本ブログでは、何度か紹介した『画皮』そして『画皮Ⅱ』。

いまちょうど、中華圏で公開ラッシュの画皮Ⅱ。

6/28からは中国で、7/5からは香港で、7/13からは台湾で公開。


レコードチャイナ記事によると、中国ではこの画皮Ⅱがスゴイらしい。


「公開4日目で興行収入が3億元(約37億5000万円)を超え、中国語映画史における歴代最高記録を塗り替えた。

初日の興行成績は7000万元(約8億8000万円)を超え、こちらも中国語映画史の記録を更新する快挙。

同作が“史上最高”を記録したのはすでに7項目にのぼり、前述の2項目を筆頭に、「初日初回の最高興行記録」が600万元(約7500万円)、「1日あたりの最高興行記録」が9000万元(約11億円)、「週末の最高興行記録」が2億1000万元(約26億円)など、いずれも過去の記録を大きく塗り替えている。」
(レコードチャイナ2012年7月3日記事)


なんというかもう、とにかく尋常でない大ヒットってことね。


そんな最中、面白いな、と思ったのは、台湾の公開タイトル。

中華圏の映画に対して、独自のタイトルを付ける習慣はないと思うけど、本作『画皮Ⅱ』に関しては、独自に『転生術 画皮Ⅱ』と付けてきた。


以下のポスターは台湾公開用のもの。

ゴーイン・バックtoちゃいな
今回はヴィッキー・チャオ(趙薇)も悪役オバケなのかな。


転生の術ってことですが、もともと一作目では、ジョウ・シュン(周迅)演じる役は、皮を張り替えて人間に変身する狐の精霊って設定でした。


予告篇を見る感じだと、前作でジョウ姐さんの罠にはまって白髪魔女にされちゃう人間だったヴィッキーは、今作では最初からジョウ姐さんの仲間っぽい。

つまり、妖怪の一味ってコトね。


出回っている画皮Ⅱの宣材写真より。
ゴーイン・バックtoちゃいな
これを見ると、妖怪の位が、ジョウ姐さんより、ヴィッキーのが上っぽい。


貫禄もあるよ

ゴーイン・バックtoちゃいな
同じく画皮Ⅱの宣材写真より


大ヒットしているから、私もすぐさま見に行きたいところ。

封切りは、中華三地域(本土、香港、台湾)で、一週間程度のズレで公開されてしまうので、行くなら今しかない。


うーん、どうすっかなぁ。今のところ、日本の国内映画祭には出品予定はない。

東京国際映画祭(10/20-10/28)のラインナップはまだ発表になってないし。

けれども、これから出品するかもしれない。

ちょうどこの頃に、中国DVDは発売されるだろう。

悩むねぇ。


それにしても、今作『画皮Ⅱ』は前作よりもグロテスクで色調がダーク。

監督が替わったのもあるし、前作では音楽を担当した藤原いくろう氏の音楽が格調高くも可愛らしい感があったことも、悲劇の物語の救いになっている。

主題歌「画心」も美しい曲だけど、日本公開版では同じ曲のまま、歌を倉木麻衣が日本語で歌います。日本語のタイトルは「儚さ」だって。


しかし、今作は一貫してダークな雰囲気みたいだよ。おそらく原作「聊斎志異」は踏襲してないんだろうね。


その証拠に、怖~いダークな画皮Ⅱの宣材写真をもう一枚。
ゴーイン・バックtoちゃいな
イヤ~! こんな不気味なシーンは前作には無かったよ!


それから、こんなポスターも作られてました。

おそらくロビー用で各登場人物を並べて貼る用。

ゴーイン・バックtoちゃいな
だって、これだけ貼ったって宣材にならんよ。

こいつだけだと、ハリーポッターのヴォルデモート卿かと思われちゃう。


しかし、こいつ何者?


それで、藤原いくろう氏は今回も音楽を担当しているんだけど、予告を見る限り、おどろおどろしい音楽しか聞こえてこない。おまけにこのヴォルデモートもどきの呪文のような言葉が背景に入っていて超不気味。

今回はマジで怖がらせる映画になったのか?


それから、うっかりしていたけど、画皮はドラマ化もされていて、なんと!こちらは日本で6/26から放送中なんだって!


BSジャパンの『画皮 千年の恋』 がそれ(BSジャパンの公式サイトにリンクしときました)。

ゴーイン・バックtoちゃいな
毎週月曜から木曜の昼12時から放送って、昼ドラの扱いですか!!


ううう、でも私の家はBSが映らない~。

見られる人は、8/22までの全34話だから今からでも頑張って見てね。


ところで、日本でようやく公開される前作『画皮 あやかしの恋』は8月4日からに決まりました!

みんなで応援して、画皮Ⅱの早期日本公開を実現させようぜ。

だいぶ前にDVDを取り寄せて観ていたこの映画『王朝の陰謀-判事ディーと人体発火怪奇事件』。

もうブログ記事にもしたのですが、このたび日本で公開されたので、再見してみました。

(再見=ツァイチェンになっちゃうけど、日本語の字義通り再度観たの意味です)


まずは、これを公開してくれた太秦という配給会社に感謝。

ここんところ、この会社は『画皮-あやかしの恋』の公開を発表するなど、頑張っています。


この『王朝の陰謀』も、客の入りはどうかな、と思ったけれど、さすがアンディ・ラウ(劉徳華)が有名だからか、老若男女(さすがに10代はいなかったが)幅広い客層に受け入れられ、いつも香港映画がスカスカの映画館でも半分くらい埋まってた。めでたい!


あらためて観てみて思ったことは、やはり日本語字幕で観るとストーリーがスッキリ入ってくる、っていう当たり前の事実。


DVDは字幕が簡体字・繁体字・英語から選択できるようになっていることが普通なので、私の場合は英語で観ることが主。

しかし、この英語字幕が曲者で、今回の映画のような歴史物だと、歴史的人物の名前などが全然頭にはいってこないのです。


その点、昔の輸入VIDEO-CDのころは、最初から繁体字と英語が並列で書かれていることが多く、英語を見てわからんときは、漢字を見られるから良かったんだよね。

それでも英語だと「字数が多くなる」「漢字だとどこの地名だかわかるのに、英語にするとわからん」など、いろんな問題があります。


やっぱり漢字って優れた文字なんだなぁ、と実感。

例えば、香港の地名で以下の場所があります。

尖沙咀

はい、チムサーチョイって読む有名な地名ですね。


日本人でも香港に旅行したことがある人なら、これが地名であることはよくわかるわけですが、英語で以下のように出たらどう?

