以前書いた「ツルのおんがえし#3」の感想より。

 

コントで「食レポ」できますか?

 

というわけで、今回のお題は「食レポ」です。

 

今回のお題はりすくん(いまむらきよこ)さんからいただきました。

 

りすくん(いまむらきよこ)さん、ありがとうございます。

 


 

オーナーシェフ
「いやぁ、ウチの店にあのマロ彦さんがやってくるなんて・・・
 光栄です。」

ディレクター
「まもなくいらっしゃると思います。
 そしたら、簡単な打ち合わせを・・・。」

オーナーシェフ
「わかりました。
 いやぁ、ワクワクするなぁ。」

ディレクター
「ものすごく嬉しそうですね。」

オーナーシェフ
「はい。
 私、マロ彦さんの大ファンで、
 マロ彦さんに『宝石箱や~!』って言ってもらいたくて、このお店を始めたんです。」

ディレクター
「そうなんですね。
 あ、いらっしゃった。
 おはようございます!」

マロ彦
「おはようございます。」

オーナーシェフ
「うわぁ、本物だぁ!」

ディレクター
「マロ彦さん。
 こちら、オーナーシェフの倉田さんです。」

オーナーシェフ
「倉田です。よろしくお願いします。
 あの・・・、ひとつお願いが・・・。」

マロ彦
「なんでしょう?」

オーナーシェフ
「もしよろしければ、サインをいただいてもいいですか?(色紙を差し出す)」

マロ彦
「もちろん。(色紙を受け取る)」

オーナーシェフ
「ありがとうございます!」

マロ彦
「(サインを書いて返す)はい、どうぞ。」

オーナーシェフ
「ありがとうございます!
 飾らせていただきます!」

ディレクター
「それでは収録前に簡単な打ち合わせをしたいと思います。」

マロ彦
「よろしくお願いします。」

ディレクター
「本日は南青山のレストラン『モニーリ』さんで食レポをしていただきます。」

マロ彦
「宝石箱や~!!」

ディレクター
「早いです。まだ早いです。」

マロ彦
「あ、すみません。
 食レポと聞いて、つい出ちゃいました。」

オーナーシェフ
「つい出ちゃうんですか・・・。
 でも、本物聞けた!」

ディレクター
「こちらイタリアンのレストランでして・・・。」

マロ彦
「宝石箱や~!!」

ディレクター
「まだです。まだとっといてください。」

マロ彦
「まだか・・・。」

オーナーシェフ
「まだ、料理出してもないのに2回も聞けちゃった!」

ディレクター
「なかなか予約が取れないことで有名で・・・」

マロ彦
「宝石箱・・・!」

ディレクター
「シーッ!!」

マロ彦
「・・・!!」

オーナーシェフ
「おー・・・、耐えた・・・。」

マロ彦
「ダメだな。どうしても宝石箱出ちゃうな。」

オーナーシェフ
「発作か何かですか?」

マロ彦
「うん。もう呪いの類だと思う。」

オーナーシェフ
「呪いの類?」

マロ彦
「しゃっくりみたいに止まらないんだよね。」

ディレクター
「脅かしてみましょうか?」

マロ彦
「お願いします。」

ディレクターオーナーシェフ
「せーの、わっ!!」

マロ彦
「わぁーーーーーっっ!!
 宝石箱やぁーーーーーっっ!!」

ディレクター
「やかましい!!」

マロ彦
「すっごい怒られた・・・。」

オーナーシェフ
「そりゃ怒られますよ。」

マロ彦
「息を止めてみればいいのかな。」

ディレクター
「やってみます?」

マロ彦
「せーのっ!うっ・・・(息を止める)」

ディレクター
「頑張ってください。」

マロ彦
「ほ・・・宝石・・・宝石・・・。」

ディレクター
「漏れてますよ!宝石箱漏れてますよ!!」

マロ彦
「ぷはぁ!!宝石箱やぁ!ハァ・・・ハァ・・・!」

ディレクター
「なんで宝石箱出ちゃうんですか!」

マロ彦
