今年2023年は、日本国と中華人民共和国と、
その両国の平和友好条約が締結されてから、45年目の節目の年。
それを記念して、現在、八王子の東京富士美術館では、
“世界遺産 大シルクロード展”という展覧会が開催されています。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
出展数は、約240点。
中国国内27の文化・博物機関のコレクションの中から、
シルクロードの歴史と文化を反映するアイテムの数々が来日しています。
しかも、そのうちの実に3分の1以上が、一級文物。
日本で言うところの「国宝」に当たる工芸品の傑作です。
どれも見ごたえがありましたが、
自分的に一番見入ってしまったのは、一級文物の《六花形脚付杯》。
高さ5.4㎝、口径8.9㎝と、小ぶりな作品ではありますが。
その表面にはこれでもかというくらいに、装飾が凝らされています。
超絶技巧の職人技が光る逸品です。
それから、もう一つ見入ってしまったのが、《草花文綴織靴》。
ルームシューズとして売られていたとしても、何の違和感もないですが。
なんと、こちらは1~5世紀に作られたものとのこと。
グラデーションの部分とか、どうやって作られているのでしょう??
というか、それだけ古い布製品が、
これほど完璧な状態で残っていることにも驚きました。
おそらく、この靴が出土したウイグル地区が、
乾燥地帯であることが、大きな要因と思われます。
日本だと、湿気や虫の影響で布が長持ちしないので。
本展には他にも、貴重な布ものが多数展示されていました。
考古好き、歴史好きの方はもちろん、
テキスタイルやファッションが好きな方にもオススメの展覧会です。
さてさて、他にも印象的だった作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、唐時代の《菩薩坐像》です。
ガンダーラ仏と日本の仏を足して2で割ったよう。
まさに、シルクロードを意識せずにはいられない仏像でした。
ただ、それよりも何よりも気になるのが、ウエスト。
めちゃくちゃくびれています。
ヨガをしている時の片岡鶴太郎くらいくびれています。
そこがどうしても気になってしまうので、
この仏像に祈る際には、集中できる気がしません。
本展では仏像以外にも、仏教美術が充実していました。
その中で印象的だったのが、
一級文物の《妙法蓮華経第一 断簡》。
仏教には疎いので、「ちょっと何書いてるかわからない」状態ではありましたが。
3行目の上から3~5字目の3文字に、思わず目が留まってしまいました。
『八王子』とあります。
八王子の美術館で、『八王子』の文字を観る。
謎の感動がありました(笑)。
続いて印象的だったのが、《蝉型金具》。
敦煌の南東に位置する遺跡から発掘されたものなのだそうです。
しかしまた何で、セミの形のものを埋葬したのでしょう?
なんでも、地中から出て、成虫になることから、
中国において、セミは再生の象徴とされているのだとか。
・・・・・・・いや、でも、セミはすぐ死んでしまいますけど??
さすが細かいことは気にしない中国人です。
埋葬品といえば、こんなものも。
こちらは、クルミです。
クルミ型の何か、とかではなく。
ただ単にクルミでした。
発掘された遺跡のあたりでは、クルミは自生していなかったとのこと。
その珍しさから、一緒に埋葬されたと考えられているそうです。
それも一理あるとは思うのですが、
マフィアとか悪いヤツのボスって、手下に指示をする時、
だいたい手でクルミをずっとくるくる回してるじゃないですか?
だから、もしかしたら、この埋葬された人も、
生前、手でクルミをずっとクルクルしていたのかも。
それで、クルミも一緒に埋葬されたのかもしれません。
と、他にも印象的なものはいろいろありましたが、
なんだかんだで一番印象に残っているのは、4世紀の《鈴》。
世の中がどれだけ進化しても、
鈴の形だけは、4世紀から一切変わっていないようです。
しかも、23世紀の未来からやってきたドラえもんも、やはりこの鈴をつけているわけです。
鈴ってスゴいですね。