Tsim Sha Tsui

一瞬、なんのことかわからなくなるよね。

あ、ああチムサーチョイ=尖沙咀ね!って、一秒後には気づくんだけど、漢字で出てくれば即座に理解できるのにさ。


やっぱ中国語を学ばないといかんね。

しかもこれからは簡体字で理解しないとね。輸入されてくるDVDも簡体字が多いのでね。


おおっと、完全に脱線してスンマセン。

王朝の陰謀でした。


まずは、公式サイトから登場人物をピックアップ。


主演アンディ(ディー役)

ゴーイン・バックtoちゃいな
役名のフルネームはディー・レンチェ(狄仁傑)

この写真のアンディも凛々しいですな。


ヒロインのリー・ビンビン(チンアル役)

ゴーイン・バックtoちゃいな
チンアルってのは冬兒と書きます。

あの『テラコッタ・ウォリア』でコン・リーが演じた役名と一緒ですね。

宝塚の男役のような写真ですが、映画中では女らしい衣装のシーンも半分くらいあり。


一緒に謎解きをするワトソン役のダン・チャオ(ペイ役)

ゴーイン・バックtoちゃいな
ペイというのは裴と書きます。

珍しいけれど、中国人にも韓国人にもある苗字。

ところでダン・チャオ(鄧超)は本ブログでは初紹介かな。

この写真の髪色で劇中では通していましたが、若白髪という設定(?)なのかな。


そして出ました我らがカリーナ(則天武后の役)

ゴーイン・バックtoちゃいな
見事な貫禄ですよ。

恐いけれど、貴賓というか気品を感じさせるカリーナ姐さんにピッタリの配役。


最後に特別出演だけど物語の鍵を握るレオン・カーファイ(シャトー役)

ゴーイン・バックtoちゃいな
味わい深い役をやってましたよ。最近の彼は陰のある役が多いね。

しっかし、このシャトーって漢字にしたら「沙陀」だって。

漢字で書いたら全く印象が違うよね。シャトーではブルーシャトーをどうしても思い出す。

確かに発音はそうなんだけど、なんとかならんかったか。


それでは次に見所シーンを公式より。


襲いかかるビンビン。ムチ使いが似合ってます。
ゴーイン・バックtoちゃいな
牢から出たばかりで髭ぼーぼーのアンディ。


やっとこ凛々しいモードへ。
ゴーイン・バックtoちゃいな
武器は、前皇帝から賜った由緒正しき剣。

持ち手の上の部分が銃のリボルバーのようになっていて、それをジャッと回すと、相手の武器の弱点を探し出して砕きます。


おおっ! でも残念ながらラブシーンではない。
ゴーイン・バックtoちゃいな
ビンビンは敵なのか味方なのか分からない役どころなんですよ。


はい、最大の見せ場! 通天仏が都に崩れかかっております。
ゴーイン・バックtoちゃいな
ただ、CG丸出しなんだよなぁ。こんだけ技術が発達したのになぜなのか。


人体発火のシーン。これもCGっぽいんだよなぁ。残念ながら。
ゴーイン・バックtoちゃいな
これがどうして起こるかを謎解きするのがアンディの役目。


というわけで、今回は見せ場を抜粋してアレコレ言うだけだったんだけど、DVDでなく日本語訳つきで劇場で見た結果、前回観たときよりも、案外と完成度の高い映画なんじゃないの、って評価が高まりました。


監督のツイ・ハークが「完全復活!」とか映画のコピーに使われちゃってるけど、確かにしばらくパッとしなかったわけで、この映画と、次の『龍門飛甲』では間違いなく大作を任されて、それなりに素晴らしい仕上がりなんだよね。


ツイ・ハークお得意の細かい突っ込み所は確かにあります。

もうコレは昔っからなんだけど、あれ、そういえばアイツどうなったっけ、って感じで、ツイ・ハーク映画は登場人物がほっぽらかしになる傾向があるんだよね。


今回もしばらくレオン・カーファイがほっぽらからされてましたが、まぁ、最後のテロップを見ていたら、彼は特別出演の扱いになっていたので、出番が少ないのは仕方がないんでしょう。


で、もう多くの人が見たので、ネタバレになることを書いてもいいんだと思うけれど、一応はこれから日本でもDVDが発売されると思うので書かないでおきます。


その代わり、邦題について少し突っ込みを。

『王朝の陰謀』っていうのは、やっぱりマズイよ。だって、これは謎解き映画なわけで、犯人が分からないストーリーのはず。


中国語題名は以前にもブログに書いたように、二通りあって、一つ目は香港・中国の『狄仁杰之通天帝国』。

そして、二つ目は台湾の『通天神探狄仁傑』。

どちらも主人公の名前(狄仁杰=ディーレンチェ)に通天仏をからめ、台湾では探偵ものだよって意味の神探って言葉が着いただけ。

しかし、日本の題名のように王朝の陰謀って言っちゃったら、最初から則天武后が怪しく見えちゃうじゃないの!


まぁ、それでも日本ではディー判事の知名度が今一つだから、仕方ないのか?

サブタイトルまで入れると、やったら長い題名だし、やはり邦題は、私・龍虎のような中華映画マニアに付けさせてくれないかなぁ。きっと良いタイトル考えると思うんだけどなぁ。


と、ダラダラしてきたところで、今回はおしまい。結論、この映画は観る価値はあると思いまさぁ。

な、なんと、2011年に中華圏で公開された『白蛇伝説』が、
『白蛇伝説~ホワイト・スネーク~』
のタイトルで日本公開されるではないか!


ゴーイン・バックtoちゃいな

といっても、シネマート六本木 で開催されるの<2012 夏の香港傑作映画まつり>一作品としてですが、一回っきりの上映ではなく、連日見られるみたいよ。詳しくは、上記をリンクにしておいたから、情報更新をチェックするのだ。


ゴーイン・バックtoちゃいな


今回は告知のみだから、手抜き記事でスマン。


ストーリーはシネマートのサイトからそのまま切り貼り。


時は南栄の時代。法海(ジェット・リー)は魑魅魍魎を退治する日々を送っていた。今日も法海は雪女(ビビアン・スー)を法力で封印した。その頃、山に住む千年蛇の精、白蛇(ホアン・シェンイー)と、青蛇(シャーリーン・チョイ)は、川へと落ちた青年、許仙(レイモンド・ラム)を助ける。彼に恋した彼女は、人間に化け、名を白素貞とし、許仙の前に現れる。再会した二人は夫婦となるが法海は白素貞が妖怪だと見破り二人の仲を引き裂こうとするのだが・・・。
【第68回ヴェネチア国際映画祭特別招待作品】
【第31回香港電影金像奨 アクション賞/視覚効果賞ノミネート】


監督はあのチン・シュウタン。
私は既に観ているし、期間中に東京に行けるかどうかわからんけれど、とにかく期待大!

以前に『画皮 あやかしの恋』(日本公開は八月上旬)を紹介したときに、出資額が最も多いということで、シンガポール映画というテーマを立てました。


しかし、きっとこのテーマに映画がなかなか増えなさそうな気がするし、さらには画皮は主演も監督も中国本土・香港ラインで、原作も中華古典だから、まったくシンガポールの匂いがしないのでチト寂しい。


そこで、シンガポール映画と言えばこれしかないでしょ! って映画をいささか古いけれども一本あげておこうと思います。


ピックアップしたのは、『フォーエバー・フィーバー』(1998、シンガポール映画)。

ゴーイン・バックtoちゃいな
画像はamazonで販売のDVDパッケージより。

ちなみにDVD発売は2000年。


こちらは町並みも、しゃべっている言葉(シンガポールなまりの英語:シングリッシュ)も、全てシンガポール風味です。まぎれもないシンガポール・ムービーというわけです。


そもそも、シンガポール映画が日本に入ってくることなど、ほとんどなかったはず。

それもそのはず、シンガポールはあれだけ経済発展が著しく、同映画が製作された90年代と言えば、シンガポールは、「アジア四小龍(龍に特別な意味を持つ国の四ヶ国・地域:韓国・台湾・香港・シンガポール)」だの、NIEs(Newly Industrializing Economies:新興工業経済地域)だのと呼ばれていた割に、映画とか文化にはあまりカネをかけない国だった。


この『フォーエバー・フィーバー』はそんな状況を一変とまではいかないけれど、一石を投じるような役割を持っていたらしいんですよね。


で、どんな映画かというと、amazonの紹介を引用しますと、

『サタデー・ナイト・フィーバー』をモチーフにした、シンガポール製ダンス・ムービー。ブルース・リー好きの青年が、ダンスに目覚めていく様をユーモアを交えて描く。

(「DVD NAVIGATOR」データベースより)

