ターミネーターサラジョン
(下に広がる溶鉱炉を見つめている)

ターミネーター
「ジョン。
 お前を抹殺しようとした新型ターミネーターは溶鉱炉に落ち、完全に機能停止した。」

ジョン
「これで・・・これで未来は変わるんだね!」

ターミネーター
「いや、まだだ。」

ジョン
「え?」

ターミネーター
「まだ、俺が残っている。」

ジョン
「どういうこと?」

ターミネーター
「俺が残っている限り、俺から図面を作り出し、
 ターミネーターを大量生産する可能性が残っている。
 だから、俺が消えなければならない。」

ジョン
「そんな・・・!
 イヤだ!そんなのイヤだよ!」

サラ
「ジョン。これは仕方ないことなのよ。」

ジョン
「母さん!」

ターミネーター
「(溶鉱炉の上に吊るされている鎖につかまる)
 さぁ、そこにあるリモコンを操作して、この鎖ごと俺を溶鉱炉に沈めてくれ。」

サラ
「・・・わかったわ。」

ジョン
「母さん!」

サラ
(リモコンを操作する)


(鎖がゆっくり下がっていく)


ジョン
「待って!行かないで!」


(鎖がゆっくり下がっていく)


ジョン
「せっかく打ち解けたのに!」

物音
「ガコン!(突然、鎖が止まる)」

ターミネーター
「?!」

ジョン
「どうしたの?」

サラ
「おかしいわね。突然、動かなくなったわ。
 ちょっと、ジョン、見てくれる?」

ジョン
「なになに?
 どうしたの、こんな時に。(リモコンのカバーを開ける)」

ターミネーター
「(鎖につかまりながら)あのー!どうしました?」

サラ
「(溶鉱炉に向かって)ちょっと待ってくださいー。
 どう?」

ジョン
「あぁ、接触だね。」

サラ
「直りそう?」

ジョン
「10分くらいあれば。」

ターミネーター
「(鎖につかまりながら)あのー!体力、そんなにもたないんですけどー!」

サラ
「我慢してくださいー!
 直して。」

ジョン
「了解。」

ターミネーター
「(鎖につかまりながら)あのー!腕が痛いですー!」

サラ
「もうちょっと、そのままでー!」

ジョン
「あぁ・・・。あちこちダメになっちゃってるなぁ。」

サラ
「結構かかる?」

ジョン
「そうだねぇ。」

ターミネーター
「(鎖につかまりながら)すみませーん!もう無理ですー!」

サラ
「耐えてくださーい!」

ターミネーター
「もう・・・ダメだ・・・!(鎖から手を放す)」

溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

ターミネーター
「(溶鉱炉で暴れながら)熱い熱い熱い!引き上げて!一旦、引き上げて!」
 


引き上げた。



ターミネーター
「(タライに山盛りにされた氷の上に丸まりながら)
 ちょっと!熱いでしょう?!」

サラ
「すみません。」

ターミネーター
「え?結局何が起きたの?」

サラ
「リモコンの接触が悪くて、止まっちゃいました。」

ターミネーター
「そういうの、ちゃんと見ておいてよ!」

ジョン
「すみません。」

ターミネーター
「(鎖を指さし)もう、あれはOK?」

ジョン
「はい。接触が悪いところは全部直したんで。」

ターミネーター
「よし!(立ち上がる)」

サラジョン
「よろしくお願いします!」

ターミネーター
「(溶鉱炉の上に吊るされている鎖につかまる)
 さぁ、そこにあるリモコンを操作して、この鎖ごと俺を溶鉱炉に沈めてくれ。」

サラ
「・・・わかったわ。」

ジョン
「母さん!」

サラ
(リモコンを操作する)


(鎖がゆっくり下がっていく)


ジョン
「待って!行かないで!」


(鎖がゆっくり下がっていく)


ジョン
「せっかく打ち解けたのに!」

物音
「ガコン!(突然、鎖が止まる)」

ターミネーター
「え?何?!」


(鎖がターミネーターごと、ぐるぐる回り出す。)


ターミネーター
「ちょっと!なになになに?!目が回る!目が回るって!」

サラ
「ジョン!これどうなってるの?!」

ジョン
「(リモコンのカバーを開ける)あぁ・・・、ちょっとミスったっぽい。」

ターミネーター
「(ぐるぐる回りながら)ミスったっぽいじゃねぇよ!」


(ターミネーター、遠心力に耐えられず、溶鉱炉に放り出される)


溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

ターミネーター
「(溶鉱炉で暴れながら)熱い熱い熱い!マジでヤバいヤツ!マジでヤバいヤツ!」

 


引き上げた。



ターミネーター
「(タライに山盛りにされた氷の上に丸まりながら)
 ちょっと!何?修理ミスったの?!」

ジョン
「ちょっとだけ。」

ターミネーター
「ちょっとだけじゃねぇよ!溶鉱炉落ちちゃったじゃん!
 死んじゃうよ!」

サラ
「死ぬんでしょ?」

ターミネーター
「死ぬけどさ!
 最期はゆっくり沈んでいくんだよ。親指を立てながらさ。」

ジョン
「はい。」

ターミネーター
「勢いよく落ちたんじゃ、意味ないでしょ?
 これじゃ、何のために未来から来たのかわからないよ!」

サラ
「いや、ジョンを守るためなんじゃ・・・?」

ターミネーター
「(鎖を指さし)もう、あれ大丈夫?」

ジョン
「さっき、業者の人が見てたんで。」

ターミネーター
「よし!(立ち上がる)」

サラジョン
「よろしくお願いします!」

ターミネーター
「(溶鉱炉の上に吊るされている鎖につかまりながら)
 さぁ、そこにあるリモコンを操作して・・・」


(次の瞬間、鎖から手が滑り、ターミネーター、溶鉱炉に落ちる)


溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

ターミネーター
「(暴れながら)掴めなかった!あの鎖、めちゃくちゃ滑るんですけど!マジで熱いマジで熱いマジで熱い!」

 


引き上げた。



ターミネーター
「(タライに山盛りにされた氷の上に丸まりながら)
 なんか、あの鎖、滑りやすくなってない?!」

ジョン
「さっき、業者の人が磨いてました。」

ターミネーター
「なんで磨くの?
 これから、その鎖につかまるんだからさ!
 ホント、殺す気かよ!」

サラ
「殺す気ですけど。」

ターミネーター
「鎖は今、どうなってるの?」

ジョン
「さっき、業者の人が滑りにくい鎖に取り替えてました。」

ターミネーター
「大丈夫?ちょっと確認するよ。(立ち上がる)」

ジョン
「どうぞ。」

ターミネーター
「(溶鉱炉の上に吊るされている鎖を何度もにぎって)うん。」

サラ
「どうですか?」

ターミネーター
「大丈夫そう。」

サラ
「では、お願いします!」

ターミネーター
「(溶鉱炉の上に吊るされている鎖につかまりながら)
 さぁ、そこにあるリモコンを操作して・・・」


(次の瞬間、鎖がゴムのように伸び、ターミネーター、溶鉱炉に落ちる)


溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

ターミネーター
「(ゴムの力で上下運動を繰り返す)なにこれ!」

溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

ターミネーター
「(ゴムの力で上下運動を繰り返す)なにこの仕掛け!」

溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

ターミネーター
「(ゴムの力で上下運動を繰り返す)完全にドッキリの世界・・・っ!!」

溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

 


引き上げた。



ターミネーター
「(タライに山盛りにされた氷の上に丸まりながら)
 言っておくけど、俺、リアクション芸人じゃないからね!」

ジョン
「リアクション芸人じゃないんですか?!」

ターミネーター
「リアクション芸人だと思ってたの?!
 おかしいでしょ?
 未来から人類の指導者を守るために、リアクション芸人がやってくるって!」

ジョン
「でも、師匠・・・。」

ターミネーター
「『師匠』じゃねぇよ!
 『ターミネーター師匠』じゃねぇよ!」

サラ
「『ターミネーター師匠』って、なんだか本当にいそうですね。」

ジョン
「ショットガン片手に漫談しそう。」

サラ
「一発決まる度にぶっ放して。」

ジョン
「最後は『I'll be back!』でシメる。」

ターミネーター
「なんだよ、その大御所!
 俺、ターミネーター師匠じゃないから。」

ジョン
「あぁ、違うんだ・・・。」

ターミネーター
「鎖は?どうなったの?」

ジョン
「もうないです。」

ターミネーター
「ないの?」

サラ
「飛び降りてください。」

ターミネーター
「はぁ?!」

ジョン
「下にスーパースローカメラがスタンバってるんで。」

サラ
「親指立てて飛び込んでいただければ。」

ターミネーター
「いや、もう情緒もへったくれもないじゃん!」

ジョン
「最後にスーパースローで親指が立ってたか確認するんで。」

ターミネーター
「いやいやいや。

 俺が求めてるターミネーターの最期ってこういうんじゃない・・・!」

サラジョン
「いいから、早くいけ!(ターミネーターを突き飛ばす)」

ターミネーター
「(宙を舞いながら)だから、まだ心の準備が・・・!」

溶鉱炉に落ちる音
「ザッパ~ン!」

サラ
「さぁ、スーパースローカメラ!スーパースローカメラ!(モニターの元に向かう)」

ジョン
「(モニターを見ながら)うわ、この顔!マジ必死!」

サラ
「この顔、スマホの壁紙にしよう。」

ジョン
「僕はTwitterのアイコンにしよう。」

サラ
「気になる右手は?」

ジョン
「あ、立ってる立ってる!親指立ってる!」

サラ
「すごいわね、この意地。」

ジョン
「(溶鉱炉に向かって)師匠!OKです!」


(溶鉱炉から右手が出て来て、親指を立てる。)

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

昨年の年末あたりから思いついていた設定ではあったのですが、

なかなか形にできませんでした。

思いっきりベタな展開のコントなんですけどね。

 

【上演メモ】

人数:3人

ターミネーター

ジョン

サラ

 

所要時間:5分~6分
所要時間:★★★★☆
備考:動きで魅せるコントなので、実際にやるとなると、大掛かりなセットが必要です。

そのため、実現は難しいです。

読み物コントだからこそ、できる設定なのかもしれません。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】博士のひらめき
【コント】リモコン
【コント】ガイドブック
【お題コント】幸せボケ
【コント】崖

 

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

↓twitterです。

(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
Twitter

↓こちらでも面白いブログがきっと見つかる!はず。
にほんブログ村 お笑いブログ 自作面白ネタへ
にほんブログ村


お笑い&ジョーク ブログランキングへ