ハリウッドの豪邸に住む美女を覗き見していた売れない役者は彼女の周囲に奇怪な男

 

が出没する事を知り助けようとするが、彼には閉所恐怖症というハンデがあった、、

 

 

 

 

 

 

     -  BODY DOUBLE  - 監督 原案 ブライアン・デ・パルマ

 

 出演 クレイグ・ワッソン、メラニー・グリフィス、グレッグ・ヘンリー 他

 

こちらは1984年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(114分)

 

 

 

 

 

  B級映画専門の俳優のジェイクは、「吸血鬼のキス」という怪奇映画に主演していたが、撮影中、昔からの閉所恐怖症に悩まされ失意のまま帰宅する。 帰ると同棲中の恋人が他の男と、セ〇クスにふけつていた。 意気消沈のジェイクは、あるオーディション会場でサムと知り合い、彼の家へ招かれる。 ゴージャスなサムの家に驚くジェイクに、彼は望遠鏡から見える魅惑的な隣人のグロリアの存在を教える。 

 

 

 

 

公演でしばらくの間旅に出ることになったサム。 留守番を頼まれたジェイクは、グロリアに魅せられ毎晩のようにレンズから熱い視線を送った。 ある夜、グロリアが謎の男と激しい口論を交わすのを望遠鏡越しに目撃したジェイクは、翌日も彼女が男につけられていることを知る。不吉な予感にかられたジェイクは、ランジェリー・ショップで下着を買った後、海辺のホテルヘ向かう彼女を追い続けた。 

 

 

 

 

浜辺を歩くグロリアの背後から突然インディアンが現れ、彼女のバッグを奪いマンションのキー・カードを持ち去る。 ジェイクはインディアンを必死で追うが、閉所恐怖症に再び襲われ、寸前のところで男を取り逃してしまう。 

 

 

 

 

しかし、それが縁で2人は愛の言葉を交わし強く抱き合った。 その夜、インディアンがグロリアの寝室に忍び込むのを目撃したジェイクは、彼女の家に駆けつけるが、そこには電気ドリルでズタズタにされたグロリアの変わりはてた死体があった、、。

 

 

 

 

ブライアン・デ・パルマ監督お得意のサスペンス映画でございます。 この作品もソフト化されてすぐに鑑賞していたのですが、細かい内容どころかそのほとんどを覚えていないという始末。 当時よほど期待外れだったのか、その後も観返す事もなく今日まで忘れていた作品でしたが、良い機会だと思いレンタルしてみました。

 

 

 

 

あの名作「スカーフェイス」と「アンタッチャブル」の間に作られた本作ですが、なんと!この作品でゴールデンラズベリー賞の最低監督賞にノミネートされていたデ・パルマ監督。 嫌な予感しかしません、、。 ザワザワ。

 

 

 

 

この作品では彼が敬愛するヒッチコックの「裏窓」と「めまい」の二つの要素がミックスされたような設定で、閉所恐怖症の男が友人留守を預かる豪邸から、向かいの家に居るセクシー妻を覗き見した事で事件に巻き込まれるという定番の作品です。

 

 

 

 

オープニングのB級映画の撮影風景から始まる出だしは楽しくて良い感じ。しかしドラマが始まってもそのB級感が漂う豪邸のセットまでもがチープなのはちょっと。 覗く向かいの人妻グロリアが踊る怪しげなセクシーダンスが意外に長く、観てるこちらはそんな馬鹿な~と困惑し始めます。

 

 

 

 

偶然外で見かけたグロリアを尾行し始める主人公ジェイクですが、尾行にしては距離が近い近い!公衆電話もすぐ隣だし、エスカレーターでは2段ほど下という間隔。そんなんだからランジェリーショップの店員に不審者扱いされて警備員を呼ばれてしまうお粗末な尾行。 グロリアが途中でゴミ箱に捨てたパンティーをポケットにゲットするという性癖を見せつつ尾行をつづけるのであります。

 

 

 

 

海辺のコテージに着いたグロリアを暴漢が襲い、ジェイクはその暴漢を追跡しますがこの暴漢のお顔が妙に不自然な特殊メイク丸出しでかなりの違和感。 バッグを取り戻したジェイクでしたが、トンネルの中で閉所恐怖症が発症。 

 

 

 

 

後から来たグロリアに助けられてからの衝撃のキスシーン!ここではキスをする二人を中心に、カメラがグルグル回るという斬新な演出が登場してこちらの度肝を抜いてきます。

 

 

 

 

その夜にまた覗きをしていると、昼間の暴漢が現われグロリアをドリルで殺害。ジェイクは間に合わず番犬に首を噛まれるという怪我を負ってしまいます。 警察に通報して事件は落ち着きますが、部屋でポルノを見ていたジェイクはそこにあのセクシーダンスをする女を発見します。 

 

 

 

 

自分が見ていたのはグロリアではなくポルノ女優だった事に気付くジェイク。 と、ここも若干の無理を感じましたが、行動力のあるジェイクはその女を突き止める為にポルノの製作会社のオーディションを受け、俳優として潜入に成功。お目当ての女優を誘って一連の事件の真相を暴こうと試みるのですが、、。

 

 

 

 

観始めてストーリーが進むにつれ、徐々にあれ?あれ?とデ・パルマの事が心配になってくる作品で、別の意味でサスペンスが感じられる映画でありました。 尾行の緊張や建物を利用した仕掛けが全く機能していない事。 

 

 

 

 

得意の画面を分割して見せるスプリットスクリーンの変わりに望遠鏡で覗く遠方の世界とジェイクの居る離れた場所との距離感と時差を効果的に使うのかと思ったのですが、それも無いというスリルゼロな演出。

 

 

 

 

そのくせオ〇パイやセクシーな場面は通常以上に大盤振る舞いのサービスで見せてくれています。 他にも、あのフランキー・ゴース・トゥー・ハリウッドが「Relax」 を歌って登場し、急に映画がMTV化するという80s感丸出しのシーンまであるとんでも展開です。

 

 

 

 

 

もうこれは完全に趣味に走ったデ・パルマの変態映画だ、、と諦めかけた本当に終盤眠っていたデ・パルマが急に目覚めだし、それまでの「あれ?」 という不安をちゃんとひっくり返してくれるのです。 

 

 

 

 

そういう事であのチープさとゆるさ、らしからぬ演出とエロだったのね~!と、この映画の伏線を回収してくれていて、デ・パルマを心配していた気持ちにやっと最後で安堵が訪れるという構成になっていました。 よかったよかった。

 

 

 

 

 

そんな気持ちに応えるようにエンドクレジットでは、「安心した?」と言わんばかりに、ただただボディダブルのオ〇パイが延々と大写しで画面に映されます。 この悪趣味で変態的な所こそが実はデ・パルマの本質なのかも、、と思ってしまいます。 

 

 

 

 

ヒッチコックからB級作品、そしてポルノと様々な映画をオマージュして、映画作りを楽しみながらデ・パルマらしい映画への敬意を表した作品になっているように思え、本作も嫌いになれない作品になった私です。 

 

 

 

 

ラストでは映画のタイトルの意味を面白く解説してくれているサービス精神があったり、ブレイク前のメラニー・グリフィスのセクシーダンスも観れ、あの独特なキュートな声が久しぶりに聴けて嬉しくなりました。 色々と懐かしさが詰まった映画となっていますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 
 

 

 

公開当時の謎めいた本作の予告 ある意味イマジネーションを刺激しますね。 唇