となってます。

はい、だいたいのあらすじはその通り。


映画のワンシーン。

ゴーイン・バックtoちゃいな
トラボルタとブルース・リーのミックスね。
主演はエイドリアン・パン。名前からしても華人ですね。


私流に付け加えて映画のあらすじを説明しましょう。


主人公は香港のカンフー映画と、ハリウッドのダンス映画が大好き。というか、生活全体がそれにかなり毒されている青年。

ケンカをすれば、ブルース・リー風アクションだし、夜はディスコに行ってジョン・トラボルタ風のダンスを踊ってばかり。

そんなシンガポール人、とくに中華系の若者の日常を描いた青春ムービー。

狭い都市国家シンガポールを駆けるには都合のいいバイクは若者の記号としてもピッタリ。まぁ現実にはバイクすら買えないのだけれど、いつか愛車を走らせ、後ろのシートに恋人を乗せるのが夢の主人公。

映画のクライマックスでは、ダンスコンテストでライバルのダンサーと恋人をかけてのダンスバトル。この辺のノリは完全に「サタデー・ナイト・フィ―バー」か、ウェストサイド物語的なミュージカル風の作りです。


と、もちっと詳しく説明するなら、こんな感じかな。


ダンスバトルでのエイドリアン・パン。
ゴーイン・バックtoちゃいな
映画では三枚目だし、完全に格好イイとは言えないルックスながら、その等身大な感じがよかった。


さて、時代背景を少し補足しましょう。


憧れの国アメリカや、新興工業国としては先輩格で文化の発信地域(つまり香港映画や香港ポップス)でもある香港への素直な敬意が映画全編に現れていて、当時のシンガポールを知るにはとても良い作品。

「当時の」というのは、映画の小道具がブルース・リーやトラボルタ。という記号からみても明らかなように、70年代後半が舞台になっています(別の英語サイトの情報によれば1977年の設定だとか)。その時代のシンガポールの若者を描いているというわけですね。


さすがに私もその当時のシンガポールの雰囲気なんて知らないから、この映画はとても新鮮でした。

日本で公開(東京国際ファンタスティック映画祭1999で公開後に、恵比寿ガーデンシネマにて単館上映)された1999年時点では、シンガポールはかなりの経済的成功を収めた国って程度の認識だったものね。


さて、amazonの紹介欄には「MIRAMAX配給で全米をも席巻した、シンガポール映画史上最大のヒット」なんて書いてあります。

実際、米国での1999年のMIRAMAX配給は1000館にもわたったとか。


MIRAMAXが配給した映画ポスター。

ゴーイン・バックtoちゃいな
タイトルは、「That's The Way I Like It」に変更されています。


なぜ、MIRAMAXが配給しようと思ったか、まったく情報はないのだけれど、そうなってもおかしくはない魅力が確かにこの映画にはあります。


まずは、トラボルタの70年代を回顧する映画になっていること。トラボルタ式ダンス(あの人差し指を一本上げて大股開きでキメるポーズのスタイルね)は、当時に青春時代を送ったアメリカの中年にとっても懐かしいはずです。

アメリカの俳優を使っての回顧作は、まだトラボルタも存命どころか大活躍中(90年代は特に『パルプフィクション』などで劇的復活を遂げていた)なので、難しかったはずだれど、海外映画でそれを楽しむのはアリなんでしょう。


そして、シンガポールという国の特殊事情もわかること。

劇中の英語はシンガポール人が普段使用している公用語の英語にすごく近い。シングリッシュ独特の言い回しなんかも出てきて、興味深いのです。

果たして、この映画を観た米国の観客の何割がシンガポールと香港の区別がつくかわからないけれど、吹き替えでない現地の人がしゃべる英語の外国映画を観るのは、彼ら米国人にとっても新鮮だったと思うのです。


多民族国家シンガポールで多数派は確かに中華系だけれど、マレー人もインド人もいる。そして、そこには香港や台北といった都市とは違う、独特の空気があります。やけに整然とした町並みに、ゴミ一つ落ちてない道とかね(というか、唾や痰を道に吐こうモノなら罰金!というお国柄)。
映画の舞台としては、とても面白くなりそうな国なんだけどね~。

まぁ自由主義でありながら、いわゆる「開発独裁」体制の維持のために、メディアが全てオープンな国ではないから、多少の制約はありそうだよね。


映画のワンシーンより。

ゴーイン・バックtoちゃいな
ダンス練習中の主人公とその恋人。

(映画を観る限り、恋人も中華系の設定のはずだけど、どことなく南方風の顔つきでした)


この映画のヒットによって、シンガポールは文化政策にも腰を上げ、それまでの通商政策だけでなく、文化産業の人材育成にも取り組んだと聞くけれど、残念ながら日本でその後に配給されたシンガポール映画というのは、まだほとんどありません。


このブログの「シンガポール」テーマの充実のためにも、なにかそろそろ良い映画が入って来ないかしら。


というわけで、今回はちょっと古い映画ではありますが、観ても決して後悔はしない「真のシンガポール映画」の紹介でした。


ここんとこ忙しくて映画を見ていない。

そうすると、ブログの更新が滞る。


しかし、一応、一週間に一度更新が最低目標なので、なんとか書く!

となると、映画レビューでなく、企画記事になるんだなぁ。


前回、男装の麗人がうんぬんなどと書いたので、その関連の情報を書こうと思う。

(思いつき企画でスンマセン)

さて、男装の麗人と言えばこの人、台湾出身のブリジット・リン(林青霞)。

今回はこの人についてぜひ書きたい。


ブリジット、日本ではジャッキー・チェン(成龍)との共演で最初に有名になったと思います。

ゴーイン・バックtoちゃいな
画像は、『ポリスストーリー(原題:警察故事)』(1985)より。


ポリスストーリーは日本でもヒットしたし、ブリジットの出番も多かったけれど、最初の共演はその三年前の『ドラゴン特攻隊(原題:迷你特攻隊)』(1982)。

ゴーイン・バックtoちゃいな
左からジミー・ウォン(王羽)、ジャッキー、ブリジット。

なんともすごい面子のとり合わせ。


この頃は、ジャッキーはジミーさんに頭が上がらなかったんだよね。

ロー・ウェイ・プロダクションから、ゴールデン・ハーベストに移籍する際のいざこざを、黒社会にも顔が利くジミーさんがとりなしたとかで。


そのため、このドラゴン特攻隊も酷い映画なんだけど、ジャッキーはジミーさんの命令ならばってことで、ゲスト出演しています。


ブリジットは、たいそうジミーさんに気に入られていたそうで、それで出演しているのだけれど、映画自体の出来が酷いものだから、みんなブリジットが出ていたことを忘れていると思う。


おまけに、ゲスト出演のはずのジャッキーが、さも主演であるかのように日本では公開されてしまったから、さぁ大変。

ジャッキー目当てで映画を見に行った少年少女たちは、映画がはじまっても、ジャッキーがなかなか出てこない状態にヤキモキさせられっぱなし。


おまけに同時上映が『唐獅子株式会社』。

少年少女にとっては、全くどうでもよい作品で、エラい目にあったっけ。やってくれるぜ東映め、って感じ。


さて、それはさておき、ブリジットの男装を集めてみましょう。

以下、公開年は全て香港のもの。


『北京オペラブルース(原題:刀馬旦)』(1986)より。

ゴーイン・バックtoちゃいな
これはビデオジャケットから。この映画での凛々しい演技で、男装の麗人ならブリジットって評価が定まったんだよね。


だけれども、後の1990年代初頭、男装ならこの女って評価を、さらに発展させる当たり役に恵まれていきます。

<古装片+男装>というブリジットにしか出来ないような役柄が定番化するのです。


たとえば、『ドラゴン・イン(原題:新龍門客棧)』(1992)。

ゴーイン・バックtoちゃいな

男装というか、男勝りの剣士と言った方がよいでしょうかね。


さらに、『スウォーズマン/女神伝説の章(原題:笑傲江湖之二 東方不敗)』(1992)

