追悼ランラン・ショウってのは三月に開催される第9回大阪アジアン映画祭のプログラムの一つ。


そうランラン・ショウとは2014年1月8日に106歳(!)で死去した邵逸夫のこと。


古い香港映画ファンには、説明の必要がないくらいの有名人ですが、若い人のために念のため書くと、ショウ・ブラザーズ(邵氏兄弟香港有限公司)の創設者。





このワーナーっぽいロゴでお馴染みね


ショウ・ブラザーズの宣伝マンだったレイモンド・チョウが独立して作ったのがあのゴールデン・ハーベスト。


ショウ・ブラザーズの設立者・経営者ってだけでなく、香港の有力テレビ局TVB(無線電視)創設者でもあった香港を代表する有力者、っていうか大ボス。


このTVBの俳優養成所からはチョウ・ユンファもアンディ・ラウもチャウ・シンチーも巣立っている。


ジャッキー映画のヒロインもたくさん輩出したミス香港コンテストもTVBが主催してたんだよね。


TVBのディレクターから映画監督になったところでは、香港ニューウェーブと呼ばれるアン・ホイ、ツイ・ハークらもそう。




香港映画の父なんて言われるけれど、けっして言い過ぎではない人なのだ。




ランラン・ショウ(邵逸夫)は、中国・浙江省に1907年に生まれた。1977年には英国女王から「サー」の称号を授かり、「サー・ランラン」とも。


ランランは英語で書くとRunrunっていう花の子ルンルンみたいな名前ながら、アジア有数の娯楽チェーンを築き上げた功績は大きい。




そんなサー・ランランが亡くなったのである。


「え、まだ生きてたの?」って思った人も多いでしょう。そりゃ、そうですよ。


草創期のショウ・ブラを盛り上げたお仲間(監督とか俳優とか)はとっくに鬼籍に入っている人ばかり。


まさかの100歳超えで、文字通りの香港映画の生き字引だったお方。




こりゃ、追悼の一つや二つはやるでしょう。




ってことで、直近のアジアン映画祭がやってくれました!




サブ会場のシネ・ヌーヴォにて、三本のショウ・ブラ作品をかけてくれます。


どれも往年の大ヒット作品。


40年ぶりに映画館で観るってな人もいるはずですよ。




ラインナップは以下の通り。


(画像はいずれも大阪アジアン映画祭サイトより)




「大酔侠」

Come Drink with Me(大酔侠)

1966年|香港

監督:キン・フー(胡金銓)








「片腕必殺剣」


One-Armed Swordsman(獨臂刀)

1967年|香港

監督:チャン・チェ(張徹)







「空とぶギロチン」

The Flying Guillotine(血滴子)

1975年|香港

監督:ホー・メンホア(何夢華)







60年代には一世を風靡したショウ・ブラだけど、70年代はブルース・リーやらホイ三兄弟のいるゴールデン・ハーベストに押されはじめ、80年代になるとジャッキーも加わったゴールデン・ハーベストだけでなく、香港ニューウェーブ監督らが所属した独立系プロダクション(シネマシティとか)にも押され、映画製作を停止し、映画配給だけに専念していった。


80年代には新興の映画会社の配給チェーンとして機能していたりしたこともあった。




というわけで映画製作会社としては息の根が止められてしまったということもあったのか、日本で新たにDVD化されることもなかったのだけれど、2004年に新しい版権管理会社になったらしく、素晴らしい作品が大挙してDVD化。




2004年以降にショウ・ブラ作品の日本版DVD化に熱心にとりくんでくれたのがキング・レコードで、「ショウ・ブラザーズ 黄金のシネマ・シリーズ」というのでショウ・ブラ作品を100本ほど提供してくれた。




んで、最近またそれらも手に入りにくくなっていたんだけれど、今度はパラマウント・ジャパン合同会社が、2013年からDVDとBlu-rayで、ショウ・ブラ作品を1本千五百円とか、3本三千円と廉価で発売し直してくれていて、上記の三本も手に入りやすい状態で、いまDVDショップに置いてあります。




廉価版が発売され直してからまだ日が浅いので、2004年以降に100本ソフト化されたうちのほんの一部しかDVD化されていない(まだ20本くらいかな?)だけれど、また100本出してくれたら、私は大人買いするのになぁ。十年前は買えなかったけれどさ。




ちなみに、KungFu Tubeってサイト
でキング・レコードがソフト化した作品を一覧にしてくれていました。


←リンクしときました。


良い仕事してくださって、ありがとうございますです。




で、現在パラマウントが発売中の方ですが、こちらの公式ページ
で順次ソフト化された作品が確認できます。


←音が出るページへのリンクなので気をつけて。




ただし、ショウ・ブラ作品以外のものも混じっている「香港映画公式サイト」ってなってるので、ちょっと不親切。


いまだったら、追悼で再注目されているので、ぜったいにショウ・ブラ作品でシリーズ化したほうが売れるのにね。




かくいう私は、アジアンで追悼上映される上の三作品のなかでは「大酔侠」の廉価版(一本だと千五百円なり)を手に入れました。私、キン・フー監督が好きなんですよ。




そのとき、チャン・チェ監督の作品も欲しくなって「大女侠」も、そして三本セットで三千円になるので、レオン・ポーチ監督の「風の輝く朝に」という組み合わせで買っちゃった。




ちなみにチョウ・ユンファ主演の「風の輝く朝に」はショウ・ブラ作品ではなく、80年代にサモ・ハンが宝石商のディクソン・プーンに協力して設立された新興プロダクション「D&B」の作品。これもまた映画製作会社としてのショウ・ブラにとどめを刺した勢力の一つでした。




なんという組み合わせで買ったんだ、私は。。。


あーそれにしても映画館で観たいなぁ。大阪の9条にあるシネ・ヌーヴォは映画館として味もあるしね。

若い人も、ショウ・ブラの名作を見て欲しいな。日本人の若者が黒澤明を観るのと同じような感覚で、キン・フーやチェン・チェの名画を見て欲しいものです。

おっと ~、すでに大阪アジアン映画祭2014のラインナップが発表されている!!

