『桃さんのしあわせ(原題:桃姐)』を映画館で鑑賞。
私・龍虎は、後半は泣きっぱなしでした。
アジアを代表する女性監督と言われるアン・ホイ(許鞍華)による本作は、いつもの作風通り、ありふれた情景を淡々と綴る。このあたりは『女人、四十。(原題も同じ)』とかと一緒。
いかにもな感じの泣かせるシーンは一切ありません。
でも、桃さんを演じたディニー・イップ(葉德嫻)のなにげない仕草や、主演アンディ・ラウのさりげない表情に、つい涙腺がゆるむのです。
ディニー演じる桃さんと、アンディが演じるロジャー
ひさびさにジワーと染みいる映画を観ました。
映画館を出てからも涙がしみじみ溢れてくるのです。
ストーリーはざっとこんな感じ。
60年間も同じ家族(梁家)に仕えてきた家政婦の桃さん(演ずるのはディニー・イップ)。
梁家のほとんどはアメリカに移住したが、そのうち映画プロデューサーになったロジャー(演じるのはアンディ・ラウ)だけが、香港で桃さんの世話を受けていた。
50男になっても独身のロジャーは、当たり前のように桃さんに身の回りの世話を焼いてもらっていた。
しかし、ある日、桃さんが脳出血で倒れ、半身麻痺になってしまう。
家政婦を辞めて、老人ホームに入った桃さんを、経済的にも精神的にも支えるロジャー。
ロジャーは桃さんが家にいなくなったことで、あらためて桃さんへの感謝の気持ちと親しみの念を感じる。
桃さんとロジャーは、あくまで家政婦と雇い主という関係であるはずが、いつのまにか母親と実の息子のようにも見えてくる。
そして、その関係性は、がらりと変わるというよりは、徐々に変化する感じの演出がすごく丁寧だと思う。
イイ映画だと思う。
ところで、本作で桃さんを演じた主演ディニーは、本作によってヴェネチア国際映画祭で主演女優賞をとったとのこと。
アジア人で二人目という快挙(もう一人は日本人の乙羽信子で1979年に映画『絞殺』で受賞したようだ)。
台湾金獅子賞も三部門とってるね。中華圏のチラシにはそれが書いてありますよ。
繁体字で書いてあるので香港か台湾のチラシ
ちなみに香港も台湾も3月9日封切りだったみたい
日本のチラシではヴェネチアをアピール
左上の白黒写真に注目! もしかするとお二人の若い頃の写真を合成か?
この白黒写真のシーンは劇中にはなかったと思う(別の白黒写真が使われていた)。
私は映画鑑賞後に、このチラシを手に取ったのだけど、とってもいい写真(合成だと思うけれど)で、またまた涙してしまったよ。
しばらくは思い出し泣き(!)するだろうなぁ。
余韻の残る映画でした。
これから地方でも上映されるみたい。
オススメです。