(壁を乗り越えようとしている太った男性3人)


建部
(やってくる)

太った3人組
(いろいろ試しているが、どうがんばっても壁を超えられない)

建部
「・・・?」

太った3人組
(惜しいとかいうレベルではなく、どう考えても無理)

建部
「・・・どうかされましたか?」

リーダー
(耳打ちをする)

建部
「中に入りたいんですか?」

太った3人組
(うなづく)

建部
「どのようなご用で?」

リーダー
(耳打ちをする)

建部
「あぁ。館長とお話が・・・。」

太った3人組
(うなづく)

建部
「わたし、職員なんで開けられますよ。

 今、開けますね。(センサーに入館証をかざす)」

センサー
「ピピッ!ウィーン。(ドアが開く)」

建部
「どうぞ。」

太った3人組
(足早に中に入っていく)

建部
「・・・何の用なんだろう?」

サイレン
「ビーッ!ビーッ!ビーッ!!」

建部
「?!」

アナウンス
「緊急事態発生!
 緊急事態発生!」

建部
「なんだなんだ?!」

太った3人組
(何かを抱えて、ものすごい勢いで外に走っていく)

建部
「・・・?」


(1時間後、会議室)


刑事
「本日、皆様にお集まりいただいたのは他でもありません。」

建部
「・・・。」

刑事
「今度、この美術館で展示予定だった世紀の名画『プロヴァンスの食卓』が盗まれました。」

館長
「えぇっ!?」

館員1
「プロヴァンスの食卓が・・・?!」

館員2
「一体誰に・・・?」

建部
「・・・。」

刑事
「落ち着いてください。
 もう犯人の目星はついています。」

館長
「一体、犯人は誰・・・?」

刑事
「『キャッツアイ』です。」

館員1
「キャッツアイ・・・?」

刑事
「名前だけは聞いたことがあるでしょう。
 世界中のお宝を盗む神出鬼没の女怪盗。美人三姉妹です。」

館員2
「なんと・・・。」

建部
「・・・。」

刑事
「実は先日、この美術館に予告状が届いていたんです(カードを取り出す)。
 念のため、我々が警備に当たっていました。」

建部
「・・・。」

刑事
「予告状の時間、300人体制でプロヴァンスの食卓の警備に当たりました。
 しかし、残念ながら誰一人キャッツアイの姿を見ることなく、名画は奪われてしまった。
 我々の完全なる敗北です。」

館長
「さすがキャッツアイ・・・。
 鮮やかな犯行だ・・・。」

建部
「・・・。」

刑事
「今、我々は手分けして周辺の捜索を行っています。
 何か手がかりがあるかもしれません。」

館員1
「確かに。」

建部
「(手を挙げる)・・・あの、すみません。」

館員2
「どうした?」

建部
「あの・・・、キャッツアイではないと思うのですが、怪しい人たちは見ました。」

館長
「本当か?!」

刑事
「キャッツアイ?!」

建部
「いや・・・、キャッツ・・・っていうか、トドみたいなのが。」

館員1
「3人組?」

建部
「まぁ、はい。
 3人でした。」

刑事
「格好はレオタード?」

建部
「レオタードっていうか、全身タイツでした。
 大の大人の悪ふざけみたいな格好。」

館員2
「美人三姉妹?」

建部
「・・・三姉妹っていうか、まず男でした。
 伊集院みたいなのが3人。」

館長
「伊集院三姉妹?!」

建部
「落ち着いてください。男です。
 伊集院三姉妹って、ただの地獄絵図じゃないですか。」

館員1
「軽やかな身のこなしだったか?」

建部
「いや、とても見てられなかったです。
 どうがんばっても2mのカベを乗り越えられなさそうな感じで。」

館員2
「あぁ、美術館の周りの壁か。」

建部
「ただ、逃げ足は速かったです。
 ハンバーグの出来上がりを嗅ぎつけたような速さ。」

刑事
「よし、これから犯人のコードネームを『キャッツアイ・デブ版』と呼ぶ!」

建部
「キャッツアイ切り離した方がよくないですか?
 キャッツアイにも失礼だし。」

館長
「じゃあなんて呼ぶ?
 『伊集院・デブ版』?」

建部
「伊集院は元々デブです。」

刑事
「よし、この辺りに検問を張れ!」

建部
「検問張らなくても、遅かれ早かれ職質はされると思いますよ。
 全身タイツを着たデブ3人組がこの時間、街をウロついてたら。」


(外からカードが投げ込まれる)


館長
「これは?!」

刑事
「予告状だ!」

建部
「いっちょまえに・・・。」

刑事
「(カードを読む)明日22時、名画『伯爵の晩餐』をいただきに参ります。
 『キャッツアイ・デブ版』より。」

建部
「あ、もう『キャッツアイ・デブ版』は公式の呼び名なんだ。」

刑事
「キャッツアイ・デブ版めーーっ!」

建部
「とりあえず、キャッツアイに謝ってほしい。」

刑事
「キャッツアイ・デブ版め!
 なぜ、『伯爵の晩餐』を?」

建部
「ご飯が描かれてるからじゃないですか?」

刑事
「よし、予告状の時間は明日22時だ!
 その時間の警備を厳重にするんだ!」


(翌日)


太った3人組
(壁を乗り越えようとしている)

建部
(やってくる)

太った3人組
(いろいろ試しているが、どうがんばっても壁を超えられない)

建部
「・・・。」

太った3人組
(1人が建部に気づき、近づいてくる)

建部
「なんですか?」

リーダー
(耳打ち)

建部
「・・・『今日もお願いします』じゃねぇよ!!」

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

噂と現実が結びつかない・・・。けど、起きたことをそのまま話すというギャップのコント。

セリフはないけど、強烈なインパクトを残す怪盗役が重要なコントです。

 

【上演メモ】

人数:6人~

建部

刑事

館長

館員1

館員2

太った3人組1

太った3人組2

太った3人組3

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:館員1,2は調整可能なので、人数に応じて入れてもらえれば問題ないです。

怪盗役の3人のセリフはありませんが、見た目で見てる人に強烈なインパクトを残す配役の方が面白いと思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ワタシの大切な人#2
【コント】ブレーメンの音楽隊
【コント】アリババと40人の盗賊
【コント】恋人たちの別れ
【コント】大きなツヅラと小さなツヅラ

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

・公開までにアメブロを退会された場合、公開を見送る場合があります。

 

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