見所はね、やっぱ今回は「特集企画《台湾:電影ルネッサンス2014》」ですよ。

オープニングの「KANO」からのずっと台湾映画づくし。しかもジャンル多彩。若手も続々。日本の映画監督とのコラボあり。



KANOは、海角7号、セデック・バレとヒット連発のウェイ・ダーション(魏徳聖)が製作にまわり、セデック・バレに出演していたマー・ジーシアン(馬志翔 Umin Boya)にメガホンを譲って撮った作品。

日本統治下の台湾。日本から来た鬼コーチが率いる嘉義農林高校(嘉農=KANO)が甲子園を目指すという本作。
ちなみに嘉義は森林資源が豊富で、日本が森林鉄道を敷設し、起点となっていた嘉義駅があったところ。現在も阿里山森林鉄道が観光用に残されているエリア。

今回も日本との関係を描くわけですな。

そして、「台湾語映画特集企画」もあり。
台湾語が日本でフォーカスされるのはそうそうないかもですよ。
「台湾語がちょびっと話せるよ!」ブログ著者たまりさんも注目しているかしら??

この台湾語映画のなかで昨年の作品として出品された「おばあちゃんの夢中恋人 Forever Love(阿嬤的夢中情人)」が日本の監督と台湾監督とのコラボ作品。




台湾の温泉地である北投が舞台。ここは昔、映画の都すなわち台湾のハリウッドだったんだって。
しらなかった。。。
うーん見たい。見たい。行きたい。大阪!

というわけで今回はお知らせ記事。見に行けたらまた感想書きます。

光を知らない天才ピアニスト

母親の深い愛、垣根のない仲間との友情、ダンサーを夢見る少女との

心の交流が、彼の人生に眩い光をもたらす――


上記は映画チラシのコピー。

実際にプロのピアニストとして活躍するホアン・ユィシアンの実話です。


盲目のピアニストであるホアン・ユィシアン(黄裕翔)自身が主人公を演じています。


本作は世界中の映画祭で賞をとっています。

いくつとったかは、公式サイト をご覧いただきたいのですが、アカデミー賞の外国語映画賞ほか数々の賞を受賞。


だからだと思うんだけれど、2月8日に全国公開。私が暮らす地方部でもこの日から公開。

ありがたや。


主演俳優はプロのピアニストだけれど、俳優としては無名。

監督のチャン・ロンジーも長編初監督作。


それでも、製作総指揮にウォン・カーウァイがかかわっちゃうくらい、監督にも脚本にも期待がかかった映画だったんです。ちなみに香港人のカーウァイの資本も入っているからか本作は、2012年の台湾・香港・中国合作映画。

(中国から誰が出資しているのかは分からなかった)


ただ、カーウァイが関わっているからって難解な映画ではないです。

むしろ一直線の青春映画です。



上は台湾のチラシ。

日本のチラシはピアニストの話であることを押し出し、ピアノの前にたたずむユィシアンが逆光を浴びているもので、これはこれでいいのですが、私は台湾のチラシの方が物語の雰囲気を良くだしているから好き。


いやぁ、なにしろこの映画。主演のユィシアンの演技がイイ!




画像は公式サイトから


上の写真の何とも言えない柔らかい表情もそうなのですが、ゆっくりとした語り口も本当に優しそうで、劇中で彼と交流するダンサーを夢見る美少女が、彼に少しずつ心を開いていくのも理解できる。

生まれつき眼が見えないんだけれど、ピアノの才能にあふれ、田舎から都会(台北)の大学の音楽学部に入学する。

でも、幼い頃のコンクールで「目が見えないから賞をとれたんだ」とやっかみ的な陰口をささやかれたことで、人前に立って演奏することに臆病になっているという役柄。


大学に入ってからも優しい級友だけでなくて心ない級友も多いけれど、寮のルームメイト(こっちは体育学部)にも恵まれ、大学生活を楽しみはじめる。


そんなときに出会うのがダンサーを目指すシャオジェ。



画像は公式サイトから


上がシャオジェを演じるサンドリーナ・ピンナ(張榕容)さん。

名前が示すように、ラテンの血が混じった台仏ハーフ。

1987年生まれで、ユィシアンとは実年齢も同い年。


劇中では買い物依存症の母のせいで、夢だったダンサーの学校には通えずに、紅茶ミルク屋で朝から晩まで働くけなげな娘役。


あ、バイト先は、台湾によくあるタピオカが入っている紅茶ミルクを売る店の亜流と思われるんだけど、この店の若い店長の等身大写真が店の前に飾ってあるなど、起業家であることがわかってほほえましい。

この店長もスゴクいい人!


