金太郎
「考えてる・・・?」

桃太郎
「(何かを紙に書きながら)うーん。」

浦島太郎
「(何かを紙に書きながら)難しいですね・・・。」

金太郎
「できた?」

桃太郎
「(ペンを置く)できました。」

浦島太郎
「(ペンを置く)わたしも。」

金太郎
「では、改めて今回の会議の趣旨のおさらいです。」

桃太郎浦島太郎
「はい。」

金太郎
「桃太郎、浦島太郎については、
 日本人はストーリーを話すことができます。」

桃太郎浦島太郎
「はい。」

金太郎
「しかし、金太郎はストーリーにインパクトがないせいか、
 ほとんどの人がストーリーを話すことができません。」

桃太郎浦島太郎
「はい。」

金太郎
「今回の会議でインパクトのあるストーリーを作りたいと思います。」

桃太郎浦島太郎
「よろしくお願いします。」

金太郎
「(手元の紙を取り出し)では、オレの考えたストーリーを発表します。」

桃太郎
「お願いします。」

金太郎
「『遠い昔、はるか彼方の銀河系で』」

桃太郎
「ちょっと止めます。」

金太郎
「何ですか?」

浦島太郎
「ダメじゃないですか。」

金太郎
「ダメかな。」

桃太郎
「絶対、ジョージルーカス製作総指揮でしょ。」

金太郎
「宇宙を舞台にした壮大なストーリーなんだけど。」

桃太郎
「絵本の金太郎を読みだしたお母さんが
 いきなり『遠い昔、はるか彼方の銀河系で』って言いだしたら、
 子供、二度見するよ。」

金太郎
「ダメか・・・。」

浦島太郎
「じゃあ、桃太郎さん、お願いします。」

桃太郎
「(手元の紙を取り出し)では、読み上げます。」

金太郎
「お願いします。」


桃太郎
「東京荒川の河川敷で地元の輸入業者社長・富樫の変死体が発見された。」

金太郎
「ん?」

桃太郎
「衣類や周囲に争った形跡があるものの、
 金品は盗まれておらず、顔見知りの犯行と推測された。」

浦島太郎
「サスペンスもの?」

桃太郎
「事件を解決するため、叩き上げ刑事・船越英一郎が調査に乗り出す!」

金太郎
「オレ、出てきてないじゃん!」

桃太郎
「ん?」

金太郎
「オレ、出てきてないじゃん。
 金太郎の新しいストーリーを考えてるのに。」

桃太郎
「あ、そうか。」

金太郎
「これじゃ、タイトルが『金太郎』じゃなくて、『英一郎』になっちゃうから。」

桃太郎
「確かに・・・。」

金太郎
「では、浦島太郎さん。どうぞ。」

浦島太郎
「(手元の紙を取り出し)では、読み上げます。」

金太郎
「お願いします。」

浦島太郎
「今日はあの娘と初デートの日。
 昨日はほとんど眠れなかった。」

桃太郎
「ラブストーリーかな。」

浦島太郎
「何を着て行こうかな。
 いつもの『金』と書かれた前掛けにしようか。」

金太郎
「いや、論外でしょ。」

浦島太郎
「ひらがなの『き』と書かれた前掛けにするか、
 カタカナの『キ』と書かれた前掛けにするか・・・。」

桃太郎
「前掛けをやめる発想はないの?」

浦島太郎
「よし、今日はオシャレにアルファベットの『K』にしよう!」

金太郎
「ダメじゃない?」

浦島太郎
「ダメですか。」

金太郎
「ラブストーリーの主人公が前掛けしてたら、
 気になってストーリー入ってこない。」

浦島太郎
「でも、前掛けやめたら、誰かわからないですし・・・。」

金太郎
「そんなことないよ。」

桃太郎
「クマにまたがってればいいんじゃない?」

金太郎
「人だかりできるよ。
 彼氏が待ち合わせにクマにまたがって現れたら。」

浦島太郎
「ダメですか・・・。
 んー・・・、やっぱり最初に読む人の心を掴まないとダメかもしれないですね。」

金太郎
「どういうこと?」

浦島太郎
「桃太郎にしても、浦島太郎にしても、導入の部分がまず印象的じゃないですか。」

金太郎
「たしかに。」

浦島太郎
「桃太郎なら、桃から赤ちゃんが生まれてきたり・・・。」

金太郎
「よし。
 じゃあ、オレが金の延べ棒から生まれてこよう。」

桃太郎
「いや、ダメでしょ。」

金太郎
「金の延べ棒を割ったら、中からオレが・・・。」

浦島太郎
「確かにインパクトはあります。」

桃太郎
「でも、読者は心配になるから。
 『おい、おじいさん、おばあさん、冒頭からどうした?』と。」

浦島太郎
「『金の延べ棒なんか割って』と。」


金太郎
「ダメか・・・。」

浦島太郎
「浦島太郎なら子供がカメをいじめてるところから始まりますよね。」

金太郎
「よし、クマがカメをいじめるところから始めよう。」

桃太郎
「だから、ダメでしょ。」

金太郎
「ダメ?」

浦島太郎
「カメがタダじゃ済まないです。」

桃太郎
「あと、子供が泣く。」

金太郎
「よし、冒頭の一文をたくさん考えよう!」

浦島太郎
「・・・どういうことですか?」

金太郎
「冒頭の一文だけたくさん案を出して、
 読者にどの一文ならこの後のストーリーを読みたいか投票してもらおう。」

桃太郎
「確かにそれなら、読者のニーズにも答えられるかも。」

浦島太郎
「よし、案を上げて行きましょう。」


3人はインパクトのある冒頭の一文を次々に挙げていった。
そして、2週間後・・・。
投票の結果が出た!

 

 


金太郎の前掛けをお母さんがぜんぶ洗濯してしまいました。108票

金太郎がニューヨークに旅立ってから半年が経った 143票

「金太郎さん、一体、何を飲んだの?!」村に叫び声が響いた。 195票

金太郎、クマ「もしかしてオレたち、入れ替わってるーーーっ?!」 264票

金太郎には80歳年の離れた血の繋がった兄がいるのですが・・・ 174票

こんにちは。金太郎です。 302票

遠い昔、はるか彼方の銀河系で 12票


 

 


桃太郎
「また出したんだ、『遠い昔、はるか彼方の銀河系で』。」

金太郎
「どうしても捨てきれなくて・・・。」

浦島太郎
「でも、受け入れられなかったですね。」

金太郎
「ちなみに悪役の名前は『ダース・ベアー』って言うんだけど・・・。」

桃太郎
「やっぱり、クマ出てくるんだね。」

 

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

ストーリーを主人公本人が考えるというアイディアは前からあったのですが、

「金太郎のストーリーは誰もわからない」というところから、このアイディアを紐づけて、構成を決めていきました。

 

個人的に「英一郎」と「ダース・ベアー」がお気に入りです。

 

【上演メモ】

人数:3人

金太郎

桃太郎

浦島太郎

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★★☆☆
備考:今回も一番のネックは衣装だと思います。

衣装が無理なら、セリフでカバーする必要があるので、どこかでキャラクターの名前を呼ぶセリフをいれてください。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】記憶喪失
【コント】天使と悪魔の2択の話#2
【コント】キャッツアイ
【コント】天使と悪魔の二択の話#5
【コント】スナイパー

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

・公開までにアメブロを退会された場合、公開を見送る場合があります。

 

↓こちらでも面白いブログがきっと見つかる!はず。
にほんブログ村 お笑いブログ 自作面白ネタへ
にほんブログ村


お笑い&ジョーク ブログランキングへ