Outbreak

空気感染する致死性ウィルス
太平洋岸の小さな町でウイルス感染症が発生した。なぜかすぐに軍によって封鎖された。
血清を作るために、貨物船で密輸されたサルを探す。
しかし軍は気化爆弾を投下して町を消滅させようとする。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1995年、脚本:ローレンス・ドゥウォレット、ロバート・ロイ・プール、監督:ウォルフガング・ペーターゼン



■ 登場人物(キャスト)
サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)
ロビー・キーオ(レネ・ルッソ)
ケイシー・シュラー少佐(ケヴィン・スペイシー)
ソルト少佐(キューバ・グッディング・Jr)
ビリー・フォード准将(モーガン・フリーマン)
ドナルド・マクリントック少将(ドナルド・サザーランド)
ジンボ(パトリック・デンプシー)

 

 


■ あらすじ

サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)とロビー・キーオ(レネ・ルッソ)は離婚した。二人ともウィルス感染の専門家。離婚の原因は、二人とも意地っ張りだからである。ロビーは「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」に転勤が決まっている。

ザイールのモターバ河流域でウィルスによる出血熱が発生し、サムは急遽現地に飛ぶことになった。

部下のケイシー・シュラー少佐(ケヴィン・スペイシー)、ソルト少佐(キューバ・グッディング・Jr)とともに現地で調査。空気感染はしないが発病後三日で死亡し、死亡率は100パーセント。村は全滅した。最初に道路建設の若者が感染したが、それ以上は不明。

戻って調査すると未知のウィルスである。致死率の高さと感染者を死に至る速さに危機感を抱き、軍上層部とCDCのロビーに警戒通達の発令を要請する。

サムの上司のビリー・フォード准将(モーガン・フリーマン)は警戒通達を発令しない。これには秘密があるからである。ビリーと上司のドナルド・マクリントック少将(ドナルド・サザーランド)はサムに知られると面倒だという話をしている。

CDCも通達は発令しない(後述)。

ロビーは着任後、ウィルス感染が発生したとのことで、さっそくボストンに飛び調査する。これはジンボ(後述)。処理し終えて「拡大の恐れはない」と安心したところで、シーダークリークでウイルス感染発生との連絡を受けて、そちらに急行。カリフォルニア州の太平洋岸の人口2600人の小さな町である。

サムはニューメキシコへの出張を命じられる。サムをシーダークリークに行かせたくないからである。サムはシーダークリークの事件を知り、自分の判断で命令を無視してソルトとともにヘリコプターを盗んで現地に飛んだ。

シーダークリークには外出禁止令が出され軍によって封鎖された。発病者で溢れかえった。

サムは、まだ血清が存在しないはずの出血熱に対してE1101という血清がすでに投入されていることに疑問を持つ。ビリーにE1101の件を問い詰めるが、ビリーは明確な返事をしない。

ビリーは命令を無視しているサムを逮捕しようとするが、事態の重大性を認識して躊躇する。

E1101は効果がない。しかしそこにいたサルはE1101で回復する。サムとロビーはウイルスが二種類あると判断する。マクリントックは政府の会議に出席し、20時にシーダークリークに気化爆弾を投下することになる。

ケイシーが過労で注意散漫になり防護服が破れて感染し、ケイシーを手当てしようとしたロビーもミスで感染した。

宿主がどこかにいる、そしてそれはつい最近入ってきたはず、ということで、サムはソルトとともに盗んだヘリコプターで追跡を開始する。

その活躍がスゴイ。まず税関を調べる⇒タイコック号と言う貨物船の入港履歴が見つかる⇒タイコック号を海上に追いかける⇒宿主と思われるサルの写真を発見⇒サンタローザのテレビ局に行って銃で脅す⇒サルの写真をテレビで公開する⇒ある家族からCDCに連絡が入る⇒家族のところに急行する⇒そのサルを誘い出して麻酔銃⇒シーダークリークに帰る⇒血清を作る。

この間、二人はずっと軍から追われている。

作成した血清をロビーに接種して効果が見られたので、大量生産に入り、次々と患者に投与する。

しかしマクリントックはシーダークリークを気化爆弾で殲滅しようとする。理由は細菌兵器の存在を隠すためである。良心が少しばかり残っているビリーは悩んでいる。

爆撃機サンドマンが気化爆弾を搭載してシーダークリークに向かってくる。二人はヘリで飛び立ち、サンドマンの前に立ちふさがる、緊迫したやり取りが展開される、結果サンドマンのパイロットは、投下に失敗したふりをして海上に爆弾を投下する。

 

 

 

 

 


■ シーダークリーク汚染の経緯

モターバの感染地域のそばでサルが捕獲される。このサルは後に「ベッツィ」と名付けられる。

ベッツィはタイコック号に積まれて密輸され、カルフォルニア・サンノゼに運び込まれる。

ジンボ(パトリック・デンプシー)によってシーダークリークのペットショップに持ち込まれる。ジンボはペットショップに到着する直前に車の中でベッツィに唾を吐きかけられる。ペットショップの店主ルディはベッツィに引っかかれる。

