五津川鶴井
(地図の貼られたホワイトボードの前に立っている)

鶴井
「事件があったのは19日の15時2分。
 事件現場は東北の平野峠。
 しかし、容疑者の安岡はその日の12時に東京にいたことが確認されています。
 12時に東京にいた安岡が、15時に平野峠で藤咲を殺すのは不可能です。」

五津川
「(時刻表を見ながら)いや、どこかに盲点があるハズだ。」

鶴井
「時刻表トリックですか。」

五津川
「そうだ。
 その証拠に、安岡は12時3分東京着の新幹線のチケットをわざわざ財布に入れていた。
 普段、捨てるようなものを財布に入れているなんておかしい。」

鶴井
「確かに。
 事件のあったのは6月19日。
 何か特別な出来事はなかっただろうか・・・。」

五津川
「それだ、鶴さん。
 6月19日は平野峠行きの特別列車が運行した日だ。」

鶴井
「そうなんですか。」

五津川
「わたしも事件そっちのけで見に行った。」

鶴井
「あぁ、警部が一日音信不通だったあの日ですか。」

五津川
「もし、安岡がその特別列車に乗ったとすると、平野峠に着くのは14時42分。
 15時に犯行は十分可能だ。」

鶴井
「あとは12時に東京にいた安岡がその特別列車に乗ることができたかどうか、ですね。」

五津川
「あぁ。
 特別列車の始発は初野高原だ。
 東京から初野高原に行くには・・・。」

鶴井
「12時26分発初野高原行きという電車がありますね。」

五津川
「そうだな。
 この電車が終点に着くのが13時2分か・・・。」

鶴井
「あぁ、ダメです、警部。」

五津川
「どうした?」

鶴井
「平野峠行きの特別列車が初野高原を出発するのが、12時57分。
 13時2分到着では、特別列車には間に合いません。」

五津川
「5分前に電車は出ているのか・・・。
 ・・・いや、追いつく方法はある!
 安岡は初野高原で協力者と待ち合わせをしていたんだ!」

鶴井
「・・・協力者?
 協力者とは一体・・・?」

五津川
「ドラえもんだ。
 安岡はドラえもんからタケコプターを受け取り、
 一気に特別列車を追い越して、北初野駅に13時5分に到着。
 特別列車が北初野駅に到着するのが13時7分。
 これで15時には平野峠に着ける。
 よし、アリバイは崩れた!
 鶴さん、逮捕状を取ってくれ!!」

鶴井
「警部、ちょっと待ってください!」

五津川
「なんだ、私の推理に穴があるというのか?」

鶴井
「協力者の部分が・・・納得いきません!!」

五津川
「うーん、確かに安岡とドラえもんの接点がないか。」

鶴井
「もう一度考え直しましょう。」

五津川
「12時3分に東京にいる以上、
 安岡が初野高原に到着できるのはどんなに早くても13時2分。」

鶴井
「でも、特別列車は5分前に出ています。」

五津川
「5分前・・・。
 そうか、それだ!!」

鶴井
「わかりましたか!」

五津川
「確かに安岡が初野高原に到着したのは13時2分。
 しかし、安岡は12時57分発の特別列車に乗ることができたんだ!」

鶴井
「一体、どうやって・・・?!」

五津川
「ドラえもんだ。
 安岡は初野高原で待っていたドラえもんと合流し、タイムマシンを借りた。
 そして10分前の12時52分に戻ったんだ。
 これで12時57分の特別列車に乗ることができる。
 よし、アリバイは崩れた!
 鶴さん、逮捕状を!!」

鶴井
「警部、待ってください!!」

五津川
「なんだ、私の推理に問題でもあるのか?」

鶴井
「ドラえもんの部分が・・・腑に落ちませんっ!!」

五津川
「うーん、確かにドラえもんが簡単にタイムマシンを貸してくれるとは思えない・・・。」

鶴井
「別の方法を考えましょう。」

五津川
「初野高原ルートで考えると、特別列車には乗れない。
 このルートに固執しない方がいいかもしれないな。」

鶴井
「確かに。」

五津川
「・・・はっ!そうか!!
 安岡はそもそも特別列車には乗らなかったんだ!」

鶴井
「じゃあどうやって15時に平野峠に・・・?」

五津川
「ドラえもんだ。
 安岡はドラえもんからどこでもドアを借りて、一気に平野峠へ・・・。」

鶴井
「警部!」

五津川
「途中、しずかちゃんのお風呂も経由して・・・。」

鶴井
「警部!!」

五津川
「なんだ。」

鶴井
「どこでもドアは・・・西村京太郎の敵です!!」

五津川
「・・・でも、これしか方法ないよ?」

鶴井
「警部!!」

五津川
「・・・あーぁ。
 何かないかな、タケコプターもタイムマシンもどこでもドアも使わずに平野峠に行く方法。」

鶴井
「時刻表を繋ぎ合わせればトリックは見えるはずです。」

五津川
「・・・藤咲の死因はなんだっけ?」

鶴井
「崖から突き落とされたことによる脳挫傷です。」

五津川
「崖から突き落とされた・・・。
 それだ!!
 安岡は東京にいながらにして、藤咲を平野峠から突き落としたんだ。」

鶴井
「どうやったんですか?」

五津川
「ドラえもんだ。
 ドラえもんから空気砲を借りて・・・。」

鶴井
「パシーン!(五津川を平手打ち)」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

典型的な緊張と緩和のコント。

シリアスなシーンと思いきや、ドラえもんの登場で一気に緊張の糸が切れてしまう。

もう、あとはめちゃくちゃなコントです。

 

【上演メモ】

人数:2人

五津川

鶴井

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★★☆☆
備考:前半は説明セリフが多いので、地図を使って動きをつけるなど工夫が必要です。

後半、ドラえもんを絡めた推理のシーンは一気にまくし立てるのがいいと思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【お題コント】邪馬台国
【お題コント】七福神
【コント】お主もワルよのぉ
【お題コント】聖火リレー
【お題コント】履歴書

 

 

 

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