八雲
「（ホワイトボードを見ながら）１番の容疑者とされていた田崎ですが、犯行時間にアリバイがありました。」
西崎
「なるほど・・・。」
八雲
「犯行時間、田崎は都内のレストランで目撃されていました。
店員が証言しています。」
西崎
「ヤツのアリバイは完璧か・・・。」
八雲
「どうします？
他に怪しい人間を探しますか？」
西崎
「うーん・・・。」
城之内
「（部屋の外から）ハッハッハッハ！」
西崎
「ん？」
城之内
「（部屋に入ってくる）なるほど。話は全部聞かせていただきました。」
八雲
「城之内さん！」
西崎
「何かわかったのか？」
城之内
「全てわかりました。
では、私の考えをお聞かせしましょう。」
八雲
「お願いします（メモを取る準備）。」
城之内
「おそらく動機は愛情のもつれでしょう。
被害者に二股をかけられたことに逆上した犯人が、被害者を階段から突き落とした。」
八雲
「・・・。」
城之内
「彼女の恨みは相当のものだったんでしょう。
彼女のツイッターの内容からもそう推測できます。」
西崎
「・・・。」
城之内
「現場近くにある防犯カメラを調べてみてください。
犯行時刻近辺で容疑者の女と被害者が一緒に歩いている映像があるはずです。」
八雲
「・・・城之内さん。」
城之内
「ん？」
八雲
「・・・なんの話ですか？」
城之内
「・・・ん？」
八雲
「それ多分、私たちの件とは別の事件です。」
城之内
「・・・。」
八雲
「・・・。」
城之内
「・・・そうなの？」
八雲
「はい。容疑者の田崎は男なんで。」
城之内
「被害者は？」
八雲
「男です。」
城之内
「あー、そう・・・。」
八雲
「動機が『愛情のもつれ』って聞いた時、『ん？』と思いました。
『おっさんず』的なヤツかなと思って聞いてたんですけど・・・。」
城之内
「そうかそうか・・・。違う事件なんだ・・・。」
八雲
「そうですね・・・。すみません。」
城之内
「俺、すっごい恥ずかしいヤツ？」
八雲
「えーと、はい。恥ずかしいヤツです。」
西崎
「『話は全部聞かせていただきました』とか言って入ってきて・・・。」
八雲
「はい。こういうのホントに言う人いるんだ、と思って見てました。」
城之内
「アレ、俺、どこの部屋の話を全部聞いたんだろ。」
八雲
「さぁ。」
西崎
「向かいの部屋じゃないか？」
城之内
「あー、そうかも。そっちに行きます。」
八雲
「はい。お願いします。」
城之内
「（部屋を出て行きながら）ハッハッハッハ！
なるほど。話は全部聞かせていただきました。」
八雲
「（ホワイトボードを見て）どうします？
田崎のアリバイを疑って、もう一度調べますか？」
西崎
「そうだな。それが一番いいだろう。」
城之内
「（部屋の外から）ハッハッハッハ！」
西崎
「ん？」
城之内
「（部屋に入ってきながら）なるほど。話は全部聞かせていただきました。」
八雲
「城之内さん！」
城之内
「今度こそ、話は全部聞かせていただきました。」
西崎
「何かわかったのか？」
城之内
「では、私の推理をお聞かせしましょう。」
八雲
「（メモを取り出し）お願いします。」
城之内
「おそらく、そのハンバーグにはつなぎが入ってなかったんです。
だから、ひっくり返した瞬間、崩れてしまった。
つなぎには卵やパン粉がベストです。」
八雲
「城之内さん。」
城之内
「はい。」
八雲
「ガッカリです・・・。」
城之内
「また、違った？」
八雲
「違います。」
城之内
「あれぇ？どこの部屋の話を全部聞いたんだろ？」
八雲
「全部聞いたんですか？」
城之内
「全部聞いた。」
西崎
「ちなみに１つ前の話の主は向かいの部屋だったのか？」
城之内
「違いました。」
八雲
「それも・・・。」
城之内
「俺、どこの部屋の話を全部聞いたんだろ。」
八雲
「モヤモヤしますね。」
城之内
「する。めちゃくちゃ人に話したい。」
八雲
「話の主、見つかるといいですね。」
城之内
「うわー、言いたい。
ＳＮＳで拡散していい？」
八雲
「やめてください。
警察で立ち聞きした話をＳＮＳで拡散するのは。」
城之内
「あ！」
八雲
「なんですか？」
城之内
「また、声が聞こえた！！」
八雲
「声が？」
城之内
「（耳に手を当て）うん・・・！
なるほどなるほど！
うん・・・！
そうかそうか！なるほど！！
よし、話は全部聞いた！」
八雲
「どういうことですか？
なんか受信してるんですか？」
城之内
「・・・あれ？」
八雲
「どうしました？」
城之内
「・・・俺、どこの話を全部聞いたんだろ？」
八雲
「知らないですよ。
何が起きてるんですか、城之内さんの身に。」
西崎
「今度こそ、向かいの部屋じゃないか？」
城之内
「そうですね。行ってみます。」
八雲
「完全に行き当たりばったりですね。」
城之内
「（部屋を出て行きながら）ハッハッハッハ！
話は全部聞かせていただきました。」
八雲
「・・・ホント、なんなんだろ、あの人。」
西崎
「（ホワイトボードを見て）とりあえず、田崎の周辺をもう一度調べよう。」
八雲
「そうですね。」
城之内
「（部屋に入ってきながら）ぐすん・・・。ぐすん・・・。」
八雲
「どうしたんですが、城之内さん。」
城之内
「『だから、違うって言ってんだろ！』って言いながらビンタされた・・・。」
八雲
「だから、言わんこっちゃない。」
西崎
「ちなみにさっきはなんの話を全部聞いたんだ？」
城之内
「なんか、『田崎の当日のアリバイの件なんだけど、実は・・・』みたいな話。」
八雲
「それ！
それ、まさにウチの話！」
西崎
「それで？
その話の続きは？！」
八雲
「（メモを取り出し）城之内さん、お願いします！！」
城之内
「あぁ、ごめん。そこまでしか聞いてない。」
八雲
「話全部聞いてないじゃないですか！」
前回のコントでチラっと登場した「話は全部聞かせていただきました」で今度はコントを作ってみました。
アイディア出しの時点ではもっといろいろアイディアが出たのですが、長くなりすぎるので、結構カットしました。
また別の機会に・・・
人数：人
八雲
西崎
城之内
所要時間：４分～５分
上演難易度：★☆☆☆☆
備考：実現が難しい仕掛けはないので、演じやすいと思います。
必要なのは刑事っぽい格好とホワイトボードです。
【お題コント】Siri
【お題コント】たまっち
【コント】ランプの魔人
【コント】やまびこ
【コント】不動産屋
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