#2のコントですが、独立しているので、

#1を読んでいなくても楽しめます。

 

ちなみに、#1はこちら


 

刑事1
「黒田。
 お前が安川さんを殺したんだろ?」

黒田
「殺してないです。」

刑事1
「すべての状況がお前が犯人であることを示してるんだよ。」

黒田
「知らないです。
 ホント、意味がわからない・・・。」

刑事2警部
(取調室をマジックミラー越しに見ている)

刑事2
「なかなか口を割りませんね。」

警部
「これは長期戦だな。
 ・・・ん?」

刑事2
「どうしました。」

警部
「・・・ヤツの顔、どこかで見たことがあると思ってな。」

刑事2
「あれ、警部知りません?」

警部
「何を?」

刑事2
「芸人なんです、黒田。」

警部
「芸人?」

刑事2
「はい。よくテレビに出てますよ。
 バラエティ番組とか。」

警部
「芸人なのか・・・。
 しかし、アイツが犯人であることに間違いはない。」

刑事2
「何か根拠が?」

警部
「さっきから、黒田のヤツ、ずっとニヤニヤしてるんだ。」

刑事2
「・・・確かに。
 どこか余裕がある表情ですね。」

刑事1
(取調室を抜けて、2人の元にやってくる)

警部
「どうだ?」

刑事1
「ダメですね。
 『わからない。知らない。』の一点張りです。」

警部
「(マジックミラーで取調室の様子を見ながら)しかし、間違いなくヤツが犯人だ。」

刑事1
「・・・ただ、黒田のヤツ、さっきからおかしなことを言っていて。」

警部
「おかしなこと?」

刑事1
「ずっと、私に小声で『もう取れ高取れたんじゃないですか?』とか、
 『もうネタバラシしていいんじゃないですか?』とか聞いてくるんです。」

警部
「・・・どういうことだ?」

刑事2
「もしかして黒田・・・、これがドッキリか何かだと勘違いしてないですかね。」

警部
「いや、それはないだろ。
 本当の警察署に連れてかれてるんだぞ。」

刑事2
「でも、警部。
 見てください。(マジックミラーの先の取調室を指差す)」

警部
「ん?」

刑事2
「黒田、キョロキョロしてるでしょ?」

警部
「あぁ。」

刑事2
「あれ、きっと、隠しカメラを探してるんです。」

刑事1
「あ、さっき、小声で『あそこの観葉植物の陰にあるんですよね、カメラ』って言われました。」

刑事2
「ほら、間違いないですよ。」

警部
「そんなことあるか?
 こっちはマジメに取り調べしてんだぞ。」

刑事2
「いや、黒田は最近、ドッキリ系の仕事ばかりなんです。」

刑事1
「そうそう。
 この前は『実家の浴室の真下に油田が見つかった』ってドッキリにかかってましたね。」

刑事2
「だから、もう感覚おかしくなっちゃってるんですよ。」

警部
「つまり、これもドッキリだと思ってるってこと?」

刑事2
「警部、見てください。(取調室を指差す)」

警部
「ん?」

刑事2
「黒田、使えそうなリアクションを何パターンもやってますよ。」

警部
「いや、もうドッキリのプロだな。
 ここまでくると。」

刑事1
「どうします?
 普通に取り調べしても、まともな供述は得られないですよ。」

警部
「・・・仕方ない。
 一旦、ドッキリと思わせよう。」

刑事2
「ドッキリと思わせる?」

警部
「一度、収録は終わったと思わせて、改めて取り調べを続けよう。」

刑事2
「なるほど。」

刑事1
「行ってきます。」

警部
「あぁ、頼む。」

刑事2
「うまくいくかな・・・。(マジックミラー越しに取調室を見る)」

刑事1
「(『ドッキリ』と書かれたプラカードを見せながら入ってくる)はい、テッテレー!」

黒田
「うわぁ!もうなんだよー!
 全部ウソかよー!」

刑事2
「あぁ、見たことある見たことある。
 こういうリアクション。」

刑事1
「今回の取り調べ、全部ウソでしたー!」

黒田
「なんだよー!
 危うく自供するとこだったよー!」

警部
「ウソつけ。」

黒田
「・・・あれ?(キョロキョロする)」

刑事1
「どうしました?」

黒田
「カメラマンは?」

刑事1
「・・・はい?」

