飯島
「(走っている)ヤバいヤバい!寝坊した!
 会社遅刻だよ!」

ブレーキ音
「キキーーーーッ!!」

飯島
「えっ?!」

衝突音
「ドーンッ!!」

飯島
「(宙を舞いながら)え・・・、交通事故・・・?!
 僕、死ぬの・・・?
 こんなにあっけなく・・・。
 あぁ・・・、走馬灯のようなものが見える・・・。」

 

 


 


飯島(幼少期)
「おじいちゃん!おじいちゃん!
 また昔話聞かせて!!」

祖父
「あぁ、いいよ。
 いくらでも話してやる。」

飯島(幼少期)
「やった!」

祖父
「お前の右腕にアザがあることに気づいておるか?」

飯島(幼少期)
「あぁ、これ?」

祖父
「そうじゃそうじゃ。
 そのアザはな、勇者の証なんじゃ。」

飯島(幼少期)
「勇者の証?」

祖父
「そうじゃ。
 この先、魔王が現れ世界が闇に覆われる時が来るじゃろう。
 そんなとき、右腕にアザを持つ勇者が立ち上がり、魔王を噛み殺すのじゃ。」

飯島(幼少期)
「そうか、僕勇者なのか!
 わかった!
 今後、魔王と対等に戦えるように、歯を丈夫にする!」

祖父
「ホッホッホッ。楽しみにしとるよ。」

 

 


 


倒れる音
「ドサッ!」

 

飯島

「うぅっ・・・!」

手塚
「(車から飛び出してくる)だ、大丈夫ですか?!」

 

飯島

「・・・。(倒れている)」

 

手塚

「と、とりあえず救急車だ!」

 

飯島

「(突然、起き上がり)何の思い出だよ!!」

手塚
「ビックリした!
 え、元気なんですか?!」

 

飯島

「走馬灯が変!」

手塚
「走馬灯が変?」

 

飯島

「『魔王を噛み殺す』って何!」

手塚
「『魔王を噛み殺す』って何?」

飯島
「(電話をかける)カスタマーセンター、カスタマーセンター・・・。」

手塚
「え、大丈夫・・・?
 救急車とかいらない・・・?」

 

飯島

「(電話中)あ、もしもし。カスタマーセンターですか?」

手塚
「カスタマーセンターって?」

飯島
「今、走馬灯を見たんですけど・・・。」

手塚
「ピンピンしてる・・・。
 走馬灯まで見たのに。」

飯島
「身に覚えのない走馬灯が流れまして。」

手塚
「身に覚えのない走馬灯?」

飯島
「あ、修理に来ていただける。
 ありがとうございます。
 よろしくお願いします。」

手塚
「修理?走馬灯の?」

 

 


(10分後)


 


修理屋
「お待たせしました。

 走馬灯のトラブル110番です。」

手塚
「本当に来た!」

修理屋
「修理が必要なのは・・・?」

飯島
「あ、私です。」

修理屋
「ちょっと失礼しますね。
 あー、ちょっと型が古いですね。」

手塚
「型?走馬灯の型?」

修理屋
「新しいものに取り替えますね。」

飯島
「ありがとうございます。」

手塚
「新しいものに取り替える?」

修理屋
「ちょっと動かしてみます。」

電子音
「ピピッ!」

修理屋
「今、何が見えますか?」

飯島
「小学校の頃の友人が見えます。」

電子音
「ピピッ!」

修理屋
「今、何が見えますか?」

飯島
「高校の時の彼女が見えます。」

修理屋
「OKですね。
 修理終わりました。」

飯島
「ありがとうございます。」

修理屋
「また、何かあったらよろしくお願いします。(車で帰っていく)」

飯島
「はい、ご苦労様です。」

手塚
「あの・・・。」

飯島
「あ。走馬灯、直りました。」

手塚
「あ、いや、えーと・・・。」

飯島
「では、もう一度事故るところからいきましょう。」

手塚
「え?また事故るところから?!」

飯島
「今度はちゃんとした走馬灯が見えると思うので。」

手塚
「いや、病院行った方がよくないですか?
 脳とか診てもらったほうが・・・。」

飯島
「後遺症なら、大丈夫です。」

手塚
「後遺症の意味で言ったわけじゃないんですけど。」

飯島
「さぁ、ひいてください!」

手塚
「イヤですよ!
 何で好き好んで事故を起こさないといけないんですか!
 それより、どこかに向かってたんじゃないんですか?
 急いでたんでしょ?」

飯島
「そうだ!会社に遅刻!」

手塚
「病院行った方がいいと思うけど・・・。」

飯島
「遅刻遅刻!(走り出す)」

ブレーキ音
「キキーーーーッ!!」

飯島
「えっ?!」

衝突音
「ドーンッ!!(別の車にひかれる)」

手塚
「直後にまた別の車にひかれた!」

飯島
「(宙を舞いながら)あぁ・・・、走馬灯のようなものが見える・・・。」

 

 


 

 

飯島

「それじゃ、時限爆弾の解体をするわ!
 よろしくて?」

相棒
「よろしくてよ!」

 

