサンタクロース』じゃねぇよ！」
歩美
「いや、こんなビジネスチャンス、滅多にないから！」
ユウキ
「お前、恋人の先祖代々の秘密を『ビジネスチャンス』って言葉で表現するなよ！」
歩美
（両手を差し出し、何かを受け取ろうとするポーズ）
ユウキ
「だから、ねぇよ！
ねぇし、やらねぇし！」
歩美
「ちぇっ！」
ユウキ
「（時計を見て）あ、もうこんな時間。
そろそろ、配達に行かないと。」
歩美
「え、まだ２３日だよ。」
ユウキ
「時差があるから、早めに行動しないといけないんだよ。」
歩美
「なるほど。」
ユウキ
「あと、２５日はお前とライブ見に行くし。」
歩美
「あ、うん。」
（二人外に出る）
ユウキ
「（ソリに乗って）じゃあ、いってくるから！」
歩美
「うん！」
ユウキ
「（トナカイに）よーし、行くぞ、お前たち！
とぉーっ！（空高く舞い上がる）」
歩美
「（手を振って）いってらっしゃーい！」
ユウキ
「メリークリスマース！」
歩美
「（手を振って）２５日待ってるからー！」
ユウキ
「おーぅ！」
歩美
「（手を振って）文春に連絡していいー？！」
ユウキ
「絶対すんなーっ！！」
歩美
「・・・行っちゃった。
（手のひらを前に出して）あ、雪・・・。」
（歩美の出した手のひらに、包装された小箱が落ちて来る）
歩美
「え・・・？
（箱を見て）・・・あたしの分、ちゃんとあるじゃない。
（空を見上げて）・・・ありがとう。サンタさん！」
この週に「宅配サービス」というお題であれば、
やはりサンタだろうということで、２０１７年版のサンタクロースのコントです。
最初は『サンタ疑惑のおじいさんを探偵に尾行させる』から始まり、
どんどん枝葉をつけていった結果、探偵の件はそんなに目立たない存在になってしまいました。
最後のオチは・・・。たまにはこんな余韻を残すコントもいいのではないかと。
人数：２人
ユウキ
歩美
所要時間：５分～６分
難易度：★★★★☆
備考：途中までは会話のみですが、最後のシーンの表現はかなり難しいです。
でも、最後のシーンこそ肝なので、どう演じるか、悩みどころですね。
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