追悼ランラン・ショウってのは三月に開催される第9回大阪アジアン映画祭のプログラムの一つ。


そうランラン・ショウとは2014年1月8日に106歳(!)で死去した邵逸夫のこと。


古い香港映画ファンには、説明の必要がないくらいの有名人ですが、若い人のために念のため書くと、ショウ・ブラザーズ(邵氏兄弟香港有限公司)の創設者。





このワーナーっぽいロゴでお馴染みね


ショウ・ブラザーズの宣伝マンだったレイモンド・チョウが独立して作ったのがあのゴールデン・ハーベスト。


ショウ・ブラザーズの設立者・経営者ってだけでなく、香港の有力テレビ局TVB(無線電視)創設者でもあった香港を代表する有力者、っていうか大ボス。


このTVBの俳優養成所からはチョウ・ユンファもアンディ・ラウもチャウ・シンチーも巣立っている。


ジャッキー映画のヒロインもたくさん輩出したミス香港コンテストもTVBが主催してたんだよね。


TVBのディレクターから映画監督になったところでは、香港ニューウェーブと呼ばれるアン・ホイ、ツイ・ハークらもそう。




香港映画の父なんて言われるけれど、けっして言い過ぎではない人なのだ。




ランラン・ショウ(邵逸夫)は、中国・浙江省に1907年に生まれた。1977年には英国女王から「サー」の称号を授かり、「サー・ランラン」とも。


ランランは英語で書くとRunrunっていう花の子ルンルンみたいな名前ながら、アジア有数の娯楽チェーンを築き上げた功績は大きい。




そんなサー・ランランが亡くなったのである。


「え、まだ生きてたの?」って思った人も多いでしょう。そりゃ、そうですよ。


草創期のショウ・ブラを盛り上げたお仲間(監督とか俳優とか)はとっくに鬼籍に入っている人ばかり。


まさかの100歳超えで、文字通りの香港映画の生き字引だったお方。




こりゃ、追悼の一つや二つはやるでしょう。




ってことで、直近のアジアン映画祭がやってくれました!




サブ会場のシネ・ヌーヴォにて、三本のショウ・ブラ作品をかけてくれます。


どれも往年の大ヒット作品。


40年ぶりに映画館で観るってな人もいるはずですよ。




ラインナップは以下の通り。


(画像はいずれも大阪アジアン映画祭サイトより)




「大酔侠」

Come Drink with Me(大酔侠)

1966年|香港

監督:キン・フー(胡金銓)








「片腕必殺剣」


One-Armed Swordsman(獨臂刀)

1967年|香港

監督:チャン・チェ(張徹)







「空とぶギロチン」

The Flying Guillotine(血滴子)

1975年|香港

監督:ホー・メンホア(何夢華)







60年代には一世を風靡したショウ・ブラだけど、70年代はブルース・リーやらホイ三兄弟のいるゴールデン・ハーベストに押されはじめ、80年代になるとジャッキーも加わったゴールデン・ハーベストだけでなく、香港ニューウェーブ監督らが所属した独立系プロダクション(シネマシティとか)にも押され、映画製作を停止し、映画配給だけに専念していった。


80年代には新興の映画会社の配給チェーンとして機能していたりしたこともあった。




というわけで映画製作会社としては息の根が止められてしまったということもあったのか、日本で新たにDVD化されることもなかったのだけれど、2004年に新しい版権管理会社になったらしく、素晴らしい作品が大挙してDVD化。




2004年以降にショウ・ブラ作品の日本版DVD化に熱心にとりくんでくれたのがキング・レコードで、「ショウ・ブラザーズ 黄金のシネマ・シリーズ」というのでショウ・ブラ作品を100本ほど提供してくれた。




んで、最近またそれらも手に入りにくくなっていたんだけれど、今度はパラマウント・ジャパン合同会社が、2013年からDVDとBlu-rayで、ショウ・ブラ作品を1本千五百円とか、3本三千円と廉価で発売し直してくれていて、上記の三本も手に入りやすい状態で、いまDVDショップに置いてあります。




廉価版が発売され直してからまだ日が浅いので、2004年以降に100本ソフト化されたうちのほんの一部しかDVD化されていない(まだ20本くらいかな?)だけれど、また100本出してくれたら、私は大人買いするのになぁ。十年前は買えなかったけれどさ。




ちなみに、KungFu Tubeってサイト
でキング・レコードがソフト化した作品を一覧にしてくれていました。


←リンクしときました。


良い仕事してくださって、ありがとうございますです。




で、現在パラマウントが発売中の方ですが、こちらの公式ページ
で順次ソフト化された作品が確認できます。


←音が出るページへのリンクなので気をつけて。




ただし、ショウ・ブラ作品以外のものも混じっている「香港映画公式サイト」ってなってるので、ちょっと不親切。


いまだったら、追悼で再注目されているので、ぜったいにショウ・ブラ作品でシリーズ化したほうが売れるのにね。




かくいう私は、アジアンで追悼上映される上の三作品のなかでは「大酔侠」の廉価版(一本だと千五百円なり)を手に入れました。私、キン・フー監督が好きなんですよ。




そのとき、チャン・チェ監督の作品も欲しくなって「大女侠」も、そして三本セットで三千円になるので、レオン・ポーチ監督の「風の輝く朝に」という組み合わせで買っちゃった。




ちなみにチョウ・ユンファ主演の「風の輝く朝に」はショウ・ブラ作品ではなく、80年代にサモ・ハンが宝石商のディクソン・プーンに協力して設立された新興プロダクション「D&B」の作品。これもまた映画製作会社としてのショウ・ブラにとどめを刺した勢力の一つでした。




なんという組み合わせで買ったんだ、私は。。。


あーそれにしても映画館で観たいなぁ。大阪の9条にあるシネ・ヌーヴォは映画館として味もあるしね。

若い人も、ショウ・ブラの名作を見て欲しいな。日本人の若者が黒澤明を観るのと同じような感覚で、キン・フーやチェン・チェの名画を見て欲しいものです。