東京建築祭2日目は、新橋の堀ビルひとつに絞りました。
前日知り合って一緒にお茶をした女性がかねてよりこの建造物に興味があったといい、
朝受付開始前に行くとのこと。
ある意味建築に関係した仕事をされている人の言うことなので、
これは期待が持てそう、私も真似して早めに行こう、と発起。
列に並んだところ、彼女はずっと前に到着していた様子。
でも列が折り返しになっていたおかげで再度対面できました。
堀商店と書かれたこれがその堀ビル。
まだ20分ぐらい時間があるので、今のうちに外観写真を撮っておこう・・
夫に場所取りをお願いして撮影に出動。
壁の表面の模様がそれぞれ異なっているようなので、1枚ずつ撮影開始。
ところが、何枚か撮ったところで、うり二つの模様があることに気づきます。
摩滅具合の違いぐらいで、ほぼほぼ同じ。
改めてチェック。小学一年のときは視力が2.5あったけど(実際の記録は2.0だけど、
「まだまだもっと読めるのにこれで終わり?」だったので、自己申告2.5)、
今は視力落ちて1.2~1.5ぐらいなので
一番上は確信はなかったけど、どうやら模様は2パターン。
赤と緑の★をつけたものがそれぞれ同じグループです。
ちなみにこちらは向かって左側の側面。
ところが、真正面から見たら、模様は4パターンだと気づきました。
例えば赤丸部分。
左側面は、小刀のようなものが左上から右下に降りているのに対し、
右側面はその逆。右上から左下。
緑丸部分は、
左側面で、錠前のような意匠が右側寄り、
右側面では、左寄りです。
つまり、模様は2パターンで、中央を境に模様を左右反転させているのでした。
設計者さん、左右対称へのこだわりがそこはかとなく強いようで。
これが右側面。
小刀はすべて右上から左下へ、錠前模様は左寄り。
そのほか堀の頭文字Hの文字も、表面に3か所程見かけました。↓
そうこうしているうちに、入場が開始。
先日触れたとおり、サプライズのシークレットツアーを16時の回で登録し、
中を眺めていたところ、プレートを発見。
東京都指定歴史的建造物 堀ビル
所在地:港区新橋2-5-2
設計者:公保敏男(ブログ注:近年、実兄の小林正紹とのコラボ作という説へ)
建築年:昭和7年(1932年)
新橋は、戦前・戦後を通じて、家具・建築金物を商う店舗が数多く建ち並んでいた街であった。堀商店は、建築金物を扱う老舗で、新橋の代表的な商店であり、当時の面影を今に伝える貴重な存在である。
鉄筋コンクリート造、地下1階地上4階のこの建物は、外堀通りの角地に、柔らかくカーブした優美な姿を呈している。壁面には建築当時に英国から輸入したというスクラッチ風のタイルが貼られ、水平を強調する外観に、西側隅の塔屋がアクセントをつけている。植物や鍵をモチーフにした装飾が随所に配された華麗な建物は、現代的な建築物の並ぶ通りに華やかな雰囲気を与え、人々の目を楽しませてくれる。
東京都生活文化局
西側隅の塔屋?
朝一の見学を済ませ、外に出てから、一旦道を渡って建物全体を見たところ、
右側に塔が確かに見えました。
道を渡らない限り、塔は、ほとんど見えず。切れ端がかすかに見える程度。
今は、背後の高層ビルに抱かれるようにちょこんと建っているけれど、
震災後に建て替えられたこの建屋が竣工した当時は、この塔から周囲が広く
見渡せたことでしょう。
震災前に建っていた建物にも最上階に似たような塔があったので、それを踏襲したのかな?
(堀商店は創業明治23年)。
ズームしてみます。
上階に電気がついているのが見えますが、これらはビルのテナント。
日経記事によると、堀ビルは、現在レンタルオフィスとして活用されています。
オーナーの堀氏が竹中工務店に建物を賃貸して、そこから再委託で
不動産業者にシェアオフィス運営を任せている由。
歴史的建造物維持のためのひとつのフォーマットですね。
ということで次回は、16時から始まったシークレットツアーのお話に進む予定。
東京建築祭4 床に大穴を開けて作った階段が壮観 安井建築設計事務所