こんにちは。

あおい堂鍼灸院の今泉です。

 

「てんでんこ」とは「津波てんでんこ」と防災用語として使用されることが多いです。

明日の日付的に防災に意識を向ける意味合いも込めてタイトルは「白髪てんでんこ」としました。

さぁ、いったいどのような「てんでんこ」が記事で展開されるのでしょうか~。

ドンナ ノリ ナノダロウカ……

 

 

円形脱毛症の症状の流れを見ていくと多くの場合に白髪の存在が気になる事が多くあります。

これは発症前に既に白髪がある場合も、発症前は白髪が無い場合も途中経過で白髪の存在が気になりだすことが多いのです。

 

円形脱毛症において白髪は……、

  1. 黒髪よりも抜けにくい
  2. 白髪で生えて来ることがある
  3. 白髪だけすごくよく伸びる

上記の様な現象において認識されることが多いのです。

 

ではこの白髪、一体どうして円形脱毛症の経過で目立つようになるのか。

本日の記事はこの辺の事で私の思う事柄を書いてみたいと思います。

 

 

 

まず1の『黒髪よりも抜けにくい』について。

これは発症前から白髪が頭皮に存在していた場合です。

抜け期において黒髪はどんどん切れて抜けて行ってしまうのに対して白髪は案外最後の方まで抜け残ります。抜け期において抜けてしまう黒髪は元々黒かったのに何故か突然根元の色が赤茶けるような感じで色が薄くなっていきます。過去記事で書きましたが色抜けする時、髪の毛の太さはあまり変わりません。尚且つ形状としては曲がったりせずに直毛のままです。これは切れる直前の兆候です。一方で黒いまま切れてしまう(抜ける)髪に関しては切れる直前に太さが極端に細く成ったりぐにゃっと曲がったりもしています。

随分抜けてしまったと思い脱毛部を観察しても従来から存在する白髪はそのまま残存している事が多い様に思えます。とは言え病状が進むとこの白髪も切れて抜けて行ってしまいます。

 

 

2の『白髪で生えて来ることがある』について。

髪の抜けた脱毛部から新たに産毛が生えてくる時に白髪だけの場合があります。これは多くの場合産毛の毛先1ミリ程度の長さが白いのは大変多く見受けられる現象ですが、白髪部分が1ミリ程度にとどまらず10センチ20センチと白髪のまま伸びていく現象です。勿論これがある場合も無い場合も人により様々です。

 

 

と、ここで従来から生え続けていた白髪と抜けた後に生えてきた白髪とが文面の中でごちゃごちゃになりそうなので、区別するために敢えてここからは従来からあり続けた白髪を旧白髪。

抜けたのちに生えてきた新しい白髪を新白髪と呼称したいと思います。

ですので2については新白髪の事です。

同様に従来からある黒髪を旧黒髪

生えてきた新しい黒髪を新黒髪とします。

 

 

3の『白髪だけすごくよく伸びる』について。

これは前述2の現象に似た事柄なのですが脱毛部だった部分全体から黒い産毛が生えて来て伸びていく中で、なぜか白髪だけがスルスルと伸びて長くなっていく現象です。これは従来から存在していて抜けずにそのまま残った白髪ではなくて、抜けた後に産毛として生えてきた白髪が黒く成らずにそのまま伸びていった白髪の事です。ですので新白髪の事です。

周囲の黒髪も成長しているのですが、何故か新白髪だけは伸びる速度がずっと速い。正確には計測していませんが新黒髪に比べて2倍どころか5倍、もっと10倍程度以上も速い速度で成長することもあります。決して盛っている話ではありません。

ただこれは新白髪が異常な速さというよりも、生えてきた新黒髪の伸びる速度が遅いことから相対的に新白髪が速いのです。おそらく新白髪は円形脱毛症発症前のその人の髪の伸びる速度とほぼ同じ程度ではないかと想像します。逆に言えばそれだけ生えたての新黒髪は最初はゆっくりと成長するのです。勿論最終的には元々の速度に戻りますが、回復過程において新黒髪の成長速度は遅いのです。

 

 

上記1~3の現象を目の当たりにすると誰でも新白髪は早く伸びると認識される事だと思います。

 

私はこの現象が多様な円形脱毛症の中の1つの病因病理に関わる大切な現象として捉えています。

勿論私の勝手な推測であり、証拠となるような現象を科学的に検証できたわけではありません。

ですが様々な状況証拠の点と点をつなげていくとおぼろげながらも全体像がつかめてくる気がします。

 

ではどのような病因病理なのか。

多くの過去記事において『円形脱毛症で抜ける毛は成長の止まった髪である』と書いて来ました。成長の止まった髪が抜けるのであって、そのままの成長速度を維持できていればそもそも髪は抜けないという内容です。

 

<参考過去記事例>

 

 

 

この成長速度に髪を黒くするメラニンが何かしらの形で関与していると思われます。

その様な事に思いを巡らせる中でこのような研究を見つけました。

富士フィルムさんの研究です。

上記サイトの中で私が最も注目したのは

何といってもBMP4!

