このウィザード星雲は人気の対象ですが、ナローバンド合成(SHO)の画像処理は最強に難しく、ほぼ1日がかりでも青い部分がきれいに出ないという残念な結果に終わりました。
先日撮ったハート星雲なんかは赤も青も簡単に出て、さしたる苦労もせずに仕上げられたのにこちらはなぜ?赤を出そうとすると青が明るくなって色が飛んでしまい、逆もうまくいかない...SHOはそれぞれの成分の絶対値ではなく、差分を色に表しているので青が良く写っていてもそこに同じくらい赤があれば打ち消されてしまいます。その辺がムズイです。
今まではPIXINSIGHT一本でナローバンド合成処理していますが、やはりPSのような汎用ソフトで強制的に色相変更せざるを得ないか...。
→う~☆彡さんからFastAideProを使用したらというコメントをいただき、早速実行したところ簡単にカラフルな美しい画像をゲットすることができました。少々派手目ですが、非常に満足です。ご指導ありがとうございました。
【ウィザード星雲(Sh2-142)ケフェウス座】
「魔法使い星雲(Wizard Nebula)」と名付けられたこの天体は、ケフェウス座の方角約8000光年の先に位置しています。見かけの大きさは満月以上です。同じ魔女の名前の付いた「魔女の横顔星雲(IC2118)」「魔女のほうき星雲(NGC6960)」などの天体もありますが、これはどこか魔法使いなのかわかりません。
修正前(PIXINSIGHT使用)
修正後(FastAidePro使用)
【参考】BXTの威力(星像改善)
MT-160の純正レデューサーは、何十年も前の製品で、以前もお伝えした通り周辺のコマ収差がひどく使いたくないのですが、今回やむなく使ったのでBXT(PIXINSIGHTのアドインツール)の機能でどれだけ星像が改善するか比較してみました。左がBXT前の撮って出しAPS-C周辺の拡大写真で蝶々が飛んでひどいです...右がBXT修正後...、AIの威力はすさまじいです。コマ収差なんて怖くない!望遠鏡の星像云々いう時代は終わりかも...。(BXTは星像改善以外にdeconvolutionにより星雲・銀河等の模様をシャープにする機能があります)
あと一点、今まで何度か下記のような写真を出してSIIがどうのとかOIIIが写ってるとか申しておりましたが、これは誤りであることに気づきました。ストレッチ前の画像は、STFという機能で自動調整して見せているだけで、実際の輝度はバラバラらしいです。したがってストレッチ前の画像を比較して濃いとか薄いとか言うのは絶対的なものではないので正しくないです。最近のツールは自動的にレベル補正してくれるのでありがたいのですが、本当の画像はどうなのか常に意識が必要です。(左上H、右上O、下S)
データ
鏡筒: タカハシMT-160 RD(776mm f4.8)
カメラ: ZWO ASI2600MC DUO
赤道儀: ZWO AM5(ASIAIRによるオートガイド)
フィルター: HYO社 HO・SO(6nm)フィルター
(OSCによる疑似ナローバンド合成)
日時: 9/4 19:44~ 300sx20FR(HO)・21FR(SO)
(総露光時間3時間25分)
画像処理: PIXINSIGHT、FastAidePro
撮影地: 丹波篠山市
※LinearFit使用してS・Oをブーストしてみた
※青いのが出ないのはレデューサーのせい?
(この純正レデューサーは元々発色が良くないからそのせいか)
※ハートは大芦高原なので空の暗さの差か?