かぐや姫
（空を見ている）
おじいさん
（少し離れたところでかぐや姫を見ている）
おばあさん
「（おじいさんの元にやってくる）おじいさん。」
おじいさん
「ばあさんか。」
おばあさん
「どうしました？」
おじいさん
「あれを見てみなさい。
かぐやが寂しそうに月を見ておる。」
かぐや姫
（空を見ている）
おばあさん
「本当ですね。
あんなに寂しそうなかぐやを見たことがありません。」
おじいさん
「さっきからずっとあの調子なのだ。
一体どうしたら・・・。」
かぐや姫
「・・・おじいさん。おばあさん。」
おじいさん
「どうした？
かぐや。」
かぐや姫
「実はお二人にお話ししなければならないことがあります。」
おじいさん
「なんだい？」
かぐや姫
「今までずっと黙っていたのですが・・・。」
おじいさん
「あぁ。」
かぐや姫
「実は私は満月の夜に・・・。」
おじいさん
「・・・満月の夜に？」
かぐや姫
「オオカミ人間になるのです（オオカミの姿に変わる）。」
おじいさん
「あ、そっち？！」
かぐや姫
「『そっち』とは？」
おじいさん
「いや、予想と違う方向にハンドル切られたからビックリした。」
かぐや姫
「どんな予想を立てられていたんですか？」
おじいさん
「いや、満月の夜に月に帰るのかと・・・。」
かぐや姫
「月に帰る？」
おじいさん
「そう。」
かぐや姫
「そんなリアリティのない話・・・。」
おじいさん
「いや、オオカミ人間に変身するっていうのもなかなかだよ。」
かぐや姫
「そんなわけで、月一ペースでオオカミ人間になりますが、よろしくお願いします。」
おじいさん
「帰るわけじゃないんだ。」
かぐや姫
「はい。ずっといます。」
おじいさん
「あー、そうなんだ。」
おばあさん
「役所に届け出出しておきましょうか。」
おじいさん
「あぁ、よろしく。」
かぐや姫
「届け出出してなかったんですね。」
おじいさん
「なんか勝手に、ある程度したら帰るものだと思ってたもので。」
かぐや姫
「ご迷惑でした？」
おじいさん
「そんなことないそんなことない。」
おばあさん
「ちなみに食事はやっぱり肉料理の方がよかったですか？」
かぐや姫
「いえ、野菜料理の方が好きです。」
おじいさん
「意外・・・。
オオカミ人間なのに・・・。」
かぐや姫
「竹から生まれてきてますから。」
おじいさん
「そこはかぐや姫の設定の方が生きてくるんだね。」
かぐや姫
「肉はあまり好きじゃないですね。」
おじいさん
「結構サバサバしてるね。」
かぐや姫
「『竹を割ったような性格』ってよく言われます。」
おじいさん
「かぐや姫の設定、だいぶ強めだね。」
かぐや姫
「肉よりも野菜好きだし、男性は草食系が好きです。」
おじいさん
「もうキャラ設定は完全にかぐや姫だ。」
かぐや姫
「草食系男子を見ると、食べちゃいたくなります。」
おじいさん
「それは比喩？
それとも物理的な意味で？」
かぐや姫
「さっきから設定設定ってなんですか？」
おじいさん
「かぐやはどっちの設定で行きたいの？」
かぐや姫
「どっちの設定って、オオカミ人間ですから。」
おじいさん
「いや、オオカミ設定ほとんどないよ。」
かぐや姫
「そうですか？」
おじいさん
「心臓に銀の弾丸を受けたら死ぬ？」
かぐや姫
「心臓に弾丸を受けたら、オオカミ人間じゃなくたって死ぬと思います。」
おじいさん
「それは確かにそうだ。」
（外が光りだす）
おじいさん
「うわ！なんだ？！
（外を見る）あれは？！
空から光る牛車が降りてきた！！
やっぱりかぐや、月に帰る設定は生きてたんだな！」
かぐや姫
「いえ、わたしじゃありません。」
おじいさん
「え？」
おばあさん
「月に帰ることになりました。」
おじいさん
「ばあさんがそっちの設定？！」
リンクする２つのものをつなげる発想から生まれたコント。
かぐや姫がテーマのコントは実は久々だったりします。
人数：３人
かぐや姫
おじいさん
おばあさん
所要時間：３分～４分
上演難易度：★★★★☆
備考：オオカミ人間であるかぐや姫をどう演じるかによって上演難易度が変わると思います。
ここは演出次第なので、いろいろ考え甲斐があるところです。
【コント】ルターとルソー
【コント】東方見聞録
【お題コント】特異体質
【コント】勝訴
【コント】西遊記＃３
今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。
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