シャオジェは見ての通りの美少女だから、当然ながら彼氏もいるんだけれど、浮気がちな彼にふりまわされるわ、母親はもっと稼ぎのある仕事をしろだの言われてさんざんな生活。


夢を見失った頃に、盲目ながら音楽の道を志すユィシアンに出会います。


この交流シーンが、上に紹介した台湾チラシで、目をつぶって盲目の人の世界を体感しようとしているシャオジェがユィシアンに寄り添っているところというわけです。


で、物語はどうなるかっていうと、そんなにドラマチックな展開があるわけではありません。

何かビッグな目標を果たすとか、大成功を収めてスターになるとかってところまではいきません。


でも、だからこそ終始にわたって優しい雰囲気の、そしてだれもが共感を描きやすい青春映画になったんだと思うのですよね。


驚くべきは、ユィシアンのお母さんを演じたリー・リエ。




画像は公式サイトから


なんとあの「モンガに散る」のプロデューサーでもあるという台湾映画界の大物。

もともと女優の人だから当たり前なんでしょうが、女優としての母親演技も泣かせます。。。




ところで、実話をもとにした本作。

シャオジェとの交流まで実話なのかどうかは不明です。


そのシャオジェを演じたサンドリーナは本職が女優(ダンサーではない)。

本作のために四ヶ月のモダンダンスのレッスンを受けたようです。

シャオジェさんも実在するのだろうか。。。


私は個人的にツボだったのは、ヒロインのサンドリーナでなく、音楽学部の主任講師に代打でなった役(主任講師が産休のために期限付きで主任になった代用教員=中国語で「代課老師」)の人。




画像は公式サイトから


ユィシアンをいつも気に掛けてくれる優しい先生なんだけれど、妙齢の美人。

たぶん、本作で唯一登場の30代女優。


で、誰だろうと調べてみたら 尹馨(アイビー・イィ)という女優さんのようです。

私は初見なんだけれど、ヴィック・チョウ主演の台湾ドラマ「山田太郎ものがたり ~貧窮貴公子~」に出ているらしい。

うーん、映画にはあまり出ていないようです。

baike百科によると、台湾師範大学中退という学歴の様子。

本作の撮影地は台湾師範大学なので、そのご縁での起用かな?


ちなみにユィシアンの本当の出身大学は国立台湾芸術大学だそうで、視覚障害のある学生で、初のピアノ科学士の学位を取得。

劇中でもそうなんだけれど、クラッシックのみならず、ロックやポップス、ラテン等の幅広いジャンルをこなす才人なんですね。

実際、劇中のピアノ演奏はすべて本人がやっているそうなんですが、それだけでなく作曲もご本人が担当しているとのこと。

とっても素晴らしい曲ばかりでした。


映画に感動したあとは、彼の音楽を聴いてみようかしら。

そんな気にさせる映画でした。

日本ではどのくらい話題になるか、楽しみ。

テッド(Ted)、すなわち熊の縫いぐるみテディベアの姿をしたメタボ不良中年テッドがブラックな笑い満載で大活躍した、あのアメリカンコメディをほどほどにパクリつつも、オタクと腐女子の夢をいっぱい載せたB級映画として生まれ変わった本作が完成し、25日から公開されました。


その名は「ヌイグルマーZ」。



主演は意外にも映画初主演という、しょこたんこと中川翔子。

原作は大槻ケンヂの「縫製人間ヌイグルマー」という小説。


もう、この情報見ただけでB級色が漂っていますが、まだまだぁ。

監督は井口昇。共演は武田梨奈。


そう。本ブログでも「『デッド寿司』(笑)鑑賞! 」で紹介し、アメリカの映画祭でアクションコメディ賞を受賞したお馬鹿映画のコンビですよ。


武田梨奈は本ブログでも注目している若手アクションスター。

デッド寿司も武田ちゃんの活躍ぶりが見たくて鑑賞したわけですが、本作もその感覚で見ました。


で、分かってはいたのよ。

そ。B級映画だってことは最初から分かってはいたわけだ。

でもまぁ地方でも東京と同じ日から上映されているし、大槻ケンヂもしょこたんも一応ビッグネームだし。


なんつったって、大槻ケンヂもアクション映画大好きな人(たまに、みうらじゅんと混同するけれど)だし、しょこたんもブルース・リーやジャッキー・チェンが大好きな人。


そうした愛がこの人を食ったようなタイトルの映画で再現されているならいいかな、てな勢いですよ。


ということで、私も初日から観に行きました。





しょこたんはいろんな映画雑誌のインタビューで、「私の夢が叶った」的なことを述べていて、それは画を観てもひしひしと伝わってきます。

上の写真はしょこたんが、ゾンビ相手にふわふわのファーで作ったヌンチャク(自前!)をブン回しているところ。かつてバラエティ番組で「リー様ー!」(ブルースのこと)と絶叫しながら振り回していたヌンチャクテクニックを披露しております。


観ようによってはアクション映画をバカにしていると思われるかもしれないけれど、私はこれも映画愛だと思えるタイプで、実際しょこたんの話を聞いているとホントに香港アクションが好きなんだなとわかるので、許せます。

ま、本物のアクションは武田ちゃんが見せてくれるでしょうしね。


で、しょこたんなんだけど、あるインタビューで、「運動神経ゼロの私ですが、このヌンチャクアクションは魂込めました」的な回答をしてました。


え? 運動神経ゼロなの? ま、ヌンチャク振り回すのは運動神経ってより大道芸に近いからいいのかな、とか変なところに私は着目しちゃったよ。

確かにあまり運動神経よさそうじゃない彼女。本作でのアクションにはあまり期待しないで下さいませ。


問題は武田ちゃんの出演シーンだね。


デッド寿司もアクションコメディってよりB級ホラーだったわけで、日本でも指折りのアクションが出来る女優である武田ちゃんを無駄遣いしてるなって感じはしていたのね。アクションシーンはあるんだけれど、相手が寿司ネタとか特撮の寿司怪獣だからねぇ。肉弾アクションではない。


