大林宣彦監督が、SF作家・眉村卓の同名ベストセラーを薬師丸ひろ子主演で実写映画化した青春ファンタジー。

 

 

 

 

 

 

        -  ねらわれた学園  -    監督 大林宜彦  原作 眉村卓

 

 出演 薬師丸ひろ子、高柳良一、長谷川真砂美、峰岸徹、手塚真、三浦浩一 他

 

こちらは1981年公開の 角川映画 になります 日本 (90分)

 

 

 

 

  三田村由香は優等生の高校2年生。クラスメイトの耕児と下校中、三輪車に乗った男の子がトラックに轢かれそうになったとき、「戻って」 と心に念じたところ本当に元の場所にもどった。 剣道の試合も由香が関に勝つように念じるとみるみるうちに勝ち上って城南学院を下してしまった。

 

 

 

 

その体育館のなかに髪の白い怪しげな男がいた。 その男は、由香をつけ、車に乗れと誘った。 不思議な力で断ることが出来ない由香はその男の車にのってしまった。男は、由香を自分たちの仲間だといい、「仲間に入ればこの世界を超能力によって支配できる」 と言うのであった、、。

 

 

 

 

薬師丸ひろ子 主演作として、「野生の証明」、「翔んだカップル」、と来て 3作目の映画になります。 「戦国自衛隊」 では、1シーンのみの出演でありましたね。角川映画として、薬師丸ひろ子 を アイドル として売り出したいとの意向によって製作されたその後の アイドル映画 というジャンルの先駆けとなった記念碑的な作品です。

 

 

 

 

監督は 大林宜彦 監督でありまして、これ以降も角川映画で、「時をかける少女」、「天国にいちばん近い島」、「彼のオートバイ、彼女の島」 等があります。 監督として、今作が5作目に当たり、「ねらわれた学園」 の前が 角川映画の変わり種作品、 「金田一耕助の冒険」になります。 

 

 

 

 

で、今作、「ねらわれた学園」 ですが、公開当時2本立て公開で、同時上映が、たのきん主演の 「ブルージーンズメモリー」 でありました。 時代ですね~。今回、何十年ぶりかに観返してみたのですが、やはり、以前観た時の印象とあまり変化が無かった事に、逆に驚いた私だったのであります。

 

 

 

 

私は 大林宜彦監督 を、かなり好きな方でして、デビュー作の 「HOUSE」~「さびしんぼう」、飛んで 「ふたり」 あたりまで、好きな作品がいくつかあります。中でもデビュー作の 「HOUSE」 における自由な映像表現と、シュールであり、その上ノスタルジーが入り混じった独特な世界観がたまりません。 その後のジャパニーズホラーにもかなり影響を与えたのではないかと、個人的に思っております。

 

 

 

 

そして 「転校生」 「ふたり」 等にみられる思春期の年代をメインに捉えた作品では、繊細で優しい監督の視線を感じる、これも大林監督の独特の世界であります。その両方が上手く融合したのが 「時をかける少女」 という作品になったのだと思いますそしてこの「ねらわれた学園」 は、ある種 「時をかける少女」 とリンクした部分の多い作品です。

 

 

 

 

原作と設定をだいぶ変化させていますが、学園もの、女性主人公、SF要素、そして最後には、主人公の女の子が、自らの意志と行動力で立ち向かっていく姿が、最後のクライマックスになっています。 なのですが、観返した「ねらわれた学園」 の印象の一番大きな部分は、「ぎこちなさ」 です。 

 

 

 

 

前半は完全に、学園コメディでありまして、それもマンガのような、机をドーン!と叩くと、その上の物が飛び上がってみたり、優等生役の 手塚 真(手塚治虫さんの息子さん) のデフォルメされた、ガリ勉キャラや、校内でのローラースケート (金田一耕助の冒険でも登場!) 当時幼かった私でさえ、まるでマンガのようなな演出に違和感を感じましたが、今の日本映画って顔芸やマンガ演出が横行しているようで、ここでも大林監督の先を行く感性を感じます。(笑)

 

 

 

 

主人公の 由香 の家での服装は 着物! ソフトフォーカスで温かい家族として描かれます。 級友の 耕児 の家は 寺内貫太郎? と思える昭和上等家族描写です。中盤から、謎の転校生が来て、生徒会長になってから、自由だった学校が、規律第一の閉鎖的な学校に様変わりしてしまいます (軍服を着た風紀委員が見廻ったりしております) この辺りでは、画面もストーリーも暗く、よどんだ感じで重い空気感で覆われます

 

 

 

 

そして後半、全ての悪の根源である 峰岸徹 演じる 「星の魔王子」 との対決になりますが、ここからラストまでは、日本映画史に残る壮絶でシュールなシーンが繰り広げられます。 正にこれぞ映画体験のような映像で、文字での表現は困難なのですが、ダリ の絵の中で、「ロッキーホラーショー」 が巻き起こっているかのような驚愕のシーンの連続です。 これはあくまでも褒め言葉で、映画好きの大林監督が、自分で8mm フィルムで撮影して楽しんでいた頃のような、、、

 

 

 

 

学生のほとんどの演技は、かなりキツイ物がありますし、ほぼ全て(機材の問題か)アフレコで、映像に合っていない部分も多く、背景もあえてのマットペインティング感バリバリです。 アイドル映画として成功しているか?学園ドラマとして成功しているか?そもそも映画として成立しているか? いえ、これが 大林宜彦監督 しか描けない世界なのであります。

 

 

 

 

ただ残念なのは、この路線で続けてほしかったな~と、思うのです。 この感じのままでいききって欲しかった。 そうすれば日本を代表する唯一無二の映画作家ようになれたのではないでしょうか、、?

 

 

 

 

角川映画が日本の映画界を牽引していたバリバリの時期の作品であるにも関わらず、この微妙で破天荒な作品が出来上がった事、そして 薬師丸ひろ子 の初々しい存在感が支配した、学園青春ホラー、SF、スリラー、コメディというトッピングが贅沢に乗ったパフェのようなエンターテインメント作品に仕上がった本作。 この機会にでもご覧になってみてはいかがでしょうか、です。 A MOVIE  キラキラ

 

 

では、また次回ですよ~! パー