エンマ大王
「（紙を見ながら）うーん・・・
真面目な人生を送っていたようだな。
よし、お前は天国行き！」
死人１
「ありがとうございます！（天国に向かう）」
エンマ大王
「はい、次！」
死人２
「よろしくーっす！」
エンマ大王
「（紙を見ながら）うーむ・・・
詐欺を繰り返したと書かれているが？」
死人２
「あぁ。老人をね、ちょっとダマして金をもらうってね。
ちょろいモンっすよ。」
エンマ大王
「お前は地獄行き！！」
死人２
「あんだよぉ！！（地獄に向かう）」
エンマ大王
「はい、次！」
斎藤
「よろしくお願いします！！」
エンマ大王
「うーむ・・・。
妻の稼いだお金をすべてギャンブルにつぎ込んだとあるが・・・？」
斎藤
「どうしてもギャンブルがやめられなくて・・・。
それで、妻と言い争っているうちに、
妻が投げた灰皿がたまたま頭に当たって死んでしまいました。」
エンマ大王
「お前も地獄行きじゃ！」
斎藤
「ですよねー・・・（地獄に向かう）」
エンマ大王
「お！ちょっと待てぃ！！」
斎藤
「はい？」
ＢＧＭ
（ファンファーレが鳴り響く）
子鬼たち
「おめでとうございまーす！！（斎藤を取り囲んで、クラッカーを鳴らす）」
斎藤
「はい？はい？なんですか？」
エンマ大王
「お主は地獄来訪者、記念すべき１０００億人目じゃ！
おめでとう！！」
子鬼たち
「おめでとうございまーす！！（改めてクラッカーを鳴らす）」
斎藤
「ありがとうございます・・・。
地獄でも、そういう記念があるんですね。」
エンマ大王
「いろいろ特典があるぞ。ぜひ受け取ってくれ。」
斎藤
「特典？」
エンマ大王
「まず、三途の川がある。
お前、泳げるか？」
斎藤
「幼少のころからカナヅチです。」
エンマ大王
「最初の特典として、イカダを用意した。
万が一に備えて救命胴衣もつけて川を渡ってくれ。」
斎藤
「あ、ありがとうございます。助かります。」
エンマ大王
「続いて、釜茹で地獄じゃ。」
斎藤
「あー・・・
僕、熱いのダメなんですよね・・・」
エンマ大王
「安心しなさい。お前さん専用の釜を用意した。
スーパー銭湯レベルの湯加減じゃ。」
斎藤
「それなら入れる！
ありがとうございます。」
エンマ大王
「続いて、針山地獄じゃ。」
斎藤
「うわぁ、痛そうだなぁ・・・」
エンマ大王
「針山地獄についたら、この紙を係員に渡しなさい。（紙きれを渡す）」
斎藤
「（受け取る）なんですか、これ？」
エンマ大王
「針山地獄の従業員専用ロープウェイの乗車許可証じゃ。
これで一気に頂上に渡れるぞ。」
斎藤
「うわぁ、そういうのあるんですね！
助かります。」
エンマ大王
「最後に血の池地獄じゃ。」
斎藤
「なんか、気持ち悪そうだなぁ。」
エンマ大王
「ここでも、お主専用の血の池を用意した。
血の色をした入浴剤を入れたお風呂に入って、
地獄めぐりの疲れをいやしてくれ。」
斎藤
「なんか、至れり尽くせりですね。
ありがとうございます！」
エンマ大王
「さらに、血の色をした入浴剤・１年分もプレゼントじゃ！
（『地獄っ！！』と書かれた紙袋を渡す）」
斎藤
「（紙袋を受け取る）わー！なんて斬新な紙袋なんだ・・・。
おみやげ、ありがとうございます！」
エンマ大王
「最後に、一番の目玉プレゼントじゃ！」
斎藤
「目玉プレゼント？」
エンマ大王
「今回の死亡取り消し権じゃ！」
斎藤
「死亡取り消し権？！
ということは・・・」
エンマ大王
「今すぐ生き返って、もう一度人生をやりなおしなさい。」
斎藤
「いいんですか！？（体が光りだす）」
エンマ大王
「もう妻の稼ぎをギャンブルにつぎ込むんじゃないぞ！！（手を振る）」
斎藤
「はい！ありがとうございました！！（消える）」
（斎藤の家）
斎藤
（倒れている）
斎藤の妻
「（斎藤の体にすがり）あなたー！！
まさかこんなことで死ぬなんてー！！」
斎藤
「・・・ん？（起き上がる）」
斎藤の妻
「あ、あなた？！
よかったー！生き返ったー！！」
斎藤
「あ、そうか。本当に生き返ったんだ・・・。
（妻に）ただいま。」
斎藤の妻
「（泣きながら）おかえり、あなたー！！
死んじゃったのかと思ったー！！」
斎藤
「うん。一瞬地獄を見たけど・・・。」
斎藤の妻
「あら、あなた。右手に持っている『地獄っ！！』て書かれた紙袋は何？」
斎藤
「うん。冥土の土産。マジの。」
斎藤の妻
「マジの？」
【コント・セルフ・ライナーノーツ】
大学時代に作ったコントの原案を少し修正して作ったコントです。
針山地獄とか血の池地獄とかはなんとなく地獄のイメージとしてあるのですが、
他に地獄ってありましたっけ・・・？