「何でだろ。無意識のうちに出ちゃうのかなぁ。」

音声さん
「(やってくる)すみません。マイクつけまーす。」

マロ彦
「あ、お願いしまーす。」

音声さん
「(マイクをつける)はい。マイクテストお願いしまーす。」

マロ彦
「あーあー。テステス。宝石箱宝石箱。」

音声さん
「マイクオッケーでーす!(立ち去る)」

マロ彦
「うーん・・・。
 無意識のうちに出ちゃってたら怖いな・・・。」

オーナーシェフ
「うん。無意識のうちに出ちゃってますね。」

ディレクター
「もう、宝石箱出し切っちゃいましょう。
 ついうっかり宝石箱が出ないように。」

マロ彦
「宝石箱出し切る?」

ディレクター
「はい。飽きるまで連呼してください。」

マロ彦
「連呼するの?
 宝石箱宝石箱宝石箱宝石箱宝石箱・・・」

オーナーシェフ
「(マロ彦を横目に)これは重症ですね・・・。」

ディレクター
「これでも持ち直した方です。
 一時期は日常生活に支障が出るレベルでしたから・・・。」

オーナーシェフ
「そんなに・・・。」

マロ彦
「宝石箱宝石箱宝石箱宝石箱宝石箱・・・」

オーナーシェフ
「(サイン色紙を見て)この色紙どこに飾ろうなぁ。」

ディレクター
「あそこの壁とかどうですか?」

オーナーシェフ
「あ、空いてますね。
 (サインを見直して)あ、このサイン、よく見たら『マロ彦』じゃなくて『宝石箱』って書いてある。」

ディレクター
「あぁ、また再発したか・・・。」

オーナーシェフ
「文字でも出ちゃうんですね。」

マロ彦
「・・・宝石箱宝石箱!!
 よし、オッケー!」

ディレクター
「大丈夫ですか?」

マロ彦
「もう大丈夫。」

ディレクター
「よし、じゃあ始めましょうか。」

オーナーシェフ
「よろしくお願いします!」

マロ彦
「ちなみに、お店の名前の『モニーリ』ってどういう意味ですか?」

オーナーシェフ
「あ、イタリア語で『宝石』って意味です。」

マロ彦
「宝石箱や~!!」

オーナーシェフ
「また出た!」

ディレクター
「まだ、出しきれてないですね。
 全部出し切ってください!」

マロ彦
「宝石箱宝石箱宝石箱宝石箱宝石箱・・・」

ディレクター
「ダメだな、これ完全に再発したな・・・」

オーナーシェフ
「どうします?食レポできますか?」

ディレクター
「スケジュール的に今日しかないんで、もう撮っちゃいます。」

オーナーシェフ
「大丈夫ですか?」

ディレクター
「食レポ中も『宝石箱』って言葉が出てくると思いますが、
 文章の前後関係から読み取ってください。」

オーナーシェフ
「え、あ、はい。わかりました。」

マロ彦
「・・・宝石箱宝石箱!!

 今度こそオッケーです!」

ディレクター
「よし、本番いきましょう!」

マロ彦
「よろしくお願いします!」

ディレクター
「本番5秒前。3、2・・・(合図を送る)」

マロ彦
「こんばんは。宝石箱です。
 本日は南青山にあるレストラン『宝石箱』さんにお邪魔しています。
 オーナー宝石箱の宝石箱さんです。
 よろしくお願いします。」

オーナーシェフ
「『モニーリ』オーナーシェフの倉田です。」

マロ彦
「それでは早速、最初の宝石箱の方を。」

オーナーシェフ
「はい、最初の料理をお持ちします。」


(料理が運ばれてくる)


マロ彦
「宝石箱さん。こちらの宝石箱は?」

オーナーシェフ
「倉田です。
 こちらの料理は『トマトとモッツアレラチーズのサラダ』です。」

マロ彦
「では、早速・・・(料理を食べる)。
 おっ!トマトのテーマパークや~!!」

オーナーシェフ
「そこは宝石箱じゃないんですね。」

マロ彦
「では、続いての宝石箱を。」

オーナーシェフ
「はい。続いての料理です。」


(料理が運ばれてくる)