ゴーイン・バックtoちゃいな
この映画で、ブリジットは男装ではなくって「男役」なのです。

上のキャプチャはまさに、少数民族である苗族の武装宗教「日月教」教祖の東方不敗が、映画の冒頭に登場するシーン。

この時点では男なんです。


それが、秘術「葵花宝典」を身につけ、その完全な体得のために去勢をすると、みるみるうちに女の身体に。


同じ映画の中盤のシーン。

ゴーイン・バックtoちゃいな
この段階では、まだ声変わりをしていないので、男とも女ともつかない不気味な声を発しています。

ところが、しゃべらないものだから、ここで初対面することになる相手役で主演のジェット・リーは、姑娘(日本の字幕では「お嬢さん」)などと呼びかけています。


ほんで映画の終盤。

ゴーイン・バックtoちゃいな
色気度アップ。化粧もしております。声は完全に女性のものに。

もう、ジェット・リーを自分のモノにする気まんまん。


このスォーズマンという映画。日本ではそれほどのヒットではなかったけれど、中華圏ではものすごいヒットを記録し、以降のブリジットは似たような映画にガンガン出演させられています。


もともと、原題にもあるように、この映画自体が笑傲江湖という映画の続編なんだけど、東方不敗というキャラが大当たりしてしまい、敵役であるそいつ(最後にジェット・リーたちに破れて死んだことになっているのだが)を主役にした続編『スォーズマン/女神復活の章(原題:東方不敗 風雲再起)』(1993)まで登場。


原作者の金庸が書いた小説「笑傲江湖」には、東方不敗は登場するけれど、この風雲再起は完全に映画オリジナルの話になっちゃっている。


もっとも、金庸自身は、東方不敗を女性が演じるということに反対だったらしいけれどね。


まったくの参考資料だけど、原作者が想定する本来の東方不敗はこんな感じなんだと思われます。


「秘曲 笑傲江湖〈第6巻〉妖人東方不敗」

ゴーイン・バックtoちゃいな
1998年に徳間書店から刊行された「秘曲 笑傲江湖」の一冊。

本来の設定はオッサンなんだよね。だから、去勢しても美女にはならんでしょ。


けれども、あのブリジットが演じた役は強烈だったようで、その後に笑傲江湖はテレビ化もされているけれど、演じるのは女性です。


さてさて、話をブリジットへ戻します。


彼女の男装古装片と言えば、これを忘れてはなるまい。


『楽園の瑕(原題:東邪西毒)』(1994)。

ゴーイン・バックtoちゃいな
ウォン・カーウァイの映画ですよ。

製作に何年かかかったんだか定かではない。まぁ、それはいいか。


この映画でブリジットは、双子の兄と妹という一人二役を演じています。

ですが、実際には、兄がいるというのは、妹の幻想(というか、幻想である時点で妹ではないのだが)で、精神分裂気味な女が、二重人格によって生み出した男キャラです。


香港映画に詳しい人は知っているかもしれないけれど、チャウ・シンチーの『チャイニーズ・オデッセイ/Part2 永遠の恋 (原題:西遊記大結局之仙履奇縁)』(1995)で、アテナ・チュウ(朱茵)が双子の仙人の役を演じていて、それが一対の肉体に宿っているために、昼と夜で人格が入れ替わるというシーンがあるけれど、あの設定は、この『楽園の瑕』のブリジットが演じたキャラのパロディです。


しかも、アテナが演じた双子の仙人の役名は、チンハ(青霞)とジーハ(紫霞)。

そう、ブリジットの中国名であるリン・チンハから取られています。漢字もそのまま。青と紫で対になっているのも洒落らしい。


ところで、『恋する惑星』(1994、原題:重慶森林)の金髪女あたりが最後の作品になって引退状態のブリジットだけど、最近はちょこちょこメディアに登場し、復帰説や有名監督や俳優からの復帰のラブコールも多いとか。


あの一代宗師に出るとかいうニュースもあったけれど、これはどうかなぁ。

それにしても、ウォン・カーウァイよ、ちゃんと撮影は進んでいるのかい?


ブリジット姐さんを銀幕に出演させてくれるのはうれしいが、彼女もいい歳だから早くしてね。


最後にカーウァイとブリジットの2ショット。復帰話のもとになった記事より。

ゴーイン・バックtoちゃいな
今年58歳になるはずのブリジット、相変わらず美しい。

私は大ファンです。


あ、彼女の男装の映画はもっとあるんだけど、有名どころはおさえたから今回はこのへんで。

というわけで、男装の麗人:ブリジット・リン特集でした。

『画皮 あやかしの恋(原題:画皮)』の日本公開が決まりました。


2009年の沖縄国際映画祭で公開され、好評だったにも関わらず、全く本邦で公開される気配のなかったこの作品。

周知のように、沖縄国際映画祭は吉本興業が出資・運営に協力している映画際。

配給はどうするのかと思ってたら、「太秦」なる会社が配給するとか。


予告篇が今日から解禁(別に禁じていたわけでもなかろうに)されているので、公式ページ をご覧下さい。


キャッチコピーは、


8月上旬より血涙のロードショー


怖っ!

でもうまいコピーですね。実際その通りの映画だから。


下記のHPトップ画像をご覧あれ。

ゴーイン・バックtoちゃいな
左がジョウ・シュン(周迅)、右がヴィッキー・チャオ(趙薇)。


これを見てピンと来る香港映画ファンも多いはず。

そう、ヴィッキーが白髪魔女になっちゃってるんですよ。


知らない人のために解説しよう。

「白髪魔女」とは、恨みや憎しみが募り、その名の通りの完全白髪になってしまって妖力まで身につけた魔女のことである。


初出は、やはり以下の映画だろうね。VHSパッケージより。

ゴーイン・バックtoちゃいな
しかし、日本公開される際の悪い慣習でタイトルが改悪。

原題の『白髪魔女伝』だけでいいものを。


ちなみに中華圏ではこちら。

ゴーイン・バックtoちゃいな
その名も「白髪魔女傳」。

漢字の使い方から見て香港のDVDかな。


日本では『キラーウルフ 白髪魔女伝』なる全然印象の異なるタイトルにされちゃいましたが、キラーウルフのほうが大きな字で、白髪魔女伝のほうを小さな字で(ビデオの背表紙だけ見るとキラーウルフとしか読めない感じで)書くという、なんとも香港映画ファン泣かせのことをやってくれました。


ちなみに、この映画はオールアジアで大ヒット。

主演のレスリー・チェン(張國栄)とブリジット・リン(林青霞)の年齢がともに40歳を超えていて、足して80歳の二人の濃厚なラブシーンも話題になりました(ほっとけよ!って感じだよね)。


続編も直ちに作られました。そのまんま『白髪魔女伝2』。

ゴーイン・バックtoちゃいな
こちらは日本のDVDです。余計なメインタイトルやサブタイトルが付かなくて良かったよ。


当時はVHSで出たはずです。これはDVDで再発売時のものですね。


実はもともと2の方は、キラーウルフというタイトルが最初から付かなかったのです。


そしてDVD化されるにあたって、ちゃんとシリーズとして認識できるように1のタイトルも調整されたと思われます。


以下は1の方のDVDのジャケット。

ゴーイン・バックtoちゃいな
画像、小さくてスイマセン。

でも、キラーウルフなる意味分からんタイトルは、どこにもなくなってますでしょ。


さらに通な方は、このブリジット・リンの当たり役である白髪魔女を、顔が似ているリー・ビンビン(李冰冰)が、とある映画で演じていたのをご記憶でしょう。


はい、ジャッキー・チェン(成龍)&ジェット・リー(李連杰)共演という贅沢ハリウッド映画『ドラゴンキングダム』(原題:The Forbidden Kingdom)の敵役としてです。


凛々しきビンビン。(ドラゴンキングダムより)

ゴーイン・バックtoちゃいな
このムチのような武器の使い手という設定は、ブリジット・リンの時のままです。


いかがです? ブリジットとビンビン、凛々しい感じが似ていませんか?