ベッツィはメスでショップの顧客の要望とは違っていたので、ジンボはベッツィを連れて帰り、途中のパリセーズで森の中に放す。ベッツィは、当地のケイトという女の子と仲良くなる。「ベッツィ」は、ケイトがつけた名前。

ジンボは飛行機でボストンに立ち、そこでジンボと恋人が発病し死亡する。それをロビーが調査する。しかしそれ以上の感染は確認されない。

ルディが死亡し、ルディの血液検査をしていたヘンリーが誤ってサンプルの容器を割ってルディの血を浴びてしまう。ヘンリーが映画館で発病し、住民に感染が広がる。

補足。ベッツィは二つのウィルスを持っており、ジンボとルディのものは別である。ルディの方のものはすでに変異したもの。そしてさらに空気感染するにようになる。シーダークリークでE1101で治ったサルはジンボと同じものに感染している。サムとロビーは、突然変異にしては、あまりに急なので、ウィルスが二種類いると判断する。

 

 

 

 

 

 


■ 1967年ザイール・モターバ河

1967年7月。ザイール・モターバ河、傭兵キャンプで出血熱が発生。多くの犠牲者が出る。

アメリカ軍は、感染者から採血をする。そして爆弾を投下してキャンプを跡形もなく全滅させる。

それを元にE1101が作られ、軍に保管されている。

 

 

 

 

 

 


■ サムとロビーの会話

二人の会話がわりと笑える。

最初にサムがザイールに出発する時に、飼い犬をロビーに預ける。ロビーは犬には猫なで声で話す。しかしサムにはつっけんどん。ロビーが結婚していた時の写真を全部渡そうとするので、サムは怒って受け取らない。

サムがモターバでの調査を終えて重大事態だと判断して、CDCのロビーに緊急通達を依頼するがロビーは拒否する。「あなたの勘でしょ?」「そうだ直観だ」「直観とノートに書いておくわ」「一度くらいは僕を信用しろよ」「もう結婚で失敗したわ」。しかしその後ロビーは思い直して通達を上司に進言するが却下される。

ボストンでジンボを調べたロビーはモターバウィルスに違いないとサムに連絡。サムは「他の患者が24時間以内に発生しなければ大丈夫」「ずいぶんと楽観論ね」「僕らにもまだ希望はある」。

サムが宿主(=ベッツィ)を探すためにヘリで出発する時にロビーに「18時までに発病していなければ、シーダークリークから出るように」と言う。これでロビーは、どのような決定がなされたかを知る。

最後の場面。シーダークリークへの爆弾投下が回避され、血清がみんなに投与され、ロビーも回復した。サムは再婚を提案する。ロビーは「免疫もできたことだし」と答える。もちろん「免疫」は二つの意味がある。

 

 

 

 

 

 


■ 疑問点/蛇足

ロビーは途中で感染するので、その後は活躍しない。私はレネ・ルッソを目当てに本作を見ているので、現地で最後まで奮闘する展開にしてほしかった。リーサルウェポンのように回し蹴りはしなくてもいいので。

ヘリに乗ってからは、サムよりもソルトの方が活躍している。三蔵法師よりも孫悟空が活躍しているのと同じか?いやしかし、ここでサムばかりが活躍していると、かなり嫌味になるだろう。ソルトも一緒に活躍するということでちょうどよい。

以下はちょっと変なところ。しかし普通の映画は、このくらいのミスはあるので、あまり気にしないように。

サムとソルトが税関で、入港記録と持参したリストを突き合わせるが、持参リストの出所が不明。

ケイシーがシーダークリークに来た経緯が不明。サムの部下なので命令でニューメキシコに行くはずではないのか?サムがシーダークリークに行ったので、自分の判断で来たのか?

大統領に進言する会議の司会者の言動がおかしい。爆弾を投下しシーダークリークの住民を犠牲にしてでも、アメリカ全体を守ろうとする会議のはずだが、逆のことを言っている。これだけはきちんとしてほしかった。

タイコック号からヘリに戻る時はどうしたのか?タイコック号にはヘリが着陸できる甲板はない。サムはヘリからタイコック号に飛び降りる。しかしヘリに戻るのは容易ではないと考えられる。どうしたのか?戻る場面は表示されない。

気化爆弾の投下時刻は20時のはずだが、サンドマンとヘリが対決する時は、明るい昼間である。

 

 

 

 

 


■ 出演作

レネ・ルッソ
(1992)フリージャック/Freejack
(1992)リーサル・ウェポン3/Leathal Weapon3
(1993)ザ・シークレット・サービス/In the Line of Fire
(1995)アウトブレイク/Outbreak
(1995)ゲット・ショーティ/Get Shorty
(1996)身代金/Ransom
(1996)ティン・カップ/Tin Cup
(1997)バディ/Buddy
(1998)リーサル・ウェポン4/Leathal Weapon4
(1999)トーマス・クラウン・アフェアー/The Thomas Crown Affair
(2000)ロッキー&ブルウィンクル
(2002)ショウタイム/Showtime
(2002)ビッグ・トラブル/Big Trouble
(2017)ベスト・バディ/Just Getting Started
(2005)ヘレンとフランクと18人の子供たち/Yours Mine and Ours