で、本作はどうか。


設定は、公式サイト を開くと流れるしょこたん主唱の主題歌「ヌイグルマーZ」の歌詞にあるとおり。


♪私のぉ身体、タオル地。私の瞳ぃ、洋服のボタン。

 あなたを守り抜くために、わたしは望んでぬいぐるみになる。

  N.U.I.G!(えぬ・ゆー・あい・じー!) U.L.U.MAR!(ゆー・える・ゆー・まー!)#繰り返し


なんか分からん理由で地球に降り立った綿状生命体(なんじゅそりゃ)が、ある熊ちゃんの縫いぐるみに寄生する。後にこのぬいぐるちゃんはブースケと名付けられる。

この生命体の声は私も好きな阿部サダヲ。


で、このぬいぐるちゃんであるブースケもそれなりに強いんだけれど、やっぱタオル地の身体と、縫いぐるみの平均身長ではアクションにおのずと限界があるってことで、しょこたん演じるダメ子っていうロリィタ女子と一体化して、「あなたを守り抜く」って話。




変身前のダメ子と縫いぐるみのブースケ(テッドみたいに喋ります)




合体して変身したダメ子&ブースケが、晴れて「ヌイグルマー」となりやす


つまり、変身するとしょこたんではなくて、武田さんになるんです。

このあたり、強引とも言えるんだけど、ま、運動神経ゼロのしょこたんじゃ強くはならないとか、そもそもしょこたんが戦隊ヒーロー的なスーツを着てもさまにならないとかいろんな事情はあったんでしょう。


でも、私としては、これで武田さんの知名度があがりそうでウェルカムですけれどね。


ところで、主題歌の作詞は、原作者でもので、やっぱり大槻ケンヂですよ。

曲調はもう筋肉少女帯そのままってかんじ。歌ってるのはしょこたんだけどかっこいいです。


ちなみに、ある映画雑誌(ツウ好み雑誌の『映画秘宝!』)にて大槻氏は「私の好きなマーシャルアーツスター」ってコーナーの三位に武田さんをあげています。

まぁ、自分の映画の宣伝でもあるわけですけれどもね。


で、話の続き。


どういうわけか物語は、ヌイグルマーとゾンビとの戦いに突入。

またしても、武田ちゃんの相手はゾンビかぁ、と思いつつも、相手となる奴らの何割かに、ジャパン・アクション・エンターティンメント(JAE)の皆さんが混じっているもようで、それなりに見応えのあるシーンもちらほら。

(ちなみにJAEは千葉真一が作ったジャパン・アクション・クラブ(JAC)の後継団体です)


エンドロールでもJAEが殺陣をやっていたことは確認できますし、劇中に実名で登場もします。


結果、いろいろあって地球の平和というか個人的な事情で巻き込まれたトラブルは解決して、ハッピーエンドとなるわけですな。まぁストーリーはこの際、どうでもいいかもしれない。


正直、私としては武田ちゃん主役でガンガンにアクション映画が観たいわけ、多少のストレスのたまる映画でしたが、これから武田ちゃんがスターになっていくために、この映画がよいステップになればいいと思う。

知名度も上げて欲しいので、この映画はそのステップとしてあり、としましょう。


今回は速報記事。


アジア映画の配給や宣伝を手がけるフリーマン・オフィスによると、今年は日本で以下の映画の配給公開がきまっているらしい。


三月頃 ジェット・リー出演 『不二神探』(日本公開タイトル未定)




四月五日  トニー・レオン主演・ジョウ・シュン共演 『聴風者』(日本公開タイトル「サイレント・ウォー」)




初夏 ジャッキー・チェンの『警察故事2013』(未定だけどおそらくポリス・ストーリー2013)




ジャッキー作品は日本でも必ず公開されるから大丈夫として、トニー・レオン&ジョウ・シュンの「サイレント・ウオー」は、このブログでも、ここ で注目していたので、公開されて嬉しい。

それで訂正のだけれど、この映画でトニーさんは盲人ではなくて、聴力が異常に発達している役、らしい。でも、予告を観ると眼が白かったりして、盲人みたいに見える。


だけど、盲人の探偵役はアンディ・ラウがつい最近、本ブログでも紹介した「盲探」 で演じちゃったもんね。


それから、公開作はまだあるよ。


昨年の東京国際映画祭でも上映され、あの零幻道士のシリアス版として話題になった作品も配給される様子。


時期未定 シン・シュウホウ主演『殭屍』(日本公開タイトル「リゴル・モルティス/死後硬直」映画祭公開時タイトル)




原題の殭屍はキョンシーそのまま。


第一作の霊幻道士にも二人いた弟子役で故リッキー・ホイ演じるダメ弟子とともに出ていたチン・シュウホウが主演です。シュウホウはカンフーも出来て優秀なんだけれど幽霊にたぶらかされちゃう弟子役だったね。

それとこの作品はキョンシーホラーにオマージュをささげる構成になっていて、霊幻道士に出ていた人がたくさん出てます。


たとえば、霊幻道士第一作で故ラム・チェイン演じるやり手道士をちょっとだけ助ける流しの道士役をやっていたアンソニー・チェン(陳友)。

そして、霊幻道士第三作で、故ラム・チェンインを困らせる偽道士を演じていたリチャード・ウン(吳耀漢)。

さらに、霊幻道士第二作と四作にそれぞれ出演していたチョン・ファ(鍾發)。この人はキョンシー・ホラーの原点になったサモ・ハン製作のホラー、「鬼打鬼」や「人嚇人」にも出ているから、常連とも言えますね。


さてさて、その他に買い付けられているものは、


時期未定 ルイス・クー、ラウ・チンワン、ニック・チョン出演『掃毒』(日本公開タイトル未定)



これは顔ぶれだけで「スゴそう」って感じる作品ね。


そして、次。


時期未定 ラウ・チンワン、ルイス・クー、アンジェリカ・リー出演『逃出生天3D』(日本公開タイトル未定)



最後に、


時期未定 サイモン・ヤン、ラム・シュー出演『警長』(逃出生天3D)