ちなみに、ブリジットは「男装の麗人」をやらせたら右に出る者なし、と言われた人で、そういう役もとても多かった(『上海オペラブルース』、『楽園の瑕』、『スウォーズマン』などなど)けれど、ビンビンも最近、アンディ主演作『判事ディー』で男装をしていますね。


さてさて、余談はこのくらいにしましょう。


本作『画皮』については、私は沖縄映画祭で見逃してしまい、それが悔しくて通販でDVDを購入して見ました。

主演(?)のジョウ・シュンの演技が良かったので、いつかは劇場で見たいと思っていたところ、何年も放置されてきたので、ほとんどあきらめていたんだよね。


それが突然、公開というニュースを聞いてビックリしています。


見所はなんと言っても、ジョウ姐さんの「あやかし」ぶりです。


見てよ、この顔。

妖怪だってわかっててもはまっちゃいそうでしょ。

ゴーイン・バックtoちゃいな
(画像は公式サイトより拝借)


でも、これがとんでもない妖怪なんだよ~。ネタバレするから書けないけど。


女優陣が豪華なので、陰に隠れているけれど、この画皮は、実はドニー・イェン(甄子丹)兄さんのアクション映画でもあります。


勇ましいドニー兄さん。
ゴーイン・バックtoちゃいな
(画像は公式サイトより拝借)


ドニー兄、かなりの若作りでやんす。

しかし、主演ではないんだな。


だって、キャストを見てよ。

ジョウ・シュンも主役級で実際主役だけど、さっきのポスターでは、その隣にヴィッキーですよ。

なんと、いま最も中華圏で客を呼べるドニー兄をポスターに載せてないっつんだから贅沢~。


そして、ヴィッキーの夫で、ジョウ・シュン演じるあやかしに魅入られてしまう青年役に、チェン・クン(陳坤)。

これじゃあ、いかにドニー兄が若作りしようが、チェン君の美しさには叶わないよ。


ヴィッキーとチェン君のショットも。

ゴーイン・バックtoちゃいな
(画像は公式サイトより拝借)


チェン君、美青年!


気になったのがヴィッキーだ。

もちろん、演技はうまかった。夫が誘惑されないよう、けなげに頑張る様がとても良い。そして、そのけなげさを逆手に取って、ジョウ姐さんの妖怪の悪いこと、悪いこと。

ほら、ジョウ姐さんって地声が低いから、ワル~イ役が実は似合うんだよね。そのくせ突然に、さっきの写真のように可憐になっちゃうから、手に負えない。


けれど、ヴィッキー、この写真は大丈夫か。ちょっと歴代の白髪魔女と比べてみてくれ。

ゴーイン・バックtoちゃいな
(画像は公式サイトより拝借)


なんだか、魔女ってよりオバQに近くないか!


ここで映画の原作に話が飛びます。


この映画の原作は、清の時代の聊斎志異だそうです。聊斎が著者の名あるいは書斎の号で、聊斎志異はその著者あるいは書斎が集めた怪奇譚というところらしい。


なんと、あの『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(倩女幽魂)も、この聊斎志異の中の一編が直接の原作とのこと。

(以前に上田秋成とかなんとか書いちゃったけど、こちらが正確な情報です)


幽霊(幽魂)と書生との恋を描いた作品(倩女幽魂)と、絵に書いた皮膚を身につけたあやかしに恋される青年という作品(画皮)は、ともに悲恋モノで相通じるものがありますね。


ついでに言えば、画皮が中華圏でヒット(中国だけで2億3000万元=約30億円の興行成績だって!!)したので、同じ聊斎志異の中から同じく画をモチーフにした『画壁』なる作品が2011年に作られています。

監督は画皮と同じゴードン・チャン(陳嘉上)。主演は、画皮にも出ていたスン・リー(孫儷)です。


『画壁』のポスター。

ゴーイン・バックtoちゃいな
女優陣が豪華過ぎるなぁ。スンちゃんが目立たない。


そして、さらにさらにスゴイ情報ですが、『画皮2』が準備中だとか。


以下がネットで拾ったポスター。

ゴーイン・バックtoちゃいな
怖い! 怖すぎる。


英語圏向けのポスターのようなのですが、よーく見ると、トップにジョウ・シュンの名前があります。二番目はチェン・クン。三番目は英語名ではなく、中国語発音のチャオ・ウェイと書いてあるけれど、これはヴィッキーのことだね。つまり、主役角の三人は同じ。


ということで、ヴィッキーだけのポスターも拾った。

ゴーイン・バックtoちゃいな
なんだか、菅野美穂みたいに見えるね。


レコードチャイナの3/23記事によれば、今年の3/21に香港で開催された国際映像見本市「第16回香港国際影視展」で、映画「画皮2」の予告フィルムが初公開されたとか(新浪網)。


監督は蒙古族出身の乌尔善(Wuershan)にバトンタッチ。

中国では6/28から公開だってさ!


画皮が良かったから、2もぜひ見たいなぁ。


*ちなみに今回の記事の分類に悩みました。なぜなら本作『画皮』は、シンガポール・中国・香港の合作なのです。香港が三番目に書かれているってことは、出資額が一番低いということ。まぁ、中国語(北京語)圏での配給をメインに想定しているので、中国映画でもいいのですが、シンガポールがトップ出資というのも珍しいので、新たなカテゴリ「シンガポール」を作ってみました。異論はあると思いますが。

純粋なインド映画を観たのは久しぶりでした。

公開初日に観てきたので嬉しくってネタバレにならない程度にレポートしますね。


観たのは『ロボット』。

世界興収が100億円超だって!

久々のインド発の娯楽超大作であるところの『ロボット』。

これは無視できないでしょ。


ロボットのポスターです。出所は我らがアメーバニュース。

ゴーイン・バックtoちゃいな
「ワケわからんが面白い」って(苦笑)。

でも本当にその通りだった。


インド映画で最近のヒットは何があったかな。

インドが舞台になった『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)はイギリス映画だったし(この作品は米アカデミー賞8部門受賞)、インド映画のテイストを取り入れて一部にダンスシーンがあるものの、やはり本来のインド映画の味わいはなかった。ほとんどのシーンが英語だったしね。


スラムドック$ミリオネアのワンシーンが表紙になったSCREENPLAY。

ゴーイン・バックtoちゃいな
全編英語なので、英語勉強用のテキストになっているわけね。


もちろん、スラムドッグ$ミリオネアは、とても面白い映画だったし、特筆すべきはそれまでの多くのインド映画が、一般庶民にとっては縁のない晴れやかな舞台を描いたのに対し、あまり焦点のあてられることのなかったインドの貧困問題にもダイレクトにフォーカスしていた点も、『スラムドッグ$ミリオネア』の優れた点であったと思う。


でも、インド映画ではやはりないんだよね。


日本でインド映画がブームになったのは、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)が原因だろうね。

