(山の頂上)


登山客
「うわぁ!いい景色だなぁ!
 あ、向こうに山が見える!
 もしかしたら、ここから大きな声を出せば、やまびこ返ってくるんじゃないかな?
 よし、やってみよう。
 (高台に立って)『ヤッホー!』」


「・・・。」

登山客
「・・・あれ?声が小さかったかな。
 もう一度。『ヤッホー!』」


「・・・。」

登山客
「・・・んー。難しいな。
 もう一回。『ヤッホー!』」


「・・・アー。ンー。」

登山客
「ん?何か言おうとしてる・・・。」


「・・・アー。ゴメンナサイ。
 ニホンゴ、ヨク ワカラナイ。」

登山客
「・・・ん?」

おじさん
「(通りかかる)ん?あんちゃん、登山客か?」

登山客
「(振り返る)え?あ、まぁ。」

おじさん
「あの山に直接『ヤッホー』って声をかけても、やまびこは返ってこねぇ。」

登山客
「そうなんですか?」

おじさん
「ちょっと左に山が見えんだろ?」

登山客
「はい。」

おじさん
「あの山に向かって『ヤッホー』って声かけてみ?」

登山客
「あの山ですか?
 (山2に)『ヤッホー!』」

山2
「(山1に)◯▲?※・!」

山1
「(山2に)◯▲?※・!」

山2
「ヤッホー!」

登山客
「あ、返ってきた。」

おじさん
「向かって右の山は外国の土で盛られた山だから、日本語は通じねぇ。」

登山客
「外国の土・・・?」

おじさん
「左の山が通訳だ。」

登山客
「ん?通訳?あの山、通訳?」

おじさん
「右の山からやまびこを返して欲しければ、
 左の山に声をかければ、通訳してくれっから。」

登山客
「通訳ですか・・・。
 そ・・・、そうなんですね。
 ありがとうございます。」

おじさん
「あんまり夜遅くまでいんじゃねぇぞ。
 くま、でっから。(帰っていく)」

登山客
「あ、はい。
 へぇ・・・、通訳・・・。
 (山2に)『ヤッホー!』」

山2
「(山1に)◯▲?※・!」

山1
「(山2に)◯▲?※・!」

山2
「ヤッホー!」

登山客
「面白いな。
 『ヤッホー!』」

山2
「(山1に)◯▲?※・!」

山1
「(山2に)◯▲?※・!」

山2
「ヤッホー!」

登山客
「すげぇすげぇ。斬新。

 もう1回・・・」

山1
「~¥+〒=♪」

登山客
「ん?山の方から何か言ってきた。」

山2
「ヤッホー以外に言うことはないんですか?」

登山客
「え~・・・、何か怒られた・・・。
 ヤッホー以外・・・。
 質問してみればいいのかな・・・?
 『日本に来られて長いんですかー?!』」

山2
「(山1に)○$々%×→」

山1
「(山2に)~〆÷°=¢」

山2
「まだ2ヶ月くらいですー。」

登山客
「あ、割と最近出来た山なんだ。
 『日本に来て、覚えた日本語ってありますかー?!』」

山2
「(山1に)&*#¥:★」

山1
「アー・・・。
 フジヤマ・・・。
 マッキンリー・・・。
 エベレスト・・・。
 キリマンジャロー!」

登山客
「あぁ、やっぱり覚えるのは山なんだ。」

山1
「ハッハー!」

登山客
「富士山以外、全部、海外の山なんですけどね。」

山1
「ハッハー!」

登山客
「『好きな日本の食べ物はなんですかー?』」

山2
「(山1に)#@÷¥=6:*」

山1
「(山2に)♪$×〆・|=」

山2
「お寿司ですー。」

登山客
「あー、お寿司。
 お寿司、美味しいですもんね。
 今度、ごちそうしますよー!」

山2
「(山1に)&$#*×々〒」

山1
(山に一斉に花が咲く)

登山客
「あー、喜んでる喜んでる。
 マグロは好きですかー?」

山2
「(山1に)○+°>$~[♪」

山1
(さらに色鮮やかな花が咲く)

登山客
「おぉ、キレイキレイ。
 タコとかー?」

山2
「(山1に)@♪・%>々:」

山1
(さらに花が咲く)

登山客
「すごいすごい!
 納豆巻きとかどうですかー?」

山2
「(山1に):=÷$2^♪」

山1
(一斉に花が散る)

登山客
「あ、すみません。嫌いだったんですね・・・。
 ・・・あれ?よく見ると、通訳の山の左隣にも山があるな。
 あっちの山に声をかけたら、ちゃんとやまびこ返ってくるかな。
 『ヤッホー!』」