飯島

「時限爆弾からは赤と青のコードが出ているわ!
 よろしくて?」

相棒
「よろしくてよ!」

 

飯島

「赤を切るわ!
 よろしくて?」

相棒
「よろしくてよ!」

コードを切る音
「プチッ!(赤のコードを切る)」

爆発音
「ドカーーーーーーン!!」

飯島
「よーろーしーくーてーっ?!」

相棒
「よーろーしーくーてーよーっ!!」

 

 


 


倒れる音
「ドサッ!」

 

飯島

「うぅっ・・・!」

手塚
「(駆け寄る)事故の直後にまた事故るって、不運過ぎる!」

修理屋
「(事故った車から出てくる)大丈夫ですか?」

手塚
「あんたかい!」

 

飯島

「(飛び起きる)まず設定がわからない!!」

手塚
「やっぱり無傷なのかよ!」

修理屋
「走馬灯、どうでした?」

飯島
「終始『よろしくて?』『よろしくてよ!』のやりとりでした。」

手塚
「どういうこと?」

修理屋
「身に覚えは?」

飯島
「ない。」

修理屋
「ちょっと診ましょうか。」

飯島
「お願いします。」

手塚
「今、診てもらうべき相手は、本当にこの人なのだろうか。
 医者なのではないだろうか。」

修理屋
「よし、直りました。」

飯島
「ありがとうございます。
 ちょっと走馬灯の調子を見たいな。
 (手塚に)私をひっぱたいてください。」

手塚
「なんで私が・・・。」

修理屋
「パシーン!(飯島をひっぱたく)」

手塚
「躊躇なくいくんですね。」

飯島
「あぁ・・・、走馬灯が見える・・・。」

 

 


 


アナウンス
「JO-SOMT。JO-SOMT。
 こちらは走馬灯です。
 本日の放送はこれにて終了いたします。」


(カラーバーが表示される)

 

 


 


手塚
「・・・ひっぱたくだけでも走馬灯って見れるんですか?」

修理屋
「見れます。
 私は走馬灯のプロです!

 あ、走馬灯見ますか?(素振りをする)」

手塚
「怖い、この人・・・。」

飯島
「(飛び起きる)終わっちゃった!」

修理屋
「どうでした、走馬灯。」

飯島
「コールサイン言われて終わった。」

修理屋
「身に覚えは?」

飯島
「ない。」

修理屋
「もう少し診てみましょう。」

手塚
「なんだろう。
 だんだんこの人たちから目が離せなくなってきたんだけど。」

修理屋
「直りました。」

飯島
「直ったか確認したいな。
 (手塚に)ひっぱたいてください。」

手塚
「だから、なんで私が・・・。」

修理屋
「パシーン!(飯島をひっぱたく)」

手塚
「あなたたち、ホントに客とメーカーの関係?」

飯島
「あぁ・・・、走馬灯が見える・・・。」

 

 




実況
「さぁ、第4コーナーを回って最後の直線。
 先頭・コビトノクツヤ、
 半馬身差でマラソンタイカイ、
 少し間が空きまして、テガミチェス、ガリレオガリレイと続いています。
 さぁ、大外からルタールソーがやってきた!
 逃げるコビトノクツヤ!
 この差を縮められるか、ルタールソー!
 しかし、コビトノクツヤだ!コビトノクツヤ早い!
 今、1着でゴールイン!
 2着マラソンタイカイ!
 ルタールソーは3着で終わりました!」

 

 




飯島
「(飛び起きる)競馬なんてやったことないのに!」

手塚
「やっぱりピンピンしてる!」

修理屋
「走馬灯、どうでした?」

飯島
「馬が走ってました。」

手塚
「走馬灯だけに?」
 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「走馬灯の調子が悪い」という発想から修理屋のアイディアが浮かび、

ちゃんとした走馬灯が見れるまで実験する構成ができあがりました。

 

めちゃくちゃな設定の走馬灯のシーンは完全に大喜利状態でアイディアを出していきました。

 

【上演メモ】

人数:3人以上

飯島

手塚

修理屋

祖父

相棒

アナウンス

実況

 

所要時間:5分~6分
上演難易度:★★★☆☆
備考:ふっとぶシーンはパントマイムで表現。走馬灯のシーンは今、走馬灯だとわかる工夫が必要だと思います。

登場人物は多いですが、一人で複数役を演じることで調整可能です。

 

競馬のシーンの馬の名前はこのブログ常連の方なら「あ!」と思っていただける仕掛けを使っているので、実演する際はアレンジして使ってください。

 

【お知らせ】

先週に続き、今週も過去のコントをアニメーション動画にしていただきました。

ぜひ、ご覧ください。

 

新しい薬

 

ドッキリ#2

 

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】関ヶ原の戦い#2
【お題コント】インフルエンザ
【コント】やまびこ
【コント】整形手術
【コント】あちらのお客さまからです

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

・公開までにアメブロを退会された場合、公開を見送る場合があります。

 

↓こちらでも面白いブログがきっと見つかる!はず。
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