博士
「うーん・・・」
助手
「(研究室に入ってくる)どうしました、博士?」
博士
「あぁ、高瀬くん。ちょっと今、スランプで・・・」
助手
「スランプ?」
博士
「何かアイディアを思いついたとき、頭の上に電球が光るでしょ?」
助手
「あぁ、はい。」
博士
「今、何を考えても、頭の上の電球が光らないんだよ。」
助手
「博士、ちょっと背中失礼しますね。」
博士
「お、高瀬くん。何をしてるんだい?」
助手
「(博士の背中から単三電池を2本取り出す)あった。
えーと、電池残量は・・・(取り出した電池に機械を当てる)」
博士
「どうだい?」
助手
「あぁ、電池切れですね。」
博士
「電池切れか・・・」
助手
「電池なら、僕の机にストックが・・・(引き出しを探る)」
博士
「あるかい?」
助手
「ありました。今、セットしますね。(博士の背中に電池を入れる)」
博士
「ありがとう。」
助手
「セットしました。ちょっと、ひらめいてみてください。」
博士
「えーと・・・あ!」
(しかし、博士の頭上に電球は点かない)
助手
「んー。電球もダメになっちゃってるのかな。」
博士
「そうかもね。」
助手
「ちょっと失礼しますね。(博士の後頭部を探る)」
博士
「どうだい?」
助手
「(博士の後頭部から電球を取り出す)あった。
えーと、どうかな・・・?(電球に機械を当てる)
あー。接触がダメになっちゃってますね。」
博士
「もう、その電球もだいぶ古いヤツだからな。」
助手
「新しい電球と取り替えますね。」
博士
「お願い。」
助手
「(ダンボールを探る)電球あったかなぁ・・・」
博士
「(古い電球を見て)あぁ、これ、私が博士になって5年目くらいに買ったヤツだ。
どうりで古いわけだ。」
助手
「博士。電球探したんですけど、
小学校の理科の実験で使うような豆電球しかないですね・・・」
博士
「一応、取り付けてみて。」
助手
「失礼します(豆電球をとりつける)」
博士
「つけた?」
助手
「一応、直列でつなげてみました。」
博士
「ありがとう。」
助手
「ちょっと、ひらめいてみてください。」
博士
「えーと・・・あ!(豆電球が光る)」
助手
「あ、光った光った。」
博士
「電池も電球も大丈夫だな。」
助手
「ちなみに、何をひらめきました?」
博士
「磁石って、N極とS極が引き付け合うんだよ。」
助手
「・・・ダメだ。電球が小さいから、
しょぼいことしかひらめかなくなっちゃった。」
博士
「他に電球ないのかい?」
助手
「ちょっと近くの電気屋で買ってきます。」
博士
「お願い。」
助手
「いってきます!(出かける)」
博士
「いってらっしゃい!
えーと・・・あ!(豆電球が光る)
戦隊モノの怪人はヒーローが変身中を攻撃すれば、きっと勝てるよ。
・・・ダメだ。しょぼい。」
(10分後)
助手
「今、戻りました。」
博士
「おぉ、高瀬くん。電球はあったかい?」
助手
「はい。(電球を取り出す)これ、外国製のヤツらしいですが・・・」
博士
「ちょっとつけてみて。」
助手
「失礼します。(博士に電球をとりつける)」
博士
「着けた?」
助手
「あ、あとこれ、ACアダプターついてますね。
家庭用コンセントにつなげるみたいです。
(博士とコンセントをつなぐ)」
博士
「どう?」
助手
「つなぎました。何かひらめいてみてください。」
博士
「えーと・・・あ!(電球がものすごい光を放つ)」
助手
「うわ!まぶしい!」
博士
「さすが外国製だな!ものすごい光だ!」
助手
「目を開けていられないですよ!」
博士
「でも、すごい!どんどんアイディアが湧き上がってくる!」
助手
「今、どんなアイディアが浮かんでます?」
博士
「とりあえず、タイムトラベルのアイディアを思いついたんだけど・・・。」
助手
「それはすごい!ぜひ、教えてください!」
博士
「まず、原理からなんだけど・・・」
物音
「バツン!(一気に部屋が暗くなる)」
博士
「え?何?一気に部屋が暗くなったけど・・・」
助手
「あぁ、ブレーカーですね。」
博士
「ブレーカー落ちた?すごい電力食うな、この電球。」
助手
「今、ブレーカー上げてきます。」
博士
「お願い。」
(部屋の電気点く)
博士
「あ、点いた。」
助手
「今、代わりの電球を買ってくるので、それまでひらめかないでください。(出かける)」
博士
「ひらめかないでくださいって何?
ねぇ!ひらめかないでくださいって何?!」
(10分後)
助手
「今、戻りましたー。何もひらめきませんでした?」
博士
「そもそも、コンセント抜けばいいじゃん、と気づいて、コンセント抜いた。」
助手
「なるほど。」
博士
「そっちはどうだった?」
助手
「電球はなかったんですけど、丸型蛍光灯ならあるって言われて、代わりに買ってみました。」
博士
「ちょっとつけてみて。」
助手
「失礼します。(丸型蛍光灯をとりつける)」
博士
「着けた?」
助手
「着けました。ちょっと、ひらめいてみてください。」
博士
「えーと、あ!(丸型蛍光灯、光る)」
助手
「あ、点きましたね。」
博士
「まぁ、しばらくこれでいくか。」
助手
「でも、頭上に丸い輪っかが光ってると、博士、死んじゃった人みたいですね。」
博士
「そう見える?」
助手
「今、何をひらめきました?」
博士
「天国と地獄の境界線。」
助手
「ほら、発想も死んだ後の世界になっちゃったし。」
(蛍光灯消える)
博士
「あれ、蛍光灯消えちゃった。」
助手
「あぁ、もしかしたら、さっきの電池、100%充電されてなかったかな。」
博士
「電池切れか・・・。そういえば、取り付けたのは充電池だったな。」
助手
「はい。」
博士
「ちょっと出かけてくる。」
助手
「え、どこに?」
博士
「ハワイ。」
助手
「ハワイ?何しに?」
博士
「ちょっと充電しに行ってくる。」
【コント・セルフ・ライナーノーツ】
「ひらめいたときに電球が光る」から広げたコント。
そこから、電球にまつわるワードを挙げていって、膨らませていきました。
作ってるうちに、だんだん「博士」「助手」という文字がゲシュタルト崩壊していきました・・・
【上演メモ】
人数:2人
博士
助手
所要時間:3分~4分
難易度:★★★★☆
備考:博士の頭上で電球や蛍光灯を光らせるための小道具が必要です。この小道具作りが一番大変だと思います。
【お知らせ】
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