日本で公開されたのは1998年になってからだけど、主演のラジニカーントの強烈な魅力とともに、マサラムービーと言われた、踊りとアクションと二時間半を超す長い上演時間に映画のトーンががらりと変わる作風も新鮮だったよ。映画の文法がまったく普通の洋画とは違うんだよね。


ムトゥのソフトジャケット(時代的にVHSのものだろうね)。

ゴーイン・バックtoちゃいな

このジャケットでは、題字のところにほんの少し顔が出ているだけのオッサンが主演のラジニカーント(愛称:“スーパースター”、通称ラジニ)。


顔がわかりにくいので大写しのものを。

ゴーイン・バックtoちゃいな
劇中、なんどもクルクルっとやっていた、腰に巻いていたタオルをヌンチャクのようにぶん回すシーンからです。


上記の『ムトゥ 踊るマハラジャ』が日本でもビックリの大ヒット。

あんな小出し写しだったラジニに、ものすごい注目が集まって、このムトゥ以外にも多くのインド映画が立て続けに劇場公開、あるいはビデオレンタルされたっけ。


ラジニカーント主演のものだけをあげても、


・ダラパティ 踊るゴッドファーザー(1991年)
・ヤジャマン 踊るマハラジャ2(1993年)
・アルナーチャラム 踊るスーパースター(1997年)


こんなに公開(上の年表記は全てインドでの公開年)あるいはビデオグラム化されたわけです。

しかもムトゥより前に製作されたヤジャマンを日本で「マハラジャ2」として公開してしまうところや、1991年のダラパティとか完成度としてはどうかな、と思われる映画まで買い付けられてきたところなんかが、一昔前のジャッキー映画の公開の仕方を彷彿とさせます。


ムトゥをはじめ、これらラジニものは、ストーリーは判を押したように、主人公は身分のそれほど高くない庶民だと思って暮らしてきたが、後からそのやんごとなき高貴な身分が発覚するというもの。

これって、インド一般大衆の願望が潜んだような内容なのでしょうかね。


そして、1990年代後半という時期に公開されたインド映画は、勧善懲悪がはっきりとしていて、踊りとアクションとラブロマンスがごった煮になった、ミュージカル映画とも違うインド独特の映画表現に、日本の映画ファンが衝撃を受けた時期でもありました。


ラジニ主演以外で有名なところでは、『ボンベイ』かな。

ボンベイと言いながら、この映画はタミル語映画だったんだよね。

タミル語は英名マドラス・インド地名チェンナイあたりの方言です。


私・龍虎はインドは数回訪問しているし、ボンベイ(インド地名はムンバイ)では映画も観てきたけど、日本に紹介されるタミル語の映画とは作りも違いました。


インド映画のことを、ハリウッドとボンベイをもじって「ボリウッド」と言われることがあるけれど、本来はインドで映画が作られる地域は、チェンナイ地方のタミル語映画と、ムンバイ地方で作られるヒンドゥー語映画に大きく分かれます。


ムトゥはタミル語なので、本当はボリウッド映画ではないです。


さて、ウンチクはこの辺にしておきましょう。


長い上演時間はインド独特のもので、上記の映画はいずれも間に休憩を挟んで公開するように作られていました。

しかし、日本の劇場では連続で休みなく上映されるものだから、トイレを我慢するのが大変だったっけ。


話を戻して『ロボット』ですが、この映画も139分と長い!

(だけど、完全版は三時間を超えるそうで、ただいま完全版を公開してくれる映画館を募集中と公式サイトにあった!)


劇の途中で、「休憩」を意味する英語表記が出るも、日本の映画館ではやはり連続上映。

しかし、この休憩後に映画はそれまでのホノボノした雰囲気が一転して、アクション映画風に一変。


ストーリーは公式サイト にあるけれど、私がもっと簡単にかいつまんで説明すると、


1. バシー博士が10年かけて、自分そっくりのロボット「チッティ」を開発する。

2. 感情が理解できなくて、博士の夢だった軍事転用が出来なかったので、チッティに心をもたせることに。

3. ところが、チッティは博士の恋人サナに恋をしてしまい、サナと博士が結婚すると知るや暴走。

4. 結婚式でサナを奪って逃げ、その最中に町で大暴れしたチッティは、博士の怒りを買い廃棄される。

5. 博士に嫉妬する悪い科学者に拾われたチッティは、冷酷なターミネーターに改造される。

6. チッティは自分を量産してロボット軍団を組織し、てんやわんやの大暴れを繰り広げる。

7. 博士はチッティの暴走を止められるか?


ってな内容。


考えてみれば、日本でブームが起こったのは15年以上も前の話になるのです。

当然、ラジニさんも本来は還暦を超えた年頃ですが、劇中では結婚前で若い婚約者のいる青年博士バシーと、ロボットチッティの二役を演じていました。


『ロボット』でのラジニ(博士役)。


ゴーイン・バックtoちゃいな
さすがに老けたし、ズラなんだけどね。


サナ役は94年ミス・ワールドで世界一の美女に輝いたアイシュワリヤー・ラーイさま。


アイシュワリヤー・ラーイの画像。一緒に踊っているのはチッティの方を演じているラジニ。

ゴーイン・バックtoちゃいな
画像はこれもアメーバニュースから拝借。


音楽は「スラムドッグ$ミリオネア」のA・R・ラフマーン。


アクションコーディネータは、香港映画を代表する武術指導家・映画監督ユエン・ウーピン(袁和平)です。彼の振り付けは、ハリウッドでは『マトリックス』などでもはやおなじみ。インド映画にもかり出されていたとはねぇ。

ちなみに、ジャッキー映画が過去の映画まで発掘されて公開されるほどの一時代を仕掛けたのもウーピンその人。


『ドランクモンキー酔拳(原題:醉拳)』(1978)が日本でヒットした後、その前作だったはずの『スネーキーモンキー 蛇拳(原題:蛇形刁手)』(1978)を「モンキーシリーズ」として日本で公開させちゃった。

まぁ、この2作品は同じ監督・制作会社なので違和感はなかったけれど、その後の『クレージーモンキー笑拳(原題:笑拳怪招)』(1979)とか、『カンニング・モンキー 天中拳(原題:一招半式闖江湖)』(1979)なんて何のつながりもなかったんだけどね。


話を『ロボット』へ戻します。悪い癖でつい香港映画のウンチクが(汗)。

実はこの作品。昨年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2011」で出品されていたんだよね。

私はその場にいたのだけど、他の映画と時間がかぶって観られなかったのです。


でも、映画祭会場からロボットを観て出てきたお客さんたちの興奮具合を目の当たりにしてしまい、これは絶対に公開されたら観なきゃなと思ってたんです。


結果、還暦ラジニの完全復活と言っても良い、盛り込みすぎの作品(インド映画ではホメ言葉)でした。

ストーリーとビジュアル的には、トランスフォーマーとターミネーターとをごった煮にした感じ。

アクションシーンは、マトリックスとやっぱりトランスフォーマーなんかを混ぜた感じかしら。


トランスフォーマーがそうであるように、後半ではそのCG多用っぷりに、観てるこちらが疲れてくるんだけど、考えてみれば、インド映画もいよいよこんなCG大作を作れるようになったんだな、感慨深い。


自分を量産するロボット・チッティは、その後の大暴れする様は、最初はマトリックスのスミスみたい。

ここでもCGのオンパレードで、徐々に量産チッティが合体して巨大ロボ化する(ネタバレじゃないよ。予告編にも出てくるし)あたりは、もうトランスフォーマー。


高齢でもあるラジニは、もしかすると、CG部分の作品に出演しなくてもよいという裏もあるのかもね。

なんだか、このCGシーンは、アンディ主演の『未来警察』も思い出した。


エンドクレジットまでよく観ていたら、アクションコーディネートのユエン・ウーピン以外にも中国人のクルーが、CGやアニメーション部分の制作などで、多数参加しているようでしたから、モタモタしているとCGやモーション・アニメのような日本が得意とする分野も中国に取られちゃうかもよ。


だって、未来警察の監督であるウォン・ジンしかり、アンディつながりで『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』の監督であるツイ・ハークしかり、CG好きな監督は香港にも多いから。


私も昔はインド映画にズッポリとはまった口。

この映画をきっかけにして、どんどんまたインド映画が日本に入ってくるようになるといいですねぇ。


ちなみに今回、日本で公開されたバージョンはほとんど英語でしゃべってます。

口パクとは合っていなかったので、タミル語あるいはヒンドゥー語のバージョンもあるのかも。

製作費もすごいだろうから、英語版を各国に配給して回収しなくっちゃね。


それにしても、三時間を超える完全版ってどんなの?