ちなみにこの警長、中国のタイトルは「冲锋战警」のようです。


とうわけで、今年はけっこういろいろな香港・中国映画が見られそうで一安心。


すでに、1月11日からシネマート六本木でも

『ジ・エレクション 仁義なき黒社会(飛砂風中轉)』

『大捜査の女(大捜査)』

の2本を配給・宣伝してくれたフリーマン・オフィスには大感謝です。




この会社、ほかにも

『曹操暗殺 三国志外伝』

というヒューマントラスト渋谷で3月公開予定の作品の宣伝も手掛けているようです。




というわけで今年の公開予定の整理でした。




今日から公開された『ドラッグ・ウォー 毒戦』は、昨年のアジアン映画祭でも観客の度肝を抜いた、非情なクライム・サスペンス映画。

かくいう私はアジアン映画祭でも鑑賞済み。


ジョニー・トー監督初の本格中国ロケ作品。

香港映画に分類しましたが、もちろん香港=中国合作です。


記念すべき監督50本目でもあるようで、今までのトー作品とは確かにひと味違うのです。


まず、トー作品の常連である香港俳優ルイス・クー(古天楽)君は、ダーティーヒーロー役も多いけれど、今回は完全な悪役。



捕まったルイス君。最後までずっと情けない悪役


主役は中国俳優のスン・ホンレイ(孫紅雷)。

トー監督の映画は『強奪のトライアングル』以来の二度目。



こちら正面がスン・ホンレイ


この映画。


はっきり言って、後味も良くないし、題材は救いようがない麻薬犯罪の話だし、万人向けとは言えないと思う。それでも、私はこれを観ずしてこれからの中国映画を語るなかれ、と思うのです。


スン・ホンレイが演じるは中国公安警察の刑事。

潜入捜査、おとり捜査、犯人との非合法的取引、と何でもあり。




香港映画ではおなじみのこのシーンも、中国の公安警察がやると話は違ってくる


香港警察が題材ならこんな警察像でもアリなんだけれど、中国ロケで中国資本もはいった映画となると話は別。いろいろと当局が内容にケチを付けてくるはずだったのである。


しかーし、この映画では今までだったらナシだったものも、トー監督に免じて大目に見られているのか、なんでもアリになってるんだな。

確かに警察の汚職とかが描かれているわけではないのだが、麻薬取引を壊滅させようとするために、ものすごい数の犯罪者も死ぬけど、それを追う警察官もがんがん死亡。


つまり、いつものトー映画と一緒なんだけれど、これを中国国内のいかにも殺風景な都市を舞台にしていると全く違うトーンの映画になる。



クライマックスの銃撃戦。あたりの殺風景さが中国ならでは


こんな映画がばんばん作られるようになったなら、中国映画界も本物だと思う。

もちろん、トー監督は香港人だけれど、今回のこの映画で、香港人映画監督が撮る中国映画で、余計な規制を受けずに、娯楽作品が撮れることがよくわかった。


トー監督も香港から出ない監督と言われていたけど、この映画の成功でもっと中国大陸で映画を撮るようになるような気がする。


香港の闇社会やアウトローを撮り続けたトー監督だけれど、中国のアウトローやその暗闇を今後撮るようになったら、それはそれで新境地になる気がする。

(ルイス・クーの役どころは広東語を話す香港人の設定だったけれど、この映画における中国の闇は壮絶なものだ)


つまり、そんな可能性すら感じさせる映画だったのです。


というわけで、色恋ゼロの超ハードでダークな作品だけれど、女優の演技にも注目するものがあった。


潜入捜査もこなす女性刑事役だったクリスタル・ホアン(黄奕)さんの演技だ。


こんな映画だから、笑顔もいっさいないプロ刑事って感じなんだけれど、その感情を抑えた役どころがすごくあっていた。


中国の公安刑事だから、まったく化粧っ気がない




こちらは潜入捜査中にマフィアの女房になりきってるところ


クリスタル・ホアンは、本来は花のある中国女優だ。中国テレビドラマでは、けっこうきらびやかな役柄を演じている。

しかし、代表作と言える映画はなく、トー映画は二度目であるとはいえ、その映画(『高海抜の恋』)では脇役で目立たない役だったため、本作で彼女に注目することになる人も多いと思う。私もその一人。


本作は予告動画にもあるのだけれど、「映画史に残るラスト13分 衝撃の至近距離銃撃戦」ってのがやっぱり最大の見せ場で、そのときの彼女の戦いざまにはぜひ注目して欲しいところ。