山3
「・・・。」

登山客
「あの山もダメなの!?
 また通訳に頼むか。
 (山2に)すみません!左隣の山に『ヤッホー!』お願いしまーす!」

山2
「(山3に)◯▲?※・!」

山3
「・・・。」

登山客
「あれ、返ってこないな。」

おじさん
「(通りかかる)あんちゃん、まだいたのか。」

登山客
「(振り返る)あ、おじさん。」

おじさん
「あっちの山はまた別の国の山だから、通訳の言葉も通じねぇ。」

登山客
「また別の国の山なんですね。

 インターナショナルな地域なんだ・・・。」

おじさん
「そこに白紙のスケッチブックとペンがあんだろ?」

登山客
「あ、はい。」

おじさん
「そこに『ヤッホー』って書いてみ。」

登山客
「『ヤッホー』って、書くんですか?
 (スケッチブックに『ヤッホー』と書く)はい。書きました。」

おじさん
「そこの高台の上で、書いた文字、あの山に見せてみ。」

登山客
(高台に登り、『ヤッホー』と書いたスケッチブックを見せる。)

山3
「ヤッホー!」

登山客
「何でだよ!」

おじさん
「あの山、日本語のヒヤリングは勉強中なんだが、
 文字を読むのは得意なんだ。」

登山客
「そ・・・、そうなんですか。」

おじさん
「あんまり、遅くまでいんじゃねぇぞ。
 くま、でっから。(帰っていく)」

登山客
「あ、はい。ありがとうございます。
 そうか・・・。
 あの山はスケッチブックで会話するのか。(『ヤッホー』を見せる)」

山3
「ヤッホー!」

登山客
「もう1回。(『ヤッホー』を見せる)」

山3
「ヤッホー!」

登山客
「すげぇな。新しいタイプのやまびこだ。
 あれ、そういえば、文字を読むのが得意って言ってたな。
 これ、読めるかな。(『忖度』と書いて見せる。)」

山3
「そんたーく!」

登山客
「読めるんだ!
 これは?(『女満別』を見せる。)」

山3
「めまんべーつ!」

登山客
「これは?(『中大兄皇子』を見せる。)」

山3
「なかのおーえのおーじ!」

登山客
「すごいなぁ!
 あ、試しにこれは?(スマホにQRコードを写し、山に見せる。)」

山3
「LINE IDを登録しましたー。」

登山客
「読めた!
 QRコード読めた!
 すげぇな、あの山!

 山とLINE友達になったぞ!」

山1
「○×%$=々:^!」

登山客
「ん?あっちの山が何か言ってるな。
 通訳さん!どうしました?」

山2
「後ろー!後ろー!」

登山客
「後ろ?(後ろを見る。)」

くま
「(登山客の後ろに立っている)・・・。」

登山客
「・・・。」

くま
「がおーっっ!」

登山客
「ヤバい・・・!(死んだふりをする。)」

くま
(登山客の周りをぐるぐる回っている)

登山客
「そういえば、さっき、おじさんがクマ出るって言ってたな・・・」

くま
(高台に登る)

登山客
「早くどっか行ってくれよ・・・」

くま
「(向かいの山に向かって)がおーっっ!」

山2
「(山1に)#%$÷>々*!」

山1
「(山2に)#%$÷>々*!」

山2
「がおーっっ!」

登山客
「いや、それ通訳しなくていいから・・・」

バイブ音
「ウィーン!」

登山客
「(スマホを見て)向こうの山から『がおー!』ってLINEが来た・・・。
 やまびこが返ってきた。
 ・・・っていうか、果たしてこれはやまびこなのだろうか。」

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

やまびこの通訳というアイディアがずっとストックとしてあったんですけど、

なかなか形にできずにいました。

筆談とセットで今回、形になりました。

 

【上演メモ】

人数:2人以上

登山客

おじさん

山1(声のみ)

山2(声のみ)

山3(声のみ)

くま

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★★☆☆
備考:くまが登場するので、くまのぬいぐるみがあった方がいいです。

また、冒頭の『ヤッホー』を声をかける部分ですが、

お客さんの方に『ヤッホー』と声をかけると、

お客さんが『こちらが声を出さないといけないのかな?』と勘違いしてしまうので、工夫が必要です。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】貞子と井戸、あとテレビ
【コント】全校朝会
【コント】ブラックの苦悩
【コント】プシュー
【コント】天使と悪魔の2択の話#2

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

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(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

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