大人も、子どもも。

どんな気持ちも大丈夫。

自分と向き合い、もっと自分らしく、

カウンセリングで、
ホントのあなたと出会おう。


日々の暮らしに活かせる
カウンセリングの技術を広めたい。


心理カウンセラーの三輪 陽子です。


こうして思い出しながら書いていると、

気持ちが残っているのを感じます。


まだ残された感情があるんだなと気がつきます。

もう18年前の話だというのに。


いや、時間が経てばそれで済むことばかりではないのかもしれない。意識して蓋をしたのだから。

どうしてもまたわんこを迎える気になれないのはやっぱりそういうことかもしれない。



(2006年の投稿を振り返りながら書いてます)


*その1


*その2


*その3


*その4




  チャコが変だ!

「散歩の途中でへたり込んじゃったんだよ。どうしたんだろう・・・。」



夫は走るのが好きなチャコにあわせて、いつも自転車で散歩をしてた。



途中、トイレを済ましたあとにお気に入りの空き地などでしばらくリードをはずしてもらって、(当時は広い空き地があって場所を選べばそんなこともできてた)帰りはそれでも走り足りないチャコが自転車を引っ張らんばかりに猛ダッシュで帰ってくるのがいつもの散歩だった。



それが、最初は勢い良く走り始めたものの、
いつものコースの半分も行かないうちにトボトボ歩き始めて、そのうち座り込んでしまったらしい。
仕方なく自転車をその場において、抱きかかえて戻ってきたというわけだ。


飼い始めて12年、今までそんな事は一度もなかった。

走りたがらないなんて事はまずなかったし、抱っこされるのもいつもなら大の苦手だった。



それは1号と同じで、

愛情表現だとばかりに、抱っこしようとすると、じたばたと逃げ出してしまうのだ。


変なところが似てるわね~~なんて、笑ってた事もあったもんだった。




しばらく休ませたあと、病院に連れて行った。


それでも、散歩から帰ったばかりの時に比べたら、自分で歩くし、車にも飛び乗った。

尻尾も振ってたし、病院にはいる階段も、とことこと駆け上がった。


チャコは本当に病院が嫌いなのに、

いよいよ目の前まで来たら覚悟するのか、そこまでは嫌がってた素振りを忘れたかのように従順で、

チャコはお利口なのかお馬鹿さんなのかわかんないねってよく言ってた。

でも間違いなく賢かったんだ。

ほんとにいい子だった。



何だ、元気になったかな?

きっと、風邪でもひいたんだ。

一時的にちょっと具合が悪くて、へたり込んだだけだったんだ。


点滴でも打ってもらったらすぐに良くなるに違いない。

そう思いながら病院のドアをくぐった。


案の定、先生も、「点滴を打ちましょう」といって準備を始めた。
「貧血を起こしているようですね、歯茎や、まぶたの裏側が真っ白です。」

「なーんだ、貧血かぁ・・・そうだったんだぁ。私と同じじゃん。」


夕方までゆっくり点滴をして、血液検査などをしてみます、とのことだった。

チャコをおいて家に帰り、夕方にまた病院に行った。




「チャーコ、元気になったぁ?」

先生の表情は硬かった。


いろいろな検査に先駆け、レントゲンをとったら・・と言いながら写真を見せてくれた。
私には、ふむふむ、おなかの写真だなあ、としか思えなかった。

「ここには、いろんな臓器が写っているはずなんです。
チャコちゃんのお腹には、それも写らないほど大きな腫瘍ができています。」

「??」


「今回の腫瘍は、とても私たちの手に負えるものではなく、どうしても取り除きたいとおっしゃるなら、他の病院を紹介するしかありません。」

「結局、足の時と同じように、私達が判断しなくてはいけないという事なんですね?」

「ええ、まあ・・・こちらでできるのは点滴くらいですが、それがどれ位有効かは・・・。
取りあえず、連れて帰られますか?」

連れて帰るもなにも、当然でしょうと思いながら、支払いを済ませて家路についた。
車に乗るのが、ちょっとしんどそうだなあと思ったけど、それでもまた自分で歩いていた。


家について、玄関に入るとすぐそこに横たわった。

外から犬小屋を持ち込み、回りにダンボールや毛布を敷いてやった。


すぐにうとうとしているようだった。



足の腫瘍の時のように、また一からチャコの今後を考えなくっちゃいけないんだなあ。
何から考えをまとめたらいいだろう・・・・。

リビングでソファにすわり、目を閉じた。 


考えがまとまるわけがなかった。


何を考えて良いのかもまだわからなかった。


しばらくすると、チャコが小屋から出て来る音が聞こえた。


玄関の土間に寝転んだのが、気配でわかる。

どうした、のどが渇いたの? 

チャコ・・・?



チャコはお腹で大きく息をすると、それを最後に動かなかった。






え?まって、うそでしょ? 

手術は?どうするの?


なんで?なんで?どうしたの?

何がなんだかわからなかった。


今回の腫瘍は、とりきれずに助からないのかもしれないなあ、とは思った。

だけど、今日なの? 

今日に死んじゃうなんて・・・・・。




死んじゃうってわかってたら、大好きなチョコレートを食べさせてあげたのに。
もっともっとなで続けてあげたのに。
さっきまで歩いてたじゃない。
昨日まで私の事を心配そうに、見上げててくれたじゃない。


自分でも何を叫んでいるのかわからなかった。
ただただチャコの名前を呼び続けただけだったような気もする。



《次回に続く》


 

 

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