以前書いた「歴史上の人物」の感想より。

 

凄くリアルに感じられて面白いです!
こういうので女性版もお願いしたいです^^

 

というわけで、今回のお題は「歴史上の人物・女性版」です。

 

今回のお題はツッキーさんからいただきました。

 

ツッキーさん、ありがとうございます。

 


 

フランスの哲学者、ブレーズ・パスカルは言った。
『クレオパトラの鼻がもう少し低ければ、歴史は変わっていたであろう』と。
 



クレオパトラ
(玉座に座っている)


(玉座から数メートル離れてひざまづいている。)

クレオパトラ
「にわかには信じられない話だが・・・。」


「はい。」

クレオパトラ
「そなたがタイムトラベラー・・・。」

タイムトラベラー
「はい。
 2018年の日本からやってまいりました。」

クレオパトラ
「2018年。
 それはまた、ずいぶん未来だな。
 遠いところ、ご苦労であった。」

タイムトラベラー
「いえ。」

クレオパトラ
「で、私に用というのは?」

タイムトラベラー
「クレオパトラ様。」

クレオパトラ
「なんだ?」

タイムトラベラー
「もう少し鼻を低くしていただけないでしょうか?」

クレオパトラ
「・・・は?」

タイムトラベラー
「歴史を変えたいんです。
 鼻を低くしていただけないでしょうか?」

クレオパトラ
「ごめんごめん。
 飛びすぎ飛びすぎ。
 話が飛びすぎ。
 え、何?どういうこと?」

タイムトラベラー
「17世紀の哲学者であるパスカルが言ったんです。
 『クレオパトラの鼻がもう少し低ければ、歴史は変わっていたであろう』って。」

クレオパトラ
「あたしの鼻が低ければ・・・。」

タイムトラベラー
「鼻を低くしてください!」

クレオパトラ
「いやいやいや。」

タイムトラベラー
「あなたの鼻が低くなれば、歴史は変わるんです!」

クレオパトラ
「いや、それって比喩でしょ?
 たとえでしょ?
 本当にそうなるわけじゃないから!」

タイムトラベラー
「歴史を変えたいんです!」

クレオパトラ
「さっきから、歴史、歴史って言ってるけど、
 キミの住んでいる2018年では何か問題が起きているの?」

タイムトラベラー
「それはもう大問題が。」

クレオパトラ
「・・・何?」

タイムトラベラー
「僕、彼女がいるんですけど、
 彼女と同じ大学に行こうねって一緒に勉強してたんです。」

 

クレオパトラ
「彼女と・・・。」


タイムトラベラー
「でも、蓋を開けてみたら、彼女だけ合格。僕は不合格。
 滑り止めも受けてなかったから、浪人決定ですよ。」

クレオパトラ
「・・・。」

タイムトラベラー
「鼻を低くしてください!」

クレオパトラ
「できるか!
 そんな個人的な都合で歴史を変えられるか!
 ・・・そもそも、あたしの鼻が低くなっても、歴史、変わらないからね。」

タイムトラベラー
「ちょっとやってみていいですか?鼻。」

クレオパトラ
「ダメだって。」

タイムトラベラー
「いいんですか?言いますよ?」

クレオパトラ
「言うって、何を?」

タイムトラベラー
「未来に帰ったら、クレオパトラは実はゴミ屋敷に住んでたって学会でいいますよ。」

クレオパトラ
「何その脅迫!
 卑怯すぎるでしょ!」

タイムトラベラー
「ちょっと鼻を低くするだけです。」

クレオパトラ
「・・・ほんのちょっと?」

タイムトラベラー
「ほんのちょっと。」

クレオパトラ
「ミリ単位?」

タイムトラベラー
「ミクロン単位。」

クレオパトラ
「ならいいよ。」

タイムトラベラー
「ありがとうございます!」

クレオパトラ
「どのくらい低くすれば・・・」

タイムトラベラー
「ちょっと押すくらいでいいと思うんです。
 押しますよ。」

クレオパトラ
「どうぞ。」

タイムトラベラー
(クレオパトラの鼻を押す)

スイッチ音
「カチッ!」

タイムトラベラー
「あ、今、『カチッ』って音がした!
 歴史変わったんじゃないですか?!」

クレオパトラ
「どうなってんの?
 あたしの鼻、どうなってんの?」

タイムトラベラー
「では、僕は2018年に帰ります。」

クレオパトラ
「帰るんだね。」

タイムトラベラー
「ありがとうございました!」

クレオパトラ
「うん。もう来ないでね。」

 



