ルター(１４８３～１５４６) ：ドイツの神学者
ルソー(１７１２～１７７８) ：フランスの哲学者
男
「どちらかに名前を変えて欲しいんです！」
ルター
「・・・はい？」
男
「わかりにくいんです！
覚えにくいんです！
受験生たちが挫折するんです！」
ルター
「えーと、ごめんなさい。
・・・あなたは？」
男
「千堂といいます。」
ルター
「千堂さん？」
千堂
「２０２０年の日本で塾講師をしています。」
ルター
「２０２０年・・・？
日本・・・？
塾講師・・・？」
千堂
「別の名前にしてください！！」
ルター
「ごめん、ごめん、ごめん。
わかんない。
話が飛びすぎてて。」
千堂
「どこがわからないんですか？」
ルター
「え、全部。」
千堂
「だからですね。
２０２０年の受験勉強で、ルターとルソーが覚えにくいんです！」
ルター
「受験勉強？」
千堂
「なんで覚えにくいんだろうって考えたらわかりました。
名前がかぶり気味なんです。」
ルター
「名前がかぶり気味・・・。」
千堂
「だから、名前を変えていただきたく、やってきたんです。」
ルター
「いやいやいや、あの・・・、え？
私の名前が覚えにくいから変えろって？」
千堂
「はい！」
ルター
「あの・・・、まず、ルソーって？」
千堂
「フランスの哲学者です。
１８世紀に活躍します。」
ルター
「・・・１８世紀？」
千堂
「はい！」
ルター
「・・・え、今、１６世紀だよ。
あっちの方が後なんだから、あっちが変えてよ。」
千堂
「私もそう思って、最初、ルソーのところに行ったんです。」
ルター
「そしたら？」
千堂
「パクったのは向こうだって言われて・・・。」
ルター
「いや、パクるって何？
なんで２００年後の人の名前をパクらなきゃいけないの？
申し訳ないけど、その人の功績も知らないし。」
千堂
「名前を変えてくださいっ！！」
ルター
「いやいやいやいや！
後出ししてるの向こうなんだから、向こうが変えるべきでしょ！」
千堂
「もう『ルター』と『ルソー』と『タルタルソース』の区別がつかないんです！」
ルター
「それはあなたに問題があるよ！
人、人、ソースだから！
せめてタルタルソースの区別はつけられるようにしよう。」
千堂
「チキン南蛮につけるのは何でしたっけ？
ルターでしたっけ？」
ルター
「私じゃない！
チキン南蛮につけるのはタルタルソース！
チキン南蛮に私をつけないで！
ベタベタするから！」
千堂
「免罪符で許してくれませんか？」
ルター
「許さない！
私、免罪符に異を唱えてるんだから！」
千堂
「マヨネーズとゆで卵とパセリを混ぜたやつがルターですか？」
ルター
「それもタルタルソース！！
私、どんな作り方でできてると思われてんだよ！」
千堂
「釣り糸の先につけるやつがルターですか？」
ルター
「それはルアー！
釣り糸に私が結わい付けられてたら、何かの見立てだと思われるよ！」
千堂
「ワンピースの主人公がルター？」
ルター
「それはルフィ！
私、海賊王目指してないから！」
千堂
「旅行ですか？」
ルター
「それはツアー！」
千堂
「自宅でネット環境を構築するときに・・・」
ルター
「ルーター！」
千堂
「星？」
ルター
「スター！」
千堂
「砂糖だ！」
ルター
「シュガー！」
千堂
「名前を変えてください！（頭を下げる）」
ルター
「名前を変えたところでお前には覚えられないよ！」
千堂
「もしかして私のこと、バカだと思ってませんか？」
ルター
「思ってる！
私と砂糖の見分けがつかないんだから！」
千堂
「そうそう！
あなたの新しい名前候補を考えてきたんです。（懐からメモを取り出す）」
ルター
「話聞いてる？
変えないって言ってるでしょ？」
千堂
「管（くだ）とかどうですか？」
ルター
「絶対ヤだよ！
なんだよ、ドイツの神学者・管（くだ）って。」
千堂
「覚えやすいと思うんです。」
ルター
「確かに覚えやすいよ！
まず、由来から知りたくなるよ！」
千堂
「管（くだ）、ダメか・・・。」
ルター
「『管（くだ）いいねぇ！』となるとでも思ったか。」
千堂
「では、第２希望いきます。」
ルター
「管（くだ）、第１希望だったんだ。」
千堂
「えー、第２希望は・・・『ブタ』。」
ルター
「悪口じゃん。」
千堂
「どうですか、ブタ。」
ルター
「ヤだよ。」
千堂
「覚えやすくないですか、ブタ。」
ルター
「確かに覚えやすいけど。」
千堂
「改名してください、このブタ！」
ルター
「もうそれ意味変わってるよね！」
千堂
「では、第３希望。」
ルター
「改名しないっていってるのに・・・。」
千堂
「『草』。」
ルター
「却下。」
千堂
「もしくは、『ルターｗ』。」
ルター
「却下。」
千堂
「『つんく♂』みたいな感じで・・・。」
ルター
「却下。」
千堂
「第４希望は・・・。」
ルター
「もう却下！全部却下！帰れ！！」
千堂
「受験生が覚えられないんです！」
ルター
「語呂とかで覚えろ！」
千堂
「語呂？」
ルター
「『ルーター壊したのドイツだ！免罪符じゃ許さん！』。
これで、ルターとドイツと免罪符が紐付く！」
千堂
「じゃあタルタルソースは？！」
ルター
「『ソース』とついてる時点でソースだ！！」
千堂
「ありがとでしたぁーーー！！（帰っていく）」
ルター
「まったく・・・。
・・・わたし、５００年後に『覚えにくい』って言われるのか・・・。
すげーショック・・・。」
歴史上の偉人に直接、文句を言いにいくシリーズ。
過去にクレオパトラやガウディでやってますが、今回はルターとルソーです。
たまにごっちゃになるんですよね、この２人。
人数：２人
ルター
千堂
所要時間：４分～５分
上演難易度：★☆☆☆☆
備考：難しい演出のない会話劇なので、実演難易度は高くないと思います。
ルアーからシュガーまでの言葉の応酬はテンポよく進める必要があるので、ここは要練習です。
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