もう十分おなかいっぱいの映画だったけれど。。。

待ってました!!

五月は『王朝の陰謀』に続き、アンディ・ラウ(劉徳華)主演『未来警察 FUTURE X-COPS』が公開。

公式サイトがなんと我らがアメブロにあるのはなぜ?

http://ameblo.jp/miraikeisatsu/

予告篇のTRAILERもありますよ!


まぁなにはともあれ、嬉しいです(>_<)。


実は私はこの映画は絶対に日本で公開されないだろうと思い、いちはやく海外DVDを通販で購入して既に鑑賞済み。

それが今月、東京と大阪で公開されるなんて、地方在住者には残念ですが、公開されないよりマシ。

まだまだ日本市場も捨てたモノではないですね。


ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

バリー・ウォン(王晶)監督、チン・シュウトン(程小東)武術指導とくれば、ストーリー的にもビジュアルエフェクト的にも、良い意味でハチャメチャな展開になることは目に見えているんですが、それでも観てしまう、香港テイスト好きな私。

案の定、「良い意味で」パク○なんて気にしない、古き良き時代の香港映画を彷彿とさせる作品です。


アメブロさんが公式サイトということなので、画像は全部そちらのサイトをミラーする意味で重複保管して見ていただきましょう。


まずは自由に使えるであろうバナー。

ゴーイン・バックtoちゃいな
(リンクにもしてみました)


このロボコップのようなのが主人公(中身はアンディね)です。

今ならアイアンマンのが近いかな。まぁ、あれは警察ではないけれど。


アンディは警察官なんだけど、とある任務のために生身の人間では到底目的を達することができず、ロボットになって闘うって設定。

あれれ、この話、どっかで聞いたことあるよね。そう、こっちはロボコップ。


それで、未来警察の未来たる所以なんだけど、過去に遡って解決不可能事件を解決するため、時間旅行ができるという設定にもなっています。

あれ、あれれ、これもどっかで聞いたことがある話でしょう。そう、ここはジャン・クロード・ヴァンダム主演『タイムコップ』的なんだよね。


で、公式サイトに情報が載っていた、前売り券を買うと付いてくるポストカードを転載。

ゴーイン・バックtoちゃいな
これは改造前の人間時のアンディさま。


それからもう一枚のポストカード。

ゴーイン・バックtoちゃいな
マイク・ハー(賀軍翔)さま。台湾俳優です。

どちらか一枚を選ぶそうです。


なんと前売り特典だけでなく、当日、ちょっと変わったことをやると割引になるそうな。


【未来人敬礼割引】

「未来人です!」と言いながら、チケット売り場で敬礼をすると1000円で見られちゃう。

ナヌ、前売りより安いじゃん。ただし、三人以上で行かねばダメだとか。


こんな格好で敬礼すべしだって(公式サイトより)。

ゴーイン・バックtoちゃいな
これを三人そろってやるんですか?(照)


いやぁ、この映画を一緒に観てくれる人を三人集めるのは大変だよ。

日頃からアンディのファン友とか、香港電影迷友がリアルにいる人たちはいいけどね。


ちなみに以下のような形だと、係の人に直されちゃう。でも割り引いてくれるのね。

ゴーイン・バックtoちゃいな
いや、むしろこんな格好で映画見にきたら、タダにしちゃうべきだろうけど。


ちなみに、このロボコップというかアイアンマンというかが改造後の姿です。

ボタン一つで、元の姿に戻れちゃうという設定。


この映画、パクリはこれだけにとどまりません。

下が敵役のルイス・ファン(樊少皇)なんだけど、彼が変身すると、スゴイんです。

ゴーイン・バックtoちゃいな

今回、画像は全て公式サイトから持ってきているので、変身後の姿はぜひ公式からリンクで引っ張ってある予告篇を見て下さいな。


まんま、『スパイダーマン2』に出てきた敵役ドクター・オクトパスだから。


いったいどれだけのハリウッド作品をパク、じゃなかったインスパイアされてるんだ。

もーまったく! 面白すぎるじゃないか! (^o^)


ちなみにその他の共演者は、台湾からバービー・スー(徐煕媛)、すぐ死んじゃうけど中国からファン・ビンビン(范冰冰)など。


バービー・スー。

ゴーイン・バックtoちゃいな


ファン・ビンビン。

ゴーイン・バックtoちゃいな


無駄に(失礼っ!)美人女優を揃えましたね。

それから、アンディの娘役として、チャウ・シンチーの『ミラクル7号』で主役の男の子を演じていた(そう言えば、実は女の子だったよね~)のシュー・チャオ(徐嬌)。

ゴーイン・バックtoちゃいな

シュー・チャオ、成長したなぁー。

彼女は最近ではこれも公開されたばかり(地方によっては公開中)の『イップ・マン 誕生』にも出てました。
そういえば、この映画にもルイス・ファンが出てます。


映画を観ながら、突っ込みを入れる香港の観客みたいなことが好きな人は、ぜひ三人で連れ立って観に行くべし。千円になるからネ。


ちなみに、【アンディ・ラウ様熱烈リピーター割引】なんてのもあるそうで、こちらは連休末の5/5から公開のアンディ主演作『王朝の陰謀:判事ディーと人体発火怪奇事件』のチケット半券を持って行くと、300円引きになるんだって。


最後にこちらもバナー(リンク付き)をおいときますね。

ゴーイン・バックtoちゃいな

今回もまた特別企画。

題して、「女装が似合う香港明星(香港スター)は誰か?」


どーでもいいネタでスイマセン。今回も私・龍虎の脳内DBに頼った不完全版になるかもしれませんが、香港映画には意外に多い女装シーンを思いつくままピックアップ。


まずは、「仕事の虫」と言われるアンディ・ラウ(劉徳華)から。

まったく手を抜いていない女装シーンをご覧あれ。


『暗戦デッドエンド(暗戦)』(1999)より

ゴーイン・バックtoちゃいな

画質が荒いけれど、胸の谷間まで特殊メイクで再現。


この映画のインタビューでアンディは、「ボクのお姉さんはとても美人なのに、ボクが女装するとブスになるのはなぜ? また挑戦したいな」などと宣まっていました。


さすが、この映画で香港電影金像奨最優秀主演男優に輝いたアンディですな。

とにかく手を抜かない人なんだよね。

私はそこが好き。


でも、こんな顔のお姉さん、けっこう巷にいますよ。


次は、こちらはしょっちゅう女装しているはずだけど、すぐに見つかったが時代物だったチャウ・シンチー(周星馳)。


『008 皇帝ミッション(大内密探零零發)』(1996)より。

ゴーイン・バックtoちゃいな
ぶ、不気味。でも、意外に美人?