また彼女の演技が見たいので、次回作に期待もかかる。


さて、今回は結構前に見た映画を公開記念ってことで記事にしたので、いまいち興奮が伝わらないかも。

でも、容赦ない映画だってことを了解した上で、見に行けば中国映画の未来を感じられる、かも(?)って映画ですよ。


「盲探」というタイトルはわかりやすいですね。名探偵ゴッド・アイは間違ってないけれど、ちょいやりすぎ。

などと思いながら、シネマートさんの「冬の香港・中国エンターティンメント祭り」で鑑賞し始めた盲探。


チラシやポスターは香港も日本もかなりシリアスな出来。

どっこい、この映画。

基本はコメディです。

コメディなんだけど、サスペンスの要素も並の映画以上にあるところがこの映画のすぐれもんなところ。


さっすがジョニー・トーとワイ・カーファイの黄金コンビが監督・脚本なだけあるよ。


とはいえ、まずは久々のアンディ・ラウとサミー・チェンの共演で見せる絶妙なかけひきが魅力のこの映画。




そのやりとりは、超コメディおバカ映画の『痩身男女(邦題:ダイエット・ラブ)』をほうふつとさせます。


こちらがダイエット・ラブのチラシ。



真ん中の男女はアンディとサミーです。


アンディなんて彦麻呂みたいなんだけど、太ってもかっこいいのはわかる。

サミーはただのデブ。。。なんだけど愛嬌があって憎めないのよね。


さて、この痩身男女だけでなく、アンディとサミーは数々の共演作があって、その多くがコメディ要素が入っている。いわば夫婦漫才のような絶妙なかけあいができる二人。


私がみるところ、サミーを女扱いしていない感じの設定で、そのかけあいが生きてくる気がする。

今回の盲探も、タイトルどおりにアンディは盲目の探偵という設定のため、捜査技術が未熟な女刑事を演じるサミーの容姿がアンディにはわからない。

むしろサミーの怪力っぷりだけが伝わって、アンディは女刑事をムキムキの男女のような容姿だろうと思っている。


そんな設定によってドタバタコメディを織り交ぜつつも、謎解きの面白さがこれまた中途半端ではない。


サミー演じる女刑事の依頼で、彼女が少女時代に行方不明になった同級生を探し始めるアンディ探偵。

盲目ゆえに見えてくる物事の本質をかぎわける能力(これ本編みればわかるけれど、あえて嗅ぎわけるって言葉を使いました)で、徐々に元同級生にたどりつくところがサスペンス要素たっぷりで面白い。


だから、完全なコメディではもちろんなく、残酷な描写もあり、探偵や刑事、そして行方不明の同級生のそれぞれの恋物語を盛り込んで、いろんな要素のごった煮を、うまーくまとめる力は、やはりジョニー・トー&ワイ・カーファイの才能だと思ったね。


ところで、ふと気になってこのジョニーとカーファイのコンビ映画の歴史を、本作主演のアンディ関連で、ちょっと整理してみた。


まず、二人の共同監督作品にアンディが出てる作品は以下のとおり。


●日本タイトル(カッコ内は原題)で記します(サミー共演作に*印)


 2000年 Needing You (孤男寡女)



 2001年 ダイエット・ラブ (痩身男女)



 2001年 フルタイム・キラー (全職殺手)

 2002年 アンディ・ラウの麻雀大将 (嚦咕嚦咕新年財)

 2003年 マッスルモンク (大隻佬)


そして、本作は、ジョニー・トー監督、ワイ・カーファイ脚本です。


 2013年 名探偵ゴッド・アイ (盲探)




それから、ジョニー・トー映画でアンディがでてる映画は以下の通り。


 1996年 戦火の絆 (天若有情3之烽火佳人)

 1999年 暗戦 デッドエンド (暗戦)

 2004年 イエスタディ、ワンスモア (龍鳳門)




という具合。

こうしてみると、ジョニー・トーとワイ・カーファイがからむ映画でアンディが常連なのはもちろん、アンディ&サミーってパターンで使われているものもすごい多いね。


ジョニー・トーがアンディを好きなのかしらね。だって、「戦火の絆」は天若有情シリーズの三作目なんだけど、一作目と二作目でジョニーさんは製作を担当してるんですよ。

そう、一作目がアンディ・ファンにはたまらない、あの鼻血ブー映画「アンディ・ラウの逃避行(天若有情)」です。あれ、好きな人、多いものね。たしかに若さあふれるアンディが、とってもかっこいい王子様ぶり。



逃避行するアンディとン・シンリン


それからアンドリュー・ラウ監督作品の大ヒット作である「インファナル・アフェア」シリーズでは、チョイ役の位置づけだけど、サミーはアンディと恋仲の設定になっているのはご承知の通り。


つまり、久々の共演だったけれど、失敗するはずがない取り合わせなんですよね!


シネマートでは公開されたばっかりだから、内容の核心にふれることはできないけど、会場はときに大笑いで、とっても盛り上がりましたよ。

私自身も久々に映画館で大笑いした香港映画でした。


2013年は「盲探」と「寒戦」で、香港映画の大収穫だったんじゃないの? シネマートさん。


というわけで自信を持ってお薦めできる映画です。

ひっさびさの純・香港産映画のヒット作。


いまや純粋に香港映画として制作される作品は年間十数本に減ってしまったと言われる中、2012年の香港映画で興行収入ナンバーワンという注目作が日本公開されました。


その名は『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』


ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

左は主役のアーロン・クォック。

右の坊主の横顔おっさんは、レオン・カーファイ。坊主にすると全く印象が変わっちゃうカーファイ。私も一瞬、誰だかわからなかった。


ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ
(画像は公式サイトより拝借)


真ん中の女性は、チャーリー・ヤン。


コールド・ウォーの原題はそのまま『寒戦』。

原題のほうがかっこいいけれど、日本語のタイトルも今回は悪くないですね。


けれど、私は大好きな映画『暗戦』を彷彿とさせる意味からも、原題通りのほうが香港マニアには受けると思ったね。


ちなみに暗戦に主演のアンディ・ラウもゲスト出演。


ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

本作の配給はツインさん。

「冬の香港・中国エンターテイメント映画まつり」もシネマートさんに配給してくれる頼もしい存在。

で、そのツインさんが用意している公式サイトにアップされた予告の宣伝文句は、


「インファナル・アフェア以来の傑作誕生★★★★★」


いやはや、実際、そうかもしれない。


2002年香港映画のメガヒット作でハリウッドや日本でもリメイクされたインファナル・アフェア以来、香港映画はヒットを生み出していない。

アジアで大ヒットした『画皮:あやかしの恋』も、2000年代以降のアジア映画でよく比較対象にされる『レッドクリフ』も、大陸との合作だものね。


ホント、本作をみんなが待ち望んでいたわけよ。

ストーリーとしては、敵か味方かわからなくなる緻密なプロットの香港警察もの、と言う点でインファナル・アフェアに共通する部分もある。名前が似ている暗戦とは、あまり近い要素はありません。


ただ、男の出世争いだの、派閥だのって要素がある分、よりリアルな香港警察を描いているように本作は見えますね。

そのせいなのか、わざわざ本編の最初に「本映画は完全なフィクションです」というような内容のテロップがかなり強調されて入っています。こんなの、さんざん悪の香港警察やフィクションの香港警察を描いてきた香港映画として、ちょっと珍しいんじゃないかな。


大どんでん返しがまっているという点でも、暗戦よりはインファナル・アフェアに近い。

本作、たしかに香港映画好きだけでなく、サスペンス映画好きならオススメできる出来になってます!