……、ではありません(スミマセン)

サイト中ほどにある一節。

 

『メラノサイト幹細胞がメラノサイトへと変化する分化過程において紫外線照射による炎症がメラノサイトへの分化を促進させる』

と、

『皮膚の乾燥や摩擦によって生じる炎症物質IL-1β(アイエルワンベータ)がメラノサイトへの分化を加速させることが分かった』(共にサイトの意訳)なのです。

 

IL-1βねぇ……。

 

ふーん。

 

なんだっけ〜?

 

という事でいつも通りWikipediaで調べてみました。

それがこちら。

イラストがスマホアプリのクラッカーのアニメ描写のようです。

 

 

Wikipediaを読んでみるとIL-1βとはいわゆるサイトカインの一種のようですね。

サイトカインについては過去記事『オルミエントから円形脱毛症の原因を探る試み』で書いています。

しかしIL-1βのwikipedia頁内でも注目すべき一文がありました。

ページ上方の『機能』のくくりの中です。

 

『IL-1βは炎症反応の重要な媒介因子であり、細胞増殖細胞分化アポトーシスを含むさまざまな活性に関与している。』

 

とあります。

細胞増殖、細胞分化!

これなどまさしく髪の毛の伸びと関わりそうな文言です。そしてアポトーシス。これは細胞が自ら自滅する仕組みですね。このIL-1βとは細胞の破壊と創造を司る大変重要な存在のようです(まるで「もののけ姫」のシシ神様のようです)

細かい作用機序はWikipediaの頁には書かれていないようですがIL-1βは働きようによっては周辺の組織を発達させることも萎縮させることもできるようです。

先ほど富士フィルムさんの研究をご紹介しましたがその中で皮膚の乾燥や摩擦などで生じるIL-1βがメラノサイトを発達させる旨が書いてありました。これは逆に言うと感想や摩擦などの刺激が無ければIL-1βはもしかすると増えにくい状況なのではないか……とも推測できます。メラノサイトが形成されていなければ当然髪はメラニン色素を練りこむことが出来ずに白髪化します。

そして白髪化した髪の毛は本記事の冒頭にも書きましたが周囲の黒髪よりもずっと早く伸びる事が観察されます。さらに加えてオルミエントはサイトカインを抑制(過去記事の内容より)する事で髪の成長を促します。この事と従来からの私の主張である『円形脱毛症は髪が伸びなくなる病』という事を併せて鑑みてみると

その場のIL-1βが、

  • 少ないと白髪化するが良く伸びる
  • 多いと黒髪化するが伸びが遅い
若しかしたらこのような可能性が言えるのかも知れません。
 
それではこの可能性を観察できている事象から検証してみましょう。
まず脱毛部から生えだしてくる産毛の頭は白髪である事が多いのです。髪の毛の生え始めはどのような物理現象でもそうであるように初動には大きな力が必要です。髪の事で言えば成長する速さ、勢いでしょうか。よって生え始めは髪も成長速度が速いのかも知れません。故に白髪に成って居る。そして少し成長したら髪の毛の存在自体の刺激で周囲にIL-1βが増えて来て、増えたがゆえにメラノサイトも成熟して髪は黒髪にも成るが成長速度は白髪時よりも減速してゆっくりになる。即ち伸びにくい。
視点を抜け期の頭皮にしてみると旧白髪の毛包周辺にはIL-1βが少ないので髪の成長速度が落ちないため抜けにくい。一方で旧黒髪は毛包周辺にIL-1βが多く存在するので髪の成長速度が遅くなり抜け落ちてしまう。
このような事が言えるのかも知れません。
実際に全頭型脱毛などで生えてきた髪が殆ど白髪のまま通常のヘアスタイル程度に伸びていく場合があります。このケースではどこかの過去記事にもちらっと書きましたが根元が黒髪に成り始める時点で少々髪が抜けだすことがあります。この現象もIL-1βの増減と見なす事もできそうです。
ココまで書いて白髪問題に関してはきっとIL-1βが下手人に違いないと自分の中で納得しそうになります。しかし、比較的重症の円形脱毛症の方が局所免疫療法(カブレ療法)をした場合、勿論最終的には黒髪に成るのですが生えてきた髪が一面真っ白という状況はよくある事に思えます。これなどはSADBEやDPCPによって頭皮は充分過ぎる程刺激を受けています。なのに何故IL-1βが増えないのか。まだまだ謎は多いと思います。
でもエキシマ系の紫外線療法は正にIL-1βを増やす治療法に思えます。強い紫外線照射を受けると皮がむけますがこの現象は紫外線により細胞が乾燥してしまう為です。
なぬ!乾燥とな。
さきほどIL-1βが増える要因に「乾燥」とありましたね。
紫外線照射はIL-1βを増やすことにより毛包周辺の分化(成長)を促す意味がありそうです。
 