この映画はトニー・レオン夫人のカリーナ・ラウ(劉嘉玲)とシンチーが夫婦役なんだけど、それがとっても仲睦まじくて、微笑ましいんだよね。

カリーナ、夫婦でじゃれ合っている最中に夫の腕を折っちゃうくらい乱暴なんだけど、性格はキュートという設定。

夫をさりげなく支えようとしているシーンにも愛らしいものを感じます。


さて、お次は同じ映画から二人の女装です。

こちらも結構女装になるジェット・リー(李連杰)と、おそらく初女装の金城武。


「冒険王(冒険王)」(1995)より。

ゴーイン・バックtoちゃいな
画質が悪くてすいません。


ジェット・リーの女装は、すぐに思い出すところでは、日本でまだリー・リンチェイと呼ばれている頃の『少林寺2』(1983)にもある。

このときはジェットもまだ19歳だから、時代物の衣装とはいえ、ホントに女性に見える。

上の映画でも、けっこう似合っちゃっているんですよね。

この時点では30歳を超えてるんですが・・・。


次は金城君。


同じく「冒険王(冒険王)」(1995)より。

ゴーイン・バックtoちゃいな

撮影時、22歳くらいのはずの金城君。

背がやたら高いけれど、こんな女性、いるよねぇ。

なんとなく、ここまで書いてきて、この企画、失敗だったかなと思い始めてきた。

こうして画像を集めると、なかなか眺めるのがキビシイものがありますね。


では、口直しに完全におふざけのものを。


ジャッキー・チェン(成龍)の女装。


『シティハンター(城市獵人)』(1993)より。

ゴーイン・バックtoちゃいな
何かのコスプレかって?

はい、日本のゲーム「ストリートファイター」に出てくる女性カンフーキャラ「春麗(Chun-Li)」の衣装を着て、闘っているところです。

もう、映画自体もそうでしたが、完全にふざけています。


そういえば、ジャッキーも多作ってのもあるけれど、若い頃はかなり女装があるんですよ。

でも、きっともう見たくないっすよね?

そう思って、ここらで本企画を閉じたいと思います。


うーん、失敗したかな~。

次はもちっとマシな企画を考えます。


最後にホントの口直し。

春麗(コレって「はるうらら」で変換してます)は春麗でも、ちゃんと女性が演じているものを。


ゲーム「ストリートファイター2」のCMより。

ゴーイン・バックtoちゃいな
誰だかわかりますかね~。

若かりし頃の水野美紀さんです。

前にも書いたけれど、倉田アクションクラブ出身の本格派。

CMではケリ技も披露してくれてました。キレが悪く映ってたけれど、それはCM監督が悪い。


結論。

このなかでは女装が似合ってしまうのは誰だったでしょうか?

え? どうでもいい?

まぁ、そうだろうけれど、キレイとか、カワイイとかではないけれど、アンディのプロ根性に免じて、暫定トップの女装明星をアンディってことにしときましょう。

暫定もなにも、二度とこの企画はやらないけれど(笑)。


では今回はこのへんで。

やっと『超能力者』を観てきました。

え? 遅い?

すいませんね。地方在住なので。東京に出張したときに上映していたんですけど、時間が合わなかったんですよねぇ。


私はどうもカン・ドンウォンに惹かれるようで、彼の主演作はよく観ています。

今回はコ・スとのダブル主演というより、実はコ・スが主演で、カン君は悪役の扱い。


けれども、ものすごい存在感だし、日本での知名度から考えても、カン君の名前が上に来るんだろうね。


こちらが日本版ポスター。

ゴーイン・バックtoちゃいな
韓国のポスターも観てみたけど、同じ絵柄でした。


韓国ポスターの別バージョン。

ゴーイン・バックtoちゃいな
やはり、カン君の名前が先にありますね。


さて、私・龍虎は韓国映画はキライではないのだけれど、基本的にスプラッター要素がある映画は苦手なのです。ご存じのように、韓国映画のアクション作品は、残酷描写が容赦ないくらい血みどろなので、ここのところ敬遠していました。


例えば、敬遠していたけれど、主演のイ・ビョンホンもチェ・ミンシクも好きだったのでつい観てしまった映画に『悪魔を見た』があります。


『悪魔を見た』ポスター。

ゴーイン・バックtoちゃいな

これなどは、タイトルからして残酷描写があることがわかっていながら、見ちゃった後に一週間は気分が悪かった。

いえ、つまらなかったとかではないのですよ。むしろ面白かった。でも、最初から最後まで残酷シーンは勘弁してほしいのです。

私はスプラッターよりも、ミステリ作品が好きで、その残酷描写に必然性が欲しいタイプ。


犯人が残酷なんだから仕方ないじゃん、的な映画であっても、それ以外のストーリーや謎解き要素、そしてその悪役が悪役になった物語背景に魅力を感じるので、上記の作品のように、まさに「悪魔」ですので、残酷なんです、というのはちょい苦手だ。

でも、繰り返しますが、『悪魔を見た』は面白い映画ですよ。でも、イ・ビョンホンが好きという理由だけで、映画を観に来ていた韓流おばさまの何人かは、鑑賞後に気持ち悪くなっていたようでした。気を付けよう。


話を『超能力者』に戻します。


カン・ドンウォンのファンとして、予告を見たときから、かなり気になっていたこの映画。

超能力者で悪役はカン君のほう(ポスター見たら分かりますね)なのですが、超能力は目で人を操る能力があるという設定。対するコ・スはその超能力がただ一人通じないことから、運命の対決に引きずり込まれる役というわけですな。

「宿命の対決もの」とでも名付けたいジャンルです。


目に特長があり、瞳の演技に魅力が凝縮されているとさえ言えるカン君には、ほんと最適の役でした。


公式サイトよりカン君。

ゴーイン・バックtoちゃいな

私の友人に、自称「目に色気のある人が好き」とのたまう女子がいるのですが、彼女はカン君を見て何と言うか、今度聞いてみたい。

ちなみに、上の写真は、劇中では比較的優しい顔をしている場面からのショットです。カン君は終始、眼力を使いっぱなしで、それはそれは恐ーい悪の超能力者を演じていました。


上の二枚のポスターとこのショットを比べて欲しいのですが、劇中でこうした目の表情を演じ分けているカン君はとても魅力的です。


また、彼が演じる殺人も厭わない超能力者が、なぜ悪になり、そして残酷になっていったかの必然性がきちんと描かれていたので、この映画にも残酷描写は結構多いのですが、私もなんとか気持ち悪くならずに帰れました~。


しかしながら、映画を見ていると、役への入り込み方がスゴイのか、そのうち本当にカン君が犯罪者に見えてきます。カン君のファンであっても、コ・スよ、どうか頑張ってあいつをやっつけろ!ってなっちゃいます。

それくらいスゴイ。

こんなことを言っては何だけど、カン君って狂気を秘めている顔をしているじゃないですか。


次に、公式サイトより本当の主役であるコ・ス君。

ゴーイン・バックtoちゃいな

カン君とは対照的に目元の優しい青年を演じていました。純粋に正義感にあふれた普段はちょっと抜けているけど、本気になると火事場の馬鹿力を発揮するという難しい役どころを、とてもうまく演じていましたね。


総評です。

これは今の韓国映画全体がそうなのだと思うけれど、緊迫感を出すために、やや残虐描写に頼っている面はありますね。この映画については、私が思ったよりもそうした描写が多かったです。年齢での入場制限がなかったのは少々不思議なくらい。

もうちょっと、超能力合戦みたいにして、スプラッター色を薄めて、SF色を高めても良かったような気がしますね。


とはいえ、カン君の壮絶な瞳の表情を堪能するには最高の映画ですよ。