マロ彦
「こちらの宝石箱は?」

オーナーシェフ
「こちらの料理は『舌平目のソテー』です。」

マロ彦
「では、いただきましょう(料理を食べる)。
 舌平目の最終形態や~!!」

オーナーシェフ
「なんで?
 なんで宝石箱言わないの?」

マロ彦
「宝石箱おいしかったです。
 では、次の宝石箱を。」

オーナーシェフ
「普通の会話ではこんなに宝石箱が出てくるのに・・・。
 では、次の料理です。」


(料理が運ばれてくる)


マロ彦
「お、メイン宝石箱ですね。」

オーナーシェフ
「はい。メインディッシュの『神戸牛の赤ワイン煮込み』です。」

マロ彦
「『宝石箱の宝石箱煮込み』。
 では、いただいてみたいと思います(料理を食べる)。」

オーナーシェフ
「次こそ、宝石箱を!」

マロ彦
「神戸牛のパーティーピーポーや~!!」

オーナーシェフ
「宝石箱は?!
 宝石箱の評価が欲しいんですけど!」

マロ彦
「いやぁ、美味しかったなぁ。」

オーナーシェフ
「おいしかったのなら、宝石箱言ってよ!
 あの・・・、マロ彦さん!」

マロ彦
「はい?」

オーナーシェフ
「宝石箱!」

マロ彦
「宝石箱。」

オーナーシェフ
「リハビリか!
 違います。あのテンションで言って欲しいんです。」

マロ彦
「では、最後の宝石箱を。」

オーナーシェフ
「なんで言ってくれないんだよ、宝石箱・・・」


(料理が運ばれてくる)


マロ彦
「こちらの宝石箱は?」

オーナーシェフ
「デザートのティラミスです。」

マロ彦
「それでは、宝石箱の宝石箱、いただいてみたいと宝石箱。(料理を食べる)」

オーナーシェフ
「最後こそ宝石箱の評価を!!」

マロ彦
「お!開かなくなった宝石箱や~!!」

オーナーシェフ
「出た!
 ・・・けど褒められてます?
 その宝石箱、カギかかってません?」

マロ彦
「いやぁ、宝石箱。
 宝石箱から宝石箱まで、全部、宝石箱。
 今日は宝石箱(一礼)。」

オーナーシェフ
「ありがとうございました(一礼)。」

ディレクター
「はい、カット!
 お疲れ様でした。
 ギリギリ放送には乗せられそうです。」

オーナーシェフ
「乗せられますか?
 デザートの辺りから、何言ってんだかわかりませんでしたけど。」

ディレクター
「マロ彦さんもありがとうございました。」

マロ彦
(プロデューサーと話をしている。)

ディレクター
「マロ彦さん!」

マロ彦
(プロデューサーと話をしている。)

ディレクター
「マロ彦さん!!」

マロ彦
(プロデューサーと話をしている。)

ディレクター
「宝石箱!!」

マロ彦
「(振り返る)ん?!」

ディレクター
「あぁ、やっぱり宝石箱の呪いだなぁ。」

オーナーシェフ
「『宝石箱の呪い』って、もはやインディージョーンズの世界ですけど。」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

食レポといえば、やはりあの方だろうということで、彼の名セリフから広げました。

最初は別の方針のコントを考えていたのですが、冒頭のシーンで「宝石箱がフライングでつい出ちゃう」というのを書いたときに、

こっちの方が広がりそうだと考え、アイディアを出し直して作っていきました。

 

さて、2018年も毎週休むことなく、52本のコントを作りました。

13本のお題にも答えさせていただきました。お題をくださった方、ありがとうございました。

 

2019年も下北沢コントシアターで皆さまのお越しをお待ちしております。

 

【上演メモ】

人数:3~4人

マロ彦

オーナーシェフ

ディレクター

音声さん

 

所要時間:6分~7分
上演難易度:★☆☆☆☆
備考:他のコントに比べると少々長めです。

実現が難しい仕掛けはないので、上演難易度は低めです。

音声さんは1ネタのためだけの登場なのでカットしても問題ありません。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】訪問者
【コント】やまびこ
【コント】ダイイングメッセージ
【コント】今日はクリスマス#2
【お題コント】特異体質

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

・公開までにアメブロを退会された場合、公開を見送る場合があります。

 

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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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