クレオパトラ
(玉座に座っている)

タイムトラベラー
(玉座から数メートル離れてひざまづいている。)

クレオパトラ
「・・・何で戻ってきた。」

タイムトラベラー
「また問題が起こりまして。」

クレオパトラ
「問題?」

タイムトラベラー
「彼女が別の人に変わってました。」

クレオパトラ
「本当に歴史変わったんだ・・・。」

タイムトラベラー
「というわけで、鼻をいじります。」

クレオパトラ
「ちょっと待て!」

タイムトラベラー
「もうちょっと強く押さないといけないみたいです。」

クレオパトラ
「待て待て待て!」

タイムトラベラー
「はい、押しまーす。」

スイッチ音
「カチッ!」

タイムトラベラー
「よし!」

クレオパトラ
「ホント、どうなってるの?
 頭部のCTの映像が見たいんだけど。」

タイムトラベラー
「それではお世話になりました。」

クレオパトラ
「お世話してないけどね。」

タイムトラベラー
「さようなら!」

クレオパトラ
「もう来ないでね!」

 



クレオパトラ
(玉座に座っている)

タイムトラベラー
(玉座から数メートル離れてひざまづいている。)

クレオパトラ
「何でまた来るの?」

タイムトラベラー
「違います。
 今回はお礼です。」

クレオパトラ
「お礼?」

タイムトラベラー
「彼女が戻ったんです。」

クレオパトラ
「それはよかった。」

タイムトラベラー
「そして、不合格の歴史が変わり、
 2人で同じ大学に受かりました!」

クレオパトラ
「よかったじゃないか。
 あたし、まだ鼻が痛いけど。」

タイムトラベラー
「お大事にしてください。」

クレオパトラ
「キミのせいだけどね。」

部下
「クレオパトラさま。」

クレオパトラ
「何だ?」

部下
「タイムトラベラーと名乗る男がやってきました。」

クレオパトラ
「嫌な予感・・・。
 とりあえず、通せ。」

部下
「(入り口に向かって)よし、入れ!」

タイムトラベラー2
「(部屋に入って来ながら)すみません!
 鼻を押させてください!」

クレオパトラ
「案の定かよ!」

タイムトラベラー1
「どうかしたんですか?」

タイムトラベラー2
「会社の面接で失敗しちゃって。」

タイムトラベラー1
「なるほど。
 (クレオパトラの方に導き)どうぞ。」

クレオパトラ
「『どうぞ』じゃない!
 何、先輩風吹かせてるの!」

タイムトラベラー2
「これ、押せばいいんですか?」

クレオパトラ
「『これ』って言うな!」

タイムトラベラー1
「『カチッ』って音がするまで、押してください。」

クレオパトラ
「何かの説明書みたいな表現するな!」

タイムトラベラー2
(鼻を押す)

クレオパトラ
「・・・。」

タイムトラベラー1
「・・・どうですか?」

タイムトラベラー2
「音しませんね。」

タイムトラベラー1
「ちょっとコツがあるんですけど、
 少しだけ左にズラしながら、押し込む感じで。」

クレオパトラ
「何、そのコツ。」

タイムトラベラー2
(鼻を押す)

スイッチ音
「カチッ。」

タイムトラベラー2
「あ、押せました押せました。」

タイムトラベラー1
「あなたの人生、変わるといいですね。」

タイムトラベラー2
「ありがとうございました!(帰っていく)」

タイムトラベラー1
「(満足気な顔で)ふぅ・・・。」

クレオパトラ
「『ふぅ』じゃない。『ふぅ』じゃないよ。
 すっかりキミがコーディネーターみたいになってるけど・・・」

部下
「クレオパトラさま。」

クレオパトラ
「何?!」

部下
「タイムトラベラーの方が来ました。」

クレオパトラ
「また、来たの?!」

タイムトラベラー1
「通してください。」

クレオパトラ
「なんで、キミがOK出すの?!」

部下
「(入り口に向かって)よし、入れ!」

タイムトラベラー3
「(武装した男がやってくる)戦争を止めに来た!」

クレオパトラ
「なんかスゴイの来た!」

タイムトラベラー1
「戦争ですか。それは止めましょう。
 (クレオパトラの方に導き)さぁ、どうぞ。」

クレオパトラ
「キミのポジションは何なの?
 クレオパトラの何なの?」

タイムトラベラー1
「『戦争、止まれ』と強く念じながら、鼻を押してください。」

タイムトラベラー3
「これ、押せばいいのか?」

クレオパトラ
「だから、あたしのこと、『これ』って言うな!」

タイムトラベラー1
「『カチッ』と音がするまで、押してください。」

タイムトラベラー3
(鼻を押す)