さて、今回も上映をやってくれたのは、またもやシネマートさん。

いつもお世話になっている六本木や心斎橋でなく、今回は新宿シネマートで初鑑賞。


うんうん、まだまだ香港映画ファンは死んでいない。狭い館だったってのもあるけれど、超満員だった。

窮屈だったけど、わたしゃ嬉しかったよ。


ジョニー・トー監督だけが香港で頑張っていた感があるけれど、本作は日本ではまだなじみがないリョン・ロクマン(梁楽民)&サニー・ルク(陸剣青)がダブル監督。


ジョニー・トー映画だけでなく、香港映画らしい映画をこの後も撮り続けて欲しい。

ちなみに本作、すでに続編制作が決定しているとか。


期待度大だよ。


あ、まずは「冬の香港・中国エンターテイメント映画まつり」だな。
今度これは特集記事書くつもり。

ちなみにシネマートさんのサイト には既に告知がありますよ。


ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

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見たい。12月7日から。果たして行けるか?六本木or心斎橋。

中国映画に分類しましたけれど、日中合作です。


正式には「101回目のプロポーズ~SAY YES~」というタイトルで先週から全国公開が開始されたばかり。


ちなみに日本版主題歌は、つい最近ASKAが渦中の人として話題になっちゃった旧チャゲ&飛鳥による懐かしの「say yes」。

彼らが歌っているというか、昔の曲をそのままつかっているのですが、中国語圏向けには新たに「say yes」を李代沫の主唱によって新たに録音された模様。


こちらが中国版主題曲のジャケット
ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ

原曲では「まるでぼーくーを、ためすーよーな」ってなってるところが「因為我愛你(愛しているから)」というフレーズになっていて、曲としてはこっちのが情感がある。


個人的にはこちらを映画本編に使って欲しかったよ。


合作とは言えど武田鉄矢が数分間ゲスト出演している以外に日本人は全く出演していない本作が、いきなり全国公開されるあたりに、フジテレビ(中国では富士電視網絡公司と表記)&ポニーキャニオンの力を感じます。

ただ、韓流映画とは違い、固定ファンのあまりいない中国映画。武田鉄矢主演作品のリメイクなので、イケメン俳優が出ているわけもなく、お客さんの入りはイマイチ(というかホントに私一人のために上映してくれるのかと思った)。


おおもとの大ヒットドラマを1991年に制作したフジテレビと、中国の制作会社である新麗伝媒との共同制作。


この101次求婚というコンテンツは、中国でも人気があるらしく、中韓合作でチェ・ジウ主演のテレビドラマが作られています。こちらは日本でも放送されたようですね。


前置きが長くなったけれど、本作の感想です。


私的にはクリーンヒットと感じました。なぜって、リン・チーリンが役にぴったりだったんですよ。

日本版では浅野温子が演じていた薫(中国人に置き換えた本作の役名でも薫)という、かつての恋人との生き別れをトラウマに、恋に臆病になっているチェリストの女性役。

英語に加えて日本語もちょっとできるという設定はリン・チーリンにぴったり。


そして、なにより日本のドラマでは、武田鉄矢(星野達郎)に対して浅野温子(矢吹薫)が決して高嶺の花ってほどには感じなかったわけですが、今回のホアン・ボー(黄渤)演じるホアン・ダー(黄達)と、世界を代表する美女って言えるリン・チーリン演じるイエ・シュン(葉薫)なら納得。


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絶世の美女をぶさメンがゲット!っていう本作のコンセプトはこの役でこそ生きた、って気はします。

それと、日本のドラマ、私は演出が過剰だったのと、浅野温子演じる薫がクールっていうか冷たい雰囲気に描かれすぎていたので、いまいち感情移入できなかったのですが、本作のチーリン演じる薫は、彼女の温かみが良く出ていて、あの独特のベビーウィスパーな声と相まって、ホントに魅力的で、ぶさメン君であるホアン・ダーを応援したいって気持ちになった。ま、つまり感情移入ができたんですよね。


ひとえにチーリンの魅力って感じもするけれど、ホアン・ボー君も過剰な演技はせずに人の良い好青年っていうかオッサンを熱演していたのも良かった。武田鉄矢は「僕は死にませーん!」ってやり過ぎだったもんね。


そういえば、役名は日本ドラマの役名から一字拝借してるわけね。


結論。

話そのものは野島伸司の脚本をベースにしていて、ストーリー的に大きな飛躍はなし。

けれども、チーリンが演じることで、設定に説得力が増し、映画のほうが感情移入しやすく、作品としてより良くなっています。

中韓合作のチェ・ジウ版ドラマは未見だけど、説得力って意味ではやはりチーリンに勝るとは思えないなぁ。


ちなみにチェ・ジュウ版はこちら


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星野達郎を演じているのは香港の俳優スン・シン(孫興)で、ぶさメンでは全くなく、いたってイケメンな俳優。

このジャケットを見る限り、日本ドラマに近い内容な気がする。根拠はチェ・ジウの表情だけだけど。


今回、フジとポニキャのおかげで全国公開するも、人の入りはイマイチの本作。

でも、作品の質的には、もうちょっとお客さん入ってもいい作品だと思う。

今日はこの記事。
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その前に、いやーずいぶん更新が滞っちゃった。