黒田
「いや、こういうネタバラシの時って、カメラマンもついてきますよね。」

刑事1
「えーと・・・。」

警部
「マズいぞ!
 黒田のヤツ、疑ってる。」

刑事2
「俺、行ってきます。(取調室に向かう)」

警部
「あぁ、頼む。」

刑事2
「(スマホのカメラを向けながら入ってくる)はい、テッテレー!」

黒田
「カメラ来たー!
 けど、雑!!」

刑事2
「ドッキリでしたー!」

黒田
「ドッキリのクオリティ高いけど、ここまで雑な撮影初めてですよ。」

刑事2
「すみません。
 予算がないもので。」

黒田
「テレビ局が撮影機材を揃えられないって死活問題ですね。」

警部
「正論言われてる。」

黒田
「ちなみに、なんて番組ですか?」

刑事1
「・・・え?」

黒田
「タイトルです。
 この番組のタイトル。」

刑事2
「えーと・・・。」

警部
「何でもいいから適当な番組名を!」

刑事2
「・・・『ドッキリ巌流島』です。」

警部
「とっさに出たタイトルとはいえ、ヒドイぞ。」

刑事2
「はい、オッケーです。(スマホをしまう)」

黒田
「中途半端なところで切りましたね。」

刑事2
「もう取れ高充分なんで。」

黒田
「カメラ目線で『大成功!』は?」

刑事2
「もう、そういうのいいです。」

黒田
「潔いんですね。『ドッキリ巌流島』。」

刑事2
「潔いんです。『ドッキリ巌流島』。」

警部
「タイトル気に入ってる?『ドッキリ巌流島』。」

黒田
「よし、ネタバラシも終わったし、帰ります。(帰ろうとする)」

刑事2
「あ、帰らないでください。」

刑事1
「まだ取り調べが・・・。」

黒田
「え、もうロケ終わりましたよね。」

刑事2
「ドッキリは終わりました。」

刑事1
「でも、まだ取り調べが終わってないんです。」

黒田
「え、だとしたらどこの部分がドッキリだったんですか?」

刑事2
「えーと・・・。」

警部
「また、正論言われてる。」

黒田
「お疲れさまでしたー。(帰ろうとする)」

刑事1
「待ってください!」

刑事2
「まだ終わってないんです!」

黒田
「でも、さっきネタバラシを・・・。」

刑事1
「ちょっと不手際があって・・・。」

刑事2
「そうそう!テイク2撮らせてください!」

警部
「いや、無理あるだろ、テイク2って。
 ドッキリなんだよ?」

刑事1
「・・・。」

刑事2
「・・・。」

黒田
「・・・手短に終わらせちゃいましょう。」

刑事1刑事2
「ありがとうございます!(黒田に深々と一礼)」

警部
「やるんだ、テイク2・・・。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

先日あった「魔法のランプを買ったらニセモノだと気づいて訴えた」というニュースを見て、

ドッキリ的なコントを書きたいなーと思い、考えてみました。

 

「黒田」という名前はよくドッキリにかけられるあの人から・・・。

 

【上演メモ】

人数:4人

刑事1

刑事2

警部

黒田

 

所要時間:5分~6分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:取調室と警部たちの間に壁をしめす簡易的なセットがあるとわかりやすいかなと思います。

「実家の浴室の真下から油田が見つかった」ドッキリの部分は自由にアレンジ可能です。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】金の斧、銀の斧#2
【コント】親指姫と一寸法師
【コント】夏の健康診断
【コント】お岩さん
【コント】留守番電話

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

↓こんなコメントでもOKです!

・今回のコント、実演(アニメ化)するならキャストは誰

お気に入りのセリフは何?

・「実家の浴室の真下から油田が見つかった」を別のドッキリにするとしたらどんな架空のドッキリがいいですか

コントのお題も募集してます。