クレオパトラ
「・・・。」

タイムトラベラー1
「鳴りませんね。」

タイムトラベラー3
「やり方が悪いのかな。」

タイムトラベラー1
「ちょっとコツがいるんですけど、
 左にズラす感じで押していただけると。」

タイムトラベラー3
(鼻を押す)

クレオパトラ
「・・・。」

タイムトラベラー1
「鳴りませんね。」

タイムトラベラー3
「お。」

タイムトラベラー1
「どうしました?」

タイムトラベラー3
「この鼻、回る。」

クレオパトラ
「回るの?
 あたしの鼻、回るの?」

タイムトラベラー1
「あ、じゃあ一旦、
 左に2周回してみましょう。」

タイムトラベラー3
「左に2周。」

タイムトラベラー1
「次、右に1周。」

タイムトラベラー3
「右に1周。」

タイムトラベラー1
「次、左に3周半。」

タイムトラベラー3
「左に3周半。」

スイッチ音
「カチッ。」

タイムトラベラー3
「鳴った!」

クレオパトラ
「金庫?!
 あたし、金庫?!
 金庫開けるみたいな動きしたけど。」

タイムトラベラー3
「戦争が・・・終わった・・・。(しみじみと立ち尽くす)」

クレオパトラ
「なんなの、これ。
 あたしの玉座の前で浸らないで。
 あと、鼻戻して。今、逆向いてるから。左に3周半回したから。」

タイムトラベラー3
「それでは自分は帰ります。」

タイムトラベラー1
「平和な世界を噛み締めてください。」

タイムトラベラー3
「ありがとう!(帰っていく)」

タイムトラベラー1
「はい、次の方ー。」

クレオパトラ
「キミは何なの?
 すっかり、このポジションに収まってるけど。
 あと、鼻戻して。あたし、世界三大美女なの。鼻が上下逆向いてるとか論外だから。」

タイムトラベラー1
「次の方、いないかな?」

クレオパトラ
「これいつまで続くの?」

タイムトラベラー1
「ずっと。」

クレオパトラ
「ずっとなの?!
 あたしの残りの人生、ずっと未来から来た人間に鼻をいじられ続けるの?!」

タイムトラベラー1
「パスカルがそういう言葉を残したから、仕方ないですよ。」

クレオパトラ
「パスカルがねぇ・・・。
 ・・・あ!」

タイムトラベラー1
「どうしました?」

クレオパトラ
「ちょっとキミ、タイムトラベルの装置貸して。」

タイムトラベラー1
「いいですけど、どちらへ?」

クレオパトラ
「17世紀。」

タイムトラベラー1
「17世紀?」

クレオパトラ
「パスカルに発言を変えてもらってくる。」

 



フランスの哲学者、ブレーズ・パスカルは言った。
『クレオパトラの鼻が低くても、歴史は変わらないから、みなさん、来ないでください』と。

いや、パスカルの名言が変わってる時点で、歴史変わってるんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

女性の歴史上の人物って誰がいるかいろいろ考えたのですが、

最終的にパスカルの名言から広げる形になりました。

 

さて、今回のコントで200本のコントを上げたことになります。

いやぁ、6年間で書いたなぁ。

 

ショートショートの神様、星新一先生は1000本以上のショートショートを書いたとのことなので、

この数字に追いつけ追い越せの気持ちで、これからもがんばります。

 

【上演メモ】

人数:5人

クレオパトラ

タイムトラベラー1

タイムトラベラー2

タイムトラベラー3

部下

 

所要時間:5分~7分
所要時間:★★★★☆
備考:鼻が回る箇所をどう表現するかが難しいですね。

セリフでフォローするか、小道具を作るかだと思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】何か出してと言ったばっかりに
【コント】明日、天気になぁれ
【コント】マジックショー
【コント】留守番電話
【コント】正しいサンタの捕まえ方

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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