こんなにアジア映画を観なかったのは久しぶり。だって夏の間、ほとんど中華系映画が公開されなかったんだもん。いや正確に言うと、地方では公開されなかったんだよね。


東京や大阪では相変わらずシネマートさんが頑張っていて、「夏の中華大傑作映画まつり2013」なんつー超ヨダレものの企画をやっていた。

ラインナップも凄くって、


『妖魔伝 -レザレクション-』(これ、画皮2のことね)


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『TAICHI/太極 ゼロ』


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『TAICHI/太極 ヒーロー』


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写真見るだけでも興奮してくる。

この中では画皮2である妖魔伝だけは海外DVDで見たけれど、対極の2作は観ていない。

そして、残念ながら両方とも見逃した。。。ああ(泪)


それもこれも地方では全くやる素振りすらないことが悪い。私だってそうそう東京や大阪に出る金も暇もないっ!! おっと、いけない興奮してしまった。


というわけで、すっかりアジア映画から遠ざかっていた今年の夏。

アジアから一人気を吐く韓国映画だけを観て生きてました。


そう、韓国映画は観ていたわけよ。地方でもやってくれるから。

でも、そのレビューばかり書いていると、中華映画ブログであったはずの本ブログのコンセプトが崩れそうで、あとは暇がなくってつい放置してしまったよ。


前置きはこのくらいにして、やっと本題。


唐突ですが、今年はかの李小龍(ブルース・リー)が泣くなって40年目の節目の年なんだよね。

そういうわけで、これもまたシネマートさんや新宿武蔵野館が頑張ってくれたんだけど、それを記念する映画を二本、公開してくれてたんだよね。


それがこちら (「ブルース・リー祭り」のサイトへリンク)。

サイト、けっこうかっこいいよ。このサイトのBGMで、ブルース・リーの声とは別に「トウ、トウ、トウ」って言っている人の声があてられたら、あなたは相当なブルース・リーマニア。(正解は本記事の最後に書いておきます)


チラシも赤と黄色のコントラストでいい感じ。


こちらはブルース・リーの弟ロバートが原作の映画『李小龍 マイブラザー』。

地方でも公開されたので、私も観ました。

こちらは香港映画。ブルース・リーのお父さんをあの『愛人 ラマン』のレオン・カーフェイが演じています。ラマンの、と言ってしまうあたり、私も歳をとったもんだ。


あ、ロバート本人もラストに出てきます。
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そして、こちらはブルース・リーの娘シャノンが制作にからんだ映画『アイアム ブルース・リー』。

東京と大阪でしかやらなかったから、私は残念ながら見れなかった~。

もとはアメリカのテレビドキュメンタリーだそうです。


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アイアム ブルース・リーの方は、観ていないのになんだけど、予告を観るだけでもなんとなくわかる感じ。

今まで何度となくむさぼるように観てきた数々の伝記映画と、そんなに変わらないかな~。


ま、ミッキー・ロークとかも登場してきて「え、あんたもファンだったの!」って驚きはあった。うーん、それならボクシングに参入したときのあのネコパンチはなんだったんだろう。


そして、ブルースの奥さんであり、もう20年も前に伝記本『ブルース・リー・ストーリー』を書いて、すぐさま『ドラゴン ブルース・リー物語』として映画化させたリンダ・リーさんも出てるようです。

ちょこっと見た感じ、もうけっこうな歳のはずなのに、お美しいです。


しかし、繰り返しますが、観れなかったのですよ。だから、ちゃんと観てから、このブログを書こうと思っていて、それで待ってたら時間がたっちゃったわけ。さっき久々に公式サイトを見たら、地方ではやらないな、こりゃ。


さて、観た方の『マイブラザー』なんだけど、実は私くらいの李小龍ファンになると、事実との相違が目についてしまって、それが気になって集中できない。


たとえば、あの「アチョー」という怪鳥音。

言うまでもなくブルースが発明した気合いなんだけど、この作品はブルースの子供時代を描いたわけで、ケンカをする際に「アチョー」ってのはおかしい。これはすごく気になった。そりゃさ、にわかファンとかブルースをよく知らん人は、あのアチョーがあって初めてブルースの若い頃らしい、と思うのかもしれない。

けれど、ほんとはね、映画だって一作目の『ドラゴン危機一発』のときはアチョーって言ってないのが本当なの。いま出回っているDVDはあとから、別作品のアチョーをつぎはぎしたやつで、それこそブルース作品を擦り切れるまでみてきた私らは、どの作品のどのアチョーかがわかるから、逆にきになって仕方ないわけ。

むしろ、もともとのアチョーがないやつを探して観たいと思うくらいです。

とと、熱くなってしまった。


でもね、やっぱさすが弟の原作の映画化ってところもある。たとえば、イップ・マン師匠との関係ね。事実は写真を一緒に撮っただけで、直接イップ・マンから拳法を習ったわけではなく、彼の弟子から習ったんだよね。そこは忠実に再現してました。他のイップ・マンものは、自ら教えているように描かれているのもあるからさ。


いろいろ、文句はあるけれど、こうして40年が経っても、みんながブルース・リー作品を愛しているのは嬉しいよ。


さーて、はやく中華映画、地方でも公開されないかしらね。観ないとブログのネタがないじゃないかよ~。


答え:

「トウ、トウ、トウ」とブルース・リー祭りのサイトBGMで言っている声の主は、『死亡遊戯』で対戦した長身のバスケット選手、カリーム・アブドール・ジャバールです。

確認したい場合は、ネットで死亡遊戯でジャバールと黄色のトラックスーツのブルースが戦っているシーンのビデオクリップを探して観よう。