 
こうして本日の記事を見直してみるとIL-1βは白髪問題について深い関与の可能性が高そうに思えます。新黒髪がゆっくり周囲と同調するかのように成長していくのに対して新白髪はてんでばらばらに伸びていきます。まさに「てんでんこ」。ここにはIL-1βの影響を認識してみるのも良さそうです。
こうなるとIL-1βは敵でもなければ味方というわけでもないのです。
ただただ頭皮の環境に深く関わるだけの存在、例えは悪いのですが『毒を以て毒を制す』ような感覚として捉えられると良いように思えます。
多すぎれば髪が伸びずに抜ける事になるし、少なければそもそも髪が生えない。
 
 
多すぎてはダメ、無くてもダメ。
 
 
自律神経の記事でも書きましたが人間の身体は生きている以上変化をし続けるわけですが、その変化のギャップが大きすぎても小さすぎても困るようです。
また変化しているのは病状も同じくです。IL-1βがやや多めに必要とされる時節もあれば、多すぎてはならない時節もあるわけです。
という事は円形脱毛症の様々な治療や施術行為も症状の時節に合わせて必要とされる内容が異なってくるわけです。
簡単に言えば髪が無い時は刺激量多めで、黒髪が生えてきたら優し目な刺激でIL-1βの増減が極端に振れないように巧く操作するのが上策なようです。これは私の今までの施術経験からも症状の経過、流れによって必要とされる内容が異なるのは感覚的にも感じてきた事です。
 
 
IL-1βが発生する仕組みは頭皮だけによるものなのか?
他のサイトを読むとIL-1βは『アルコ-ル性肝炎, 肝炎, 関節リウマチ, 脊髄疾患, 頭部障害』これらの疾患で数値が上昇するとも書かれています。頭部障害として身体の他の部位でなく頭部に限定しているところが私的には非常に興味深いです。またここで言っている頭部障害には大後頭神経痛も含まれるのでしょうか。やや不明ではありますが、もしそうだとすると過去記事でも書いた内容と合致してきます。
私は頭皮以外でも筋肉の可能性を感じています(あるんじゃないかな~)。これまた過去記事で『T・P』として筋肉のトリガーポイントについて書きました。円形脱毛症の主戦場は頭皮ですが頭皮と離れた首肩背中の筋肉が凝ると、頭皮に痛みや鳥肌が立つ現象があります。それも凝った筋肉によってどこにソレが現れるのか決まっています(関連痛領域)。トリガーポイントの理論では髪が抜けると直接的には書かれていませんが、関連領域の皮膚分節に合わせて体毛が抜けるとあります。体毛が関係していて髪が無関係などあるのだろうかと思います。固有の筋肉が固有の関連痛領域を持っているとするならば、円形脱毛症でよく見られる風景ですが人物は違うのに同じ部位に同じ形の脱毛部が生じる現象などは簡単に説明がつくことに成ります。

IL-1βの増減が筋肉のコリと関係するならば古来から『やたらと肩の凝る病』と言われてきた古の経験則とも合致しそうです。

 
 
どうでしたでしょうか。
白髪の振る舞いから話が随分進んでしまったようにも思えるのですがIL-1βが関与するのも円形脱毛症という病気の全てのケースでは無いと思います。沢山ある中での一つの病因病理となるかも知れません。
 
よければ参考にしてみて下さい。

 

 

 

 

<参考過去記事>

 

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